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2017年6月29日 公開

「セコムしてますか?」 VS 「ALSOK 東京2020」 [著者ID: 10] 

ちょっと前になりますが、長嶋氏が「セコムしてますか」と言ってみたり、「目からビームが出る」ちょっと笑えるALSOKのコマーシャルだったりと、大手警備会社のコマーシャルがテレビで多く流れました。

最近だと、ALSOK の東京オリンピック2020がテーマのCMですね。オリンピックで活躍するような格闘技のアスリートを起用したCMで目を引きます。

セコムは、私の中では最近CMの印象が薄かったのですが、最新はヒーローものなんですね。ライブラリーを見ると、このヒーローものは、2016年のものです。

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EDINET閲覧(提出)サイトをもとにシーフル株式会社が作成したものです

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■ テレビCMを積極的に行い、オリンピックパートナーになる綜合警備保障(※)

最近のテレビCMでは、セコムより圧倒的に綜合警備保障の印象が強く残っているのではないでしょうか?
いや、綜合警備保障というより、コーポレートブランドであるALSOKの印象と言った方がいいでしょう。


ALSOKについての説明は、綜合警備保障のホームページ上にあります。


----------------------------------------------------------
ALSOK=アルソックは、綜合警備保障の最も優れた特徴である
・直ちに行動を起こす機動力
・モチベーションの高さ
を365日、24時間いつでもセキュリティOKの気持ちと姿勢に込めて
ALWAYS-SECURITY-OK
を短縮した言葉として採用しました。
いつでもあなたのそばにいて必要な時に直ちに駆けつける
安心警備を提供するという意味です。
----------------------------------------------------------



ALSOK = ALWAYS-SECURITY-OK なのですね。

セコムにしても綜合警備保障にしても、テレビCMを行う理由は、直接的には一般消費者向けサービスを売りたいからということになります。綜合警備保障は、ALSOKのCM積極展開により個人向けサービスに力を入れたマーケティングを行っており、東京2020オリンピックのオフィシャルパートナーとなったのも、この流れが強くうかがえます。


綜合警備保障の有価証券報告書によれば、『国内治安情勢につきましては、刑法犯認知件数が、2015年以降、毎年戦後最低記録を更新し、約99万件となるなど、大幅な減少傾向にある』らしいです。全体としては減っているので警備が必要ないかと思いきや、テロや物騒な事件の報道が多い気がします。以前より個人向け警備サービスが求められる時代になっているのでしょうか。


■ PLを見てみる

セコムの売上高は、綜合警備保障の倍近くあります。

また、セコムの売上高営業利益率は14%と非常に高く、これもセコムは、綜合警備保障の倍で、セコムの強さが光ります。

しかし、2011年3月期を基準とした2017年3月期売上高成長率は、セコムの17%に対し、綜合警備保障は30%です。

両社とも売上高が成長しているわけですが、今後の警備会社2社の対決は、非常に興味深いです。


売上の成長要因を詳しく見るために、セグメント情報を見てみます。


■セグメント別売上高(前年比)

※ 単位 百万円

(1) セコム
セキュリティサービス事業
534,295 (8.4%)

防災事業
126,231 (△4.2%)

メディカルサービス事業
66,839 (4.4%)

保険事業
41,965 (4.4%)

地理情報サービス事業
51,609 (△1.8%)

情報通信事業
49,834 (2.8%)

不動産.その他の事業
57,323 (12.0%)


(2) 綜合警備保障
セキュリティ事業
329,027 (4.2%)

綜合管理・防災事業
55,961 (1.8%)

介護事業
24,921 (228.5%)

その他
3,433 (△2.6%)


■綜合警備保障の成長要因は介護事業?

セグメント情報を見ると、綜合警備保障の売上高の成長の主要因の1つは、介護事業によるものだということがわかります。有価証券報告書の細部も見てみると、新たに介護事業等のM&Aを実施していることがわかります。セキュリティ事業との親和性が高いと考えて、個人に向けてのサービスの拡大に向けて動いています。

両社の集計の仕方は同じではないので、単純な比較には限界はありますが、セコムのセキュリティサービス事業と 綜合警備保障のセキュリティ事業を比較すると、セコムの成長率が綜合警備保障のそれの2倍(セコムの8.4%に対し綜合警備保障の4.2%)です。これだけでは、個人向けセキュリティサービスについての貢献度はわかりませんので、テレビCMの効果は何とも言えませんが、単純な比較ではセキュリティサービスに関してはセコムの方が優位です。

また、セグメント数や内容を見ると、セコムは、綜合警備保障に比べて多角化が進んでいます。


■今後について

セグメントや付随情報を読むと、セコムと綜合警備保障が、今後どのように成長を思い描いているのかという戦略の違いが見えてきます。

2020年東京オリンピックの年、綜合警備保障の売上高はどこまでセコムに迫っているでしょうか?
はたまた、成長の勢いが逆転してセコムが引き離しているのでしょうか。


※ セコムもオリンピックパートナーになっています。
セコムの東京2020のページ

オリンピック等の広告・スポンサー関連のことに詳しい方は、「あれ?一業種一社スポンサーの原則ではないのか」という疑問がわくことでしょう。このページによれば、特例措置で2社のスポンサーに決定しました。推測ではありますが、このような特例を認められたのは、もはやオリンピックの警備は、テロ等の対策を考えると1社では不可能という事情もありそうです。