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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G4IW

有価証券報告書抜粋 前田建設工業株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当連結会計年度は、建築事業、土木事業及び製造事業を中心に研究開発を行い、その総額は3,994百万円余です。
(建築事業及び土木事業)
当社グループは、建築・土木事業に関わる研究開発を当社が中心に行っています。当社グループは多様化・高度化する社会のニーズに対応するため、生産性や品質の向上など、社会的価値と事業価値の向上を同時に実現する研究開発を推進しています。特に最新のICTやIoT、AI、自動化技術を駆使した革新的な生産性向上技術、環境・エネルギー関連技術、都市インフラ施設の維持管理・高度化技術、ICT社会への対応技術などを、注力して取り組むべき重要な技術分野として設定しています。
これらの多様な技術開発をより効果的に実施するため、従来の組織間の隔たりを無くして多次元的な管理を行うマトリックス組織により技術開発を実施しています。
また、近い将来、建設業は大きな変革を迎えると考えられ、技術開発においても激しい変化に対応できる多様性と迅速性が求められており、大学や公的研究機関・異業種企業との技術協力や共同開発などのオープンイノベーションを積極的に推進しています。
当連結会計年度における研究開発費は3,589百万円余であり、主な研究開発成果は次のとおりです。

①次世代技術の研究・開発を担う実験施設を備えベンチャー企業に「場・知・資金」を提供するワンストッププラットフォーム「ICIラボ」の開設
当社は、2019年1月に創業100周年を迎え、次の100年へ向けた成長の礎となる先進技術の研究・開発を担い、オープンイノベーションの思想のもと、多様なパートナーとの協創により革新的技術や新ビジネスの実現を目指す場「ICI総合センター ICIラボ※1」(新技術研究所、茨城県取手市)を2019年2月15日にオープンしました。最先端かつ独創的な研究・実験・設備に加え、ベンチャー企業などが目指す新事業を社会実装させ、ともに成長するトータルシステム「場・知・資金」を備えた、イノベーション創出のためのワンストッププラットフォームとして誕生させました。

※1「ICI」とは、Incubation(孵化)×Cultivation(育成)×Innovation(革新)の頭文字からなり、様々な社会的課題に対し市場経済下での解決を請け負うことをビジネスとするために必要な「価値創造」と「人材育成・深耕」のための新拠点とする理念を表現しています。

今後のインフラマーケットは、ハード面では新設から維持更新へと変化していくとともに、CPS社会※2への進展を背景に、医療やロジスティクス、エネルギー、情報インフラなどを含めた広義の社会インフラを統合的に扱い、Society5.0に対応した新次元の社会を目指すマーケットへと移行していきます。ここではICT、AI、IoT、ロボット技術など主にベンチャーが取り組む先進技術やサービスを活用し、革新的な技術開発と事業創造を行うことが必須の課題となります。
「ICIラボ」は、革新的な事業を目指すベンチャーとの連携を進めるとともに、ベンチャー自身が成長するための「協創のための開かれたプラットフォーム」としての様々な機能「場・知・資金」を有しています。「場」としては、幅広い最新の基盤実験施設を導入し、これらを「国内外の多様な開発パートナーの実験場」として開放するとともに、先進的オフィスを職員と同様に自由に利用できます。更に、当社の現場や「愛知アクセラレートフィールド※3」などと連携し、実施工・実構造物での実証の場を提供します。「知」としては、技術、知財、起業、経営、文化などあらゆる分野にわたる数百の外部専門家をティーチィングパートナーとして迎えます。協創者は、彼らの支援を受けることが出来るとともに、当社のAI・IoTセンターの専門家により、先端のAIシステムの実装支援が受けられます。また、複数の当社職員がインキュベーションマネージャーの資格を取得しており、ベンチャーの起業・事業拡大の支援を行います。「資金」では、市場からの資本調達が困難なスタートアップ企業の経済支援スキーム「MAEDA SII※4」を積極的に運用していきます。
今後の中長期的な経営環境の変化を見据え、「ICIラボ」を協創パートナーがともに成長・飛躍し、多様な社会課題を解決していくための当社の重要なCSV経営プラットフォームと位置付けています。

