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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1001III

有価証券報告書抜粋 オンコリスバイオファーマ株式会社 事業等のリスク (2013年12月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日時点において、当社が判断したものであります。

医薬品及び検査薬の研究開発について
(1) 事業の内容について
① 研究開発投資が多額であることにかかる事項
当社が行う医薬品及び検査薬の研究開発は、その期間が長期にわたり、コストも多額であります。
当社は、保有するパイプラインにおいて初期の臨床試験までの開発を効率的に進める事に注力し、そこで得られた有効性と安全性のデータを以って製薬企業へのライセンス契約締結を実現することを、基本的な事業活動と位置付けています。ライセンス契約の締結により、後期臨床試験以降の開発費用はライセンス先の拠出となり当社が負担する開発コストを最小限に抑えることが可能となるとともに、契約一時金収入及びマイルストーン収入を確保することで、新規パイプラインへの再投資が実現することを事業サイクルとしております。
しかしながら、万一、ライセンス契約締結及び維持に支障が発生した場合は、当社の事業収入が減少し、新規パイプライン開発への再投資が困難になる可能性があります。また、ライセンス対象となるパイプラインの開発費用をライセンス先が負担しないため、当社に発生する多大な研究開発費負担が当社業績を圧迫し、結果として開発の大幅な遅れや開発中止といった事態に及んだ場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

② パイプラインの安全性及び有効性にかかる事項
当社が開発する医薬品及び検査薬のパイプラインにおいて、安全性や有効性の評価に問題が発見された場合は、開発が大幅に遅れる可能性もしくは開発そのものを中止する可能性があります。
当社は、保有するパイプラインの安全性及び有効性の評価を確実なものとするために、

ⅰ)科学評価顧問等のネットワークを最大限活用したパイプライン価値の適正な評価
ⅱ)非臨床・前臨床段階における徹底的な安全性及び有効性の検証
ⅲ)PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)やFDA(米国食品医薬品局)等の監督官庁との治験申請事前ミーティング

等を実施し、パイプラインの安全性及び有効性評価のための情報をより効率的に収集できるように努めております。また、臨床試験の実施に当たっては、臨床試験のモニタリングを委託致しますCROと綿密なコンタクトを取り、常に最新の臨床現場情報を収集するとともに、医療専門家を交えたSRB(安全性評価委員会)を設置する等、最大の努力を行っております。
しかしながら、安全性及び有効性においてあらかじめ全ての可能性を想定することは困難であり、開発の大幅な遅れや開発中止もしくは国内外の監督官庁の承認が得られないといった事態に及んだ場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

③ 法的規制にかかる事項
医薬品製造に関連する規制と致しまして薬事法があります。医薬品の前臨床試験においてはGLP(Good Laboratory Practice)、原薬等の製造においてはGMP(Good Manufacturing Practice)ならびに臨床試験においてはGCP(Good Clinical Practice)がそれぞれ定められており、その操作手順やQA/QCが確実に実施されている事が必須条件になっております。また、当社の検査薬についても、臨床現場で癌の診断に用いられるようにする為には、臨床性能試験を実施し、体外診断用医薬品として承認を受ける必要があります。当社はこれらの試験を全てアウトソーシングしており、当社が直接これらの法律または規制によって制約を受けている事項はありません。
また、当社は遺伝子組換えウイルス製剤を開発しておりますが、日本においては、2000年に生物多様性条約特別締約国会議で採択された「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」に準拠した国内法「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)の定めるところに従って開発・製造・販売を行っていく必要があります。当社は、国内のウイルス取扱施設において、文部科学大臣より「遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする間に執る拡散防止措置の確認」について確認を得ております。
しかしながら、将来医薬品・ウイルス製造等に関する新たな法律や条例などが制定・施行される可能性があり、それにより当社の事業が何らかの制約を受ける可能性があります。

④ 技術革新にかかる事項
当社が推進する医薬品事業及び検査薬事業にかかる技術分野においては、いずれも技術革新及び進歩の度合いが著しく速いと考えられます。当社は、常に最新の技術情報の収集・集積に注力しておりますが、万一、医薬品及び検査薬の競合技術等が、当社の対応の及ばない状況下で格段の進歩を遂げた場合、当社の事業に影響を与える可能性があります。また、当該技術の導入等に多大な費用や時間を要する場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

