有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007QJQ
住友ファーマ株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、自社研究、技術導入、ベンチャーやアカデミアとの共同研究等あらゆる方法で、最先端の技術を取り入れて、研究開発活動に取り組んでおり、精神神経領域とがん領域を研究重点領域とし、革新的な医薬品の創製を目指しております。さらに、治療薬のない疾患分野や再生医療・細胞医薬といった新規分野において、世界に先駆けて事業展開を図ってまいります。
研究初期段階では、ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクス等に関する自社保有の先端技術等の活用により、研究効率の向上に取り組むとともに、iPS細胞等の最先端サイエンスを創薬や再生医療・細胞医薬に応用する取組を進めております。また、京都大学iPS細胞研究所と難治性希少疾患の治療薬の創製を目指した共同研究を推進中であり、産官学連携プロジェクトである「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」にも積極的に参加しております。
研究後期および開発段階では、研究重点領域および新規分野を中心に他の領域も含めて、グローバルな視点からグループ全体でのポートフォリオの最適化を行っております。加えて、製品価値の最大化を目指した剤形展開等の製品ライフサイクルマネジメントにも積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりであります。
(1) 精神神経領域
①「アプティオム」
米国において、部分てんかん発作の単剤療法を適応とした追加承認を昨年8月に取得いたしました。
② ルラシドン塩酸塩
日本において、統合失調症を対象とした新規第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。また、中国において、統合失調症を対象とした承認申請を昨年12月に行いました。
③ dasotraline(開発コード:SEP-225289)
米国において、注意欠如・多動症(ADHD)を対象とした第Ⅲ相臨床試験を進めておりますが、これに加えて、過食性障害(BED)を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。
(2) がん領域
① napabucasin
米国等において、胃または食道胃接合部腺がんを対象とした併用での国際共同第Ⅲ相臨床試験を進めておりますが、これに加えて、米国において、結腸直腸がんを対象とした併用での国際共同第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。また、日本において、悪性胸膜中皮腫を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の第Ⅱ相段階を開始いたしました。
② amcasertib(開発コード:BBI503)
米国において、卵巣がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験を開始いたしました。
③ DSP-7888
日本において、骨髄異形成症候群(MDS)を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の第Ⅱ相段階を開始いたしました。
(3) 再生医療・細胞医薬
① 再生医療
当社と株式会社ヘリオスとの合弁会社である株式会社サイレジェンが、商用を視野に入れた網膜色素上皮細胞の製法検討を開始いたしました。また、当社において、新規細胞生産設備の設置に向けた準備を進めております。
② 細胞医薬
米国において、サンバイオ社と共同でSB623について慢性期脳梗塞を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験を開始いたしました。
当社グループは、開発品の導入および研究提携にも積極的に取り組んでおります。当連結会計年度においては、国内の研究機関および研究者を対象に、当社の創薬研究ニーズと合致するアイデアを募集する公募型オープンイノベーション活動「PRISM」を開始いたしました。
当連結会計年度の研究開発費の総額は820億33百万円であります。
なお、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分しておりません。
当社グループにおける開発状況は以下のとおりであります。
(2016年5月11日現在)
開発段階 | 製品/コード名 剤形 | 一般名 | 予定適応症 | 国/地域 |
申請中 | ブロナンセリン 経口剤 | ブロナンセリン | 統合失調症 | 中国 |
