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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AJAO

有価証券報告書抜粋 前田建設工業株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度は、建築事業、土木事業及び製造事業を中心に研究開発を行い、その総額は2,056百万円余である。
(建築事業及び土木事業)
当社グループは、建築・土木事業に関わる研究開発を当社が中心に行っている。当社グループは多様化・高度化する社会のニーズに対応するため、生産性や品質の向上など、社会的価値と事業価値の向上を同時に実現する研究開発を推進している。特に環境・エネルギー関連技術、防災・復興関連技術、都市インフラ施設の維持管理・高度化技術、ICT社会への対応技術などを、注力して取組むべき重要な技術分野として設定している。
また、総合的なソリューション技術やマネジメント技術の開発推進のため、グループ企業間の連携開発や、大学・公的研究機関・異業種企業との共同開発も積極的に推進している。
これらの多様な技術開発を実施するため、当社は事業に直結する短期的な技術開発を建築・土木両事業本部の技術開発部門が、中長期な革新的技術の開発や基盤的研究開発を技術研究所が各々主管し、相互連携を密に取りながら効率よく開発を推進する体制を構築している。
当連結会計年度における研究開発費は1,757百万円余であり、主な研究開発成果は次のとおりである。

①柱RC梁S構造の接合部の合理化とコストダウンを実現する「MaRCSⅢ構法」
当社ではこれまでに物流・商業施設を対象とした柱RC梁S混合構造を開発し「前田建設・錢高組・東洋建設式RCS接合構法―梁貫通型柱RC梁S構造の接合部構法―」(当社構法名:MaRCSⅡ構法)として2013年に日本建築総合試験所より建築技術性能証明(改定)を取得している。本構法は柱を圧縮力に強い鉄筋コンクリート造とし、梁を曲げに強い鉄骨造とした混合構造で、大スパンで大きな積載重量がある物流・商業施設に有利な構造形式であり、梁段差、直交梁段差、梁偏心にも対応できるようにしている。本開発年度では、当社単独で本構法のコストダウンと生産性向上を目的として、梁貫通型であった接合部の構造を改良して仕口部内の梁ウエブを省略し鉄骨の加工生産性を飛躍的に向上させた前田式柱RC梁S構造の接合構法「MaRCSⅢ構法」を開発し、日本建築総合試験所より建築技術性能証明を取得した。現在更なる鉄骨部材のサイズダウンを図った改良を行っており、2017年度前半に建築技術性能証明の改定を行う予定である。今後も物流倉庫、病院、商業施設を中心に積極的に「MaRCSⅢ構法」を展開していく。

②地中でのトンネル分岐合流部の構築を可能とする円形外殻工法「CS-SC工法」
都市部では地上の民家の密集や地下の輻輳化した利用により、トンネル同士の分岐合流を構築する際に地上からの開削ではなく地中の作業のみで施工されることが望まれている。当社ではトンネルの地中での分岐合流部の構築を可能とするCS-SC工法(Circular Shell structure system with Shield tunnels by Cuttablesegments)~切削セグメントシールドによる円形外殻工法~を開発した。本工法は、縦断方向の中口径シールドトンネル(外殻シールド)を連結して分岐合流部を包含する大断面の外殻部を構築し、安定性を確保した中でトンネル同士の切り拡げを行う工法であり、安全確実に施工を行うことが可能となる。特に透水性が高く自立性の低い地盤では、外殻シールドトンネル相互を連結する際に地山を露出させないことが重要であり、当社が2005年に開発した「切削セグメント」を用いることで、地山を露出させずに大断面の円形外殻シールドを構築することを可能とした。これまでに外殻部の周囲を凍結によって止水する大規模実験やセグメントを切削する大規模実験などを行い本工法の確実性、安全性を確認するとともに、2016年には本工法に関する特許を取得した。今後は道路トンネルや鉄道トンネルでの実施工に向けて、解析に基づく詳細設計や要素技術の試験等を行っていく予定である。

③コンクリートの乾燥収縮ひずみを抑制する材料とその配合技術
コンクリートの乾燥による収縮ひび割れは,コンクリート構造物の耐久性と美観に大きな影響を及ぼすため,その制御については従来から様々な取り組みが行われており,社会的要請は年々高まっている。そこで,当社ではコンクリートの乾燥収縮ひずみを0~-800μの範囲で制御する技術を,株式会社安藤・間,株式会社熊谷組,佐藤工業株式会社,戸田建設株式会社,西松建設株式会社および株式会社フジタと共同で開発した。本技術を用いたコンクリートは,乾燥収縮を低減する材料として石灰石粗骨材,収縮低減剤,膨張材,低発熱型セメントを使用し,その材料の組合せと使用量の調整により乾燥収縮ひずみを低減し,0~-800μの範囲で制御を可能とした。このコンクリートを用いた実大サイズの壁試験体およびデッキスラブ試験体により1年6ヶ月以上の長期観察を実施し,一般的なコンクリートを用いた試験体と比較して,ひび割れ抑制効果があることを確認している。
今後は,乾燥収縮によるひび割れの抑制を要求されるコンクリート構造物に,積極的に提案・適用を進めていく。

