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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100552E

有価証券報告書抜粋 前田建設工業株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度は、建築事業、土木事業及びその他事業を中心に研究開発を行い、その総額は1,811百万円余である。
(建築事業及び土木事業)
当社グループは、建築事業及び土木事業における研究開発活動を当社が中心に行っている。当社グループは、年々多様化・高度化する社会ニーズに対応し、受注及び生産性向上、品質確保など企業利益に直結する研究開発を重点的に推進している。特に「環境経営」を支える環境活動と災害復旧・復興・防災技術に関しては、全社をあげての取り組みを展開しており、研究開発においてもこれら環境関連分野及び防災・災害復旧関連分野に注力している。さらに、研究開発活動の幅を広げ効率化を図るため、大学、公的研究機関、異業種企業との技術交流、共同開発なども積極的に推進している。
また、当社は、事業に直結する短期的な技術開発を建築・土木両事業本部の技術開発部所で、中長期・基礎的な研究開発を技術研究所で主管する開発体制を構築し、それぞれで連携を密に取りながら、よりスピーディー、効果的かつ効率的な研究開発を実施している。
当連結会計年度における研究開発費は1,362百万円余であり、主な研究開発成果は次のとおりである。

(1)環境関連技術
近年、地下構造物が輻輳する大都市圏では、鉄道・共同溝・下水道・道路等を大深度地下に建設する工事が増加し、自然由来の重金属を含む地盤と遭遇する事例が増えている。2010年の土壌汚染対策法の改正により、自然由来の重金属についても厳格な取り扱いが義務付けられたことから、これらの工事における自然由来汚染土壌の処分方法が大きな課題となっている。当社では、泥水状の主にヒ素を含んだ掘削土砂に従来品と比較して重金属の吸着能力に優れた、大粒径(従来比6倍)の鉄粉を添加して、重金属類を鉄粉に吸着させた後、遠心分離と磁性分離の2段階鉄粉回収処理による重金属類の分離無害化工法を開発した。2段階鉄粉回収処理工法の採用により、鉄粉回収設備の小型化と大量連続処理を実現し、大幅なコストダウンを可能とした。既にパイロット試験を終了し、実大規模でのヒ素無害化分離処理の実証試験を進めている。今後は、フッ素、鉛、セレン等の自然由来重金属への適用拡大も併せて進める予定である。

(2)災害復旧・復興・防災技術
①除去土壌等輸送管理システム「(仮称)RATS」
現在、福島県内各地では除染作業で発生した膨大な除去土壌等が仮置きされている状態であり、除染の更なる推進や復旧・復興を加速させるためにも中間貯蔵施設への輸送が急務となっている。輸送にあたっては住民方々の生活環境や一般交通への影響が懸念されることから、輸送時の安全性と確実性を確保した上で輸送を円滑に遂行することが重要となる。当社では、除染により発生した除去土壌等を中間貯蔵施設へ安全かつ確実に輸送することを目的とした除去土壌等輸送管理システム「(仮称)RATS」を応用地質株式会社及び株式会社ケー・シー・エスと共同で開発した。「(仮称)RATS」は、車両位置のリアルタイム管理、路面や積載物の常時監視、運行履歴の記録、速度管理、運行ルートの管理及び積載物の全数管理によるトレーサビリティ等を行うことができるシステムである。さらに、加速度センサーのデータ等を集約し様々なシミュレーションを行うことで、渋滞緩和対策、交通安全対策の立案及びドライバーへの安全教育にも活用することが可能となる。現在、同システムを実装した車両にて試験的な輸送を実施しており、より安全確実な輸送を実現できるシステムへと改良を進めていく。
②既設戸建住宅に適用可能な地盤改良工法「Minyマルチ工法」
東日本大震災で発生した既設戸建住宅の液状化被害の再発を防止するため、復興交付金を活用し周辺道路と既設戸建住宅に対し一体的に液状化対策を行う「市街地液状化対策事業」が計画されている。その有効な対策工法のひとつに「格子状地中壁工法」がある。当社では、これまでに多くの適用実績があり東日本大震災でも高い液状化対策効果を発揮した「マルチジェット工法」(第16回国土技術開発賞入賞)をベースとする「Minyマルチ工法」を開発・実用化し、高圧噴射攪拌工法ではわが国初となる建築分野の「建設技術審査証明書(建築技術)」を一般財団法人日本建築センターより2015年2月に取得した。当工法は狭い敷地境界部などでも施工できるように施工マシンを超小型化し、ロッドの回転スピードに緩急をつけて楕円形の改良体を構築する技術を組み入れたことで、安定した品質で経済的かつ効果的な格子状地中壁の構築を可能とした。また、当工法は従来の高圧噴射撹拌工法が適用できる箇所全てで施工可能であり、既設戸建住宅以外にも既設インフラの耐震補強や液状化対策にも積極的に提案していく。
③病院防災能力簡易評価システム
東日本大震災以降、地震後の病院機能維持への関心が高まり、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定した大規模病院の割合は増加したものの、中小規模病院における策定割合は僅かとなっており、建築・設備などの対策も十分と言えないのが現状である。当社では、中小規模病院における現状の施設防災能力の把握と、BCPに有効な対策の効果を定量かつ簡易的に評価し、BCP策定を支援する「病院防災能力簡易評価システム」を開発した。当システムは、評価する建物の住所等の立地条件、建設年や規模などの建物条件及び設備や運用等に関する簡単な情報を入力することによって、その場で病院施設の地震災害に対する現状の防災能力とBCPに有効な対策効果を定量かつ簡易的に評価できるシステムである。当システムにより、無駄が無く費用対効果の高いBCP対策の導入が可能となる。今後は、病院以外の施設への展開も検討していく。

(3)建築構造物の高商品化技術
近年、市街地再開発地域での集合住宅の新たな建設や老朽化した集合住宅の建替えなどが増えており、建築プランや敷地利用の有効性などの点で板状型の集合住宅が注目されている。また、良好な眺望と明るい住空間を確保する要望に応えるために、バルコニー側開口部にハイサッシを設置する場合が数多くある。当社では、これらの要望に応えるために、扁平梁と間柱を組み合わせた中高層板状集合住宅(高さ60m まで)向けの鉄筋コンクリート構造「MARC-FBS(マーク エフ・ビー・エス)構法」を開発し、一般財団法人日本建築センターより一般評定を取得した。バルコニー側を扁平梁とすることで各階の高さを変更せずにハイサッシの採用が可能となり、その影響で減少する建物耐力を補うために、廊下側に構造耐力に寄与する間柱を設置した。20 階建ての板状集合住宅で扁平梁を採用した場合、従来はほとんどの場合で免震構造等の採用が必要であったが、当構法を採用することで免震装置を無くすことができコストダウンを可能とした。また、同じ建物高さの場合、扁平梁の採用により各階高を抑え、結果的に階数を増やす設計が可能となり、より多くの住戸数の確保、ひいては土地の利用価値向上を実現できる。今後は、当構法を中高層の板状集合住宅に積極的に適用し、より良好な住環境を提供していく。

(その他事業)
連結子会社である㈱前田製作所においては、産業・鉄構機械製造事業において環境負荷の低減、安全制御機能の付加、国内及び海外の市場ニーズに即したクレーンの研究開発に重点的に取り組んだ。
当連結会計年度における研究開発費は449百万円余となっている。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00051] S100552E)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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