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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10020LV

有価証券報告書抜粋 オンコセラピー・サイエンス株式会社 業績等の概要 (2014年3月期)


従業員の状況メニュー生産、受注及び販売の状況

(1) 業績

当社グループにおきましては、東京大学医科学研究所との共同研究成果である「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析」をもとに、低分子医薬、抗体医薬、がんワクチン、核酸医薬等の創薬研究を進展させるとともに、がん幹細胞の維持に重要な分子であるMELKを標的としたOTS167の標準療法不応の固形がんに対する第Ⅰ相臨床試験(米国にて実施)、がん治療用抗体医薬OTSA101の第I相臨床試験(フランスにて実施)、胃がんに対する治療用カクテルワクチンOTSGC-A24の第I/Ⅱ相臨床試験(シンガポール、日本、韓国にて実施)など当社グループ独自、および各提携先製薬企業と共同で臨床試験を進めております。また、細胞分裂に重要ながん特異的新規標的分子に対する最適化化合物としてOTS964(仮称)を同定しており、動物実験で副作用もなく、がん消失等顕著な結果が得られたことから、1年以内の臨床試験開始を目途に、製剤化検討および非臨床試験を進めております。なお、膵臓がんに対する第Ⅲ相臨床試験(COMPETE-PC Study)につきましては、2013年12月に中止いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における連結事業収益につきましては、提携先製薬企業からのマイルストーン、開発協力金および研究協力金などの受領により、1,017百万円(前期比2,259百万円の減少)となりました。
また、医薬品候補物質等の基礎研究、創薬研究および臨床開発の継続的な推進および臨床開発の進展による研究開発費等の事業費用の計上により、連結営業損失は3,785百万円(前期は1,113百万円の損失)、連結経常損失は3,767百万円(前期は1,113百万円の損失)、連結当期純損失は3,676百万円(前期は1,103百万円の損失)となりました。
なお、当社および連結子会社は「医薬品の研究および開発」ならびにこれらに関連する事業内容となっており、事業区分が単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。
当社グループは、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現、シカゴ大学教授)中村祐輔教授と共同で、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、既に多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定しております。また、それらの標的に対し、がんペプチドワクチン、低分子医薬、抗体医薬、核酸医薬(siRNA医薬等)の、各領域における創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施しており、臨床試験準備中の医薬品候補物質も複数有しております。

創薬ターゲットの特定等を行う基礎研究領域においては、ヒト全遺伝子の遺伝子発現パターンを網羅的に検索できるcDNAマイクロアレイ(※10、※11)のシステムによる大腸がん、胃がん、肝臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、食道がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、腎臓がん、膀胱がんおよび軟部肉腫等について発現解析が終了しております。これらの発現解析情報からがんで発現が高く正常臓器では発現がほとんどない遺伝子を選択し、更に機能解析により、がん細胞の生存に必須な多数の遺伝子を分子標的治療薬の標的として同定しております。

