シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LJYD (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 オークマ株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当グループでは、基礎及び応用研究、そして、これらの研究により裏付けされた新製品の開発までの一連の研究開発活動を、当社の技術本部及びFAシステム本部を中心として行っております。当連結会計年度は、研究開発費として4,713百万円を支出いたしました。
研究開発活動の概要は、次のとおりであります。

(1) 新機種・新技術開発

新型コロナウイルス感染拡大による影響から、全世界的に社会生活や経済活動が大きく制限され、航空機、自動車をはじめ様々な産業分野において投資マインドが冷え込んだことなどから、2020年の日本の業界受注額は10年ぶりに1兆円の大台を割り込み9,018億円となりました。そのような中、製造業界では慢性的な人手不足に加え、人との接触を極力減らした生産形態を模索する動きが加速し、自動化、省人化に対する需要、生産性向上に対する要求はますます増加しています。また、全世界でSDGs、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが活発化しており、こうした動きを背景に市況は回復基調にあります。
このような市場において、製品競争力を一層高めていくためには、生産性の向上に貢献し、高付加価値加工・高精度加工が安定的に継続して実現でき、かつ、環境・エネルギー・メンテナンス作業を含む負荷の軽減に配慮したスマートファクトリーに対応できる自律型工作機械「スマートマシン」の開発が必要となります。当グループは、業界唯一の、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合技術を持つ強みを活かし、「高精度生産性」の追及と共に自動化・省人化、並びに効率化に貢献するオンリーワン技術・製品の開発を行っております。
自動化・省人化の設備を導入しやすくするため、2018年に開発した工作機械とロボットを完全融合した次世代ロボットシステム「ARMROID」シリーズは、機械操作と同じ操作感覚でのロボット操作を可能とし、働き方に合わせて人とロボットとの業務シェアを実現する人調和型自動化セルとしました。2020年は複合加工機への展開として「MULTUS B300Ⅱ ARMROID」を開発しました。また、加工物及び素材をストックするコンベヤの積載量の拡大や、ロボット先端に取付ける加工物を掴むワークハンドについても柔軟に選択いただけるよう種類の拡充を行いました。
世界中で急拡大している半導体製造装置業界や、風力、太陽光、ガス発電などのエネルギー市場など、大型の部品を扱う産業機械分野では、より広範囲な加工や多様な加工工程を高精度かつ、高効率に対応できる大型加工機が求められています。その一方、大型部品加工において高度な品質を維持してきた経験やノウハウの伝承が課題となっており、熟練技能者に依存することなく機械が自律的に品質を維持できる高精度、高機能な大型加工機のニーズが高まっています。このような課題に対し、機械精度の安定状態を自己診断する「精度安定診断機能」と誰でも簡単に空間精度を校正できる「3Dキャリブレーション」を標準搭載した門形マシニングセンタ『MCR-BⅤ』を開発しました。これにより熟練者の技能が必要であった大型加工機の精度維持を誰でも簡単に高いレベルで実現可能としました。本製品は、「2020年度十大新製品賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞いたしました。
脱炭素社会に向けては、オークマ独自のAI、知能化技術による電力消費量の削減や、産業廃棄物となる切削液の長寿命化など製造過程トータルで発生する環境負荷の低減に取り組んでいます。これまでに消費エネルギーを「知る」「減らす」を可能とした、新世代省エネルギーシステム「ECO Suit」を開発し、既に市場投入しております。「ECO Suit」の機能の一部であります「ECO 電力モニタ」により、ワーク当たりの消費電力量を見える化し、省エネ効果をその場で確認できます。また、サーモフレンドリーコンセプトを応用した知能化省エネ機能「ECO アイドルストップ」により、冷却の要否を機械が自ら判断し、精度を維持したまま冷却装置をアイドルストップいたします。継続して環境配慮型の工作機械を目指し『ECO Suit』の機能強化開発を図ってまいります。
また、2019年に開発しました、半導体製造装置部品や金型部品の高い生産性と良好なメンテナンス性で長時間の自動運転を実現した大型立形マシニングセンタ「MB-80V」、及び、自動車のプレス金型製造において手仕上げ作業を大幅に削減する超高精度加工を実現した門形マシニングセンタ「MCR-S(Super)」は、2020年に「第50回機械工業デザイン賞」(日刊工業新聞社主催)を初めてダブル受賞いたしました。

