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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004E9I

有価証券報告書抜粋 テラ株式会社 研究開発活動 (2014年12月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、中長期的な収益基盤として重要になると考えられる、がん治療・診断技術及び再生医療等について、研究開発・事業化の検討を行っております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は279,046千円であり、そのうち細胞医療事業におけるものは170,767千円、医療支援事業におけるものは25,218千円、医薬品事業におけるものは83,060千円あります。主な研究開発活動は次のとおりであります。

がん治療技術

がん抗原等の樹状細胞ワクチン療法への応用・開発
当社が実用化してまいりました樹状細胞ワクチン療法とは、本来数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者様のがん組織やがんの特徴(がん抗原)を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球ががん細胞のみを狙って攻撃するという新しいがん免疫療法で、いわゆる「がんワクチン」のひとつです。がん抗原は多数発見されており、人工的に作製したペプチドをがん抗原として使用することができますが、多くはMHCクラスI※1と呼ばれるたんぱく質に結合するペプチドを用いております。当社は、WT1という多くのがんに存在する物質に由来するペプチドを樹状細胞ワクチン療法に用いる権利を有し、すでにWT1のMHCクラスⅠペプチドを樹状細胞ワクチン療法に用いる方法を実用化しており、かつ、継続的に研究開発を続けております。
近年、MHCの中でもクラスⅡ※1と呼ばれる、免疫系細胞やがん細胞に限局して作られているたんぱく質に結合するペプチドの重要性が基礎研究で明らかにされております。当社はMHCクラスⅡに結合するWT1やサーバイビン※2等のペプチドの使用権も有しており、その実用化に向けて、基礎研究及び臨床研究を積極的に行っております。
※1:MHCクラスⅠ、クラスⅡ
MHCとは、細胞表面に発現する、抗原を提示する機能を持つたんぱく質です。MHCには、クラスⅠとクラスⅡの2種類があります。
MHCクラスⅠは、血小板と赤血球以外の全ての細胞に存在します。樹状細胞のMHCクラスⅠにがん抗原ペプチドを結合させると、キラーTリンパ球という免疫担当細胞ががん抗原を認識して特異的に活性化し、がんを攻撃するようになります。
MHCクラスⅡは、主に樹状細胞などの抗原提示細胞で発現し、抗原となるペプチドを提示しています。ヘルパーTリンパ球という免疫担当細胞を特異的に活性化し、周囲の免疫反応を賦活化します。

※2:サーバイビン
細胞の自然死を抑制する機能を持つたんぱく質です。多種のがん細胞でサーバイビンが高発現していることが判明しており、汎用性の高いがん抗原として期待されています。

① 膵がんを対象としたWT1クラスIを用いた樹状細胞ワクチン療法
(研究パートナー:慶應義塾大学 医学部 外科学)
慶応大学医学部、ミッドタウンクリニック、テラの3者で膵臓がんを対象としたフェーズⅠ臨床試験(安全性試験)を2011年に開始しました。本試験は、抗がん剤であるジェムザール(GEM)との併用です。2011年1月から2012年11月にがん患者をリクルートした結果、膵臓がん患者10症例が登録されました。10症例の内、がんの進行度、ステージ4aは4症例、ステージ4bは6症例でした。年齢中央値は、58.5歳(幅41~69歳)、内訳は、男性6名、女性4名です。2013年には、全ての患者で治療が終了しました。本試験によって、膵癌に対する当社WT1ペプチドパルス樹状細胞療法によりCTCAEv4.0に基づいたグレード3以上の有害事象を認めることはなく当該治療法の安全性が確認されました。2014年8月に開催された18回日本がん免疫学会総会にて慶應大学医学部の眞柳周平先生により研究に関する発表がなされました。RECIST判定で、10症例中、6SD,4PDの結果となり安全に施行できたと結論づけられました。本成果は、2015年1月に日本の学術誌Cancer Science誌に掲載されております。

② 膵がん及び胆道がんを対象とした、WT1MHCクラスⅠ及びMHCクラスⅡペプチドパルス樹状細胞ワクチン療法
(研究パートナー:東京慈恵会医科大学附属柏病院)
慈恵会医科大学とテラで膵臓がん、胆道がんを対象とし、WT1クラスIおよびクラスIIペプチドパルス樹状細胞ワクチン療法のフェーズ1臨床試験を2011年に開始しました。本試験は、抗がん剤であるジェムザール(GEM)との併用です。2013年で全ての患者について治療が終了し、治療を受けたがん患者の免疫モニタリングを行いました。10症例中1症例でCTCAEv4.0に基づいたグレード3以上の有害事象を生じましたが、樹状細胞療法に関連した有害事象は認められず安全に施行できたと結論づけられています。2014年より論文化の為の免疫モニタリングを行った結果、2014年6月11日に欧米の著名なClinical Cancer Research誌に掲載されました。さらに、追跡試験により、癌研究及び治療に関する欧米誌Anticancer Research誌に2報掲載されました(2014年第34項6353項、2015年第35項555項)。