④トンネルクラウン部の覆工コンクリートを高密度で充填するライニングシステム「HDL工法」
当社は、これまでトンネル覆工コンクリートの品質及び耐久性向上のための技術開発に取り組んでおり、コンクリート打設から締固め・養生までの一連の作業をシステム化した「前田覆工マルチ工法」を開発し多くの施工実績を重ね、トンネル覆工の高品質化にむけて業界をリードしてきている。本開発年度は覆工コンクリートのさらなる品質向上をめざし、トンネルクラウン部密充填ライニングシステム「HDL工法」を開発した。「HDL工法」は天端部に多機能型スライド式型枠を設置してコンクリートを密充填圧入する工法で、より高い圧力で均質・高密度のコンクリートを打設することを可能にする。また、「HDL工法」では天端部吹上口からの打設時間が30分に短縮され、コンクリートの流動性を確保できるほか、スライド式型枠に設置したウェブカメラによりコンクリートの充填状況をリアルタイムで確認できるため、確実に高密度のコンクリートを打設することが可能となる。さらには「覆工マルチ工法」と「HDL工法」を組合せることで、作業の省人・省力化を図りながらトンネル覆工の高品質・長寿命化を実現することができる。今後も覆工に限らず、トンネル工事全体の生産性向上にむけた技術開発に取組む予定である。

⑤スマートグラスを利用した生産性革新技術
施工現場での品質管理業務において、これまでは膨大な図面情報や協議内容、仕様書の内容等について必要な情報を現場で確認する必要があった。この情報を得るのに多くの手間がかかっており、後から手戻りの原因になる場合もあった。近年ではスマホやタブレットPCなどを建設現場に持ち出し確認する事例も増えたが、足場や不安定な場所での確認作業が多く、施工管理の職員にとってタブレット端末などを持ちながらの確認は危険を伴うものである。また将来的には施工に携わる職人も使用することも考え、ハンズフリーの状態で作業できる情報参照ツールが必要と考えた。当社ではこの課題を解決するため、最近製造業でも活用が進んでいるスマートグラスを建設業に導入し、必要な場所で必要な情報を得ることのできるツールの一つとして、スマートグラスの活用可能性を検討した。具体的には、必要な場所でマーカーを見たり音声で呼び出したりすることで、必要な資料をスマートグラスに表示して確認することができるシステムを開発した。これにより、現場に居ながらハンズフリーで多くの品質管理業務を行う事が可能となり、業務効率の向上と施工品質の向上、及び安全性の向上に寄与することが期待できる。今後、開発したシステムを実際の現場で試行しながら不具合の検証を行い、ニーズに適合したより便利な機能を付加するなど、システムの向上を図っていく予定である。


⑥近赤外線を用いたインフラ構造物の非破壊・非接触塩害調査システム
コンクリート構造物の塩害劣化を調査する場合、構造物からコアを抜き採取した試料を分析することで塩化物イオン量の測定を行うのが一般的である。しかし、この方法では構造物にダメージを与えてしまうこと、分析に多くの時間と費用を要することが課題である。このような観点から、調査箇所は数箇所程度に限られることもあり、構造物全体としての健全性の診断を十分に行えない可能性がある。当社ではこの課題を解決すべく、コンクリート表面の塩分量を非破壊・非接触で測定する装置および検査システムを株式会社トプコンと共同で開発した。本システムは、コンクリート表面からの反射光のうち近赤外領域の分光スペクトルから表面塩分量を推定することを特徴としており、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートだけでなく、高炉B種セメントやフライアッシュB種セメントを用いたコンクリートでも計測が可能である。本システムを用いることにより、構造物を傷つけることなく簡便に広範囲のコンクリート表面塩分量のマッピングを行うことができるため、潜在的に塩害劣化の危険性が高い箇所を把握することができ、インフラ構造物の長寿命化を図ることが期待できる。
今後は、適用案件を増やしながらユーザビリティの向上等を進め、インフラ維持管理分野における事業展開を検討していく。

(製造事業)
連結子会社である㈱前田製作所においては、産業・鉄構機械製造事業において環境負荷の低減、安全制御機能の付加、国内及び海外の市場ニーズに即したクレーンの研究開発に重点的に取り組んだ。
当連結会計年度における研究開発費は299百万円余となっている。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00051] S100AJAO)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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