有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VHDH (EDINETへの外部リンク)
リガク・ホールディングス株式会社 事業の内容 (2024年12月期)
(1) 当社グループの事業の概要
当社グループは、理科学機器の専門メーカーとして、1951年の創業から70年を超えるグループの歴史を通して、国内のみならず90ヵ国を超える世界各国において、X線回折、蛍光X線分析、X線イメージング等、X線技術を中心とした分析・計測機器の開発、製造、販売、サービス等の事業を展開し、当社グループは現在、当社とその国内外の連結子会社17社で構成されています。X線には、可視光線よりもはるかに短い波長(高いエネルギー)により物質を透過し、さらにX線を照射した物質との相互作用により二次X線である散乱X線や蛍光X線を発生させる特性があります。これらのX線の物理特性から得られる情報を測定・分析することにより、ナノスケールの微細構造を非破壊で解析し、物質の組成、結晶構造、含有元素等を特定・評価することができます。
これらのX線の物理特性を分析技術として応用し、製品化したX線分析・計測機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、半導体製造のためのプロセス・コントロール、ライフサイエンスの発展に寄与する医薬品の研究開発等、アカデミア、産業分野を問わず、幅広く利用され、科学技術の発展に伴うX線分析ソリューションへの需要の高まりにより、その市場が拡大しています。
(2) 当社グループの事業の内容
① 用語の意味当社グループの事業の説明では多くの専門用語が使用されますので、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載している用語を含めて、以下に示す一覧表にて説明いたします。
用語 | 意味 |
3D NANDメモリ | メモリセルを平面だけでなく、垂直にも並べた3次元構造のNAND型フラッシュメモリのことを指す。メモリセルを3次元構造に並べることで、チップ面積を増加させることなく大容量化することができる。 |
IC境界補正 | いくつかのICチップを組み合わせて1つの大きな検出器を作成する際に、各チップ間の境界で検出されるデータを補正し、全体として一つの正しいイメージを表示する仕組みを指す。 |
SiC | シリコン(Si)と炭素(C)で構成される化合物半導体材料を指す。 |
X線透過(イメージング) | X線画像及びX線を用いた断層撮影法を指す。 |
X線回折(XRD) | 結晶試料にX線を照射した際、X線が原子の周りにある電子によって散乱し、干渉した結果により起こる回折パターンから試料の結晶構造情報を得る手法を指す。粉末試料、加工材料試料等を解析することができる。 |
X線透過装置 | 様々な機械部品、電子基板、電子部品等のサンプルにX線を照射し、そのX線透過像から内部の構造や欠陥を非破壊で観察する装置を指す。 |
X線トポグラフ(トポグラフィ装置) | 結晶試料にX線を照射して回折するX線の強度を記録し、2次元マッピング画像として撮影・観察する、イメージング技術による非破壊評価の手法を指す。様々な結晶材料内の欠陥を視覚化し、品質をモニタリングする際に用いられる。 |
蛍光X線分析(XRF) | 波長分散型(WDX)とエネルギー分散型(EDX)に大別され、物質にX線を照射したときに発生する蛍光X線を利用して、定性分析や定量分析を行う元素分析手法のことを指す。 |
光学系 | 光線の性質を利用して、それを集中、発散、反射、屈折させるためのレンズ、反射鏡、プリズム等の器具や装置の総称を指す。 |
散乱データの可視化プロジェクト | X線回折で検出される散乱データが何を意味するかが分かるように、イメージとして可視化する仕組みを指す。 |
電子回折 | 結晶試料に電子線を照射するときに起こる回折パターンから試料の結晶構造情報を得る手法を指す。 |
分光素子 | 光学機器や光学系を構成する、入射した光線を波長毎に分けるレンズ、反射鏡、プリズム、フィルター、回折格子等を指す。 |
ラマン分光分析 | 試料にレーザー光を照射した際に発生するラマン散乱光を検出し、試料の化合物状態や結晶構造の情報を得ることでその分析を行う手法を指す。 |
② 分析・計測機器の開発、製造、販売及びサービス
当社グループは、X線技術を中心とした分析・計測機器の開発、製造、販売、サービス等の事業を展開しています。
当社グループは、X線発生装置、光学素子、X線検出器、解析ソフトウェア等、X線分析・計測機器の能力を左右する要素技術の研究開発に重点的に投資し、そうした要素技術をパーツ製品化した要素部品を自社で生産することにより、製品の高性能化、開発サイクルの短縮化、量産効果等を実現するアドバンテージを有しています。
当社グループの研究開発は、PhD学位保持者をはじめ、高度な専門性を有する約300名のX線技術者をグループ内に擁し、加えて世界各国の著名な研究機関とも緊密なパートナーシップを構築しています。こうして生まれる他社とは差別化された高度なX線要素技術力は、それらの要素部品を搭載する製品の技術優位性と市場競争力の源泉となっています。
当社グループは、自ら設計・開発するこれらの要素部品やそうした要素部品を搭載する分析・計測機器を製造するために必要となる機械部品や電子部品等を部品メーカーから直接あるいは商社を経由して仕入れするとともに、部品の製造や製品の組立ての一部を協力会社に外注委託しています。当社グループは、これらの部品や製品を仕入れし、それらから製造する分析・計測機器を大学や研究機関、企業の研究部門や品質管理部門及び製造部門等に販売しています。
