有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LMYP (EDINETへの外部リンク)
塩野義製薬株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
現状の疾患治療の捉え方(パラダイム)を変える可能性のある8つの注力プロジェクト* を設定し、COVID-19関連プロジェクトとともに最優先で取り組んでおります。当連結会計年度もこれらの研究開発への積極的な投資を行うとともに、COVID-19による環境変化に適切に対処することで、ほぼ予定通り進捗させることができました。
* :注力8プロジェクト:S-531011、S-005151、S-600918、S-637880、S-812217、S-540956、BPN14770、S-874713
(1)研究
研究ステージにある注力8プロジェクトとして、S-531011は、大阪大学との共同研究から見出した、がんを標的とする抗体であり、現在のがん治療では満たされない患者さまのニーズに応えることを目指しております。S-874713は、ADHD(注意欠陥/多動性障害)や依存症等の複数の精神神経症状に対する効果が期待できる自社創出製品です。核酸アジュバント** S-540956については、がん領域及びHIV機能的根治等の感染症領域への適応を目指しております。当連結会計年度は、いずれのプロジェクトにおきましても2021年度の臨床試験開始に向けて非臨床試験が進展しました。
当社グループは、株式会社UMNファーマを完全子会社化し、ワクチン事業に本格的に参入しました。当期は、COVID-19ワクチン及びインフルエンザワクチンの創製に取り組みました。
また、注射による痛みを回避し、簡便に投与できる「経鼻ワクチン」の開発にも取り組んでおり、HanaVax社と経鼻ワクチンの製剤技術に関するライセンス契約を締結し、肺炎球菌ワクチンの研究を進めております。
上記COVID-19ワクチンをはじめ、有効性・安全性ともに既存薬を上回る治療薬の創出並びに速やかな臨床試験開始に向けて取り組んでおります。
** :アジュバント:免疫を活性化させ薬物の効果を補強させる物質
(2)開発
注力8プロジェクトの進捗としましては、sivopixant(S-600918)の難治性慢性咳嗽(せき)を対象としたグローバル第Ⅱb相臨床試験が進展し全患者の観察が完了しました。また、睡眠時無呼吸症候群を対象とした国内第Ⅱa相臨床試験が進展しました。ステムリム社から導入した再生誘導医薬ペプチドであるレダセムチド(S-005151)については、栄養障害型表皮水泡症に対する適応取得に向けて申請準備中です。また、急性期脳梗塞を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験が進展しました。当連結会計年度は、変形性膝関節症、慢性肝疾患に対する医師主導治験も新たに開始しました。米国Sage社から導入したうつ病・うつ状態治療薬候補であるzuranolone(S-812217)については、大うつ病性障害者を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験が進展しました。子会社化したTetraから導入した認知機能改善薬候補であるBPN14770については、国内において第Ⅰ相臨床試験が完了し、アルツハイマー型認知症を対象とする第Ⅱ相臨床試験を準備中です。また、脆弱X症候群を対象とした米国での第Ⅲ相臨床試験を準備中です。S-637880については、神経障害性腰痛を対象とした第Ⅱ相臨床試験を国内にて実施中です。
COVID-19ワクチンであるS-268019は、国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。また、米国BioAge社と提携し、COVID-19の重症化を抑える治療薬候補(asapiprant:S-555739)の開発を進めております。2021年4月にBioAge社が米国でCOVID-19に罹患した高齢者を対象に第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
こうした活動の結果、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は54,249百万円となりました。
(3)COVID-19に対する研究開発の取り組み
