有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007VZ7
参天製薬株式会社 業績等の概要 (2016年3月期)
(1)業績
IFRS(フル)ベース
参天製薬グループでは、日本、アジア、欧州および米国などで事業を展開しています。また、参天製薬株式会社の株主構成は、外国人投資家の株式保有比率が40%を超える高い水準となっています。これらの状況を踏まえ、資本市場において、財務情報の国際的な比較性向上を目指し、前連結会計年度末より国際会計基準(以下、IFRS)を適用しています。
日本基準とIFRSとの主要な差異は次のとおりです。
(表示科目)
・IFRSの「売上収益」は、日本基準での「売上高」に相当します。
・IFRSの「営業利益」は、日本基準での「営業利益」と異なり、従来の営業活動に関する利益に加えて、日本基準での「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」および「特別損失」項目が含まれます。ただし、これらの項目のうち、受取利息や支払利息、為替差損益などは「金融収益」「金融費用」として区分され、IFRSの「営業利益」には含まれません。
(詳細項目)
・日本基準では、製品および技術の導入契約に伴い発生した一時金等の費用のうち、主に当局の承認が得られる前に発生したものを研究開発費として費用処理していましたが、IFRSでは、これらの費用のうち、一定の要件を満たしたものを無形資産として計上し、使用可能となった時点から見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。
・日本基準では、のれんについては、効果が発現すると見積られる期間にわたり均等償却を行っていましたが、IFRSでは償却を行っていません。
・日本基準では、退職給付に係る数理計算上の差異を発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数で償却していましたが、IFRSでは確定給付負債の純額の再測定の金額を発生時にその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。
ア)業績の状況
当連結会計年度の国内医療用眼科薬市場は、網膜疾患治療剤および緑内障治療剤の伸長等により、前連結会計年度と比べ拡大しました。海外医療用眼科薬市場は、欧州・アジアで堅調に推移しました。また、国内一般用眼科薬市場は、前連結会計年度と比べ大幅に拡大しました。
このような市場環境の下、事業は堅調に推移し、当連結会計年度の業績は増収増益となりました。
(単位:百万円)
〔売上収益〕
前連結会計年度と比べ20.7%増加し、1,952億9千1百万円となりました。
これは、主力の国内医療用医薬品事業における眼科用VEGF阻害剤「アイリーア硝子体内注射液」の継続的な売上伸長や、米メルク社の眼科製品の譲受けに伴う海外を中心とした成長等によるものです。
〔営業利益〕
売上総利益は、大幅な売上収益の増加に伴い、前連結会計年度と比べ170億5百万円増加し、1,224億6千3百万円となりました。なお、売上原価率は、前連結会計年度と比べ2.5ポイント
増加し、37.3%となりました。
販売費及び一般管理費は、米メルク社の眼科製品の譲受けに伴い、販売活動に関する費用が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ21.5%増加し、594億6百万円となり、研究開発費は、199億9千万円となりました。また、上述の米メルク社の眼科製品の譲受けに伴う無形資産の償却費を計上したこと、また、新製品「アイケルビス」の欧州での発売開始に伴い無形資産の償却が開始されたことなどにより、製品に係る無形資産償却費は、62億5百万円となりました。その他の収益は、抗リウマチ薬事業のあゆみ製薬株式会社への承継に伴う収益などにより449億9千9百万円、その他の費用は、固定資産の売却に伴う損失を計上したことなどにより16億8千1百万円となりました。
これらにより、営業利益は801億8千万円となり、前連結会計年度と比べ126.7%増加しました。
〔税引前当期利益〕
税引前当期利益は、794億7千万円となり、前連結会計年度と比べ121.6%増加しました。
〔親会社の所有者に帰属する当期利益〕
親会社の所有者に帰属する当期利益は、533億7千3百万円となり、前連結会計年度と比べ122.1%増加しました。売上収益に対する当期利益の比率は、27.3%となりました。
イ)セグメント別業績の状況
参天製薬グループは、医薬品事業とその他の事業セグメントから構成されます。売上収益の多くは医薬品事業によっており、その全売上収益に占める比率は、98.6%になります。
医薬品事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ20.9%増加し、1,925億5千4百万円となりました。営業利益は、811億5千9百万円となりました。一方、その他の事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ6.5%増加し、27億3千7百万円となりました。営業損失は、9億7千9百万円となりました。
