シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TX40 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 コージンバイオ株式会社 事業の内容 (2024年3月期)


沿革メニュー関係会社の状況



当社グループは、当社、国内連結子会社(エンバイオ株式会社)1社、海外連結子会社(孝仁生物控股(香港)有限公司、高金生物科技(上海)有限公司)2社及び持分法適用関連会社(味の素コージンバイオ株式会社)1社の計5社で構成されており、細菌検査用培地(注1)、体外診断用医薬品、細胞培養用培地の製造・販売、及び細胞加工の受託を主な事業として取り組んでおります。
当社及び当社の関係会社の事業における位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す事業の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと同一であります。

組織培養事業
組織培養事業では、ヒト、動物、昆虫などの細胞を増殖させることを目的とした細胞培養用培地の開発・製造・販売をしております。細胞培養用培地は、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸、微量金属、無機塩などから構成される溶液で、ヒトや動物の血液成分であるウシ血清(FBS)などを添加して使用する基礎培地と血清の添加を必要としない無血清培地に分類することができます。
基礎培地は、1960年代の細胞培養の研究の黎明期に開発された培地で、含有される成分のすべてが公開されていることがその特徴となります。こうした基礎培地は十数種類存在し、基礎研究を中心に世界中の大学、企業等で使用されております。一方、無血清培地は、1986年に狂牛病(BSE)の存在が確認されたことを受け、ウシ血清等を研究等に使用することへの安全性の確保が難しくなったことを背景に開発が進められた培地であります。基礎培地の組成が公開されているのに対し、無血清培地は各社の技術の粋を集めたもので、基本的に組成は非公開とされております。加えて、基礎培地は血清を添加することで、複数種類の細胞を培養できるのに対し、無血清培地は細胞の種類ごとに専用の培地が存在している点も基礎培地と無血清培地の大きな違いであります。
ウシ血清等を添加している基礎培地が安価であるのに対し、無血清培地は血清の代替として、高額な細胞増殖因子を添加しているため、価格帯は高額となります。しかしながら、血清を添加している基礎培地にはウイルスのコンタミネーション(注2)の懸念があるのに対し、無血清培地では、ウイルス等の外来因子の排除が可能なことから、高額であっても再生医療の研究開発に欠かせない製品となっており、当社としては無血清培地の開発と販売に注力しております。
これまでは、細胞培養用培地は研究用としての使用が主流でありましたが、近年では、再生医療分野や抗体医薬品の製造などにも多く使用されるようになってきたことから、その市場規模は数年間で急速に成長を続けており、さらに大きな市場に拡大していくと予想しております。特に再生医療分野におきましては、幹細胞、免疫細胞が注目されており、これらの細胞はアンメットメディカルニーズ(注3)の治療領域を満たすものとして、世界中で盛んに研究が行われております。その中でも間葉系幹細胞(注4)は、こうした再生医療に使用される細胞としては最も有力な細胞の一つであり、当社もKBM ADSCシリーズとして2014年から発売を開始し、主力製品の一つとなっております。また、免疫細胞に代表されるT細胞は、遺伝子改変細胞(注5)のターゲットとなっており、最新のがん治療薬として開発が進められております。当社は、こうした免疫細胞を培養する培地の開発を最も得意としており、KBM500シリーズとして販売されている免疫細胞培養用培地は、末梢血から単離したPBMC(注6)から目的の細胞であるT細胞やNK細胞を培養した際に、有効な細胞増殖性能があると大学や企業を含む顧客よりご評価いただいております。
これら培地に加えて、当社は、脳梗塞等の治療で注目される神経幹細胞(注7)を培養するKBM Neural Stem Cell(注8)、様々な組織を作製する上で必須となる血管網の構築を促す血管内皮細胞を培養するKBM VEC-1(注9)、皮膚の再生に必要となる表皮角化細胞を培養するKBM NHEK-XF2(注10)など、再生医療に関連する製品を多数ラインナップしております。
今後の開発の方向性といたしましては、抗体医薬品の70%以上がCHO細胞(注11)により生産されていること、CAR-T細胞(注12)等の遺伝子改変細胞を作製するために使用されるウイルスベクター(注13)の生産のほぼすべてはHEK293細胞(注14)と呼ばれる細胞株が使用されていることから、これらの産業利用される細胞培養用培地の市場規模は、数年で非常に大きく急成長すると予想しており、これらの開発に注力することを予定しております。これら培地は、無血清培地でありながら、細胞増殖因子を含まず、アミノ酸、ビタミン、微量金属などの化学合成物質のみから構成されるChemically Defined(CD)培地で、非常に開発が困難な培地ですが、CHO細胞用培地は現在上市準備をしております。また、HEK293細胞培養用培地に関しましても開発は順調に進んでおり、来年度上市を予定しております。さらに、こうした培地は使用量が数千リットルから数万リットルと大量なため、国内外を問わず粉末での供給が一般的ですが、そうした技術開発にも成功しております。
再生医療市場は、2020年には0.6兆円であったところ、2040年には11.6兆円の予測(再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業 中間評価 技術評価報告書(2023年3月 産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会評価ワーキンググループ))となっており、市場規模は拡大傾向にあります。