また、当社グループが販売する製品は精密機械であり、高い精度を長く保持し、万一障害が発生した場合に迅速な修復対応を求める顧客のニーズに応えるため、既納製品に対する消耗品・交換部品の供給、ハードウェアやソフトウェアのアップグレード、修理・点検、予防保守契約、機器の移設サポート等のアフター・サービスを提供しています。
当社グループは、これらの顧客への製品の販売やアフター・サービスの提供を、地域に応じて直接あるいは代理店を起用して行っています。
③ 当社グループの事業の区分と各内容
当社グループの事業は「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントですが、その製品カテゴリーによる区分として、多目的分析機器事業、半導体プロセス・コントロール機器事業、部品・サービス事業の3つを設定しています。それぞれの事業の内容は以下に記載するとおりです。
イ 多目的分析機器事業
多目的分析機器事業では、以下のX線技術を利用する分析・計測機器の開発と販売を行っています。
X線技術 | 概要 | 主要な製品 | ||
X線回折 | 結晶試料にX線を照射した際に生じる回折パターンから試料の結晶構造情報を得る手法を用いて、物質の組成や結晶構造を分析します。X線回折機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、医薬品の研究開発等に利用されています。 | 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
超高速・超高精度 単結晶X線構造解析装置 XtaLAB Synergy-S
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蛍光X線分析 | 分析の分解能に優れる波長分散型と測定の迅速性に優れるエネルギー分散型の機器を開発・販売しています。物質にX線を照射した際に生じる元素特有の蛍光X線を利用して元素情報を得る手法を用いて、物質の含有元素の定性・定量分析を行います。蛍光X線分析機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、有害元素の適切な管理による環境規制への準拠等に利用されています。 | 走査型蛍光X線分析装置 ZSX Primus IV
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X線イメージング | X線の物質透過性を利用して、工業材料や工業製品の内部構造を非破壊で画像化します。X線イメージング機器(X線CT)は、工業材料や工業製品の研究開発や生産プロセスにおける品質管理に利用されています。 | 工業用デスクトップ 3DマイクロX線CT CT Lab HX
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ロ 半導体プロセス・コントロール機器事業
半導体プロセス・コントロール機器は、蛍光X線(XRF)、X線反射率(XRR)、X線回折(XRD)等の分析手法を組み合わせて、半導体ウェーハの汚染検査、薄膜評価、膜厚・密度測定、組成・結晶性評価、3次元形状測定等、半導体製造における様々なパラメータを測定し、プロセスをコントロールする工程で利用されています。個々のデバイスの欠陥を検知する半導体検査(Inspection)機器に対して、当社グループの製品は、デバイスの製造プロセスの品質を計測し、その改善に寄与することでデバイス製造の歩留まりの改善をもたらす、より高付加価値で、そのために高い需要成長が予測されている半導体計測(Metrology)機器です。当社グループの半導体X線計測機器は、世界大手の半導体メーカーのインライン品質管理や半導体製造機器メーカーの研究開発・品質管理等で役立てられています。
主要な製品 | |||||||
薄膜評価用蛍光X線分析装置 WaferX310
| インラインX線膜厚・密度モニター XTRAIA MF-3000
| インラインHRXRD/XRR計測ツール XTRAIA XD-3300
| 透過X線CD計測ツール XTRAIA CD-3200T
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ハ 部品・サービス事業
部品・サービス事業では、以下に掲げる様々な事業を展開しています。
事業 | 概要 | 主要な製品 | |
サービス | 顧客に販売した製品のアフター・サービスとして、消耗品・交換部品の供給、ハードウェアやソフトウェアのアップグレード、修理・点検、予防保守契約、機器の移設サポート等を提供しています。これらのアフター・サービスを製品のライフサイクルにわたって継続的に提供することを通して、長期的な顧客との信頼関係と定着率の高い顧客基盤の構築に貢献するとともに、販売製品のインストールベースの着実な増加がもたらすストック型のビジネスモデルを確立しています。 | - | |
要素部品 | 当社グループは、X線分析・計測機器の能力を左右するX線発生装置、光学素子、X線検出器、解析ソフトウェア等、その高度なX線要素技術力をパーツ製品化した各種要素部品について、自社の製品に搭載するほか、それを評価する他社の技術ニーズにも応えて、一部を外販しています。例えば、当社グループの先端多層膜ミラーは、半導体製造のためのEUVマスク検査機器に不可欠な技術パーツとして半導体製造機器メーカーに供給されています。 | EUV多層膜ミラー
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その他の分析機器 | 当社グループでは、X線技術を利用する分析・計測機器のほかに、熱分析・発生ガス分析装置、携帯型ラマン分光分析装置、水銀測定装置、動物用イメージング・モダリティ装置等の開発・販売を行っています。 | 示差熱・熱重量同時測定装置 TG-DTA 8122
