マルホ株式会社 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2016年9月期)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用、損失並びに資産、負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われており、その時点で最も合理的と考えられる基準に基づいて実施しておりますが、実際の結果は見積りに内在する不確実性があるため、これらの見積りと異なることがあります。
(2)財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ30億69百万円増加し、1,375億54百万円となりました。その内訳は、流動資産の減少77億51百万円及び固定資産の増加108億21百万円であります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、870億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ77億51百万円減少いたしました。主な内容は、現金及び預金の減少93億68百万円及び商品及び製品の増加12億57百万円によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、504億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ108億21百万円増加いたしました。主な内容は、販売権の増加77億77百万円及び投資有価証券の増加18億30百万円によるものであります。
② 負債の部
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ3億22百万円減少し、375億69百万円となりました。その内訳は、流動負債の増加1億33百万円及び固定負債の減少4億56百万円によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、230億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億33百万円増加いたしました。主な内容は、未払金の増加33億82百万円及び短期借入金の減少26億26百万円によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、145億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億56百万円減少いたしました。主な内容は、長期借入金の減少3億93百万円によるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ33億91百万円増加し、999億84百万円となりました。主な内容は、利益剰余金の増加21億38百万円及びその他有価証券評価差額金の増加21億30百万円によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、69.7%となりました。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、767億22百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は74億24百万円(同3.4%減)、経常利益は74億83百万円(同4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は22億72百万円(同30.9%減)となりました。
① 医薬品事業
医薬品事業における売上高は700億74百万円(前年同期比4.6%増)となりました。売上高の主なものは血行促進・皮膚保湿剤「ヒルドイド」、抗ヘルペスウイルス剤「ファムビル」、アトピー性皮膚炎治療剤「プロトピック」及び痔疾治療剤「強力ポステリザン」であります。
売上原価は230億64百万円(前年同期比3.5%増)、販売費及び一般管理費は402億60百万円(同6.2%増)となったため、セグメント利益は66億81百万円(同1.9%減)となりました。なお、販売費及び一般管理費の内訳は、販売費126億23百万円(同4.1%減)、一般管理費(研究開発費を除く)96億17百万円(同26.3%増)及び研究開発費180億19百万円(同5.2%増)であります。
② その他の事業
その他の事業における売上高は67億73百万円(前年同期比1.8%増)となりました。これは、マルホ発條工業㈱のばね・先端部品・機械事業によるものであります。
売上原価は50億63百万円(前年同期比4.2%増)、販売費及び一般管理費は9億38百万円(同3.3%増)となったため、セグメント利益は7億72百万円(同12.9%減)となりました。
上記の他、当連結会計年度における営業外損益は、59百万円の利益(前年同期は5億31百万円の損失)となりました。
特別損益は、投資有価証券評価損12億65百万円などを計上したことにより、13億51百万円の損失(前年同期は44百万円の利益)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える主な要因は、以下のとおりであります。
① 主力製品の動向
医療用医薬品である血行促進・皮膚保湿剤「ヒルドイド」は、当社グループの連結売上高の5割を超える主力製品となっております。「ヒルドイド」に関して他の有力な競合品の出現や後発医薬品の伸長、その他の事情により売上高が減少した場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
② 医薬品行政の動向
定期的な薬価基準の引き下げ、医療保険制度の改革や後発医薬品の使用促進等による薬剤費抑制策の動向により、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
医療用医薬品業界においては、高齢化の進展による需要の拡大や医療技術の高度化による薬剤の単価増も想定されるものの、後発医薬品の使用促進や薬価の引き下げによる医療費抑制の更なる強化が見込まれ、市場規模としては概ね横ばいが予測されます。
その中で、重要課題を、「新たな標的分子の探索活動の推進」「将来のレギュレーションにも対応可能な供給基盤の構築」「重点領域の情報提供活動の更なる強化」「ケアサイクルの両翼を担う化粧品事業及び診断薬事業の積極的展開」「米国での商業化に向けた販売体制の構築」「欧州での新たな取り組みの推進とその方向性の確立」「経営資源をより戦略的に配分可能にする仕組みの強化」「人事制度の全社最適化の更なる推進」とし、皮膚疾患に関するニーズに幅広く対応することを目指してまいります。