※2「CPS(CYBER-PHYSICAL SYSTEM)」とは、実世界にある多様なデータをセンサーネットワークなどで収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して分析/知識化を行い、そこで創出した情報/価値によって、産業の活性化や社会問題の解決を図っていくものです。

※3「愛知アクセラレートフィールド」とは、当社が出資者の代表企業となっている愛知道路コンセッション(株)が、愛知県有料道路運営事業において、新技術を実証する仕組みです。ベンチャー企業や大学などの先進技術保有者に、愛知道路コンセッション(株)が運営する有料道路のインフラ施設を技術実証フィールドとして無償で提供しています。詳細は愛知アクセラレートフィールドのホームページをご確認ください。(https://www.acceleratefield.com/)


※4「MAEDA SII」とは、社会・地球環境に関する課題解決ベンチャーへの投資スキームです。ICTやIoT、ロボット分野をはじめ、革新的な技術や知識を持ちながら、市場からの資本調達が困難なスタートアップの方々を資金面から支援し、事業を経済活動に昇華させる取り組みです。単なる経済支援だけでなく当社もともに技術開発を行うなど、より強力に社会的課題の解決に取り組むことでオープンイノベーションを実現します。

②高知工科大学と包括的連携協定を締結、革新的アイデアや技術を迅速に社会実装へ
高知工科大学(高知県香美市、学長:磯部雅彦)と当社は、社会的課題の解決や社会インフラ分野における科学技術の振興と発展に寄与することを目的とした包括的連携協定を結びました。両者が保有する革新的なアイデアや技術を迅速に社会実装することを目指してお互いをサポートする体制を構築します。当社は、多様なパートナーとの協創により革新的技術や新ビジネスの実現を目指す場として、2019年2月に「ICIラボ」を開設しており、ここを拠点に高知工科大学の「知のネットワーク」と「発想力・空想力」、さらには様々な協創パートナーの力を結集し、社会課題の解決を強力に推進していきます。

③「ICIラボ」エクスチェンジ棟がLEED V4 BD+C NCでプラチナ認証国内第一号取得
「ICIラボ」のエクスチェンジ棟において、国際的な建築の環境性能評価システム「LEED V4 BD+C New Construction」※5 の最高評価となるプラチナ認証を、国内第一号で取得しました。
V4はLEEDの最新バージョンで、旧バージョンとなるV2009に比べると飛躍的にハードルが高くなっています。LEED V4におけるBD+C New Constructionでのプラチナ認証は、未だ全世界で10プロジェクト程度しか無い中、エクスチェンジ棟は、新しいMAEDAの姿を実現するための新拠点「ICIラボ」の管理中枢機能を受け持つ先進的オフィスとして、省エネ性・環境性から資材調達に至る環境性能が評価されるとともに、特にZEB(Net Zero Energy Building)の実現と、執務者への開放的で、快適なオフィス空間・環境による知的生産性の向上を両立させる計画が認められ、この度の認証となりました。

※5「LEED V4 BD+C New Construction」
LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)は、米国グリーンビルディング協会(USGBC:US Green Building Council)が開発及び運用を行っている建物と敷地利用についての環境性能評価システムで、省エネと環境に配慮した建物・敷地利用を先導するシステムです。BD+Cは、Building Design and Constructionで、新築または大規模改修を行う建物全体を評価するもので、その中の新築版(New Construction)です。また、評価は最高レベル「PLATINUM」から「GOLD」「SILVER」「CERTIFIED(標準認証)」の評価レベルが定められており、今回取得したV4は現段階の最新バージョンとなります。

