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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LP98 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 三菱ケミカルグループ株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動


当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載しています。
当社グループでは、直接出資子会社ごとに、個々の事業特性に応じた評価基準を定めるなど、リスク管理体制を整備し、定期的にリスクアセスメントを実施しております。
また、当社は、当社グループ全体に影響のある重大なリスクを管理するため、グループ全体に対する統一的な評価基準も定めております。その基準をもとに各直接出資子会社が重大と認識したリスクについては、その管理状況や対応策について報告を受け、当社グループとしての対策についての議論及び直接出資子会社間の情報共有を行い、リスク発現の回避及び発現時における影響の最小化に努めています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、事業等のリスクは、これらに限定されるものではありません。

(1)グループ全体に影響のある重大なリスク
当社グループは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外に事業展開しております。当社グループの事業に関連する国・地域における紛争、テロリズム、内乱、暴動、デモ、治安悪化等の地政学的問題、法規制、税務、労働環境や慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等のカントリーリスク、大規模な自然災害、パンデミック、人材の採用・確保の困難、ユーティリティ供給不足等インフラの未整備、貿易摩擦などの経済や金融環境の変動等、国・地域固有のリスクなどが業績に影響を与える可能性があります。
近年は、環境などの社会的価値や健康、安全・安心への意識の高まり、バーチャルでのサービス享受の機会拡大等、個人の生活スタイルも大きく変容し始めており、企業においてもこのような環境変化への対応の誤りが新たなリスク要因になりうるなど、企業が直面するリスクも多様化、複雑化しております。
新型コロナウイルス感染症による影響については、一部の産業に回復の基調が見られ、また、日本を含む各国においてワクチン投与が開始されるという状況下、早期の経済正常化に対する市場の期待はあるものの、変異株の発現も認められており、依然重大かつ緊急性の高いリスクと考えています。
このような状況において、当社グループは「KAITEKI実現」というビジョンのもと、以下のような事項をグループ全体に影響のある重大なリスクとして認識し、そのリスク低減のための対策を取っています。

①事故・災害
当社グループは、製造設備の定期点検を確実に実施するなど、設備事故等の発生防止に努めています。しかしながら、製造設備等で発生する事故や震災を含む様々な自然災害による影響を完全に防止し、軽減することはできません。万が一、事故により、物的・人的被害や環境汚染等が生じた場合は、生産への影響や社会的信頼の低下等、業績に影響を与える可能性があります。また、自然災害による物的・人的被害又は社会インフラの重大な障害・機能低下が生じた場合は、当社グループの活動が長期にわたり影響を受けるなど、業績に影響を与える可能性があります。これらの緊急事態発生に備え、当社グループでは、事業継続計画(BCP)に基づく情報収集体制を整え、中核となる事業の継続や事業の早期復旧への取り組みを進めております。

②法規制・コンプライアンス
当社グループが行っている事業は、国内外の関連法規制を受け、その規制内容には保安安全、環境や化学物質、医薬品の安全対策、その他事業活動に関するものなど様々なものがあります。当社グループは、これらの法規制を遵守し、種々の事業活動を行っております。近年は、海外法令への対応が一層求められていることから、競争法、個人情報保護法、経済安全保障関連法、贈収賄防止法等に関する法執行機関の運用状況を注視するなどリスクの最小化に努めています。
それにもかかわらず、将来的に法令の大幅な変更や規制強化が行われた場合には、当社グループの活動の制限やコストの増加につながる可能性があります。また、万が一これらの法規制に違反し、刑事・民事上の責任を問われ、また行政処分を課された場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、コンプライアンスを“法令遵守”にとどまらず、企業倫理や社会の一般的ルールの遵守までを含めたより広い意味で捉え、ステークホルダーや社会からの信頼に応える企業であり続けるために、コンプライアンスを経営上の最重要課題と位置づけています。コンプライアンスを当社グループに着実に浸透させるために、企業行動憲章をはじめとする規則、基準を策定しその周知に努め、また各国・各地域に応じたコンプライアンス推進のための教育研修を行うとともに、その浸透度をモニタリングするための意識調査を行っています。また、各直接出資子会社においては、事業特性に合わせたコンプライアンス・ガイドブックの作成、階層別の教育研修・講習会などの啓発活動を実施しています。さらに当社及び各直接出資子会社に内部通報制度を設け、社外窓口を含むホットラインを整備しその積極的な活用を図っています。

