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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007NWK

有価証券報告書抜粋 アンリツ株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、安全・安心で豊かなグローバル社会の実現に貢献するため、日本、アメリカ、ヨーロッパに有する開発拠点でグローバルに“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスの研究開発を行っております。
計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)、Anritsu Solutions S.r.l.(イタリア)及びAnritsu Solutions SK,s.r.o.(スロバキア)において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるべく協調して開発を進めております。
PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。
国際会計基準(IFRS)の適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度売上収益比率
計測事業9,822百万円14.5 %
PQA事業1,901百万円10.1 %
その他の事業795百万円8.9 %
基礎研究開発570百万円 -
合 計13,089百万円13.7 %

また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。

(1)計測事業
1) 4x4/8x2 MIMOフェージング機能に対応したMD8430Aの開発
3GPP(注1)で標準化された移動通信システムであるLTEが広く普及されている中、急激に増加している通信量に対応するためにLTEを更に高速化したLTE-Advancedの採用が進んでおります。
LTE-Advancedは、通信帯域幅を拡張するキャリアアグリゲーション(注2)に加え、複数のアンテナを用いることにより、移動時に1Gbpsから最大3Gbpsのデータ通信を可能とする移動通信システムです。移動通信システムは、フェージング(注3)により実効通信速度が変動することから、複数のアンテナを使用するMIMO(注4)では、実効通信速度の検証が重要な評価項目となっています。現在、4x4 MIMO、8x2 MIMO(注4)技術の開発が進展しており、このフェージング環境で実効通信速度を検証できる基地局シミュレータのニーズが高まっています。そこで本開発では、MD8430Aシグナリングテスタの機能を強化し、新たに4x4 MIMO/8x2 MIMOフェージング試験を可能としました。
(注1)3GPP:The 3rd Generation Partnership Project
第3世代、第4世代及び、次世代移動通信システム規格の検討・作成を行う標準化プロジェクト
(注2)キャリアアグリゲーション
複数のLTEコンポーネントキャリアを同時に使用することで、広い帯域を確保し、通信速度を向上させる技術。
(注3)フェージング
無線通信において、時間差をもって到達した電波が干渉し合うことによって電波レベルの強弱に影響を与える現象のことである。フェージングは、電波が地上の障害物や大気中の電離層などによって反射することによって生じるが、移動体通信においては、送受信する端末そのものが移動することでも発生する。
(注4)4x4/8x2 MIMO:Multiple Input Multiple Output
MIMOは複数アンテナを使用して同時にデータを送受信し、データ通信を高速化・高信頼化する技術。4x4 MIMOは、送受信で各4本のアンテナを使用し、8x2 MIMOは、送信側で8本、受信側で2本のアンテナを使用する。

2) LTE-Advanced/3G/2Gに1台で対応したMT8821Cの開発
LTE並びに、LTEを発展させたLTE-Advancedの通信方式に加え、GSMやW-CDMAに代表される既存の移動通信システム(第2~3.5世代)にも対応し、第2世代から最新のLTE-Advancedまでの主要な移動通信規格に1台で対応できるMT8821Cラジオコミュニケーションアナライザを開発しました。
本製品は呼制御を用いたRF性能試験並びに機能試験を行うことができ、移動通信端末(移動機)や端末用チップセットの開発に大いに貢献するものと考えます。
また、従来は複数台の測定器が必要であった機能を1台に集約したこと、そして新開発のGUI(Graphical User Interface)が「タッチパネルのGUIは素直で直感的に理解容易にデザインされており、見た目や色も本体と統一感がある。多用途、多機能をシンプルにまとめた優れたデザインである」として高く評価され、2015年度グッドデザイン賞を受賞しました。

3) 高性能導波管ミキサMA2806A/08Aの開発
ミリ波(注1)の市場は、次世代の無線通信システムを担う周波数帯として注目が高まっております。一方でユーザの要求を満足する測定器がなく、ユーザは、個別に測定環境を構築して評価を実施している状況です。そのため、R&D市場、認証市場のユーザ等から、次世代無線通信システムに対応した測定器の開発が待ち望まれていました。こうした要求に対応するため、高性能導波管ミキサの開発と、MS2830Aシグナルアナライザの外部ミキサ機能の拡張を行い、それらを組み合わせることで、50~75GHz帯及び60~90GHz帯で市場要求を満足する高ダイナミックレンジのミリ波帯スペクトラム測定を実現しました。
(注1)ミリ波
30GHz以上の周波数を持つ電波。波長1cm以下。無線通信システムや衛星通信、レーダーなどで用いられる電波。周波数帯域により、各通信システムの運用が割り当てられている。

4) 近傍位相雑音性能を大幅に向上したMS2840Aの開発
近年発売されているスペクトラムアナライザは、需要が拡大しているLTEや無線LANなどの測定用として、広帯域での測定性能を重視したモデルが主流となっています。一方、マイクロ波帯の無線バックホールやV/UHF帯業務用無線機などの測定では、狭帯域での測定性能を重視したスペクトラムアナライザが必要ですが、市場に多く存在するLTE対応スペクトラムアナライザは、これらの用途に適合していませんでした。
そのため、狭帯域性能を必要とするお客様は10年~20年前に購入した旧型モデルを継続利用するか、著しく高価な最高級モデルを購入する必要がありました。そこで、狭帯域での測定性能を重視したミドルレンジモデルとしてMS2840Aシグナルアナライザを開発しました。
本製品は、9kHz~44.5GHzの測定周波数範囲を持ち、内蔵発振器のSSB位相雑音性能(注1)を、測定周波数1GHz、オフセット周波数10kHzにて−123dBc/Hzと大幅に向上させています。これにより、これまで大型で高価格の位相雑音専用測定器でしか実現できなかった狭帯域通信装置の近傍スプリアス性能評価を、充分な余裕を持って実現できます。
(注1)SSB位相雑音性能
SSBはSingle Side Band(搬送波単側波帯)の略。信号発生の原理上、必ず含まれる余分な周波数成分。