④高精度で自由な形状の造形物をつくる自動打設モルタル積層造形システムを開発
3Dプリンティング技術と呼ばれる積層造形(Additive Manufacturing)の技術は、プラスチック、セラミック、メタル合金、紙など、多くのものに適用されています。近年は、セメント系材料をポンプで押し出しながら造形機械によって積層させて構造物の部材などを造形するモルタル積層造形技術が、海外を中心に住宅や橋などの構造物に対して実際に適用された事例が報告されています。
当社では、数年前よりモルタル積層造形技術の研究開発に取り組み、室内用のモルタル積層造形システム(門型、造形範囲:幅450×長さ600×高さ900mm)を製作してセメント系材料を開発しました。この特殊なセメント系材料は、適度な粘性があり圧送性、造形性(流動性)に優れ、圧送後はその形状を保持して自立するとともに積層による自重によって変形することがありません。この材料を用いて様々な形状の造形物をつくることに成功しており、材料表面の状態もダレのない良好な美観に仕上がることを確認しています。そして現在、研究開発の過程で得られた知見に基づき実施工用のロボットアーム型モルタル積層造形システム(造形範囲:幅2,000×長さ2,000×高さ3,000mm)を製作、「ICIラボ」に導入し、更なる開発に取り組んでいます。

⑤CLT材のプレカットと精密彫刻が可能となる大規模木造用ロボット加工機を「ICIラボ」に設置
~恐竜骨格標本の複製で性能を実証~
千葉大学と共同で、BIM(Building Information Modeling:建築3次元モデル)のデータから大規模木造建築に使用するCLT材※6などの構造材を自動加工できる多関節ロボット加工機を開発し、「ICIラボ」に設置しました。
今回開発され設置されたロボット加工機は、産業用多関節ロボット(ファナック製)2基と専用の搬送台で構成され、材料の縦置きによる同時両面加工の実現により、比較的小面積での設置が可能であり、CLT材をはじめとする新しい材料の加工に対応します。また、先端ツールを交換し3次元データを用いた彫塑的な(ミリング)加工を行うことも可能で、これにより伝統建築における意匠的な装飾を施した材料などの自動加工についても、BIM三次元データから一気通貫で加工が可能です。「ICIラボ」のネスト棟(木造)では、本加工機でカットした材料を構造材として使用しました。さらに精密彫刻の性能実証を目的とした恐竜骨格標本の複製製作を福井県立恐竜博物館・福井県立大学恐竜学研究所監修の下で行い、「ICIラボ」開所時より展示しています。
※6「CLT(Cross Laminated Timber)」とは、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料です。厚みのある大きな板が製作でき、建築の構造材として使用されます。

⑥地中拡幅工事の円形外殻工法「CS-SC工法」のコア技術「円周シールドの推進機構」を実証
当社が開発した「CS-SC工法」は、既存トンネルの外周に構築する円周シールドを発進基地として、縦断方向のシールドトンネル(外殻シールド)を連結して外殻部を構築する工法であり、以下の3つのコア技術で構成されます。
(1)既設セグメントに沿わずに土中で方向制御が可能な円周シールド工法
(2)止水補助工法として最も信頼性が高い地盤凍結工法であるセグメントフリーズ工法
(3)地山が露出しないセグメント切削シールド工法
円周シールド工法は、既設セグメントをガイドとして施工するこれまでの円周シールドとは異なり、既設セグメントから離れた土中に外殻シールド発進用の大空間を構築します。現在、円周シールド工法の実証試験を進めており、3つのコア技術のうち「セグメントフリーズ工法」「セグメント切削シールド工法」は実証が済んでいるため、本工法の実証により、地中拡幅工事における円形外殻工法の技術をより確実なものにしていきます。

(製造事業)
連結子会社である(株)前田製作所においては、産業・鉄鋼機械等関連事業において環境負荷の低減、安全制御機能の付加、国内及び海外の市場ニーズに即したクレーンの研究開発に重点的に取り組みました。
当連結会計年度における研究開発費は405百万円余となっています。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00051] S100G4IW)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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