※組織培養事業が担うのは赤枠内

(注) 1.培地は、微生物や生物組織(細胞)が成長しやすいよう人工的に作られた環境を提供するもの。寒天などで固められた固体培地や、液体状で存在する液体培地などがあり、生育させる微生物、細胞の種類により、培地の成分形状は異なる
2.細胞や微生物などを人工的に培養するときの、微生物などによる汚染
3.未だ満たされていない医療ニーズ、つまり、未だ有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ
4.間葉系幹細胞は、生体内に存在し、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞等に変化できる細胞で膝関節の治療をはじめとする様々な損傷治療に使用できる細胞として注目されている
5.細胞の機能を決定する遺伝子を導入し、これまでにない機能等を与えられた細胞の総称
6.PBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cellsの略)は、末梢血から分離される単核細胞で、T細胞、B細胞、NK細胞、単球及び樹状細胞などの多様なリンパ球を含む
7.神経幹細胞は、脳の中に存在する幹細胞で、ニューロンといった神経機能を担う細胞に変化する能力を持ち、こうした機能から筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった難病の治療が期待される細胞
8.KBM Neural Stem Cellは、神経幹細胞を培養するための当社製品
9.KBM VEC-1は、血管の内側に存在する血管内皮細胞を培養するための当社製品
10.KBM NHEK-XF2は、ヒトの皮膚の元を作り出す表皮角化細胞を培養するための当社製品
11.CHO細胞(Chinese Hamster Ovaryの略)は、チャイニーズハムスターの卵巣に由来する上皮細胞で、組換えタンパク質の生産によく使用される
12.CAR-T細胞は、T細胞にChimeric Antigen Receptor(CAR)を導入した遺伝子改変細胞で、がんに対する攻撃力を高めた細胞
13.ウイルスベクターは、細胞内に効率的に遺伝物質を運び込むために、ウイルスの感染能力を利用して作製されたツール
14.HEK293細胞(Human Embryonic Kidneyの略 )は、ヒト胚性腎臓細胞から作製された細胞で、組み換えタンパク質やウイルスを増幅させるために使用される細胞
(主な関係会社)当社、高金生物科技(上海)有限公司及び味の素コージンバイオ株式会社