当社グループは、STS2030の中でHaaS(Healthcare as a Service)企業へとTransformすることを掲げておりますが、医療用医薬品にとどまらない製品・サービスを提供していくためには、これまで以上に患者さまの視点に立って考えることが重要です。その観点から、疾患に関連する種々の困りごとの解決も含めたトータルケアの取り組みを強化しております。
COVID-19に対しても、一貫したバリューチェーンを強みとして治療薬の創製に取り組むとともに、予防や診断、重症化抑制にも取り組みを広げております。さらに、未病の観点から、感染症の流行状況及び変異株の侵入・発生動向を早期に検知することが可能な下水モニタリングの社会実装に向けて取り組んでいます。
これらの取り組みを通じて、COVID-19の早期終息による社会の安心・安全の回復にグループ一丸となって貢献してまいります。また、その他の新興感染症及び再興感染症にも鋭意取り組み、「感染症の脅威からの解放」を当社グループが果たすべき使命と位置づけ、努力を継続してまいります。
開発品(2021年5月10日現在)
* :注力8プロジェクト:S-531011、S-005151、S-600918、S-637880、S-812217、S-540956、BPN14770、S-874713
(1)研究
研究ステージにある注力8プロジェクトとして、S-531011は、大阪大学との共同研究から見出した、がんを標的とする抗体であり、現在のがん治療では満たされない患者さまのニーズに応えることを目指しております。S-874713は、ADHD(注意欠陥/多動性障害)や依存症等の複数の精神神経症状に対する効果が期待できる自社創出製品です。核酸アジュバント** S-540956については、がん領域及びHIV機能的根治等の感染症領域への適応を目指しております。当連結会計年度は、いずれのプロジェクトにおきましても2021年度の臨床試験開始に向けて非臨床試験が進展しました。
当社グループは、株式会社UMNファーマを完全子会社化し、ワクチン事業に本格的に参入しました。当期は、COVID-19ワクチン及びインフルエンザワクチンの創製に取り組みました。
また、注射による痛みを回避し、簡便に投与できる「経鼻ワクチン」の開発にも取り組んでおり、HanaVax社と経鼻ワクチンの製剤技術に関するライセンス契約を締結し、肺炎球菌ワクチンの研究を進めております。
上記COVID-19ワクチンをはじめ、有効性・安全性ともに既存薬を上回る治療薬の創出並びに速やかな臨床試験開始に向けて取り組んでおります。
** :アジュバント:免疫を活性化させ薬物の効果を補強させる物質
(2)開発
注力8プロジェクトの進捗としましては、sivopixant(S-600918)の難治性慢性咳嗽(せき)を対象としたグローバル第Ⅱb相臨床試験が進展し全患者の観察が完了しました。また、睡眠時無呼吸症候群を対象とした国内第Ⅱa相臨床試験が進展しました。ステムリム社から導入した再生誘導医薬ペプチドであるレダセムチド(S-005151)については、栄養障害型表皮水泡症に対する適応取得に向けて申請準備中です。また、急性期脳梗塞を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験が進展しました。当連結会計年度は、変形性膝関節症、慢性肝疾患に対する医師主導治験も新たに開始しました。米国Sage社から導入したうつ病・うつ状態治療薬候補であるzuranolone(S-812217)については、大うつ病性障害者を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験が進展しました。子会社化したTetraから導入した認知機能改善薬候補であるBPN14770については、国内において第Ⅰ相臨床試験が完了し、アルツハイマー型認知症を対象とする第Ⅱ相臨床試験を準備中です。また、脆弱X症候群を対象とした米国での第Ⅲ相臨床試験を準備中です。S-637880については、神経障害性腰痛を対象とした第Ⅱ相臨床試験を国内にて実施中です。
COVID-19ワクチンであるS-268019は、国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。また、米国BioAge社と提携し、COVID-19の重症化を抑える治療薬候補(asapiprant:S-555739)の開発を進めております。2021年4月にBioAge社が米国でCOVID-19に罹患した高齢者を対象に第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
こうした活動の結果、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は54,249百万円となりました。
