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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IT4A (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 オークマ株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当グループでは、基礎及び応用研究、そして、これらの研究により裏付けされた新製品の開発までの一連の研究開発活動を、当社の技術本部及びFAシステム本部を中心として行っております。当連結会計年度は、研究開発費として4,597百万円を支出いたしました。
研究開発活動の概要は、次のとおりであります。

(1) 新機種・新技術開発

前年まで堅調だった自動車や半導体関連の需要に一服感がでて、米中貿易摩擦による中国市場の落ち込みから輸出が減少しました。これにより輸出関連産業の投資マインドが冷え込んだこと等から、2019年の日本の業界受注額は3年ぶりに減少し、1兆2,299億円となりました。一方で、製造業界では、人手不足が深刻化し、多くの企業で熟練技術者のノウハウ継承も深刻な課題となっています。そのため、自動化に対する需要、生産性向上に対する要求はますます増加しています。
このような市場において、製品競争力を一層高めていくためには、生産性の向上に貢献し、高付加価値加工・高精度加工が安定的に継続して実現でき、かつ、環境・エネルギー・メンテナンス作業を含む負荷の軽減に配慮したスマートファクトリーに対応できる自律型工作機械「スマートマシン」の開発が必要となります。当グループは、業界唯一の、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合技術を持つ強みを活かし、「高精度生産性」の追及と共に自動化・省人化、並びに効率化に貢献するオンリーワン技術・製品の開発を行っております。
当グループは、加工寸法精度の安定化、及び加工条件を最適化して高能率化を自律的に実現する知能化技術を開発し、工作機械に適用してまいりました。工作機械の熱変位を抑制し加工寸法の安定化に効果が高い熱変位制御技術「サーモフレンドリーコンセプト」は、2001年の開発以来19年で、120機種以上に適用開発して累計出荷台数が50,000台を超えました。
自動化・省人化の設備を導入しやすくするため、2018年に工作機械とロボットを完全融合した次世代ロボットシステム『LB3000 EXⅡ ARMROID』を開発しました。従来のロボットシステムでは、ロボットの専門スキルを持った作業者しかロボットのティーチングなどのシステム設定ができない課題がありましたが、『LB3000 EXⅡ ARMROID』では、機械の操作と同じ操作感覚でロボット操作を可能としました。また、働き方に合わせて人とロボットの業務シェアができる構造により、人調和型自動化セルとしました。このような特徴を複合加工機へ展開した『MULTUS B250Ⅱ ARMROID』を2019年に開発しました。また、適用機種の展開に合わせ、加工物可搬質量を従来の5㎏タイプに、10㎏タイプを追加しました。『ARMROID』は、2019年に「第49回機械工業デザイン賞 最優秀賞(経済産業大臣賞)」(日刊工業新聞社主催)、及び「2019年度(第39回)精密工学会 技術賞」を受賞いたしました。
また、市販の多関節ロボットと工作物のストック装置を一体化することで、容易に自動化セルを導入できるようにした『STANDROID』は、立形マシニングセンタ、5軸制御マシニングセンタに対応する5機種を展開開発しました。
拡大する半導体製造装置市場をはじめ、高品位・高精度化と共に自動化の需要が進む大物部品や金型部品など、重切削から高精度仕上げ加工まで幅広い加工に対応でき、省人化・無人化にも応えられる大型の立形マシニングセンタが求められています。こうした需要に応えるため、高い生産性を実現する立形マシニングセンタ『MB-80V』を開発しました。主軸に円筒ころ軸受を採用することで、重切削能力の向上を図りました。また、長時間の連続運転が安定して稼働できるようにするため、加工室内からの機外への切粉排出性を高めるとともに、切粉が堆積しやすい切削液タンクの清掃を不要とする構造にしました。
海外を中心として拡販が進んでいる、プレミアム・エコプロダクトであるGENOSシリーズにおいては、サブ主軸を搭載した『GENOS L3000(MYW仕様)』、及びマシニングセンタのシリーズ強化として、『GENOS M660-V』を開発し市場投入しました。
自動車業界ではユーザの嗜好の広がりから、自動車のスタイリングがますます重要視されるようになっています。プレス金型製造においては、外観デザインの進化で高い意匠性の実現が求められる一方で、熟練技術者のノウハウ継承が深刻な課題となっていることから、工作機械には、高いレベルでの形状精度と加工面品位の両立が求められるようになっております。このような課題に対し、機械精度の安定状態を自己診断する「精度安定診断機能」と誰でも簡単に空間精度を校正できる「3Dキャリブレーション」を開発し、門形マシニングセンタ『MCR-S (Super)』に適用可能としました。これにより、機内計測装置にて三次元測定機と同等の測定が可能となりました。本製品は、「2019年度十大新製品賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞いたしました。

当グループは今後とも、お客様の利益の最大化に向けて「高精度生産性」を追求し、また、お客様が求める「ソリューション(課題解決や付加価値向上のための提案)」を機械に組込むことにより、新しい差別化・成長製品の創出を目指してまいります。機械技術、加工技術、制御・ITの技術基盤をベースに、トータルレスポンシビリティの強みをさらに拡げて「最高のものづくりサービス」を提供してまいります。
この戦略は、当グループならではの強みであり、他社が容易に真似できない差別化戦略であります。オンリーワン技術・製品を間断なく開発し、その業界、対象ワークでグローバルに競争力をもつ生産手段を提供し、お客様の利益を創出し続けることにより、世界の工作機械のエクセレントカンパニーを目指してまいります。

(2) NC装置とIT製品の開発

当グループは、1963年(1963年)に自社製NC「OSP」の開発に成功して以来、機械とNC装置を一体でサポートする「トータルレスポンシビリティ」を基本理念とし、現在では、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合をコンセプトとして、お客様のものづくりを支えるソリューションを提供する先進技術と機能の開発を続けております。近年、グローバル競争が激化する中、ものづくり産業における生産革新、スマート化の流れが進展しております。こうしたスマートなものづくりを支えるのが、スマートマシンであり、スマートマニュファクチャリング(スマートなものづくりの仕組み)であります。
当連結会計年度における研究開発活動としては、高精度・高品質・高効率・安定加工を可能とするスマートマシンの制御技術開発、そしてスマートマシン及びスマートマニュファクチャリングの中核であるものづくりコントローラ「OSP suite」の開発強化、さらに自社工場のDS1、DS2(Dream Site1、2)のコンセプトを受け継いで72時間無人稼働を実現したDS3(Dream Site3)での加工機・ロボットの稼働分析を始めとするスマートマニュファクチャリングの研究成果を活かして、お客様の工場のスマート化をサポートする製品・ソリューション開発を進めてまいりました。
1) スマートマシンの制御技術開発
高速で高精度かつ高品位で安定加工への要求に応えるため、スマートマシンの制御技術開発及び診断機能開発を強化してまいりました。
1-1) 新高速・高品位加工機能「Hyper-Surface」
金型加工に対する要求はより高度なものとなっており、特に機械加工後に手作業で行われる磨き作業時間を短縮するため、加工面品位の向上に対する要求が高まっています。この加工面品位向上の要求に応えるため、曲面を認識してエッジ部の形状精度を保ちながら滑らかな加工を可能とする「Hyper-Surface」を開発いたしました。「Hyper-Surface」は、加工パスの揺らぎを指令レベルで抑制する「指令位置平滑化機能」「送り速度平滑化機能」と、隣り合う加工パスのズレや不揃いを抑制する「隣接パス補整機能」を備え、お客様から高い評価を頂いております。
さらに、この「Hyper-Surface」を育成開発し、航空機部品や医療分野における複雑形状部品を加工する、同時5軸加工の分野でもお使いいただけるよう機能拡張しました。微小点群指令プログラムによる加工を行う様々な分野に、高い面品位の加工を提供していきます。
1-2) AI機械診断機能
高い生産性を維持するためには、生産設備の安定稼動と異常発生時のダウンタイム最小化が重要となります。AI機械診断機能は、当グループで培ってきた機械基礎特性の高度な知見と、ディープラーニングによるAI技術を融合し、ボールねじ、ボールねじ支持軸受、ミーリング主軸軸受の状態を見える化することにより、専門的な知見を用いなくても加工現場のオペレータにて容易に機械状態を把握でき、予防保全につながる取り組みを可能としました。今後も診断対象の拡充を図り、保全活動の支援を強化していきます。
1-3) AI加工診断機能
工具の有効活用による購入コスト削減や、工具異常による手直しコスト削減による生産性向上を支援する機能として、ディープラーニングによるAI技術を活用した工具の折損診断技術により、ドリルの破損を発生直前に検出して回避することを可能としました。本機能を当社自社工場の設備機に搭載することで、工具の長寿命化、工具費用の削減に効果を上げています。お客様の工場にてお使い頂くことで、部品加工のコスト削減に寄与します。