医薬品候補物質の同定及び最適化を行う創薬研究領域においては、医薬品の用途毎に、より製品に近い研究を積極的に展開しております。
がんペプチドワクチンにつきましては、これまでに日本人および欧米人に多く見られるHLA-A*24:02およびA*02:01を中心に、大腸がん、胃がん、肺がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がん、乳がんおよび肝臓がんなどを標的とした計43遺伝子を対象としたペプチドワクチンを既に同定しておりますが、それら以外にもA*11:01, A*33:03, A*01:01およびA*03:01など、様々なHLAに対応したより多くのエピトープペプチドのスクリーニングを実施しております。さらに、塩野義製薬株式会社と、ペプチドワクチンの迅速かつ確実な創薬化を目指した共同研究を実施しております。
なお、パナソニック ヘルスケア株式会社と、がんワクチン療法の効果を判定するための免疫検査について、客観的な効果判定を確立することを目的とした「免疫検査工程を自動で行う検査システム(automated-Specific Immuno-monitoring System)」の共同開発契約を締結しております。
低分子医薬につきましては、7種のがん特異的タンパク質を標的とする創薬研究を進めております。そのうち1種の標的であるリン酸化酵素(キナーゼ)については、米国にて第Ⅰ相臨床試験を実施中です。(詳細は、以下、低分子医薬臨床開発の更なる加速 をご覧ください。)他の1種のリン酸化酵素については、これまでに得た高活性化合物に基づきリード最適化作業を進め、in vivo(※12)で強力な腫瘍増殖抑制効果を示すOTS964等複数の高活性化合物を同定しております。これらについては、医薬品開発候補化合物として臨床開発することを決定し、より詳細な薬効薬理・薬物動態・毒性試験を進めております。さらに、別の1種の標的酵素タンパク質に関して、これまでの構造活性相関研究による新規化合物合成の結果得られた複数の高活性化合物に基づきリード最適化作業を進めるとともに、in vivoでの薬効試験を実施中です。また、さらに別の4種の標的酵素タンパク質に関して、大規模化合物ライブラリのスクリーニングから得た高活性化合物骨格につき、リード化合物獲得に向けた新規化合物合成と構造活性相関研究を進めるとともに、in vivoでの薬効試験を開始いたしました。
抗体医薬につきましては、3分子に絞り込んだ治療標的となるがん特異的抗原について、マウスモノクローナル抗体ならびにキメラ抗体のがん治療用抗体としての評価を行っております。1標的については、フランスで臨床試験を実施しております。(詳細は、以下、<医薬開発領域>抗体薬開発の促進 をご覧ください。)残りの2標的については、放射性同位体で標識した抗体を担がんマウスに投与することで、高い治療効果が得られることが判明しております。これらの抗体については臨床開発を視野に入れた抗腫瘍効果の検討および安全性の評価を進めております。
核酸医薬については、高い効果が期待でき、かつ将来的に幅広いがん種への応用が期待できる開発候補として4分子を抽出し、なかでも特に効果の高い1分子に関して、in vivoでの抗腫瘍効果の検討を進めております。現在、新規ドラッグ・デリバリー・システムの探索に継続して取り組んでおります。
このように、独創的な分子標的治療薬の創製を目指した創薬研究を、多岐にわたり展開しております。

医薬開発領域においては、当社グループ独自で、ならびに複数の製薬企業との提携による開発を、以下の通りそれぞれ進めております。
がん特異的ペプチドワクチンの優先的臨床開発
がんペプチドカクテルワクチン療法剤C01の承認申請を目指した、膵臓がんに対する第Ⅲ相臨床試験(COMPETE-PC Study)につきましては、2013年12月20日にあらかじめ定められたプロトコールの規定により第三者機関である効果安全性評価委員会にて、第3回中間解析(目的:本治験薬の有効性の評価)を実施し、本試験の主要評価項目である全生存期間の有意な延長を達成する可能性が低いことが示されたため、試験の早期中止が勧告されました。当社はこの勧告を受け、本試験を速やかに中止することを決定し、投与中症例の投与終了、全例のデータ回収及び終了手続きを開始いたしました。今後は全データを詳細に解析し、ワクチン開発に活用して参ります。
胃がんに対する治療用カクテルワクチンOTSGC-A24は、アジア国際共同医師主導治験として、シンガポール、日本及び韓国において、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施しております。
大塚製薬株式会社と提携しておりますペプチドワクチンの開発については、膵臓がんに対する治療用ワクチンOCV-101の第Ⅱ相臨床試験を実施しており、大腸がんペプチドワクチンについては、大塚製薬株式会社にて第Ⅰ相臨床試験を実施しております。
塩野義製薬株式会社と提携しておりますオンコアンチゲン(※13)由来のペプチドワクチンの開発については、塩野義製薬株式会社が、膀胱がんを対象としたがん治療用ワクチン製剤(S-588410)で、日欧第Ⅱ相臨床試験を開始いたしました。S-588410は既に塩野義製薬株式会社が臨床試験を実施し、患者登録を終了しておりますS-288310とS-488410を混合した5種のがん治療用ペプチドカクテルワクチン製剤で、有効性の向上が期待されております。また、頭頸部がんを対象とした複数のペプチドワクチンを用いたがん治療用ワクチン製剤(S-488210)は、欧州において塩野義製薬株式会社が第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を、さらに、加齢黄斑変性症治療用ペプチドワクチン(S-646240)につきましても、国内において塩野義製薬株式会社が第Ⅱa相臨床試験を実施し完了しております。
小野薬品工業株式会社と提携しておりますオンコアンチゲン由来のペプチドワクチン2種(ONO-7268MX1ならびにONO-7268MX2)については、小野薬品工業株式会社が肝細胞がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験をそれぞれ実施しております。
その他、医師主導治験として2つの臨床試験を実施しております。