(3)COVID-19に対する研究開発の取り組み
当社グループは、STS2030の中でHaaS(Healthcare as a Service)企業へとTransformすることを掲げておりますが、医療用医薬品にとどまらない製品・サービスを提供していくためには、これまで以上に患者さまの視点に立って考えることが重要です。その観点から、疾患に関連する種々の困りごとの解決も含めたトータルケアの取り組みを強化しております。
COVID-19に対しても、一貫したバリューチェーンを強みとして治療薬の創製に取り組むとともに、予防や診断、重症化抑制にも取り組みを広げております。さらに、未病の観点から、感染症の流行状況及び変異株の侵入・発生動向を早期に検知することが可能な下水モニタリングの社会実装に向けて取り組んでいます。
これらの取り組みを通じて、COVID-19の早期終息による社会の安心・安全の回復にグループ一丸となって貢献してまいります。また、その他の新興感染症及び再興感染症にも鋭意取り組み、「感染症の脅威からの解放」を当社グループが果たすべき使命と位置づけ、努力を継続してまいります。
開発品(2021年5月10日現在)
領域 | 開発No. (一般名) [製品名] | 作用機序 (剤型) | 適応症 | ステージ | 起源 | 開発 |
感染症 | S-649266 (セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物) [米国:Fetroja®] [欧州:Fetcroja®] | 細胞壁合成阻害(注射) | 他の治療がないまたは限定される腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症、院内肺炎 (米国) 治療が限定される好気性グラム陰性菌による感染症 (欧州) | グローバル:フェーズⅢ (小児) 米国:承認 (複雑性尿路感染症)(2019年11月) 米国:承認 (院内肺炎) (2020年9月) 欧州:承認 (2020年4月) | 自社 | 自社 |
S-033188 (バロキサビル マルボキシル) [日本:ゾフルーザ®] | キャップエンドヌクレアーゼ阻害(経口・顆粒) | インフルエンザウイルス感染症 | 日本:承認 (体重20kg以上)(2018年9月) 日本:申請 (体重20kg 未満)(2018年8月) | 自社 | 自社/Roche (スイス) | |
S-648414 | 未公表(経口) | HIV感染症 | 米国・日本:フェーズⅠ | 自社 | 自社 | |
S-268019 | ワクチン(筋注) | 新型コロナウイルス感染症の予防 | 日本:フェーズⅠ/Ⅱ | 自社 | 自社 | |
疼痛・神経 | S-297995 (ナルデメジントシル酸塩) [日本:スインプロイク®] [米国:Symproic®] [欧州:Rizmoic®] | 末梢性オピオイド受容体アンタゴニスト (経口・散剤) | オピオイド誘発性便秘症 (小児) | 欧州:フェーズⅠ/Ⅱ | 自社 | 自社 |
S-120083 | 未公表(経口) | 炎症性疼痛 | 日本:フェーズⅠ 米国:フェーズⅡ | 自社/Purdue (米国) | 自社/Purdue | |
S-010887 | 未公表(経口) | 神経障害性疼痛 | 日本:フェーズⅠ | 自社 | 自社 | |
S-117957 | 未公表(経口) | 不眠症 | 米国:フェーズⅠ | 自社/Purdue(米国) | 自社/Purdue | |
S-600918 (sivopixant) | P2X3受容体アンタゴニスト(経口) | 神経障害性疼痛 | 日本:フェーズⅠ | 自社 | 自社 | |
S-600918 (sivopixant) | P2X3受容体アンタゴニスト(経口) | 難治性・原因不明慢性咳嗽 | グローバル:フェーズⅡ | 自社 | 自社 | |
S-600918 (sivopixant) | P2X3受容体アンタゴニスト(経口) | 睡眠時無呼吸症候群 | 日本:フェーズⅡ | 自社 | 自社 | |
S-637880 | 未公表(経口) | 神経症状を伴う慢性腰痛 | 日本:フェーズⅡ | 自社 | 自社 | |
S-812217 (zuranolone) | GABAA受容体ポジティブアロステリックモジュレータ(経口) | うつ病・うつ状態 | 日本:フェーズⅡ | Sage(米国) | 自社/Sage | |
SDT-001 | 中枢作用に基づく、治療用デジタルアプリ | ADHD患者の不注意症状 (小児) | 日本:フェーズⅡ | Akili(米国) | 自社/Akili | |