(単位 百万円)
(注)1 抗リウマチ薬事業については、2015年8月にあゆみ製薬株式会社に事業承継しています。
2 各セグメントの売上収益は、外部顧客に対する売上収益を表しています。
ⅰ)医薬品事業
a)医療用医薬品
(眼科薬)
・国内
医療施設ごとの潜在ニーズとその変化を的確に捉えた医薬情報提供などの普及促進活動を展開していることにより、国内医療用眼科薬の売上収益は、前連結会計年度と比べ17.9%増加し、1,241億6千5百万円となりました。
緑内障・高眼圧症においては、主力製品の「タプロス点眼液」、「コソプト配合点眼液」はほぼ計画通り推移しました。それぞれの製品の売上収益は、「タプロス点眼液」は、前連結会計年度と比べ10.1%増加し、91億6千8百万円となりました。「コソプト配合点眼液」は、前連結会計年度と比べ4.9%増加し、112億1千4百万円となりました。
角結膜疾患治療剤領域においては、ドライアイ(眼球乾燥症候群)などに伴う角結膜上皮障害の治療剤「ヒアレイン点眼液」および「ジクアス点眼液」はほぼ計画通り推移しました。それぞれの製品の売上収益は、「ヒアレイン点眼液」は、前連結会計年度と比べ5.4%減少し、144億9千1百万円となりました。「ジクアス点眼液」は、前連結会計年度と比べ19.7%増加し、88億8千万円となりました。
合成抗菌点眼剤領域においては、「クラビット点眼液」、「タリビッド点眼液」両剤合わせた売上収益は、前連結会計年度と比べ9.2%減少し、65億9千1百万円となりました。
抗アレルギー点眼剤領域では、「アレジオン点眼液」を中心に医薬情報提供活動に注力した結果、「アレジオン点眼液」と「リボスチン点眼液」を合わせた売上収益は、前連結会計年度と比べ16.4%増加し、104億3千1百万円となりました。
網膜疾患治療剤領域においては、滲出型加齢黄斑変性等の治療ニーズに応える「アイリーア硝子体内注射液」の売上収益は、市場が拡大する中、順調な市場浸透の結果、前連結会計年度と比べ60.7%増加し、399億8千8百万円となりました。
・海外
米メルク社の眼科製品の譲受けの効果もあり、海外における売上収益は、円換算ベースで前連結会計年度と比べ57.5%増加し、483億7千9百万円となりました。
欧州における売上収益は、円換算ベースで前連結会計年度と比べ82.8%増加し、255億8千6百万円となりました。緑内障・高眼圧症治療剤「タフロタン」、「タプティコム」の普及促進活動に加え、角膜炎を適応症とする「アイケルビス」の発売により、参天製薬グループの製品の市場浸透が進んでいます。
アジアにおける売上収益は、円換算ベースで前連結会計年度と比べ36.0%増加し、225億2百万円となりました。主力品の普及促進活動の展開により、中国を中心に韓国、アセアン諸国においても当社製品の市場浸透が進んでいます。
(抗リウマチ薬)
「リマチル錠」、「アザルフィジンEN錠」ならびに「メトレート錠」等を合わせた売上収益は、前連結会計年度と比べ63.7%減少し、34億9千5百万円となりました。これは2015年4月から7月までの期間の業績です。2015年8月に抗リウマチ薬事業はあゆみ製薬株式会社に承継しました。
(その他医薬品)
その他医薬品には、技術提携(導出)契約に基づく収入、受託製造等が含まれます。また、米メルク社の眼科製品の譲受けに関し、関連する法制上の手続きが完了し、各国・地域で参天製薬グループの製品としての販売が開始されるまでの間、米メルク社側に生じた利益の一部が契約に基づいて当社に還元されます。この収入が42億7千7百万円あったことにより、その他医薬品の売上収益は、55億1千万円となりました。
b)一般用医薬品
一般用医薬品の売上収益は、「サンテ」シリーズ全体のブランド価値向上のための販売促進活動に注力したこと、インバウンド需要の拡大、高価格品が堅調に推移したことなどにより、前連結会計年度と比べ64.1%増加し、110億4百万円となりました。
ⅱ)その他の事業
(医療機器)
医療機器の売上収益は、高屈折率のアクリル素材を光学部に用いたフォールダブル眼内レンズ「エタニティー」シリーズの普及促進活動に注力した結果、国内の競合の影響などもありましたが、前連結会計年度と比べ3.5%増加し、23億9千4百万円となりました。
(その他)
その他の売上収益は、サプリメント製品の販売によるものと株式会社クレール(連結子会社)での無塵・無菌服のクリーニング業によるもので、3億4千3百万円となりました。
ウ)その他の損益の状況
主に受取利息や受取配当金、支払利息、為替差損益などの金融に関連する項目から構成される「金融収益」「金融費用」については、金融収益が前連結会計年度と比べ1.8%増加し、7億8千2百万円となりました。金融費用は、為替差損の影響により、前連結会計年度と比べ434.1%増加し、14億9千2百万円となりました。
