BSは、低中高とすべてのモードで表示してみました。

ビジュアル(比例縮尺)財務諸表から、ざっくりすぐにわかることとしては、

BS。

(低モード)
純資産が減り続けてます。(薄黄色)
⇒ 純利益がマイナスです。実際、ビジュアル財務諸表ので業績推移(要ログイン)を見ると、3年連続の赤字です。

(中モード)
2017年3月期、流動比率が、2016年3月期から2期連続100%を切ってます。(青より紫が大きい)

(高モード)
2017年3月期
買掛債務が、現預金等の2倍以上あります。
有利子負債が過去最大(1,352億円)です。
その他流動負債が大幅に増え続けていますが、この詳細は、有価証券報告書で追っていくべきポイントです。実際に見てみると、未収入金の増加が主な原因になっています。

棚卸資産は、総資産の11%～14%くらいで推移しています。在庫の中身が気になります。

商品及び製品
54,176百万円 (2016年3月期)
32,318百万円 (2017年3月期)

仕掛品
41,090百万円 (2016年3月期)
51,764百万円 (2017年3月期)

原材料及び貯蔵品
18,861百万円 (2016年3月期)
16,815百万円 (2017年3月期)



PL、CS。
前年度(2016年3月期)は1兆円に迫っていた売上高が、2017年3月期は大幅に減少し、8,850億円になっています。
大きく投資をし続けているので、回収できない(売れない)とすれば、やばそうです。

また、売上原価が高すぎます。


と、こんなところでしょうか・・・。
この経営では、報道は至極当然の結果と言えると思います。


ジャパンディスプレイ、3期連続赤字 守るべき技術は (日本経済新聞 2017年5月10日)の記事では、『ジャパンディスプレイ(JDI)が10日発表した2017年3月期の連結最終損益は316億円の赤字(前の期は318億円の赤字)と3期連続の最終赤字だった。官民ファンドの産業革新機構が主導して日立製作所と東芝、ソニーの液晶パネル事業を統合し設立して5年。同社は一度もフリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)を黒字化できていない。設立当初から「日本の最先端技術を守れ」との経済産業省の常とう句がついて回ったJDI。ただ「稼げぬ技術」は国を挙げて守るべきものなのだろうか。』と厳しい。


今日の報道の内容は、リストラ策(人員削減)が主な内容のようですが、果たして、この事業(中小型ディスプレイ及び関連製品の開発、設計、製造及び販売事業)の黒字化はあるのでしょうか?






【2017年3月期の有価証券報告書より抜粋】

【生産、受注及び販売の状況】
(1) 生産実績
当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件などは必ずしも一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、販売価格による生産額の集計は行っておりません。また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、中国、台湾及びフィリピンの製造子会社による後工程に区分して管理されております。
そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。

(2) 受注実績
当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。

(3) 販売実績
アプリケーション分野別販売実績

モバイル: 728,641百万円 (前年同期比△13.1%)
車載・C&I・その他: 155,798百万円 (前年同期比3.2%)
合計: 884,440百万円 (前年同期比△10.6)


相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
Apple Inc.グループ: 475,868百万円(53.8%)
Huawei グループ: 114,130百万円(12.9%)





【参考リンク】

Jディスプレイ、外部資本受け入れ検討 経営再建策 (日本経済新聞 2017年8月8日)

ジャパンディスプレイ 国内外で従業員3000人余削減へ (NHK 2017年8月8日)

Jディスプレイ、1千億円融資要請 一部工場停止も検討 (朝日新聞 2017年7月27日)

ジャパンディスプレイ、3期連続赤字 守るべき技術は (日本経済新聞 2017年5月10日)

不振「JDI」、創業来の幹部までが退任する事情 3期連続赤字、新体制の厳しい船出 (東洋経済 2017年5月10日)


※ 追加

JDI 産業革新機構の投資判断に甘さ (毎日新聞 2017年8月9日)

JDI 有機EL転換遅れ 改革「ラストチャンス」 (毎日新聞 2017年8月9日)