⑤ 競合にかかる事項
当社の業務領域と完全に一致する企業は国内に見当たりませんが、国内創薬系バイオ企業の研究開発の動向を適宜確認するとともに、海外も含めたウイルス製剤の研究・開発・販売の動向は注視しています。
医薬品事業において本書提出日時点で当社にて把握できている競合品としては、世界の多数企業が腫瘍溶解ウイルスの開発を行っている中、中国が最も先行しており、Shanghai Sunway Biotech Co.,Ltd.(上海)が当社と同じアデノウイルス製剤のOncorineを頭頸部癌を対象にすでに上市しておりますが、日米欧の主要国においてはすべて開発段階です。
欧米では遺伝子改変ヘルペスウイルスのOncoVex(Amgen社:米国)がメラノーマ(悪性黒色腫)を対象にPhase III臨床試験のprimary endpointに達しています。また、Poxウイルスを用いたJX-594(Jennerex社:米国)が肝臓癌を対象にPhase II臨床試験の段階にあります。タカラバイオは遺伝子変異ヘルペスウイルスをアメリカにて開発しており、Phase I臨床試験の段階にあります。当社のOBP-301(テロメライシンⓇ)は、食道癌や肝臓癌などを対象とすることで競合との差別化を図って参ります。

HIV感染症治療薬は、世界で既に30種類以上の製品が上市されていますが、未だにHIV感染症患者は増え続け、世界での開発競争が繰り広げられています。当社は、OBP-601について2010年12月にBristol-Myers Squibb Co.(米国)へ導出し、同社において開発が進められております。HIV感染症治療薬市場において、現在売上基準でHIV感染症治療薬Viread(Gilead社:米国)及びVireadを含む合剤が最大シェアを有しますが、Vireadの特許が2017年以降に米国で切れるため、安価なジェネリック医薬品が発売される可能性があります。万一、Bristol-Myers Squibb Co.社における開発が大幅に遅延した場合には、Vireadのジェネリック医薬品が市場に出るタイミングとOBP-601の上市が重なる可能性があり、当社の事業に影響を与える可能性があります。今後は、Bristol-Myers Squibb Co.の開発方針・市場戦略を注視して参ります。

検査薬事業において、当社が対象としている血中浮遊癌細胞(CTC)の検出分野では、現在Veridex社(J&Jグループ)のCellSearchシステムが唯一欧米にて薬事承認されており、既に乳癌・大腸癌・前立腺癌のCTC検出において使用されている他、その他多数の検査機器による開発競争が激化しております。しかしながら、CellSearchをはじめとする競合の多くは、EpCAMと呼ばれる細胞表面マーカーを検出する方法を用いていますが、その細胞表面マーカーの発現が低いと言われている肺癌細胞等の検出が困難であるという欠点を持っております。一方、OBP-1101(テロメスキャンF35)は当社の実験において肺癌細胞をはじめとし、ほとんどの種類の癌細胞を蛍光発光させることが可能であることが判明しており、競合品との差別化を行っていく予定です。

いずれの開発領域におきましても、本書提出日時点、当社が把握する競合の存在及びその研究開発進捗が必ずしも当社にとって直接マイナスの影響をもたらすものではありませんが、競合品が飛躍的に市場を寡占化した場合等、当社のパイプライン導出や将来のロイヤリティ収入に影響を与える可能性があります。