法人所得税費用は、税引前当期利益が増加したことや、日本における法人税法等改正に伴う繰延税金資産の取崩しの影響などもあり、前連結会計年度と比べ120.6%増加し、260億9千7百万円となりましたが、税引前当期利益に対する法人所得税費用の比率は、前連結会計年度の33.0%から32.8%となりました。
これらの結果、当期利益は、前連結会計年度と比べ122.1%増加し、533億7千3百万円となり、売上収益に対する当期利益の比率は、前連結会計年度の14.9%から27.3%となりました。
基本的1株当たり当期利益(EPS)は、前連結会計年度の58円18銭から128円99銭に、希薄化後1株当たり当期利益は、前連結会計年度の57円93銭から128円41銭となりました。なお、当社では、2015年4月1日を効力発生日として普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施しましたが、上述の基本的1株当たり当期利益(EPS)ならびに希薄化後1株当たり当期利益については、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しています。
コアベース
参天製薬グループではIFRS適用を機に、上述のIFRSによる業績(「IFRS(フル)ベース」)から一部の収益、費用を控除した「コアベース」での財務情報を経常的な業績を示す指標として、併せて開示します。IFRS(フル)ベースによる業績からコアベースでの業績への調整において控除する収益、費用は次のとおりです。
・製品に係る無形資産償却費
・その他の収益
・その他の費用
・金融収益
・金融費用
これらの項目に係る法人所得税費用を調整し、コアベースでの当期利益を算出しています。
当連結会計年度のコアベースでの業績は、以下のとおりとなりました。なお、( )内の数値はIFRS(フル)ベースでの業績です。
(単位:百万円)
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、225億2千5百万円の収入(前連結会計年度は、253億8千6百万円の収入)となりました。これは投資活動によるキャッシュ・フローで認識する抗リウマチ薬事業の譲渡による収益が444億7千7百万円、法人所得税の支払いが130億6千7百万円、棚卸資産の増加が53億8千8百万円、営業債権及びその他の債権の増加が47億9千9百万円、退職給付信託への拠出等による引当金及び退職給付に係る負債の減少が39億7千4百万円などありましたが、当期利益が533億7千3百万円、法人所得税費用が260億9千7百万円、減価償却費及び償却費が93億3千8百万円、営業債務及びその他の債務の増加が43億7千6百万円あったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、370億5千2百万円の収入(前連結会計年度は、617億9百万円の支出)となりました。これは無形資産の取得による支出が47億9千3百万円、有形固定資産の取得による支出が42億9千9百万円、投資の取得による支出が22億1千万円ありましたが、抗リウマチ薬事業の譲渡による収入が450億円、投資の売却及び償還による収入が26億8千2百万円あったことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、240億6千6百万円の支出(前連結会計年度は、289億6千万円の収入)となりました。これは長期借入金の返済が151億3千3百万円、配当金の支払いが99億2千3百万円あったことなどによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比べ338億7千5百万円増加し、997億9千8百万円となりました。
(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前連結会計年度(自 2014年4月1日 至 2015年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については、効果が発現すると見積られる期間にわたり均等償却を行っていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせず毎期減損テストを行っています。
この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「販売費及び一般管理費」が857百万円減少しています。
(研究開発費の資産計上)
日本基準では、製品および技術の導入契約に伴い発生した一時金等の費用のうち、主に当局の承認が得られる前に発生したものを研究開発費として費用処理していましたが、IFRSでは、これらの費用のうち、資産計上の要件を満たしたものを「無形資産」として計上しています。
この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「研究開発費」が522百万円減少しています。