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(3) 当社グループの概要等
当社グループは当社とその国内外の連結子会社17社で構成され、当社グループを構成しているこれらの各社の役割・取扱製品等は以下のとおりです。
当社グループの事業は「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は省略しています。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
グループ 会社名 (略称) | 有する機能 | 事業を展開する 国・地域 | 役割又は取扱製品 | |||||
経営管理 | 開発 | 製造 | 販売 | サービス | その他 | |||
所在地:日本 | ||||||||
RH | 〇 | 全世界 | グループ会社経営管理 | |||||
RC | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 全世界 | 理科学機器及びその要素技術製品 | ||
RLC | 〇 | 日本 | 精密機器の梱包及び運送 | |||||
NIC | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 全世界 | 水銀分析計 | ||
所在地:米州 | ||||||||
RAH | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 全世界 | 理科学機器及びその要素技術製品 | |
RdB | 〇 | 中南米 | 理科学機器(販売支援) | |||||
所在地:欧州・中東 | ||||||||
RESE | 〇 | 〇 | 欧州・中東・アフリカ | 理科学機器 | ||||
RUK | 〇 | 〇 | イギリス | 理科学機器 | ||||
RFR | 〇 | 〇 | フランス | 理科学機器 | ||||
RITE | 〇 | 〇 | 〇 | 全世界 | 理科学機器の要素技術製品 | |||
ROP | 〇 | 〇 | ポーランド | 理科学機器(単結晶X線構造解析装置) | ||||
MILabs | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 全世界 | 理科学機器(前臨床イメージング装置) | ||
RSI | 〇 | 〇 | イスラエル | 理科学機器(半導体X線計測装置) | ||||
所在地:アジア太平洋・中国 | ||||||||
RAPP | 〇 | 〇 | 〇 | アジア太平洋 | 理科学機器(販売支援) | |||
RBC | 〇 | 〇 | 中国 | 理科学機器(販売支援) | ||||
RSHC | 〇 | 〇 | 中国 | 理科学機器 | ||||
RPDA | 〇 | アジア太平洋 | 理科学機器及びその要素技術部品 | |||||
RIPL | 〇 | 〇 | インド | 理科学機器(販売支援) |
本項目及び「第2 事業の状況 6 研究開発活動」で記載している当社グループの各会社名は以下のとおりです。
会社名 | 略称 |
リガク・ホールディングス株式会社(当社) | RH |
株式会社リガク | RC |
理学ロジスティクス株式会社 | RLC |
日本インスツルメンツ株式会社 | NIC |
Rigaku Americas Holding, Inc. | RAH |
Rigaku do Brasil Ltda. | RdB |
Rigaku Europe SE | RESE |
Rigaku UK, Ltd. | RUK |
Rigaku France S.A.R.L. | RFR |
Rigaku Innovative Technologies Europe s.r.o. | RITE |
Rigaku Polska Sp.z o.o. | ROP |
MILabs B.V. | MILabs |
Rigaku Semiconductor Instruments Ltd. (注)1 | RSI |
Rigaku Asia Pacific PTE Ltd. | RAPP |
理学電企儀器(北京)有限公司 | RBC |
理学電企(上海)儀器有限公司 | RSHC |
Rigaku Portable Devices Asia Limited | RPDA |
Rigaku India Private Ltd. | RIPL |
Rigaku Innovative Technologies, Inc. (注)2 | RIT |
Applied Rigaku Technologies, Inc. (注)2 | ART |
Rigaku Analytical Devices, Inc. (注)2 | RAD |
Newton Scientific, Inc. (注)2 | NSI |
(注)1.Rigaku Semiconductor Instruments Ltd.は、2024年12月5日付でXwinSys Technology Development Ltd.から社名変更しております。
2.RIT、ART、RAD及びNSIは、2023年12月にRAHへ吸収合併しましたが、RAHの中の部門として残っているため、当略称は部門としての略称として使用しております。
事業の系統図は以下のとおりです。
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