シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DBDO

有価証券報告書抜粋 前田建設工業株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当連結会計年度は、建築事業、土木事業及び製造事業を中心に研究開発を行い、その総額は2,433百万円余である。
(建築事業及び土木事業)
当社グループは、建築・土木事業に関わる研究開発を当社が中心に行っている。当社グループは多様化・高度化する社会のニーズに対応するため、生産性や品質の向上など、社会的価値と事業価値の向上を同時に実現する研究開発を推進している。特に最新のICTやIoT、AI、自動化技術を駆使した革新的な生産性向上技術、環境・エネルギー関連技術、都市インフラ施設の維持管理・高度化技術、ICT社会への対応技術などを、注力して取組むべき重要な技術分野として設定している。
これらの多様な技術開発をより効果的に実施するため、従来の組織間の隔たりを無くして多次元的な管理を行うマトリックス組織により技術開発を実施している。
また、近い将来、建設業は大きな変革を迎えると考えられ、技術開発においても激しい変化に対応できる多様性と迅速性が求められており、大学や公的研究機関・異業種企業との技術協力や共同開発などのオープンイノベーションを積極的に推進している。
当連結会計年度における研究開発費は2,071百万円余であり、主な研究開発成果は次のとおりである。

①オープンイノベーション推進型の新技術研究所を創設、2018年度内のオープンに向けて鋭意準備中
茨城県取手市に現在建築中の新たな研究開発施設は、2018年度の完成予定である。新技術研究所は「Hub Space for Open Innovation」をメインコンセプトに様々な「協創の中核の場」を担うことを狙いとしている。情報や通信技術、AI技術をはじめとする様々な技術が高度化している現在、一社のみでの革新的な技術開発は非常に困難である。新技術研究所は、最新の基盤実験施設の導入に加え、異分野の企業・技術者との連携を進め、技術と知の融合を促す「協創のための開かれた空間:オープンラボ」としての様々な機能を整備し、ベンチャー企業をはじめとする国内外の多様な「開発パートナーの実験場」として開放することで、連携・協業による開発を加速させる環境を整える。
既に運用の成果が見えつつあるベンチャー企業への投資スキーム「Maeda SII」と共に、新たにベンチャー企業との連携促進団体も設立し、新技術研究所は「資金・知・場」のイノベーション創出の仕掛けを有機的に組合せ、国内外のベンチャー企業や異業種、大学等とのボーダレスな連携・協業を促す。そして、様々な埋もれた技術をスピーディに市場に投入する「ハブ&エンジン」として、「CSV経営」の目的である「社会が抱える課題の解決と自社の成長」を強力に推進するべく、現在、オープンに向けて鋭意準備中である。

②インフラの維持管理技術
老朽化する社会インフラの増大、一方で厳しい財政状況や熟練技術者の減少という状況の中、適切な維持管理による長寿命化や維持管理・更新のトータルコストの縮減・平準化を図るためには、新技術を活用した維持管理サイクルの構築が必要である。そのためにも、点検や診断の補助や、補修・補強効果の確認等を目的としたモニタリングシステムの導入が期待される。当社は維持管理技術を開発ならびに修得する活動の一環として、モニタリングシステム技術研究組合(RAIMS)に参画している。RAIMSでは、道路・高速道路の管理者、ゼネコン、建設コンサルタント、電気・通信メーカー、センサ・設備メーカーと各分野の専門家が総力を結集し、各分野の強みを発揮しあい、管理者のニーズに合致した最先端のモニタリングシステムを現場で実証し、早期に実用化することを目指している。組合活動の成果は2018年度にガイドラインとしてまとめる予定である。このRAIMSの活動で得たモニタリングに関するノウハウ等の成果を、当社がコンセッション事業として取り組んでいる道路運営事業等に反映することで、より効率的な維持管理を行い、維持管理コスト低減に貢献していく。

③山岳トンネル工事の安全と生産性を向上する「鋼製支保工建込みロボット」
当社は、古河ロックドリル(株)、マック(株)と共同で、切羽に作業員が立ち入ること無く、山岳トンネル用鋼製支保工を設置することが可能な「鋼製支保工建込みロボット」を開発した。本技術は、支保工に装着した測量用プリズムや後方に設置した自動追尾型トータルステーションなどで構成された「支保工位置ナビゲーションシステム」と支保工の位置を微調整することが可能な「高性能エレクターマシン」により、運転席からの操作のみで高精度な支保工の建込みを実現できる。また、ワンタッチ式クイックジョイントによる天端継手締結や支保工を把持しながらコンクリートを吹付ける事により、作業員の切羽立入が不要となる。本技術の導入により、標準的な施工では、オペレーター1名と切羽に立ち入る作業員4名が必要となるところを、オペレーター1名のみで機械作業が可能となるため、大幅な省人化と施工サイクルの短縮による生産性向上を実現すると共に、切羽肌落ち災害の撲滅に貢献できる。今後、山岳トンネル工事現場へ本技術を積極的に導入していく。