③情報セキュリティ
当社グループが保有する企業情報及び個人情報については、厳正な管理に努めていますが、これらの情報の流出により問題が発生した場合は、競争力低下や社会的信頼の低下等、業績に影響を与える可能性があります。また、サイバー攻撃については、当社グループの情報システムに対する外部からの侵入を検知するシステムの導入や標的型攻撃メールに対する訓練など様々な防御策を講じておりますが、万が一、事業所のプラント制御系システムに問題が発生した場合等には、安全を確保するために生産量を調整するなど、業績に影響を与える可能性があります。

④人権
当社グループは、世界人権宣言、国連グローバル・コンパクト、国連のビジネスと人権に関する指導原則、及びISO26000などの国際規範に準拠した人権に対する基本的な考え方をグループ構成員に示すとともに、具体的な指針として「人権の尊重並びに雇用・労働に関するグローバルポリシー」を定めています。また、海外グループ会社においては、各国で適用される法令や人権に関する最善の慣行の遵守、従業員満足度の向上に努め、適切なバリューチェーン・マネジメントを構築しながら事業活動を展開しています。

⑤気候変動等環境課題
気候変動や資源・エネルギーをはじめとする環境課題の包括的な解決に向けて、当社グループは、サーキュラーエコノミーを重要な戦略と位置付け、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルや、人工光合成、バイオプラスチックといったキーテクノロジーを軸に、製造プロセス(原料調達~加工)から製品使用後に至るまでのライフサイクル全体を通じて、資源を有効利用する取り組みを推進し、最適化された循環型社会の実現をめざしています。また、温室効果ガス(GHG)排出削減や省エネルギー活動の推進など、気候変動関連の施策にも取り組んでいます。これらに加え、当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しており、情報開示の拡充に努めています。
一方で、当社グループが事業展開する各国において、炭素税の賦課や排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制が導入された場合、業績に影響を与える可能性があります。また、気候変動による自然災害の増加や渇水による水資源の不足等は当社グループの製造拠点に影響を与える可能性があります。

(2) 事業分野ごとのリスク
当社グループの製品の多くは、国内外の需要や製品市況、原油・ナフサ・ユーティリティ等の原燃料・材料の価格や調達数量、為替、関連法規制等によって影響を受ける可能性があります。事業分野毎に想定されるリスクは以下のとおりです。

①機能商品分野(機能商品セグメント)
機能商品分野の製品は、品質・性能面で絶えず高度化が求められており、市場ニーズに合致した製品を適時に開発・提供する必要があります。市場ニーズが当社グループの予想を超えて大きく変化した場合や、市場ニーズに合致した製品を適時に提供できない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、特定の地域やサプライヤーに依存している原材料もあり、複数購買化や代替原料によるリスク低減を図っておりますが、必要な原材料を適時に確保できない場合は業績に影響を与える可能性があります。

情報電子関連製品の中には、アジア等海外の製造メ-カ-から購入している製品も多く、複数購買化等のリスク低減を図っていますが、その生産拠点で災害その他の要因により生産が停滞するなど、製品供給体制に不測の事態が生じた場合は、業績に影響を与える可能性があります。また、各種フィルム、シート製品については液晶パネル等の需要に負うところが大きく、新規顧客の獲得及び新規用途の開発などによりリスク低減を図っておりますが、需要動向が予測以上に変化した場合は、業績に影響を与える可能性があります。