当連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については、効果が発現すると見積られる期間にわたり均等償却を行っていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせず毎期減損テストを行っています。
この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「販売費及び一般管理費」が817百万円減少しています。
(研究開発費の資産計上)
日本基準では、製品および技術の導入契約に伴い発生した一時金等の費用のうち、主に当局の承認が得られる前に発生したものを研究開発費として費用処理していましたが、IFRSでは、これらの費用のうち、資産計上の要件を満たしたものを「無形資産」として計上しています。
この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「研究開発費」が3,141百万円減少しています。
IFRS(フル)ベース
参天製薬グループでは、日本、アジア、欧州および米国などで事業を展開しています。また、参天製薬株式会社の株主構成は、外国人投資家の株式保有比率が40%を超える高い水準となっています。これらの状況を踏まえ、資本市場において、財務情報の国際的な比較性向上を目指し、前連結会計年度末より国際会計基準(以下、IFRS)を適用しています。
日本基準とIFRSとの主要な差異は次のとおりです。
(表示科目)
・IFRSの「売上収益」は、日本基準での「売上高」に相当します。
・IFRSの「営業利益」は、日本基準での「営業利益」と異なり、従来の営業活動に関する利益に加えて、日本基準での「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」および「特別損失」項目が含まれます。ただし、これらの項目のうち、受取利息や支払利息、為替差損益などは「金融収益」「金融費用」として区分され、IFRSの「営業利益」には含まれません。
(詳細項目)
・日本基準では、製品および技術の導入契約に伴い発生した一時金等の費用のうち、主に当局の承認が得られる前に発生したものを研究開発費として費用処理していましたが、IFRSでは、これらの費用のうち、一定の要件を満たしたものを無形資産として計上し、使用可能となった時点から見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。
・日本基準では、のれんについては、効果が発現すると見積られる期間にわたり均等償却を行っていましたが、IFRSでは償却を行っていません。
・日本基準では、退職給付に係る数理計算上の差異を発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数で償却していましたが、IFRSでは確定給付負債の純額の再測定の金額を発生時にその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。
ア)業績の状況
当連結会計年度の国内医療用眼科薬市場は、網膜疾患治療剤および緑内障治療剤の伸長等により、前連結会計年度と比べ拡大しました。海外医療用眼科薬市場は、欧州・アジアで堅調に推移しました。また、国内一般用眼科薬市場は、前連結会計年度と比べ大幅に拡大しました。
このような市場環境の下、事業は堅調に推移し、当連結会計年度の業績は増収増益となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前年度増減率 | |
売上収益 | 161,831 | 195,291 | 20.7% |
営業利益 | 35,374 | 80,180 | 126.7% |
税引前当期利益 | 35,863 | 79,470 | 121.6% |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 | 24,032 | 53,373 | 122.1% |
〔売上収益〕
前連結会計年度と比べ20.7%増加し、1,952億9千1百万円となりました。
これは、主力の国内医療用医薬品事業における眼科用VEGF阻害剤「アイリーア硝子体内注射液」の継続的な売上伸長や、米メルク社の眼科製品の譲受けに伴う海外を中心とした成長等によるものです。
〔営業利益〕
売上総利益は、大幅な売上収益の増加に伴い、前連結会計年度と比べ170億5百万円増加し、1,224億6千3百万円となりました。なお、売上原価率は、前連結会計年度と比べ2.5ポイント
増加し、37.3%となりました。
販売費及び一般管理費は、米メルク社の眼科製品の譲受けに伴い、販売活動に関する費用が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ21.5%増加し、594億6百万円となり、研究開発費は、199億9千万円となりました。また、上述の米メルク社の眼科製品の譲受けに伴う無形資産の償却費を計上したこと、また、新製品「アイケルビス」の欧州での発売開始に伴い無形資産の償却が開始されたことなどにより、製品に係る無形資産償却費は、62億5百万円となりました。その他の収益は、抗リウマチ薬事業のあゆみ製薬株式会社への承継に伴う収益などにより449億9千9百万円、その他の費用は、固定資産の売却に伴う損失を計上したことなどにより16億8千1百万円となりました。