⑥ アライアンスにかかる事項
当社の収益構造は、当社が研究開発する医薬品ならびに臨床検査薬について、その研究開発の進捗に伴って評価された製品的価値の初期評価であるProof of Concept(POC)に基づいて製薬企業等とのライセンス契約を締結し、その対価として契約一時金・研究協力金・開発協力金・マイルストーン収入及び製品の上市以降その販売に伴って発生するロイヤリティ収入等を段階的に見込むものであります。
当社は、現時点において、HIV感染症治療薬OBP-601がBristol-Myers Squibb Co.に導出済みであり、その他のパイプラインは製品的価値の初期評価であるProof of Concept(POC)獲得に向けた研究開発段階にあります。
導出前の各パイプラインにおきましては、導出先候補となる製薬企業や検査薬企業等のニーズを考慮し、研究開発の進捗状況を効果的に情報提供する等の活動を続けており、既にアライアンス交渉下にあるものも存在しております。しかしながら、当社のパイプラインが導出先候補企業のニーズを満たす保証はなく、導出に至らない、または導出契約の時期や条件が当社の想定するものと大幅に乖離した場合等において、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
また導出済みのパイプラインにおきましては、今後の研究開発・承認申請・製造及び販売活動を導出先企業が行なう事になるため、当社の収益は導出先企業の戦略及び開発進捗等に依存することとなります。導出先企業が実施する臨床試験において予期せぬ副作用が発生した場合、及び導出先企業における戦略変更によるポートフォリオの見直し等により、導出済みパイプラインの開発中止等の決定がなされた場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
尚、予期せぬ副作用により開発中止された場合を除き、当社は速やかに引継導出先を見つける活動を行いますが、引継導出先が早期に決定しない場合は、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

⑦ 為替相場変動リスクにかかる事項
現在、当社の業務委託先及び提携先については、欧米の企業・機関がその大半を占めております。外貨建取引は、財務諸表上全て円換算しております。これらの項目は、現地通貨における価値が変化しなかった場合も、換算時のレートによって円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
為替相場の変動に起因する影響を軽減するために、必要に応じて為替予約などのリスクヘッジを行って参りますが、これによって全てのリスクを回避することは困難であり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

(2) 知的財産権について
① 特許にかかる事項
当社は、本書提出日時点において、当社の事業に対する特許権等の知的財産権に関する第三者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりません。さらに、社内に知的財産権の専任担当者を設置するとともに、顧問弁護士及び弁理士との連携を以って可能な限り特許侵害・被侵害のリスクを軽減すべく活動しております。また、発明者、TLO法に基づく大学等の知的財産管理機関、企業及び研究機関から、「特許権又は特許を受ける権利」を正当に譲り受け、又は「実施権の許諾」を受け、事業化が推進できる体制を築いております。
しかし、当社の展開する医薬品・検査薬事業の一般的なリスクとして、自社で出願した特許以外にも第三者特許が関連する可能性があります。なお、今後、当社が第三者との間で係争に巻き込まれた場合、当社は弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を検討していく方針でありますが、係争の解決に労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
主力パイプラインにかかる主要な特許の状況は以下のとおりです。
対象適応症特許権者当社備考
OBP-601HIV感染症Yale Universityほか世界における独占的実施権日本及び米国を含む10カ国で物質に関する特許が成立。
全世界における独占的実施権をBristol-Myers Squibb Co.社に再許諾。
OBP-301(テロメライシンⓇ)固形癌(食道癌・肝臓癌など)当社
関西ティー・エル・オー株式会社
特許権者
(*注)
日本・米国を含む9カ国で物質に関する特許が成立。
新規分子標的抗癌剤
(OBP-801)
各種癌アステラス製薬株式会社世界における独占的実施権日本・米国・欧州を含む20カ国で物質に関する特許が成立。
OBP-401(テロメスキャンⓇ)癌検出当社特許権者日本及び欧州を含む10カ国で物質に関する特許が成立。更に、OBP-301(テロメライシンⓇ)の項目に記載の特許によっても保護される。
OBP-1101(テロメスキャンF35)癌検出独立行政法人 医薬基盤研究所世界における独占的実施権対象特許は審査中であるが、更にOBP-301(テロメライシンⓇ)及びOBP-401(テロメスキャンⓇ)の項目に記載の特許によっても保護される。
OBP-401(テロメスキャンⓇ)
OBP-1101(テロメスキャンF35)
癌の体外診断Geron Corporation世界における独占的実施権Geron Corporationが保有する複数の検査薬目的での全世界のhTERTプロモーター特許により保護される。
注:日本特許は当社と関西ティー・エル・オー株式会社との共有、日本以外の指定国における特許は当社単独保有であります。