微生物事業
微生物事業では、感染症や食品汚染の原因となる微生物を特定するための製品の開発と製造・販売を行っています。目に見えない微小な微生物を特定するためには、微生物に由来する物質を着色したり、微生物そのものを増殖させたりして、人が視覚的に確認できるようにする必要があります。
○細菌検査用培地
当社は、創業から長年培った微生物そのものを増殖させる細菌検査用培地の製造ノウハウを保持しており、KBMブランドとして多くの製品群を市場に提供しております。
微生物の増殖のためには、目的とする微生物にとっての最適な環境を整える必要があります。一定の栄養素(アミノ酸、糖質、無機塩類)に加え、特定の栄養素(ビタミン等)や血液を発育成分として要求する微生物、酸素の有無や二酸化炭素濃度(酸化還元電位)、水素イオン濃度(pH)なども微生物によって異なります。従って、ある特定の微生物の生育に適した環境を人工的に模造することで、微生物を選択的に増殖させることも可能であり、このような微生物の培養に適した環境を与える材料を容器に閉じ込めた製品が細菌検査用培地であります。
細菌検査用培地は、用途に応じて、液体、固体、半流動の状態で利用されます。試料(検体)に含まれる微生物の数を知りたい場合等には固形の細菌検査用培地を、試料(検体)中に含まれる微生物の数が少なく速やかな増殖を期待する場合には液体の細菌検査用培地を、微生物の性状を知りたい場合等には半流動の細菌検査用培地を用います。また、細菌検査用培地は、抗生物質に感受性なのか耐性なのかを判断する場合等にも利用されます。このように細菌検査用培地は、微生物の種類や医療(感染症)、食品(病原菌)、製薬・化粧品(品質)などの検査の目的により、様々な種類の製品が存在し、当社においては2024年3月期に年間300品目を超える細菌検査用培地等を製造販売しております。
○体外診断用医薬品
体外診断用医薬品は、身体を直接の被検体とせずに、人に由来する試料を検体とし、検体中の物質等を検出又は測定することにより、診断に用いることの出来る医薬品です。製品として販売する場合は、厚生労働省のガイドラインに基づいた審査を受け、承認基準に適合する必要があります。当社は、微生物に由来する物質を可視化するため、抗原抗体反応を利用した検査キットを開発し、体外診断医薬品の認可を受けた製品化に成功いたしました。この検査キットは、抗体を結合させた金コロイド粒子(粒子径10nmから100nm程度の金の粒子)の共鳴反応が関与しており、金コロイド粒子の集積に基づく発色技術(注)が使用されています。また、抗体は病原体に由来する物質と特異的に反応するため、対象微生物の特定も可能となります。従って、様々な感染症の原因となる微生物を特定するための製品群を開発することが可能となります。近年では、新型コロナウイルス感染症の抗原を検査するためのキット「KBMラインチェックnCoV(スティックタイプ)」が、体外診断用医薬品として製造販売許可申請が承認され、ひいては、国からの増産要請を受けて月産最大約20万検体分の製造を行うことで、未曽有の感染拡大を続ける新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた製品提供を果たしました。また、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザを同時に検出する体外診断用医薬品「KBMラインチェックnCoV/Flu」の発売も開始しました。さらに、インフルエンザのA型とB型を区別するための「KBMラインチェックFlu AB」、小児の呼吸器感染症の原因ウイルスであるRSウイルスを判別する「KBMラインチェックRSV」も体外診断用医薬品として製造販売を続けています。これらの抗原検査キットは、方法が簡便であるにも関わらず、15分程度で結果が得られることから、迅速検査が望まれる医療施設や臨床検査センターなどで利用されています。近年では、新型コロナウイルス感染症抗原検査キットに加え、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時抗原検査キットが薬局での販売も可能となり、国民の健康維持には欠くことの出来ないアイテムとして認知されています。
新型の感染症が問題視される一方で、未だ世界規模で流行している感染症も多くあります。エイズ、結核、マラリアは、「三大感染症」と呼ばれています。2000年の世界保健総会において、「ストップ結核パートナーシップ」 が発足しました。WHOが中心となり、2050年までに世界の結核を100万人に一人まで減らすことが目標として策定され、日本国内においても、「ストップ結核ジャパンアクションプラン」が策定されています。当社は、発育の遅い結核菌のための培養技術の改善を目指し、国内の研究機関と連携した製品開発を進めております。また、世界規模のマラリア対策を進めるため、WHO、UNICEF、UNDP、世界銀行が中心となって「ロールバック・マラリア・パートナーシップ」 が設立され、死亡率及び有病率の半減が目標として掲げられました。当社は、マラリア診断に寄与すべく、血液を試料とする抗原検査キットの開発に着手しております。また、研究用試薬となりますが、近年東南アジアを中心に猛威を振るっているNDM型カルバペネマーゼ産生菌(薬剤耐性菌)の検査キット(KBMラインチェックNDM)の開発に成功し、開発途上国の抱える課題の解決に取り組んでおります。抗原検査キットは、簡便かつ迅速な手法であることから、電源事情の悪い地域での活用が期待されております。
微生物製品の開発や製品化においては、現在も共同研究やOEM受託等も積極的に行い、微生物検査を取り巻く市場や顧客ニーズの変化に対応した製品を提供し続けています。