5) 高速シリアルBUSインターフェース規格に対応したMP1800A用アプリケーションソフトの開発
データ通信トラフィックの拡大により、デジタル通信システムには更なる大容量化と高速化が求められています。PCI Express(注1)やUSBに代表される高速BUSインターフェース規格では高速化に伴いシグナルインテグリティ(注2)の確保がますます困難になってきており、ジッタ耐力試験では実測によるマージン確認が必須となってきています。そこで、MP1800Aシグナルクオリティアナライザに搭載することで、PCI ExpressやUSBデバイスの評価で必要とされるリンクシーケンスパターン(注3)の発生とジッタ耐力(注4)試験が可能となるアプリケーションソフトウェアを開発しました。
(注1)PCI Express
PCI-SIGにより策定されるシリアルデータバス規格。主にパソコン内部の通信で使用される。最新はGen4.0で1レーンあたりの帯域を16GT/sとしている。
(注2)シグナル インテグリティ
信号が伝播する際に生じる波形のひずみなど、信号の品質を指す。
(注3)リンクシーケンスパターン
ホストとターゲットの接続を確立するシーケンスパターン。
(注4)ジッタ耐力
シリアルデータバスの性能を見極めるための試験方法で、レシーバにジッタ可変変調データを入力し、そのBERによって定義される。

6) 標準化活動
計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T(注1)、IEEE(注2)等へ参加し、4G/5G、データセンタ、IoT/M2M(注3)、コネクテッドカー(注4)といった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。
特に携帯電話システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advancedの規格策定段階から数多くの寄書を行い、2015年度はリリース13(注5)の公開に貢献しました。
(注1)ITU-T
International Telecommunication Union-Telecommunicationの略。国際電気通信連合の電気通信標準化部門。
(注2)IEEE
The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略。アメリカ合衆国に本部を持つ電気工学・電子工学技術の学会。IEEE 802.11 (WiFi)や、IEEE802.3 (Ethernet)などの規格を策定している。

(注3)IoT/M2M
Internet of Things、Machine to Machineの略。コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在するあらゆる物に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり人手を介さずに相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行う技術。
(注4)コネクテッドカー
ICT端末としての機能を有する自動車のこと。車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。
(注5)リリース13
3GPPから公開されている移動通信システム規格の版数。リリース13は2016年3月に公開。

(2)PQA事業
医薬品等のカプセル用重量選別機の開発
世界的な人口の増加と新興国の経済発展を背景に医薬品の需要は増加の一途をたどっております。生命に直結する医薬業界において、医薬メーカー各社は、食品より更に厳格な品質保証を自社の課題としています。
近年、医薬業界では製薬技術の発達により従来薬よりも少量で薬効が期待できる高活性薬剤が増加しており、質量管理の高精度化、更には医薬品製造プロセスの健全性を証明するバリデーション体制の厳格化が求められています。
当社は、このような医薬業界のお客様の課題に注目し、医薬品製造現場のニーズにお応えする品質検査機器の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度におきましては、種々の医薬のなかでも内容量のバラつきが生じやすく、厳格な全数管理が必要なカプセル医薬の質量検査に特化した重量選別機「KWS9001シリーズ カプセル重量選別機」を開発し、販売を開始いたしました。
本機は、従来機に比べて約2倍の処理速度と4倍の計測精度を両立したことに加え、検査の健全性検証過程を支援する各種機能や、米国の医薬品管理基準「FDA21CFR Part11」に準拠したデータ管理機能を搭載することで、医薬製造における品質保証の向上に貢献いたしました。
PQA事業は、食品産業のみならず医薬製造の現場においても、オリジナルでハイレベルな商品と、お客様の生産活動を24時間サポートするサービスの提供を通じて安全・安心な社会の実現に貢献しています。

(3)その他の事業
情報通信事業 トラフィックアクセラレータ PureFlow WSX NF7601Aの開発
近年、企業活動のグローバル化と、それに伴うクラウドサービスの適用で、WAN回線の利用頻度が格段に増してきています。更にWAN回線に流すデータ量も急激に増加し、同時に回線上で発生する往復遅延時間やパケット損失の影響により、本来の転送能力を発揮できず、業務に支障をきたし生産性の悪化を招いています。
このように遠距離間での大容量データ通信で発生しているパフォーマンス問題を解決することで快適なデータのやり取りを実現したいという社会的要請に応え、トラフィックアクセラレータPureFlow WSX NF7601Aを開発し、PureFlowシリーズのラインナップに追加いたしました。
今後もPureFlowシリーズは、クラウドサービス基盤と連動したトラフィック制御を実現するためコントロールインタフェースを提供するなど、進化するクラウド環境をリードし、世界中のネットワークで安全・安心、そして快適な通信環境を提供してまいります。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01774] S1007NWK)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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