アプティオム 経口剤 | eslicarbazepine acetate | (新効能)てんかん(単剤) | カナダ | |
SM-13496 経口剤 | ルラシドン塩酸塩 | 統合失調症 | 中国 | |
第Ⅲ相 | SM-13496 経口剤 | ルラシドン塩酸塩 | 統合失調症 | 日本 |
双極Ⅰ型障害うつ | ||||
双極性障害メンテナンス | ||||
BBI608 経口剤 | napabucasin | 結腸直腸がん(単剤) (注)1 | 米国・ カナダ・ 日本等 | |
胃または食道胃接合部腺がん (併用) | 米国・ カナダ・ 日本等 | |||
結腸直腸がん(併用) | 米国 | |||
SEP-225289 経口剤 | dasotraline | 成人注意欠如・多動症(ADHD) | 米国 | |
SUN-101 吸入剤 | グリコピロニウム臭化物 | 慢性閉塞性肺疾患(COPD) | 米国 | |
ロナセン 経口剤 | ブロナンセリン | (小児用量)統合失調症 | 日本 | |
ロナセン 経皮吸収型製剤 | (新剤形:経皮吸収型製剤)統合失調症 | |||
トレリーフ 経口剤 | ゾニサミド | (新効能)レビー小体型認知症(DLB)に伴うパーキンソニズム | 日本 | |
第Ⅱ/Ⅲ相 | EPI-743 経口剤 | バチキノン | リー脳症 (注)2 | 日本 |
SEP-225289 経口剤 | dasotraline | 小児注意欠如・多動症(ADHD) | 米国 | |
過食性障害(BED) | ||||
第Ⅱ相 | BBI608 経口剤 | napabucasin | 結腸直腸がん(併用) | 米国・ カナダ |
DSP-1747 経口剤 | obeticholic acid | 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) | 日本 | |
DSP-6952 経口剤 | 未定 | 便秘型IBS、慢性便秘 | 日本 | |
BBI503 経口剤 | amcasertib | 腎細胞がん、尿路上皮がん(単剤) | カナダ | |
肝細胞がん、胆管がん(単剤) | ||||
消化管間質腫瘍(単剤) | ||||
卵巣がん(単剤) | 米国 |
(注) 1 2014年5月に新規患者登録および登録済みの患者への投与を中止
2 第Ⅱ/Ⅲ相試験終了、今後の開発方針について検討中
開発段階 | 製品/コード名 剤形 | 一般名 | 予定適応症 | 国/地域 |
第Ⅱ相 | SB623 注射剤 | 未定 | 慢性期脳梗塞 | 米国 |
EPI-589 経口剤 | 未定 | パーキンソン病 | 米国 | |
筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 米国 | |||
第Ⅰ/Ⅱ相 | BBI608 経口剤 | napabucasin | 固形がん(併用) | 米国・ カナダ |
悪性胸膜中皮腫(併用) | 日本 | |||
肝細胞がん(併用) | 米国 | |||
膠芽腫(併用) | カナダ | |||
固形がん(併用) | 米国 | |||
BBI503 経口剤 | amcasertib | 固形がん(単剤) | 米国・ カナダ | |
肝細胞がん(併用) | 米国 | |||
固形がん(併用) | 米国・ カナダ | |||
DSP-7888 注射剤 | 未定 | 骨髄異形成症候群 | 日本 | |
小児悪性神経膠腫 | ||||
WT4869 注射剤 | 未定 | 骨髄異形成症候群 | 日本 | |
第Ⅰ相 | WT4869 注射剤 | 未定 | 固形がん | 日本 |
WT2725 注射剤 | 未定 | 固形がん、血液がん | 米国 | |
固形がん | 日本 | |||
DSP-2230 経口剤 | 未定 | 神経障害性疼痛 | 英国・米国日本 | |
SEP-363856 経口剤 | 未定 | 統合失調症 | 米国 | |
BBI608 経口剤 | napabucasin | 消化器がん(併用) | 米国・ カナダ | |
膵がん(併用) | 米国 | |||
血液がん(単剤・併用) | ||||
肝細胞がん(併用) | 日本 | |||
結腸直腸がん(併用) | ||||
DSP-3748 経口剤 | 未定 | 統合失調症に伴う認知機能障害 | 米国 | |
BBI503 経口剤 | amcasertib | 固形がん(単剤)、肝細胞がん(併用) | 日本 | |
BBI608+BBI503 経口剤 | ― | 固形がん(併用) | 米国 | |
DSP-7888 注射剤 | 未定 | 固形がん、血液がん | 米国 | |
DSP-1200 経口剤 | 未定 | 治療抵抗性うつ | 米国 |
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