② OBP-301(テロメライシンⓇ)にかかる事項
OBP-301(テロメライシンⓇ)は、関西ティー・エル・オー株式会社より「特許権又は特許を受ける権利」を正当に譲り受け、事業化が推進できる体制を築いておりますが、一部の要素について他社が保有する特許に関連しています。そのため、当該他社特許期間の満了前に製造販売承認を受け、製造販売を開始する場合には、当該他社特許のライセンスを受ける必要があります。また、当該他社特許期間の満了前にOBP-301(テロメライシンⓇ)を他社にライセンス導出する場合には、当該他社特許のライセンス導入を受ける必要性を、ライセンスア導出契約先が考慮することになります。
OBP-301(テロメライシンⓇ)は、現在の臨床開発計画上、順調に開発が進んだとしても、製造販売承認を受ける時期は当該他社特許期間の満了以降であります。また、当社は、本書提出日時点において、当該他社特許権者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりません。
当社は、必要に応じて当該他社特許のライセンス導入に努めてまいりますが、万一、適時に当該他社特許のライセンス導入を受けることができない場合には、当該他社特許の満了時期まで製造販売を開始する時期やライセンス導出する時期を遅らせなければならないことも想定され、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 職務発明にかかる事項
当社における職務発明の取扱に関しては、取締役・従業員が協議の上、取締役会決議により「職務発明規程」を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性についての係争が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

(3) 経営上の重要な契約について
当社の経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載の通りであります。当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合、もしくは当社にとって不利な改定が行なわれた場合、または契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び業績に影響を与える可能性があります。

(4) 社内体制について
① 特定人物への依存にかかる事項
当社の事業活動においては、当社代表取締役社長である浦田泰生の製薬企業での経験・知識に基づく研究開発及び事業開発戦略に依るところが多く存在しております。浦田泰生の経営ビジョンを、企業理念・経営戦略として明確化して組織に浸透させること、及び後継者育成に専心し、浦田泰生に一元依存しない体制を構築することに努めております。
しかしながら、組織強化や後継者育成が遅れをきたした場合、それにより当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

② 小規模組織である事にかかる事項
当社は、小規模な組織であり、社内における管理体制についてもこの規模に応じたものとなっております。当社においては、業務上必要な人員の増員及び育成等を図っていく方針でありますが、各部門において従業員に業務遂行上の支障が生じた場合、人財流出が生じかつ代替要員の不在等の問題が生じた場合には、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

③ 人財育成・確保にかかる事項
当社が成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人財の確保であります。
当社はアウトソーシングを活用したファブレス経営モデルを構築することで、必要人員の絶対数を削減し、統括的なプロジェクトマネジメント能力を有する人財を重点的に確保しつつ、将来当社を担う人財の育成に注力しております。
また、経営理念を社内に浸透させ、その崇高な目的に共感できる従業員を育成すること、トップが率先して基幹人財間のコミュニケーションの充実に関与すること、及び社内の評価制度や人事制度を充実させること等により、社内人財の定着率向上に努めております。
しかしながら、人財育成が円滑に進まない場合、又は各部門において中心的役割を担う特定の従業員が万一社外に流出した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

