和田興産株式会社 対処すべき課題 (2014年2月期)

足下の事業環境は、政府による経済対策の効果等から、円高の是正や株式市場の回復、さらに企業業績や個人消費の堅調な推移等を背景に、デフレ脱却の期待感が高まっております。
しかしながら、消費税率の引上げ後の影響や、中長期的には少子・高齢化の進展に伴う需要の減退、将来の社会保障への不安など、克服すべき課題も有しており、将来に向けた着実な施策の実行が求められる状況となっております。
当社が属する不動産業界においては、三大都市圏平均で地価が上昇に転換するなか、住宅ローンの低金利の継続や税制面の政策支援効果により、分譲マンション等の販売に関しては順調に推移してまいりましたが、用地価格の上昇をはじめ、人手不足等を背景とした建築コストの高まりや消費税の引き上げ問題等、解決すべき課題も山積しております。
このような環境のなか、当社といたしましては、長年に亘って築き上げてきたネットワークを有効活用し、適正価格での用地仕入れを進めることで、一次取得者を中心としたユーザーの方々に受け入れていただける価格帯での物件提供を徹底していくとともに、長年に亘ってお住まいいただける品質面の確保は当然のこと、省エネルギーや利便性、安全性にも配慮した住宅開発も進めていきたいと考えております。
さらに、多様化する住宅ニーズを踏まえ、コンパクト型の分譲マンションや木造戸建て住宅の開発に加え、賃貸事業にも注力し、当社の得意とする地元地域において、住まいを軸とした不動産業の地位を確立していきたいと考えております。
また、企業経営にとってガバナンス強化が課題となるなか、引き続き規程やマニュアルの整備、内部監査室を中心とした内部統制評価の整備・運用を進め、より一層の内部統制の強化に努めてまいります。さらに取締役会を中心としたコーポレートガバナンスの発揮を通じて、適切な牽制体制の構築を図ってまいります。
事業活動の中心であります分譲マンション事業は、引き続き堅調に推移するなか、事業年度末時点において、翌事業年度以降に引渡しを予定しております物件の販売契約を可能な限り積み上げていくことが、事業の安定性確保に繋がるとの認識のもと、長年の間、地元地域を中心に、一定の供給戸数を維持しつつ構築してまいりましたブランド力を背景に、戦略的な用地仕入を進め、スピード感を持った供給体制を通じて、契約の早期獲得といった事業サイクルの確立を目指してまいります。
さらには、設計事務所・建築会社と緊密な関係を引き続き保ち、コストの適正化と品質の向上の両立にも一層努めてまいります。
戸建て事業におきましては、マンション事業に比べリードタイムが短縮されることから、用地仕入れに特化しながら、年間販売戸数の着実な確保を目指してまいります。
賃貸事業におきましては、当社全体の収益の安定性に寄与するため、営業力の強化や物件管理を適切に進めることで、稼働率の維持に努めてまいります。また、最適な賃貸資産のポートフォリオ構築のため、機動的な物件の入れ替えも視野に入れた対応も進めてまいります。
また、その他不動産販売の新たな取り組みとしまして、2013年8月に株式会社日住サービスとの間で締結しました資本・業務提携契約に基づき、投資家向け一棟売り賃貸住宅の企画・開発にも注力してまいります。
一方、財務面におきましては、プロジェクトにかかる機動的な用地仕入れが可能となるよう、引き続き、資金調達の円滑化、多様化を図ることにより、資金繰りの安定化も含め、効率的な運営を進めてまいります。