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2017年11月22日 公開

アマゾン (amazon.com) の財務諸表 [著者ID: 10] 

アマゾン(amazon.com)は、営業利益を出さないで成長を続ける世界で稀にみる巨大企業として有名である。

他のアメリカの巨大IT企業(アップル、グーグル、フェイスブック、マイクロソフトなど)は、売上高営業利益率が非常に高い(どんぶり財務諸表PLのオレンジ色)。

アマゾンは純利益も低空飛行で、利益を追わない経営方針であるとしか言いようがない。


アマゾンの利用者は、アマゾンのサービスにかなりの満足度を持っている。

まず、何より普通の小売より大抵安い。確かに、比較サイトなどで調べれば、アマゾン より安い商品が出てくる。
しかし、一旦 アマゾンを知ってしまうと、別のサイトで買い物をするスイッチングコストを考えて、どうしても アマゾン で買ってしまう。まず、アマゾン よりどれくらい安く買えるのかを比較する。そして、新しいサイトへのユーザー登録、その安いインターネットショップは果たしてセキュリティなどは万全なのかを調査、ショップ自体の評判を検索する。そんなことを一度はやってみるが、その手間と、実際に安く買える値段を比較して、結局、面倒なので、「アマゾン でいいや。そんなに変わらない!」ということで、アマゾン で買う。私がまさにそうなのだが、アマゾン 利用者は、大抵こんな感じなのではないだろうか?

それ以外にも、うまくいけば当日、うまくいかなくても翌日商品が届くサービス、扱い商品の充実、アマゾン が直販しているものに関しては返品対応も安心、ということで、かなり満足である(だからこそ、売上が伸び続けるのだろうが・・・)。

というわけで、今日は、アマゾンの財務諸表を見てみよう。

貸借対照表(米国基準・連結)
登録会員 (No. 1) が作成したものです

損益計算書(米国基準・連結)
登録会員 (No. 1) が作成したものです

損益計算書(米国基準・連結)
登録会員 (No. 1) が作成したものです

損益計算書(米国基準・連結)
登録会員 (No. 1) が作成したものです

損益計算書(米国基準・連結)
登録会員 (No. 1) が作成したものです

損益計算書(米国基準・連結)
登録会員 (No. 1) が作成したものです

冒頭にも述べたが、アマゾンの財務諸表を見ると、まず目につくのは、売上高、資産ともに、右肩上がりの成長企業であることである。2015年に売上高10兆円(本当にざっくりと1ドル100円換算で)を超えた。にもかかわらず、営業利益、純利益ともに低空飛行である(PLの営業利益・オレンジ色を比較してほしい)。

ステークホルダーである株主は、普通、このように利益が出ない会社には文句も言いたくなるものだが、何より売上高の成長に比例して株価が上がるので、文句は言わない。どこかの記事で読んだか、話で聞いたのだが(すまぬが、どこからの情報か忘れてしまった)、アマゾンの純利益、利益剰余が少しでもプラスに増える傾向が見てとれると、逆に株主から、「もっと成長に金を回せ」と文句が出る、と聞いたことがある。これだけ低空飛行なのにである。

という具合に、本当に特異な企業である。


そんな特異なアマゾンだが、2017年は、今までの動きとは違う大きな動きが2つあった。

1つは、2017年6月に、ホールフーズ(Whole Foods)を買収したことである。2017年6月にホールフーズを買収するまで、これほど大きな額の買収をしたことがなかった。どんぶり会計の2016年12月期の財務諸表から、今までと同じように推移すれば、今期末(2017年12月期)には、アマゾンの総資産は1000億ドルを超えると考えられる。ホールフーズの買収額は、140億ドル。アマゾンにとって、今までで一番大きな買い物だった。ブルームバーグによると、2014年のトゥイッチ・インタラクティブ (Twitch Interactive) 買収が、それまでの最大で、9億7000万ドル(現金で支払ったそう)だったから、かなり思い切った買い物だと言えよう。


もう1つは、創業者のベゾスが、保有する9億4100万ドル(約1千億円)相当のアマゾン株を売却したことだ(日本経済新聞)。なんでも、宇宙VBに投資するためだそう。日本でも、今年、宇宙関連事業に投資するホリエモンが話題になったりした。ベゾスにしても、ホリエモンにしても、「もう、地球では大して面白くないから、やっぱ、宇宙だろう」って思ったってことなんだろうか。


そんなこんなで、2017年12月期のアマゾンの財務諸表が、「どうなるか」をなんとなく思い描いてみると、どんぶり会計的に楽しいのである。


ところで、自分が、ベゾスだったら、ウォールマートに単純に安売りで対抗するのだと面白くないと考える。同じものだったら極力安く売る戦術はとるだろうけど、インターネットとの融合サービスとか、品揃えとか、品質とかで、ウォールマートとは全然違う絵が描けるはずだからだ。そう考えるのは、単純な話。以前住んでいた武蔵新城駅前にあった西友。ウォールマートに買収されてから、全然行かなくなっちゃったんだけど、その理由を考えると答えが見えてくる気がするんだよね。ネットとの融合がイマイチうまくいかないイオンやイトーヨーカドーなどの日本の小売もうかうかしてられないと思う。


上に挙げた2017年の動きは、あまり芳しくない結果を生むのではないかという論調の記事もある。私は、その意見には反対だが、今後の小売は、どうなっていくだろうか。


【参考リンク】

焦点:アマゾン、ホールフーズ買収でウォルマートに真っ向勝負 (ロイター)

アマゾン、ホールフーズを137億ドルで買収-食品販売に本格参入 (ブルームバーグ)

ベゾス氏、アマゾン株1000億円売却 宇宙VBに投資 (日本経済新聞)

アマゾンのホールフーズ買収は止めるべきか(ニューズウィーク日本版)

アマゾンついにリアル市場へ 日本での提携先を大胆予想 ! (ニューズウィーク日本版)