③ 進行期悪性黒色腫に対するカルボプラチン・パクリタキセル併用ペプチドパルス樹状細胞ワクチン療法の第I/II相臨床試験
(研究パートナー:慶應義塾大学 医学部 皮膚科)

慶應大学医学部とテラで悪性黒色腫(メラノーマ)に対してWT1クラスIペプチドパルスDCワクチン療法のフェーズ1臨床試験(安全性)を開始しています。本試験は、抗がん剤であるカルボプラチン・パクリタキセルとの併用です。2013年では、目標の10症例中9症例まで治療が終了し、それを持って臨床試験を終了しています。2014年には、免疫モニタリング等の基礎実験を行い、学会発表あるいは論文発表等の準備をしてまいりました。2015年には学術雑誌に投稿する予定です。

④ 進行・再発食道癌に対するドセタキセル併用WT1ペプチドパルス樹状細胞ワクチン療法の第I相臨床試験
(研究パートナー:慶應義塾大学 医学部 外科学)
慶應大学医学部とテラで食道がんに対してWT1クラスIペプチドパルスDCワクチン療法のフェーズⅠ臨床試験(安全性)を開始しています。本試験は、抗がん剤であるドセタキセルとの併用です。当第1四半期連結会計期間より患者のリクルートを開始しました。現在目標の10症例中、6症例まで登録終了しました。食道がん患者6症例の内、がんの進行度、ステージ4bは1症例、術後再発例5症例でした。年齢中央値は、55.5歳(幅52~71歳)、男性6名です。当第2四半期連結会計期間には、6症例中、5症例でDCワクチン療法の1クールが終了しました。現在、安全性と有効性について予後を追跡中です。当第3四半期及び第4四半期連結会計期間には、さらに2症例エントリーし、その結果累積で8症例に治療を行いました。しかしながら、全ての患者において、3ヶ月の治療終了前にドロップアウトとなりました。2014年には全症例で治療が終了しました。2015年に論文投稿できるか判断する為の基礎実験を行っていく予定です。


⑤ 口腔悪性腫瘍を対象とした、自己がん組織を用いた樹状細胞ワクチン療法
(研究パートナー:愛媛大学)
愛媛大学医学部と口腔がんの術後補助療法として、自己がん組織パルスDCワクチン療法のフェーズ1臨床試験を2009年に開始しました。術後の補助療法であるので経過観察は長期必要です。現在まで4症例が実施されています。引き続き、新規の患者リクルート及び経過観察中です。

⑥ サーバイビン等の新規がん抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法
(研究パートナー:セレンクリニック東京、株式会社バイオイミュランス等)
がん抗原Survivinをターゲットにした新規のペプチド、HK-HELPサーバイビンロングペプチドは、国立北海道大学で開発されたヘルパーT細胞を活性化する新たな概念のがん抗原ペプチドです。2013年度には、基礎研究および臨床研究を行ってきた結果、HK-HELPサーバイビンロングペプチド単独の第Ⅰ相臨床試験が終了し、安全性が証明されています。2014年には、基礎研究からHK-HELPサーバイビンロングペプチドを樹状細胞にパルスする条件を確立しSOP作成を終了しました。その結果、医創会セレンクリニック東京においてHK-HELPサーバイビンロングペプチドをパルスした樹状細胞を用いて固形がんに対するフェーズI安全性試験が開始しました(UMIN000014435; 2014/06/30)。目標症例は10症例です。2015年度中に当臨床試験を終了し、2016年にはHK-HELPサーバイビンロングペプチドを実用化する予定です。

⑦ がん抗原の基礎データ検討
テラ社は新規がん抗原の実用化を進めています。現在、臨床導入予定のがん抗原はWT1クラスⅡペプチド、WT1-A3303、WT1-A1101、そして、クレアゼン社のタンパク質です。以下、各がん抗原の進捗です。


がん抗原WT1をターゲットとしたペプチドは、現在MHCクラスⅠに結合するペプチド(クラスⅠペプチド:HLA-A2402及びHLA-A0201)を臨床で使用しています。このクラスⅠペプチドは、がん抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を体内で誘導します。新規のWT1クラスⅡペプチドは、がん抗原特異的ヘルパーT細胞(Th)を誘導します。Th細胞は、CTL活性を増強できる為、臨床反応のさらなる強化が期待されます。2014年6月11日にWT1クラスⅡペプチドの安全性試験に関する論文が欧米の雑誌、Clinical Cancer Research誌にアクセプトされたことから本試験の実行可能性が証明されました。その結果、2014年第4四半期連結会計期間に実用化となりました。


HLA-A2402が適応する遺伝子を有する日本人は、60%、HLA-0201が適応する遺伝子を有する日本人は、20%です。しかしながら、依然として、20%程度のがん患者さんは、これらがん抗原を使用することはできません。HLA-A3303,HLA-A1101, HLA-A26を使用できるようになるとほとんど全てのがん患者さんにテラ社WT1ペプチドパルスDCワクチン療法を適応させることができます。2013年には、これらペプチドをテラ社樹状細胞に適応させる標準手順書(SOP)作成を行いました。2014年にはテラ社提携医療機関で各ペプチドに関してそれぞれ5症例で安全性試験を実施した結果、安全にDCワクチン療法を施行することができました。その結果、2014年第4四半期連結会計期間に実用化となりました。