②素材分野(ケミカルズセグメント及び産業ガスセグメント)
素材分野では、ナフサ等の原料を大量に消費するとともに、製造プロセスにおいて相当量の電気や蒸気を使用しています。そのため、原油価格、原燃料又はナフサの需給バランス、為替レート等の影響による急激なナフサ・燃料等の価格変動に対し、製品価格の是正を十分に行うことができない場合又は製品価格の是正が遅れた場合は、業績に影響を与える可能性があります。このような事態に備え、ナフサ価格の動向に関する早期の情報収集、販売動向の予測に基づく生産計画の調整なども含めた在庫数量管理の徹底などを行っています。また、特定の地域やサプライヤーに依存している原燃料もあり、複数購買化によるリスク低減を図っておりますが、必要な原燃料を適時に確保できない場合は、業績に影響を与える可能性があります。さらに、世界的な景気後退や他社による生産能力増強等により、各製品の需給バランスが崩れ、設備投資に見合う収益、成果を上げられない場合などには、業績に影響を与える可能性がありますので、引き続き製造コストダウンによる競争力の確保、特許対応による知的財産の保護に努めています。
また、素材分野の製品には特定の取引先への依存度が高いものがあり、例えば、特定の鉄鋼メーカーへの依存度が高いコークス事業は、粗鋼の需給状況の大きな変動等により当該鉄鋼メーカーの粗鋼生産量が減少した場合はその影響を受けるなど、特定の取引先における需要等が、業績に影響を与える可能性があります。この対策として、コークス炉の高効率化による競争力の強化、輸出販売拡大のための出荷設備の増強など、最適な生産及び販売体制に向けた構造改革に取り組んでいます。

③ヘルスケア分野(ヘルスケアセグメント)
一般的に新薬の研究開発期間は他業種に比べて長期にわたる上、新薬が承認取得に至る確率も高くないことから、製品化の確度及び時期について正確な予測が困難な状況にあり、計画どおりに新薬を製品化できなかった場合には、業績に影響を与える可能性があります。新薬が製品化した場合においても、他社競合品との競争の激化により販売数量が減少した場合、新薬が広く普及した段階で新たな副作用等が報告されたことにより販売数量が減少した場合、特許満了時等に後発品が上市された場合、あるいは承認が取り消された場合などは、業績に影響を与える可能性があります。
また医薬事業において、定期的な薬価改定による薬価引き下げに対して、既存薬の販売数量拡大や合理化等の収益維持策が十分に達成されなかった場合や、各国の医療費抑制策の動向等によっては、業績に影響を与える可能性があります。
共同研究・開発、製品導出入、製造、販売など各種業務に関し各種業務の委受託を行っております。提携先との契約の変更・解消、提携先の経営環境の悪化及び経営方針の変更並びにこれら企業からの医薬品供給の遅延又は停滞が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。加えて、医薬中間体・原薬事業においては、薬価改定や顧客製品の特許切れ等により、顧客の医薬品の販売数量が減少した場合、業績に影響を与える可能性があります。

④サービス業務
エンジニアリングや物流といった当社グループのサービス業務を担う会社において、これらの会社は当社グループ外からの受注もあります。これらの顧客とは、日常的にコミュニケーションを取り、的確な顧客要望の把握、提案型営業の強化に努めておりますが、グループ内外の需要や市況等の大幅な変動が、業績に影響を与える可能性があります。


(3)その他のリスク
①有利子負債
当社グループは、成長・創造戦略とのバランスを考慮しつつ財務体質の改善に努めており、2021年度から2022年度を対象期間とする新中期経営計画「APTSIS25」Step1におきましても、有利子負債の着実な削減を目標としておりますが、今後の金利の上昇、当社グループの業績変動等に伴い格付けが低下した場合は、有利子負債にかかる支払利息が増加し、又は設備増強等のための資金調達が不可欠な場合には当社グループに不利な条件による資金調達を余儀なくされるなど、業績に影響を与える可能性があります。

②知的財産
当社グループは、第三者の知的財産権に対する侵害については、十分注意しておりますが、第三者から特許等への抵触を理由として差止訴訟、損害賠償請求訴訟等を提起された場合は、業績に影響を与える可能性があります。

③研究開発
当社グループは、企業の持続的成長を支える原動力は研究開発にあると認識し、従来から積極的に研究開発を進めており、今後についても長期的視点で計画的・継続的に安定した資源を投入していく方針です。しかしながら、これらの研究開発の結果が目標と大きく乖離した場合は、業績に影響を与える可能性があります。
また、AIやIoTといったデジタル技術が産業界全体のビジネスモデルやサプライチェーンに劇的な変化をもたらしていますが、この変化に適正に対応できない場合には、当社グループの競争力が低下し、業績に影響を与えるリスクがあります。そこでAI・IoT分野の技術を応用した新たな素材・医薬品開発などを推進し、競争力の維持・獲得をめざしています。