当グループは今後とも、お客様の利益の最大化に向けて「高精度生産性」を追求し、また、お客様が求める「ソリューション(課題解決や付加価値向上のための提案)」を機械に組込むことにより、新しい差別化・成長製品の創出を目指してまいります。機械技術、加工技術、制御・ITの技術基盤をベースに、トータルレスポンシビリティの強みをさらに拡げて「最高のものづくりサービス」を提供してまいります。
この戦略は、当グループならではの強みであり、他社が容易に真似できない差別化戦略であります。オンリーワン技術・製品を間断なく開発し、その業界、対象ワークでグローバルに競争力をもつ生産手段を提供し、お客様の利益を創出し続けることにより、世界の工作機械のエクセレントカンパニーを目指してまいります。

(2) NC装置とIT製品の開発

当グループは、1963年(1963年)に自社製NC「OSP」の開発に成功して以来、機械とNC装置を一体でサポートする「トータルレスポンシビリティ」を基本理念とし、現在では、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合をコンセプトとして、お客様のものづくりを支えるソリューションを提供する先進技術と機能の開発を続けております。近年、グローバル競争が激化する中、ものづくり産業における生産革新、スマート化の流れが進展しております。こうしたスマートなものづくりを支えるのが、スマートマシンであり、スマートマニュファクチャリング(スマートなものづくりの仕組み)であります。
当連結会計年度における研究開発活動としては、高精度・高品質・高効率・安定加工を可能とするスマートマシンの制御技術開発、そして、次世代ロボットシステム「ARMROID」や「STANDROID」などの自動化技術の強化、さらに自社工場での72時間無人稼働を実現したDS1、DS2、DS3(Dream Site1、2、3)での加工機・ロボットの稼働分析を始めとするスマートマニュファクチャリングの実証結果を活かして、お客様の工場のスマート化をサポートする製品・ソリューション開発を進めてまいりました。
1) スマートマシンの制御技術開発
高速で高精度かつ高品位で安定加工への要求に応えるため、スマートマシンの制御技術開発及び診断機能開発を強化してまいりました。
1-1) 新高速・高品位加工機能「Hyper-Surface」
金型加工に対する要求はより高度なものとなっており、特に機械加工後に手作業で行われる磨き作業時間を短縮するため、加工面品位の向上に対する要求が高まっています。この加工面品位向上の要求に応えるため、曲面を認識してエッジ部の形状精度を保ちながら滑らかな加工を可能とする「Hyper-Surface」を開発いたしました。「Hyper-Surface」は、加工パスの揺らぎを指令レベルで抑制する「指令位置平滑化機能」「送り速度平滑化機能」と、隣り合う加工パスのズレや不揃いを抑制する「隣接パス補整機能」を備え、お客様から高い評価を頂いております。
さらに、加工の進行方向に対する指令位置の間隔や左右のゆらぎを滑らかにする「粗密補整機能」「ゆらぎ補整機能」、指令位置のバラツキによる軸動作の反転を抑制する「微小反転平滑化機能」を開発し、機能拡張しました。微小点群指令プログラムによる加工を行う様々な分野のお客様に、より高い面品位の加工を提供していきます。
1-2) AI機械診断機能
高い生産性を維持するためには、生産設備の安定稼動と異常発生時のダウンタイム最小化が重要となります。AI機械診断機能は、当グループで培ってきた機械基礎特性の高度な知見と、ディープラーニングによるAI技術を融合し、ボールねじ、ボールねじ支持軸受、ミーリング主軸軸受の状態を見える化することにより、専門的な知見を用いなくても加工現場のオペレータにて容易に機械状態を把握でき、予防保全につながる取り組みを可能としました。今後も診断対象の拡充を図り、保全活動の支援を強化していきます。
1-3) AI加工診断機能
工具の有効活用による購入コスト削減や、工具異常による手直しコスト削減による生産性向上を支援する機能として、ディープラーニングによるAI技術を活用した工具の折損診断技術により、ドリルの破損を発生直前に検出して回避することを可能としました。本機能を当社自社工場の設備機に搭載し、工具に関する情報を蓄積し、折損診断技術を向上させることで、工具の長寿命化、工具費用の削減に効果を上げています。また、工具異常時に自動的に工具を交換し、加工を継続する工具の乗り換え機能を追加開発することにより、自動化システムでの長時間連続運転の実現に取組んでいます。お客様の工場にてお使い頂くことで、部品加工のコスト削減に寄与します。