クレアゼン社のがん抗原タンパク質は、MHC分子非拘束性であり、適応できれば全てのがん患者さんに利用可能となります。クレアゼン社は、前立腺がん及び肝臓がんに対するがん抗原タンパク質を保有しています。2013年は北里大学において、肝臓がんに対するがん抗原、AFP、MAGE-1、GPC-3をパルスした樹状細胞療法の第Ⅰ相臨床試験を開始することが出来ました。当第2四半期連結会計期間には目標症例5症例、全例について樹状細胞の投与が終了しました。2014年8月には、第52回日本癌治療学会で鈴木慶一先生により学会発表が行われました。肝臓がん患者5症例におけるRECIST判定は5SDであり、AFP/GPC3/MAGEA1ロード樹状細胞ワクチン療法に関連した重篤な副作用は認められませんでした。クレアゼン社とのタンパク質供給についての協議も終了し、当第4四半期連結会計期間に実用化となりました。


⑧ ナチュラルキラー(NK)細胞療法の研究開発
(研究パートナー:九州大学)
九州大学の米満吉和教授の開発したEx vivo NK細胞大量培養法によって、NK細胞療法の臨床応用が可能となりました。NK細胞は、CTLが殺傷できない腫瘍を攻撃することができます。よって、樹状細胞療法と併用することで抗腫瘍効果に相乗効果が期待されます。2013年には、臨床応用に向け大量培養法の確立に成功し、安全性の臨床試験の準備に取り組んできました。その結果、長崎大学病院にて倫理委員会で承認を得ることができました。2014年には長崎大学で臨床試験を開始し、目標症例10症例中、3症例において投与が終了しています。2015年も引き続き臨床試験を進めていく予定です。

⑨ 臍帯血由来抗原特異的CTLを利用した新規細胞療法のための前臨床研究
(研究パートナー:東京大学 医科学研究所)
東京大学医科学研究所との共同研究によって開発を続けていた、臍帯血を利用したがん抗原特異的CTL細胞誘導法は、再現性が得られず中止となりました。

⑩ 樹状細胞療法の臨床研究におけるQOL評価の現状(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学共同研究)
現在のところ、進捗はありません。

⑪ 慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門 共同研究
(研究パートナー:慶應大学 )
慶応大学医学部の河上裕教授との共同研究によって、腫瘍浸潤Tリンパ球療法(TIL)の臨床試験を計画し、2013年には、試験管内でのTIL培養系の確立に成功しました。2014年には倫理委員会申請等、臨床試験の準備を行ってきました。その結果、慶応大学医学部の倫理委員会およびCPC運営委員会の承認が得られ、当第4四半期連結会計期間にはメラノーマに対するTIL療法の臨床試験(PhaseI)が開始されました。目標症例は3症例です。2015年には3症例を終了できるように進めていく予定です。

⑫ 国立国際医療センター研究所共同研究
辻谷俊一先生が鳥取大学医学部へ異動されましたので、国立国際医療センターでの共同研究は終了し、引き続き鳥取大学で研究を続けるための調整を行っています。

⑬ 提携医療機関へのGMPに沿った運営体制の構築支援
2013年度よりGMPに沿った運営体制をテラ提携医療機関に導入することを進めて参りました。2014年11月25日に再生医療新法が施行されました。2014年は、当該新法対応の為の文書作成業務を行い、終了しています。2015年より医創会を中心に再生医療新法対応を行っています。2015年5月中に製造施設の届け出を終了し、11月中に提供している再生医療等製品の届け出を終了する予定です。

⑭ 慶應義塾大学、旭化成共同研究
(研究パートナー:旭化成株式会社)
慶応大学医学部、旭化成社及びテラで行っている自動培養装置開発の共同研究契約は、2013年3月29日に締結しました。2013年は、慶応大学医学部での臨床研究開始に向けて準備を行ってきました。しかしながら、自動培養装置について改善すべき点が生じた為、改良をおこなっています。2014年には臨床試験開始に向けて進めてきました。2015年も引き続き進めてまいります。

⑮ 再生医療等製品の研究開発(テラファーマ株式会社)
(研究パートナー:九州大学)
当社は、着実に積み重ねてきた臨床実績及び研究成果並びに高品質で安定的な細胞を培養する技術・ノウハウを強みとし、子会社であるテラファーマ株式会社を通じて、日本初の免疫細胞医薬品(がん治療用の再生医療等製品)として樹状細胞ワクチン『バクセル®(Vaccell)』 の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づく承認取得を目指しております。
2013年4月に九州大学と共同で開発した大量増幅培養技術(特許出願中)を用いた樹状細胞ワクチン製造のためのフィージビリティスタディを開始し、さらに2014年1月にテラファーマ株式会社を設立、開発及び事業化の検討を加速させております。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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