デクセリアルズ株式会社 業績等の概要 (2016年3月期)

(1)業績
当連結会計年度(2015年4月1日から2016年3月31日まで)における世界経済は、中国や新興国で景気が減速する動きがみられたものの、欧州及び米国経済の緩やかな回復に支えられ、全体としては緩やかな回復基調が続きました。日本経済は、総じて緩やかな回復基調が続き、個人消費も底堅く推移しましたが、年明けから急激な円高の進行や金融市場の不安定な動きがみられ、足元では企業の景況感に一部慎重さが増しているなど、先行きについては不透明な状況となりました。
当社グループの製品が関わる主要業界では、スマートフォン、タブレットPC、ノートPCなどのコンシューマーIT製品市場において、特に下期以降、想定を上回る成長鈍化ないし縮小が進行し、当社を取り巻く事業環境が急速に変化しました。
このような経営環境のなか、当社グループは企業ビジョンの実現に向け、当連結会計年度は光学弾性樹脂の新製品(ハイブリッドSVR)の販売促進や、異方性導電膜のディスプレイ以外の用途への展開などに注力しました。また、当連結会計年度からビジネスモデルを転換した光学ソリューションでは、顧客のディスプレイメーカーに対して当社の高機能材料製品やサービスを顧客に実感していただく、パネル貼り合わせのソリューションを提供する事業を開始し、顧客の商品価値向上と同時に当社製品の業界でのスタンダード化に取り組みました。
この結果、厳しい経営環境の中、ハイブリッドSVRの採用が進んだ光学弾性樹脂や、ディスプレイ用途以外での採用が進んだ異方性導電膜の売上は前連結会計年度実績並みとなりました。しかし、電子材料部品セグメントの接合関連材料及びリチウムイオン電池2次保護素子は、コンシューマーIT製品市場の不振の影響による発注数量抑制などの影響を受けました。その結果、当連結会計年度の売上高は62,654百万円(前連結会計年度比4.4%減)となり、営業利益は8,306百万円(前連結会計年度比13.6%減)となりました。
経常利益は、為替差益が計上された一方、株式公開費用を計上したことにより、8,163百万円(前連結会計年度比17.3%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は、一部製造設備の減損損失を計上したことなどにより、7,599百万円(前連結会計年度比20.9%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度まで税務上の繰越欠損金の影響により法人税負担が軽減されていた影響により、4,587百万円(前連結会計年度比57.2%減)となりました。


各セグメントの業績、ならびに製品カテゴリー別の売上状況は以下のとおりです。

① 光学材料部品事業
(単位:百万円)

	前連結会計年度	当連結会計年度	増減率
売上高	29,048	28,778	△0.9%
営業利益	3,695	3,729	0.9%

(注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。

・ 売上高は28,778百万円(前連結会計年度比0.9%減)、営業利益は3,729百万円(前連結会計年度比0.9%増)となりました。
・ 光学樹脂材料の売上高は、ハイブリッドSVRの売上が増加した一方、従来品のSVRの販売は前連結会計年度を下回った結果、ほぼ前連結会計年度実績並みとなりました。
・ 光学フィルムの売上高は、前連結会計年度に引き続きノートPC向けの反射防止フィルムの販売が前連結会計年度実績並みに推移しましたが、一部顧客の事業撤退の影響があり、前連結会計年度実績を下回りました。
・ 光学ソリューションの売上高は、電子書籍端末用のパネル貼り合わせなどを受注したものの、下期に最終製品市場が低調に推移した影響を受け、ほぼ前連結会計年度実績並みとなりました。

② 電子材料部品事業
(単位:百万円)

	前連結会計年度	当連結会計年度	増減率
売上高	36,618	34,061	△7.0%
営業利益	7,715	6,376	△17.4%

(注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。

・ 売上高は34,061百万円(前連結会計年度比7.0%減)、営業利益は6,376百万円(前連結会計年度比17.4%減)となりました。
・ 接合関連材料の売上高は、下期にコンシューマーIT製品市場の環境が悪化したことに伴う需要の縮小や価格競争の激化に大きく影響を受け、前連結会計年度実績を大幅に下回りました。
・ 異方性導電膜の売上高は、スマートフォン、タブレットPCなどのディスプレイ向けは最終製品市場の成長減速の影響を受けましたが、ディスプレイ以外の用途向けでの採用が拡大したことにより、ほぼ前連結会計年度実績並みとなりました。
・ リチウムイオン電池2次保護素子の売上高は、大電流用製品などは販売が伸びたものの、主要な用途であるノートPCの市況が悪化し、前連結会計年度実績を下回りました。
・ マイクロデバイスの売上高は、プロジェクター向け無機偏光板、無機波長板などの無機材料の販売が堅調に推移したことにより、ほぼ前連結会計年度実績並みとなりました。

(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益7,599百万円を計上した一方で、有形固定資産の取得による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払等の要因により、前連結会計年度末に比べ197百万円減少し、当連結会計年度末では16,259百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は12,115百万円(前連結会計年度比9.2%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益7,599百万円、減価償却費2,977百万円及びのれん償却額1,799百万円の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6,537百万円(前連結会計年度比140.8%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得5,998百万円の支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,988百万円(前連結会計年度比56.7%減)となりました。これは主に自己株式の取得3,235百万円の支出、配当金の支払1,732百万円の支出によるものです。