④新築のみならず改修工事も合わせたダブルZEB技術
当社は、新築のみならず近年増加する改修工事もあわせたZEBの実現に取り組んできた。改修では、大型複合施設の「ZEB Ready(ゼブ・レディー)化総合改修事業」のコンサルティング・設計を行い、窓ガラス高断熱化と照明をLED化することによる空調負荷削減と、中央式熱源を再設計する経済的な熱源高効率化を、複合的に行うなどの高度な省エネルギー改修技術を導入した。新築では、自社の新技術研究所オフィス棟の設計において、BELS認証制度(建築物省エネルギー性能表示制度)の「☆☆☆☆☆」、かつ「ZEB」という最高ランクの第三者認証を取得した。本オフィス棟では、井水を利用した井水熱源ヒートポンプと天井放射空調システムを主体としたタスク&アンビエント空調、様々な方位からの風を捕まえる自然換気システム、電動式制御による外付けブラインド、屋上および南壁面への太陽光発電パネルなど、建設地の自然環境と高効率設備機器を最大限に活用する多様な環境技術を実装する事により、国内トップレベルの省エネルギー性能として、一般的なオフィスビルに比べて一次エネルギー消費量を77%削減した。太陽光発電による創エネルギーによりZEBを実現するものであり、経済産業省が定める「ZEBリーディング・オーナー」にも認定され、また「ZEBプランナー」としても登録を認められるなど、当社は、設計・施工・事業者それぞれの分野においての「ZEBリーディング企業」を目指していく。

⑤汎用的なコンクリートポンプ車を用いた遠隔操作インフラ点検ロボット
当社は、(株)ヤマコンおよびグループ会社の(株)前田製作所の協力により、全国のコンクリートポンプ車の9割以上に適用できる汎用的な遠隔操作インフラ点検ロボットを開発した。本技術は、コンクリートポンプ車のブームを多関節アームとして用い、点検者が簡単に近づくことができない箇所にもカメラや各種点検機器を近接させ、遠隔操作で点検や検査を行うことを可能としたものである。ブーム先端には2方向に回転が可能な装置を搭載しており、4段ブームの車両であれば合計7つの回転軸により、インフラ構造物の点検箇所に精度良く近接し、点検機器をセットすることができる。橋梁の点検では、足場や大型の橋梁点検車が必要となることにより、多くの時間やコストがかかる場合があるが、本点検ロボットは、汎用のコンクリートポンプ車に簡易なアタッチメントを取り付けるだけで、橋梁上部から床板下面を観察することが可能となり、コストを3割程度削減することができる。さらに、地震などの災害時や緊急時には、全国にあるコンクリートポンプ車に安全かつ容易に取り外しすることができるため、機動的にインフラの被害状況を確認することも期待できる。当社が取り組んでいる道路運営事業における業務効率化を図るとともに、広く、コンクリートポンプ車を所有する企業に活用していただき、全国の社会基盤の維持管理コスト低減に貢献していく。

⑥低炭素型セメント結合材の利用技術-多成分からなる結合材を用いた低炭素型のコンクリート
低炭素社会の構築に向けた取組みとして、ポルトランドセメントの一部分あるいは大部分を高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの混和材で置き換えたコンクリートの利用が注目されている。混和材を多量に用いたコンクリートの実用化を進めるためには、信頼性の高い品質評価方法と適切な設計施工方法の確立が不可欠である。そこで当社は、国立研究開発法人土木研究所、大成建設(株)と共同で、日本国内で一般的に用いられているセメントと比較して混和材の置換率を高めて材料製造時の二酸化炭素排出量を削減した結合材を「低炭素型セメント結合材」と定義し、これを用いたコンクリート構造物の設計施工方法を確立した。また、ポルトランドセメントの75%あるいは90%を2~3種類の混和材で置換した低炭素型のコンクリートの設計及び施工について標準的な方法を示した「多成分からなる結合材を用いた低炭素型のコンクリートの設計・施工マニュアル(案)」を提案した。この低炭素型のコンクリートを使用することによって、コンクリート構造物の構築に必要となる材料の製造時に発生する二酸化炭素の相当量を削減できることが期待される。

(製造事業)
連結子会社である(株)前田製作所においては、産業・鉄鋼機械等関連事業において環境負荷の低減、安全制御機能の付加、国内及び海外の市場ニーズに即したクレーンの研究開発に重点的に取り組んだ。
当連結会計年度における研究開発費は361百万円余となっている。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00051] S100DBDO)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。