今バズっているフジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングスの財務諸表を見てみる [著者ID: 10]
ネットだけに限らず、テレビのニュースでも話題のフジテレビ。
最近テレビをあまり見ないのもあって、あまり興味を持ってみていなくてよく知らなかったのですが、フジテレビって、現在、視聴率が在京主要民放4社の中で最も低く、収益性も落ちているようだ。
(視聴率急落で「死の谷」にはまったテレビ局の苦悩 激減するテレビCM収入を配信で補う日は来るか 東洋経済オンライン)
となると、フジテレビを子会社として持つフジ・メディア・ホールディングスは売上が厳しい状態になっているのかなと思って、PLを見てみた。
売上は、2021年に大幅に落ちている(6,314億円→5,199億円)ものの、その後、横ばいから若干上向いている。
ということは、フジ・メディア・ホールディングスは、「昔のイメージから、中核事業としてテレビ(フジテレビ)があると思い込んでいたが、今は、テレビ事業売上の比率は大きくない」ということなのだろうと、勝手に予測してみた。
そこで、まず、有価証券報告書にあるフジ・メディア・ホールディングスの事業内容を見てみる。
主な事業は、下記の3つである。
① メディア・コンテンツ事業
② 都市開発・観光事業
③ その他の事業(動産リース、ソフトウェア開発、レストラン等)
また、連結決算に関係する主要な会社は、下記である。
◇メディア・コンテンツ事業
・テレビ放送
㈱フジテレビジョン
㈱仙台放送
㈱ビーエスフジ
※関西テレビ放送㈱
※㈱スペースシャワーネットワーク
※日本映画放送㈱
※㈱WOWOW
・ラジオ放送
㈱ニッポン放送
・放送番組の制作等
㈱共同テレビジョン
㈱フジアール
㈱フジクリエイティブコーポレーション
・映像・音楽ソフトの販売等
㈱ポニーキャニオン
・音楽出版等
㈱フジパシフィックミュージック
・通信販売
㈱DINOS CORPORATION
・広告
㈱クオラス
・雑誌書籍の出版
㈱扶桑社
・新聞発行
※㈱産業経済新聞社
◇都市開発・観光事業
・ビル賃貸・不動産取引
㈱サンケイビル
・イベント・内装、ビルマネジメント等
㈱サンケイビルテクノ
㈱サンケイビルマネジメント
㈱サンケイビルウェルケア
・ホテルリゾート運営
㈱グランビスタホテル&リゾート
◇その他事業
・動産リース
・商品販売等
㈱ニッポン放送プロジェクト
・ソフトウェア開発
㈱フジミック
・レストラン・売店
※㈱フジランド
・その他
※伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱
かなり多くの関係会社があり、フジテレビの売上が、フジ・メディア・ホールディングス連結の売上のどれくらいを占めるかが気になった。
有価証券報告書の関係会社の状況を見ると、2024年3月期でフジテレビの売上は、2,382億円であった。
㈱フジテレビジョン 主要な損益情報等 (単位:百万円)
①売上高 238,219
②経常利益 5,630
③当期純利益 3,660
④純資産額 178,331
⑤総資産額 222,380
フジ・メディア・ホールディングスの2024年3月期の売上高は5,664億円だから、フジテレビの売上の割合は42%を占める。
予測に反して、フジ・メディア・ホールディングスにおけるフジテレビの売上高の割合は大きい。間違いなく、フジテレビは、フジ・メディア・ホールディングスの中核企業の1つと言える。
一方、関係会社の状況の中で、連結売上高の10%を超える会社として、㈱サンケイビル が挙がっている。
㈱サンケイビル 主要な損益情報等 (単位:百万円)
①売上高 79,380
②経常利益 17,112
③当期純利益 11,688
④純資産額 194,546
⑤総資産額 544,476
サンケイビルは、売上高こそフジテレビの約3分の1だが、純利益でみると、フジテレビ36億の3倍超の116億円を稼ぎ出している。
フジ・メディア・ホールディングスは、メディアの会社というより不動産の会社とも言われることがあるようだが、それは、この辺りの数字が根拠になっているのであろう。
次に、フジテレビの売上の内訳を見てみよう。
売上高に大きな変化はない。しかし、放送事業(おそらく、広告収入が主)の売上は減っているので、放送事業以外の売上が伸びているということだろう。詳細はわからないが、フジテレビも不動産事業等で売上を伸ばしているということだろうか。
また、営業利益が、直近2年は前年比約30%減と大幅に収益性が悪化しているのが見てとれる。