1-4) サイクルタイム短縮機能
生産性を向上させるために、サイクルタイム短縮に取り組んでいます。サイクルタイム短縮に寄与する機能として、「加工経路処理」「送り軸移動指令ブロック間処理」「主軸・送り軸の加減速処理」「ATC等の同時動作」等多数の機能を有しており、これらを最適に組み合わせて使用することが重要となります。
これらサイクルタイム短縮に寄与する機能の設定項目を1つの画面に集約し、当社が用意した推奨値を加工内容に即してかんたんに一括指定、各機能を有効に活用することを可能としており、またプログラム運転中の加工準備動作時間を削減するために、ガイダンス付きのプログラム編集機能を開発し、サイクルタイムを短縮する加工プログラムを容易に作成することを可能とし、使いやすさの向上を図りました。
2) ものづくりコントローラ「OSP suite」の強化
OSP suiteが有するsuiteアプリは、機械オペレータの1日の作業(機械点検、加工プログラム準備、段取り、加工、加工後作業)を支援するアプリ、CAD/CAM、MES(製造実行システム)との連携を強化するアプリで、工場全体のスマート化を支援します。
suiteアプリはお客様、加工現場の声を元に開発しており、特に「工程表作成アプリ」「工具寿命予測アプリ」などは、加工ノウハウの再利用と機械の長時間連続加工を可能とすることで生産性の向上につながり、高い評価を頂いています。
3) オークマスマートファクトリーの開発
ドイツの「Industrie4.0」や米国の「Industrial Internet」や中国の「中国製造2025」など、国を挙げて次世代のものづくりが推進しています。当社は、自社工場「Dream Site(DS1、DS2、DS3)」にて実証を進めてきたスマートマニュファクチャリングを、機械の稼働状況を見える化する「Connect Plan」として、お客様へ導入しております。
「Connect Plan」は、機械の稼働状況や実績を見える化し、さらに機械の停止理由分析にAIを活用して細分化するAI稼働分析機能により、時間を要する機械停止理由の原因分析の自動化と具体的改善項目を見える化する事で、非稼働時間を削減するカイゼンサイクルを促して稼働率向上を支援いたします。
さらに部品加工工場の生産計画、生産進捗を見える化する事で、工場内での不慮のトラブルや頻繁な需要の変動、多品種少量・初品の短納期対応など市場・需要の変化に柔軟に対応できる生産の構築を支援してまいります。
また、「Okuma App ストア」では、お客様のニーズにフィットするアプリ等のダウンロードサービス、加工プログラム作成代行サービス、ウイルス対策ファイルやAI機械診断機能の最新ファイル配信サービス、機械故障をネットワークを介して診断するリモート診断をサービスしております。お客様と密着したサービスで、お客様のものづくり全般をサポートしております。
当グループでは、半世紀に渡る自社製NC開発の基本理念を今後も継承するとともに、当社の強みである機・電・情・知融合のコンセプトを基盤として、先進のサーボ技術、先進の情報技術、オンリーワンの知能化技術、先進のAI活用技術の開発と強化を進め、自社製NCとIT製品のさらなる進化を促進し、「総合一貫した“ものづくりサービス”」を通じて世界中のお客様の価値創造に貢献できるように推進してまいります。


事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01481] S100IT4A)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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