(注)金コロイド粒子の集積に基づく発色原理:金属に光が当たると、金属表面の電子がその影響を受けて集団的な振動が起こります。振動と入射した光とが共鳴すると、特定の波長の光(緑色)が強く吸収されるようになります。その結果、金コロイド粒子が、一定の波長の光(赤色系)を帯びて視認されるようになります。
(主な関係会社)当社及びエンバイオ株式会社

細胞加工事業
細胞加工事業では、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、再生医療等安全性確保法)における再生医療の健全な普及に向け、特定細胞加工物製造受託及び再生医療等法規対応サポートを行っています。
○特定細胞加工物製造受託
免疫療法や幹細胞治療等の再生医療等を提供されている医療機関より依頼を受けて、厚生労働省より許可を得た細胞培養加工施設(施設番号:FA3190002、細胞培養加工施設の名称:コージンバイオ株式会社 埼玉加工センター)にて、当該医療機関が患者より採取した組織を預かり、特定細胞加工物の製造を受託しております。
特定細胞加工物とは、再生医療等安全性確保法第2条で、「再生医療等に用いられる細胞加工物のうち再生医療等製品であるもの以外のもの」と定義されており、当社においては免疫細胞や幹細胞を中心に医療機関より受託しております。医療機関において採取された組織(血液や脂肪細胞等)を、当社の細胞培養加工施設にて受領し、そこから目的の細胞(免疫細胞や幹細胞)を取り出します。それら細胞をその管理項目に合った環境下において増殖させ、医療機関指定の細胞数まで増やしたうえで、医療機関からご指定の日に合うように納品いたします。
特定細胞加工物の製造には、自社製の細胞培養用培地を使用しており、組織培養事業と連携することで、双方の技術開発及び、製品の品質向上に努めております。培地の製造メーカーである当社が、自社製の細胞培養用培地を用いて特定細胞加工物の製造を行い、さらに、自社製の細菌検査用培地を用いて品質管理試験を行うことで、費用を抑えることができ、柔軟な価格設定が可能となります。そこで、再生医療を身近な医療として認知度を高め、治療の医療負担を軽減させることを目的に、特定細胞加工物を医療機関へ提供しております。
2022年7月からは、東京大学医学部附属病院との社会連携講座「臨床幹細胞生物学講座」を通じて、細胞治療のメカニズム究明やエビデンス取得のための臨床解析を行っております。
また、主要な共同研究としましては、三重大学で開発された固形がんを標的としたMAGE-A4 CAR-T細胞の調整方法及び品質管理システムの基盤技術の構築に関する研究を三重大学とティーセルヌーヴォー株式会社との三社間で取組んでおります。

○再生医療等法規対応サポート
医療機関が患者に再生医療を提供する場合、再生医療等安全性確保法に基づき、製造委託の有無や細胞培養加工施設に関する情報を含め、提供しようとする再生医療のリスクに応じた再生医療等提供計画を作成し、認定再生医療等委員会の意見を付して、厚生労働大臣に提出することが義務付けられております。かかる法的手続きなどを経ないまま、再生医療等の提供あるいは特定細胞加工物の製造は医療機関においては法律違反となり、罰則が科されることとなります。当社では、再生医療を行う医療機関より委託を受けて、医療機関が患者に再生医療を提供する際に必要となる各種申請・届出業務に係る書類作成等のサポート及び治療提供のために必要な行政手続きの支援業務を行っております。


(主な関係会社)当社

事業の系統図は、次のとおりであります。



沿革関係会社の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E38689] S100TX40)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。