④買収、合弁、事業再編等
事業規模の拡大や事業ポートフォリオの変革をめざした国内外における合併、買収や合弁事業等を通じた事業展開が、当初期待していたシナジーその他のメリットを獲得できなかった場合や、そのための資金負担や合併、買収等の後に当社グループが想定していない新たな負債その他の問題が生じ又は発見された場合は、業績に影響を与える可能性があります。また、事業の選択と集中に伴い、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合には、業績に影響が及ぶ可能性があります。

⑤繰延税金資産
当社グループでは、過年度に生じた税務上の繰越欠損金を有しておりますが、予測される将来の課税所得の見積りに基づいて将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限って繰延税金資産を認識しております。将来課税所得の基礎となる将来の事業計画は、売上収益の予測及び原料価格の市況推移の見込みなど、経営者の判断を伴う主要な仮定により影響を受けます。当社はこれらの仮定は妥当なものと考えておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、将来の課税所得の結果が予測・仮定と異なる場合は、繰延税金資産の回収可能性の評価が異なる可能性があります。

⑥有価証券の評価
当社グループは、株式及び出資金については主にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性の金融資産に分類しており、その評価方法は活発な市場における無調整の公表価格もしくは合理的に入手可能なインプットにより、類似企業比較法等の適切な評価技法を用いて算定しております。これらの評価方法は適切な権限者に承認されており、当社は妥当と考えておりますが、観測可能な市場情報や発行企業の財務状況等の前提条件の変化により、公正価値が変動し、その他の包括利益や財政状態に影響を与える可能性があります。


⑦固定資産の減損
当社グループでは、大幅な業績の悪化や不動産価格の下落等があった場合は、減損損失が発生し、業績に影響を与える可能性があります。また、企業結合により取得したのれんは、減損テストを実施しておりますが、収益性の低下により、帳簿価額が回収可能価額を超過する場合は、減損損失が発生し、業績に影響を与える可能性があります。

⑧退職給付関係
確定給付制度債務は年金数理計算により算定しており、その前提条件には割引率等の見積りが含まれております。当社は、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、年金資産の公正価値の下落、金利環境の変動、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動により、業績に影響を与える可能性があります。

⑨在庫評価の影響
当社グループは、棚卸資産の評価を主として加重平均法による原価法で行っており、期中にナフサや重油等の原燃料価格が下落した場合は、期初の相対的に高価な在庫の影響により売上原価が押上げられ、損益に対するマイナス要因となります。一方、期中に原燃料価格が上昇した場合は、期初の相対的に安価な在庫の影響により売上原価が押下げられ、損益に対するプラス要因となります。このため、原燃料価格の変動は、業績に影響を与える可能性があります。また、収益性の低下に基づく簿価切下げを行った場合は、業績に影響を与える可能性があります。

⑩為替レートの変動
当社グループは、輸出入を中心とした外貨建取引に係る為替レートの変動による影響について、為替予約等を通じて短期的な影響を抑制するよう努めておりますが、短期及び中長期の為替レートの変動が業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、アジア、欧州、北米等、海外において生産・販売活動を展開しており、各地域における外貨建の売上、費用、資産等は、連結財務諸表作成のために円換算されています。これらの項目は外貨における価値が変わらなかったとしても、換算に使用する為替レートの変動に伴い円換算後の価値が変動するため、為替レートの変動が業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

⑪製造物責任
当社グループでは、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001等に従って各種製品を製造・販売しており、新製品上市時や品質改善時には、事前に製造物責任(PL)のリスク検討を確実に実施することでPL問題の未然防止を図っております。しかしながら、すべての製品について欠陥がなく、PL問題が発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については、PL保険に加入し、万一の事故に備えておりますが、賠償額が保険の補償範囲を超える大規模な製造物責任につながるような製品の欠陥が発生した場合は、業績に影響を与える可能性があります。

⑫訴訟等
当社グループは様々な事業を行っておりますが、事業活動を展開する又は事業再編・再構築を推進していく中で、取引先等の第三者から知的財産権や当社グループの製品等について訴訟の提起等を受ける可能性があります。これらの訴訟の結果を予測又は判断することは不可能であり、かかる訴訟が業績に影響を与える可能性があります。
なお、当社グループとノバルティス・ファーマ社(スイス)との間で仲裁手続が進行中である「ジレニア ロイヤリティ」のうち、同社が契約の有効性について疑義を提起している部分が、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」が定める収益認識基準の要件の1つである「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」を満たさなくなったため、売上収益の認識を行っておりません。

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