これらにより、営業利益は801億8千万円となり、前連結会計年度と比べ126.7%増加しました。
〔税引前当期利益〕
税引前当期利益は、794億7千万円となり、前連結会計年度と比べ121.6%増加しました。
〔親会社の所有者に帰属する当期利益〕
親会社の所有者に帰属する当期利益は、533億7千3百万円となり、前連結会計年度と比べ122.1%増加しました。売上収益に対する当期利益の比率は、27.3%となりました。
イ)セグメント別業績の状況
参天製薬グループは、医薬品事業とその他の事業セグメントから構成されます。売上収益の多くは医薬品事業によっており、その全売上収益に占める比率は、98.6%になります。
医薬品事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ20.9%増加し、1,925億5千4百万円となりました。営業利益は、811億5千9百万円となりました。一方、その他の事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ6.5%増加し、27億3千7百万円となりました。営業損失は、9億7千9百万円となりました。
(単位 百万円)
国内 | 海外 | 合計 | ||||
金額 | 対前年度 増減率 | 金額 | 対前年度 増減率 | 金額 | 対前年度 増減率 | |
医薬品事業 | 139,196 | 13.8% | 53,358 | 44.4% | 192,554 | 20.9% |
医療用医薬品 | 128,278 | 10.9% | 53,271 | 44.4% | 181,550 | 19.0% |
うち眼科薬 | 124,165 | 17.9% | 48,379 | 57.5% | 172,545 | 26.8% |
うち抗リウマチ薬 | 3,495 | △63.5% | - | △100.0% | 3,495 | △63.7% |
うちその他医薬品 | 617 | △18.7% | 4,892 | △19.9% | 5,510 | △19.8% |
一般用医薬品 | 10,918 | 64.5% | 87 | 28.8% | 11,004 | 64.1% |
その他の事業 | 2,654 | 5.1% | 84 | 92.4% | 2,737 | 6.5% |
医療機器 | 2,323 | 2.4% | 71 | 62.7% | 2,394 | 3.5% |
その他 | 330 | 28.8% | 13 | - | 343 | 33.8% |
合計 | 141,849 | 13.6% | 53,442 | 44.5% | 195,291 | 20.7% |
(注)1 抗リウマチ薬事業については、2015年8月にあゆみ製薬株式会社に事業承継しています。
2 各セグメントの売上収益は、外部顧客に対する売上収益を表しています。
ⅰ)医薬品事業
a)医療用医薬品
(眼科薬)
・国内
医療施設ごとの潜在ニーズとその変化を的確に捉えた医薬情報提供などの普及促進活動を展開していることにより、国内医療用眼科薬の売上収益は、前連結会計年度と比べ17.9%増加し、1,241億6千5百万円となりました。
緑内障・高眼圧症においては、主力製品の「タプロス点眼液」、「コソプト配合点眼液」はほぼ計画通り推移しました。それぞれの製品の売上収益は、「タプロス点眼液」は、前連結会計年度と比べ10.1%増加し、91億6千8百万円となりました。「コソプト配合点眼液」は、前連結会計年度と比べ4.9%増加し、112億1千4百万円となりました。
角結膜疾患治療剤領域においては、ドライアイ(眼球乾燥症候群)などに伴う角結膜上皮障害の治療剤「ヒアレイン点眼液」および「ジクアス点眼液」はほぼ計画通り推移しました。それぞれの製品の売上収益は、「ヒアレイン点眼液」は、前連結会計年度と比べ5.4%減少し、144億9千1百万円となりました。「ジクアス点眼液」は、前連結会計年度と比べ19.7%増加し、88億8千万円となりました。
合成抗菌点眼剤領域においては、「クラビット点眼液」、「タリビッド点眼液」両剤合わせた売上収益は、前連結会計年度と比べ9.2%減少し、65億9千1百万円となりました。
抗アレルギー点眼剤領域では、「アレジオン点眼液」を中心に医薬情報提供活動に注力した結果、「アレジオン点眼液」と「リボスチン点眼液」を合わせた売上収益は、前連結会計年度と比べ16.4%増加し、104億3千1百万円となりました。
網膜疾患治療剤領域においては、滲出型加齢黄斑変性等の治療ニーズに応える「アイリーア硝子体内注射液」の売上収益は、市場が拡大する中、順調な市場浸透の結果、前連結会計年度と比べ60.7%増加し、399億8千8百万円となりました。
・海外
米メルク社の眼科製品の譲受けの効果もあり、海外における売上収益は、円換算ベースで前連結会計年度と比べ57.5%増加し、483億7千9百万円となりました。