(5) 業務上の事故やトラブル等のリスクについて
① 重篤な副作用などにかかる事項
当社の医薬品事業において、パイプラインの有効性及び安全性を評価するため、十分な前臨床試験を実施した上で人体に対する初期臨床試験を行なっております。臨床試験段階にあるパイプラインにおける安全性の確認実施状況は、以下の通りであります。
HIV感染症治療薬OBP-601については、前臨床試験の安全性評価結果を以って、FDA(米国食品医薬品局)に治験申請を行い、2008年5月から同年9月まで、米国ニュージャージー州の臨床試験施設において、健康成人男性に対するPhase I臨床試験を実施致しました。その結果、臨床上問題となる副作用は認められませんでした。その後、Phase I臨床試験の結果を以ってAFSSAPS(フランス保健製品衛生安全庁)の許可を得てHIV患者を対象としたPhase Ib/Ⅱa臨床試験を実施しており、同臨床試験においても臨床上問題となる副作用は認められておりません。さらに、導出先であるBristol-Myers Squibb Co.において実施されました長期毒性試験の安全性評価結果を以て、現在メガファーマであるBristol-Myers Squibb Co.の厳しい安全性評価の下でPhase IIb臨床試験が実施中であり、本書提出日時点まで臨床上問題となる副作用が発生したとの報告はございません。
腫瘍溶解ウイルス製剤OBP-301(テロメライシンⓇ)については、当社がこれまでに実施した動物実験等の前臨床試験では、様々な癌細胞に対して優れた抗腫瘍効果を示し、毒性試験においても安全性上問題となるような所見を示しませんでした。その結果、FDA(米国食品医薬品局)/CBER(生物医薬品局)から許可を得て、各種固形癌患者を対象としたPhase I臨床試験を実施致しました。Phase I臨床試験では腫瘍局所への投与を行い、米国において4群22例の投与を完了致しました結果、臨床上問題となる副作用は認められませんでした。
さらに今後開発・導入する新規パイプラインにおいても、上記と同等の安全性確認を行ったうえで、事業化を進める予定です。
臨床試験の実施に当たっては、臨床試験のモニタリング等を委託致しているCRO(受託臨床試験機関)とは常時綿密なコンタクトを取り、また医療専門家を交えたSRB(安全性評価委員会)を設置することによって、臨床試験の安全な実行に対して最大の努力を図っております。加えまして、治験保険への加入による損害賠償リスクの移転を図っております。
上記のような対策を行ってはおりますが、予期せぬ副作用による開発の遅滞・中止のリスクを完全に排除することは困難であり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

② 研究施設における事故等の発生にかかる事項
当社は、神戸に検査センター施設を保有しております。同センターで遺伝子組み換えウイルスを検査薬として取り扱うにあたっては、いわゆるカルタヘナ法の定めに基づき、必要な設備を監督官庁に届け出てその確認を受けております。また、遺伝子組み換えウイルスの取扱に関して、その管理方法を教育指導し徹底した予防管理に努めております。しかしながら、何らかの要因により火災や環境汚染事故等が発生した場合には、重大な損失を招くリスクがあり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

③ 自然災害等にかかる事項
当社は、東京都港区に本社を設置しており、事業活動に関わる資料・データ及び人員の半数以上が本社に集中しております。万一、首都圏直下型の大型地震の発生・台風・津波等の自然災害や大規模な事故・火災・テロ行為等により本社社屋の倒壊、資料・データの散逸、人員の死傷等不測の事態が発生した場合には、事業活動の継続が困難となる状況が生じ、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

④ 訴訟にかかる事項
当社は知的財産権及びその実施権をビジネスの基盤としておりますため、事業を展開する上で、当社の責任の有無に関わらず、第三者から権利または利益を侵害したとの主張による損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。また、臨床試験において被験者の健康被害が発生した場合、取引関係や労使関係において不測のトラブルが発生した場合等においても、損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性があります。当社では、十分な知的財産権の管理や治験保険への加入等リスクの回避・低減に努めております。しかしながら、訴訟が提起された結果、金銭的負担の発生や当社に対する信頼・風評の低下により、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

(6) その他
① 新株予約権にかかる事項
当社は役員、従業員及び社外協力者等に対して、当社事業及び研究開発へのモチベーションの向上を目的として、新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。また今後も優秀な人財や社外協力者の確保のために同様の施策を実施する可能性があります。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、当社株価形成に影響を与える可能性があります。また、今後も当社は引き続き優秀な人財の確保のためにストック・オプションをはじめとするインセンティブプランを継続して実施していくことを検討しており、新たな新株予約権の付与が実施される可能性があります。なお、当該新株予約権の状況及び内容につきましては、「第4 提出会社の状況 1.株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご覧下さい。

② 資金使途にかかる事項
当社が保有する資金は、主に既存パイプラインの研究開発費用、新規パイプラインの導入及びその研究開発費用に充当する考えです。当社が本書提出日時点で計画している資金使途は上記の通りですが、急激な事業環境の変化等により、計画通りに使用した場合においても、当初の想定どおりの成果が得られない場合があります。

対処すべき課題研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E30058] S1001III)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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