低分子薬臨床開発の更なる加速
がん幹細胞の維持に重要な分子であるMELK(Maternal Embryonic Leucine zipper Kinase) を標的としたOTS167については、標準療法不応の固形がんに対する第Ⅰ相臨床試験を米国にて実施中です。すでにプロトコールに規定されている初期安全性段階は終了し、引き続き用量を増やした臨床試験を進めております。現時点までに、重篤な副作用はなく順調に試験が経過しております。OTS167は動物実験で乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がんなどに対し、強力な抗腫瘍効果を確認しており、今後これらのがん種への適応拡大を諮ってまいります。
また、細胞分裂に重要ながん特異的新規標的分子(TOPK)に対する最適化化合物を同定しております。動物実験で、がんの消失等顕著な結果が得られたことから、早期の臨床試験開始を目途に、製剤化検討及び非臨床試験を進めております。
これらに加え、複数のリン酸化酵素以外の新規標的分子(メチル化転移酵素など)に対するリード化合物をすでに同定しており、現在、それらの最適化を進めております。これらの低分子医薬候補物質の臨床開発を強力に推進してまいります。
抗体薬開発の促進
がん治療用抗体OTSA101 につきましては、現在フランスで肉腫治療の世界的権威であり、欧州がん研究・治療機構(European Organization for Research and Treatment of Cancer:EORTC)元会長のJean-Yves Blay 教授主導のもと、軟部肉腫の一種である滑膜肉腫患者に対する第Ⅰ相臨床試験を実施しており、これまでに重篤な副作用もなく順調に経過しております。なおOTSA101については、欧州委員会(European Commission)及び米国食品医薬品局(FDA)より、軟部肉腫に対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定されております。第Ⅰ相臨床試験終了を視野に入れ、有効性を検証するための最終臨床試験デザインの検討を行っております。

[用語解説]
(※10) mRNA、RNA、cDNA
RNAはリボ核酸、mRNAはRNAのうち、メッセンジャーすなわち「伝令」の役割をするものであります。人間の体は約60兆個の細胞によって作られていますが、体の構造や働きはおもにタンパク質によって決まっております。そのタンパク質の設計図は遺伝子であり、そして、遺伝子の本体はDNAであります。このDNAは細胞の核の中にある染色体に存在しておりますが、タンパク質は設計図であるDNAから直接作られるのではなく、一旦、DNAからRNAが作られ、そのRNAが翻訳されてタンパク質となります。この一旦作られるRNAを「伝令」すなわちメッセンジャーRNA(mRNA)といいます。つまり、遺伝子情報の流れはDNA→mRNA→タンパク質というようになっております。cDNAは、mRNA から逆転写酵素を用いた逆転写反応によって合成されたDNAで、イントロンを含まない状態の遺伝子(塩基配列)を知ることができることから、遺伝子のクローニングに広く利用されております。
(※11)マイクロアレイ
小さな基盤上に非常に高密度にDNAを配置し、それらを手がかりに大量の遺伝子情報を獲得することを目的として開発されたシステム。現在、遺伝子発現情報の解析において有用なものであると考えられております。
(※12) in vivo
in vitroとは対比的に用いられ「体の中で」を意味する医学・化学用語です。一般に生体内(主に実験動物)での実験的検証を意味します。
(※13)オンコアンチゲン
がん細胞に特異的に発現し、増殖能などがん細胞に必須の機能を有する一方、正常細胞には極めて発現の低い分子で、細胞傷害性T細胞から認識される抗原性を持った腫瘍特異的な標的分子を指します。


(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,825百万円(前連結会計年度末比 3,672百万円減少)となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は、1,649百万円(前連結会計年度末は、455百万円の減少)となりました。これは、売上債権が1,322百万円、前渡金が701百万円減少したことによる資金の増加の一方、税金等調整前当期純損失3,715百万円の計上、前受金438百万円の減少による資金の減少が主な要因となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、13,040百万円(前連結会計年度末は、9百万円の減少)となりました。これは、定期預金の増加による支出13,000百万円により資金が減少したことが主な要因となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、11,017百万円(前連結会計年度末は、24百万円の増加)となりました。これは、株式の発行による資金の増加11,017百万円が要因となっております。

従業員の状況生産、受注及び販売の状況


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