1-4) サイクルタイム短縮機能
生産性を向上させるために、サイクルタイム短縮に取り組んでいます。サイクルタイム短縮に寄与する機能として、「加工経路処理」「送り軸移動指令ブロック間処理」「主軸・送り軸の加減速処理」「ATC等の同時動作」等多数の機能を有しており、これらを最適に組み合わせて使用することが重要となります。
これらサイクルタイム短縮に寄与する機能の設定項目を1つの画面に集約し、当社が用意した推奨値を加工内容に即してかんたんに一括指定、各機能を有効に活用することを可能としており、またプログラム運転中の加工準備動作時間を削減するために、ガイダンス付きのプログラム編集機能を開発し、サイクルタイムを短縮する加工プログラムを容易に作成することを可能とし、使いやすさの向上を図りました。今後は、特殊な加工サイクル等対象範囲を拡げて、サイクルタイム短縮に取組んでいきます。
2) 自動化技術の強化
自動化・省人化を容易に実現する次世代ロボットシステム「ARMROID」や「STANDROID」では、工作機械のオペレータが使うことを前提に、ガイダンスに従って始点・終点を教示し、パラメータを入力するだけで、ぶつからない最適な動作経路を自動生成するなど、複雑なロボットのプログラミングを不要とした「ROID Navi」を開発しました。さらに、ロボット先端に取付ける加工物を掴むワークハンドの選択機能の拡張、動作時間の短縮などの生産性向上のための開発を進めてきました。
3) オークマスマートファクトリーの開発
ドイツの「Industrie4.0」や米国の「Industrial Internet」や中国の「中国製造2025」など、国を挙げて次世代のものづくりが推進しています。当社は、自社工場「Dream Site(DS1、DS2、DS3)」にて進めてきたスマートマニュファクチャリングの実証結果を、機械の稼働状況を見える化する「Connect Plan」を通じて、お客様の工場のスマート化を支援してきました。
「Connect Plan」は、機械の稼働状況や実績を見える化し、さらに機械の停止理由分析にAIを活用して細分化するAI稼働分析機能により、時間を要する機械停止理由の原因分析の自動化と具体的改善項目を見える化する事で、非稼働時間を削減するカイゼンサイクルを促して機械の稼働率の向上を進めます。
さらに部品加工工場の生産計画、生産進捗を見える化する事で、工場内での不慮のトラブルや頻繁な需要の変動、多品種少量・初品の短納期対応など市場・需要の変化に柔軟に対応できる生産の構築を支援してまいります。
また、「Okuma App ストア」では、お客様のニーズにフィットするアプリ等のダウンロードサービス、加工プログラム作成代行サービス、ウイルス対策ファイルやAI機械診断機能の最新ファイル配信サービス、ネットワークを介して機械故障を診断するリモート診断をサービスしております。お客様と密着したサービスで、お客様のものづくり全般をサポートしております。
当グループでは、半世紀に渡る自社製NC開発の基本理念を今後も継承するとともに、当社の強みである機・電・情・知融合のコンセプトを基盤として、先進のサーボ技術、先進の情報技術、オンリーワンの知能化技術、先進のAI活用技術の開発と強化を進め、自社製NCとIT製品を通じて、お客様の工場のスマート化を支援することにより、「総合一貫した“ものづくりサービス”」で世界中のお客様の価値創造に貢献できるように推進してまいります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01481] S100LJYD)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。