欧州における売上収益は、円換算ベースで前連結会計年度と比べ82.8%増加し、255億8千6百万円となりました。緑内障・高眼圧症治療剤「タフロタン」、「タプティコム」の普及促進活動に加え、角膜炎を適応症とする「アイケルビス」の発売により、参天製薬グループの製品の市場浸透が進んでいます。
アジアにおける売上収益は、円換算ベースで前連結会計年度と比べ36.0%増加し、225億2百万円となりました。主力品の普及促進活動の展開により、中国を中心に韓国、アセアン諸国においても当社製品の市場浸透が進んでいます。
(抗リウマチ薬)
「リマチル錠」、「アザルフィジンEN錠」ならびに「メトレート錠」等を合わせた売上収益は、前連結会計年度と比べ63.7%減少し、34億9千5百万円となりました。これは2015年4月から7月までの期間の業績です。2015年8月に抗リウマチ薬事業はあゆみ製薬株式会社に承継しました。
(その他医薬品)
その他医薬品には、技術提携(導出)契約に基づく収入、受託製造等が含まれます。また、米メルク社の眼科製品の譲受けに関し、関連する法制上の手続きが完了し、各国・地域で参天製薬グループの製品としての販売が開始されるまでの間、米メルク社側に生じた利益の一部が契約に基づいて当社に還元されます。この収入が42億7千7百万円あったことにより、その他医薬品の売上収益は、55億1千万円となりました。
b)一般用医薬品
一般用医薬品の売上収益は、「サンテ」シリーズ全体のブランド価値向上のための販売促進活動に注力したこと、インバウンド需要の拡大、高価格品が堅調に推移したことなどにより、前連結会計年度と比べ64.1%増加し、110億4百万円となりました。
ⅱ)その他の事業
(医療機器)
医療機器の売上収益は、高屈折率のアクリル素材を光学部に用いたフォールダブル眼内レンズ「エタニティー」シリーズの普及促進活動に注力した結果、国内の競合の影響などもありましたが、前連結会計年度と比べ3.5%増加し、23億9千4百万円となりました。
(その他)
その他の売上収益は、サプリメント製品の販売によるものと株式会社クレール(連結子会社)での無塵・無菌服のクリーニング業によるもので、3億4千3百万円となりました。
ウ)その他の損益の状況
主に受取利息や受取配当金、支払利息、為替差損益などの金融に関連する項目から構成される「金融収益」「金融費用」については、金融収益が前連結会計年度と比べ1.8%増加し、7億8千2百万円となりました。金融費用は、為替差損の影響により、前連結会計年度と比べ434.1%増加し、14億9千2百万円となりました。
法人所得税費用は、税引前当期利益が増加したことや、日本における法人税法等改正に伴う繰延税金資産の取崩しの影響などもあり、前連結会計年度と比べ120.6%増加し、260億9千7百万円となりましたが、税引前当期利益に対する法人所得税費用の比率は、前連結会計年度の33.0%から32.8%となりました。
これらの結果、当期利益は、前連結会計年度と比べ122.1%増加し、533億7千3百万円となり、売上収益に対する当期利益の比率は、前連結会計年度の14.9%から27.3%となりました。
基本的1株当たり当期利益(EPS)は、前連結会計年度の58円18銭から128円99銭に、希薄化後1株当たり当期利益は、前連結会計年度の57円93銭から128円41銭となりました。なお、当社では、2015年4月1日を効力発生日として普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施しましたが、上述の基本的1株当たり当期利益(EPS)ならびに希薄化後1株当たり当期利益については、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しています。
コアベース
参天製薬グループではIFRS適用を機に、上述のIFRSによる業績(「IFRS(フル)ベース」)から一部の収益、費用を控除した「コアベース」での財務情報を経常的な業績を示す指標として、併せて開示します。IFRS(フル)ベースによる業績からコアベースでの業績への調整において控除する収益、費用は次のとおりです。
・製品に係る無形資産償却費
・その他の収益
・その他の費用
・金融収益
・金融費用
これらの項目に係る法人所得税費用を調整し、コアベースでの当期利益を算出しています。
当連結会計年度のコアベースでの業績は、以下のとおりとなりました。なお、( )内の数値はIFRS(フル)ベースでの業績です。
(単位:百万円)
コアベース | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前年度増減率 | |||
(フルベース) | (フルベース) | (フルベース) | ||||
売上収益 | 161,831 | (161,831) | 195,291 | (195,291) | 20.7% | ( 20.7%) |
営業利益 | 39,088 | (35,374) | 43,067 | (80,180) | 10.2% | (126.7%) |
当期利益 | 25,948 | (24,032) | 29,163 | (53,373) | 12.4% | (122.1%) |
(2)キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | |
営業活動による キャッシュ・フロー | 25,386 | 22,525 | △2,861 |
投資活動による キャッシュ・フロー | △61,709 | 37,052 | 98,761 |
財務活動による キャッシュ・フロー | 28,960 | △24,066 | △53,026 |
現金及び現金同等物の 期末残高 | 65,923 | 99,798 | 33,875 |
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、225億2千5百万円の収入(前連結会計年度は、253億8千6百万円の収入)となりました。これは投資活動によるキャッシュ・フローで認識する抗リウマチ薬事業の譲渡による収益が444億7千7百万円、法人所得税の支払いが130億6千7百万円、棚卸資産の増加が53億8千8百万円、営業債権及びその他の債権の増加が47億9千9百万円、退職給付信託への拠出等による引当金及び退職給付に係る負債の減少が39億7千4百万円などありましたが、当期利益が533億7千3百万円、法人所得税費用が260億9千7百万円、減価償却費及び償却費が93億3千8百万円、営業債務及びその他の債務の増加が43億7千6百万円あったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、370億5千2百万円の収入(前連結会計年度は、617億9百万円の支出)となりました。これは無形資産の取得による支出が47億9千3百万円、有形固定資産の取得による支出が42億9千9百万円、投資の取得による支出が22億1千万円ありましたが、抗リウマチ薬事業の譲渡による収入が450億円、投資の売却及び償還による収入が26億8千2百万円あったことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、240億6千6百万円の支出(前連結会計年度は、289億6千万円の収入)となりました。これは長期借入金の返済が151億3千3百万円、配当金の支払いが99億2千3百万円あったことなどによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比べ338億7千5百万円増加し、997億9千8百万円となりました。
(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前連結会計年度(自 2014年4月1日 至 2015年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については、効果が発現すると見積られる期間にわたり均等償却を行っていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせず毎期減損テストを行っています。
この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「販売費及び一般管理費」が857百万円減少しています。
(研究開発費の資産計上)
日本基準では、製品および技術の導入契約に伴い発生した一時金等の費用のうち、主に当局の承認が得られる前に発生したものを研究開発費として費用処理していましたが、IFRSでは、これらの費用のうち、資産計上の要件を満たしたものを「無形資産」として計上しています。
この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「研究開発費」が522百万円減少しています。
当連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については、効果が発現すると見積られる期間にわたり均等償却を行っていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせず毎期減損テストを行っています。
この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「販売費及び一般管理費」が817百万円減少しています。
(研究開発費の資産計上)
日本基準では、製品および技術の導入契約に伴い発生した一時金等の費用のうち、主に当局の承認が得られる前に発生したものを研究開発費として費用処理していましたが、IFRSでは、これらの費用のうち、資産計上の要件を満たしたものを「無形資産」として計上しています。
この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「研究開発費」が3,141百万円減少しています。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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