BPN14770 | PDE4Dネガティブアロステリックモジュレータ (経口) | 脆弱X症候群 | 米国:フェーズⅡ | Tetra(米国) | 自社/Thera Therapeutics Inc. | |
BPN14770 | PDE4Dネガティブアロステリックモジュレータ (経口) | アルツハイマー型認知症 | 米国:フェーズⅡ 日本:フェーズⅡ | Tetra(米国) | 自社/Tetra Therapeutics Inc. | |
代謝疾患 | S-237648 | ニューロペプチド Y Y5受容体アンタゴニスト(経口) | 肥満症 | 日本:フェーズⅡ | 自社 | 自社 |
ADR-001 | ヒト他家脂肪組織由来の間葉系幹細胞 (注射) | 非代償性肝硬変 | 日本:フェーズⅠ/Ⅱ | ロート | 自社/ロート | |
S-723595 | アセチルCoAカルボキシラーゼ2阻害(経口) | 非アルコール性脂肪肝炎 | 日本:フェーズⅠ | 自社 | 自社 |
領域 | 開発No. (一般名) [製品名] | 作用機序 (剤型) | 適応症 | ステージ | 起源 | 開発 |
フロンティア | S-588410 | がんペプチドワクチン (注射) | 食道がん | 日本:フェーズⅢ | オンコセラピー・サイエンス (日本) | 自社 |
S-588410 | がんペプチドワクチン (注射) | 膀胱がん | 日欧:フェーズⅡ | オンコセラピー・サイエンス (日本) | 自社 | |
S-488210 | がんペプチドワクチン (注射) | 頭頸部がん | 欧州:フェーズⅠ/Ⅱ | オンコセラピー・サイエンス (日本) | 自社 | |
S-588210 | がんペプチドワクチン (注射) | 固形がん | 英国:フェーズⅠ | オンコセラピー・サイエンス (日本) | 自社 | |
S-222611 (epertinib) | HER2/EGFRデュアル阻害薬(経口) | 悪性腫瘍 | 欧州:フェーズⅠ/Ⅱ | 自社 | 自社 | |
S-770108 | 抗線維化作用(吸入) | 特発性肺線維症 | 日本:フェーズⅠ | 自社 | 自社 | |
SR-0379 | 肉芽形成促進作用 (外用) | 皮膚潰瘍 (褥瘡、糖尿病性潰瘍) | 日本:フェーズⅡ | ファンぺップ (日本) | 自社/ファンペップ | |
S-005151 (レダセムチドトリフルオロ酢酸塩) | 間葉系幹細胞を末梢血に動員(注射) | 脳梗塞 | 日本:フェーズⅡ | ステムリム (日本) | 自社 | |
S-005151 (レダセムチドトリフルオロ酢酸塩) | 間葉系幹細胞を末梢血に動員(注射) | 表皮水疱症 | 日本:フェーズⅡ(申請準備中) | ステムリム (日本) | 自社 |
開発No. (一般名) [製品名] | 作用機序 (剤型) | 適応症 | ステージ | 起源 | 開発 | |
S/GSK1265744 LAP*1 (cabotegravir) | インテグラーゼ阻害 (注射) | HIV感染症(治療及び予防) | (CAB*2 LAP+RPV*3 LAP 2剤療法) カナダ:承認 (2020年3月) 米国:承認 (2021年1月) 欧州:承認 (2020年12月) (CAB LAP、予防適応) グローバル:フェーズⅢ | Shionogi-ViiV Healthcare | 治療:ViiV Healthcare Ltd.(英国) 予防:ViiV Healthcare Ltd.、HPTN、NIAID、Gilead (米国) | |
S-0373 | 非ペプチド型TRHミメティック(経口) | 脊髄小脳変性症 | 日本:フェーズⅢ (申請準備中) | 自社 | キッセイ薬品 (日本) | |
S-033188 (バロキサビルマルボキシル) [米国:XofluzaTM] | キャップエンドヌクレアーゼ阻害(経口) | インフルエンザウイルス感染症 | 米国:承認 (2018年10月) 米国:承認 (ハイリスク患者)(2019年10月) 米国:申請 (小児、1歳以上)(2020年3月) 米国:承認 (顆粒、12歳以上)(2020年11月) 米国:承認 (予防投与、12歳以上)(2020年11月) 欧州:承認 (治療、12歳以上)(予防投与、12歳以上)(2021年1月) グローバル:フェーズⅢ (小児、1歳未満) グローバル:フェーズⅢ (伝播抑制) | 自社 | 自社/Roche (スイス) | |
S-555739 (asapiprant) | プロスタグランジンD2 DP1受容体拮抗(経口) | COVID-19の重症化抑制 | 米国:フェーズⅡ | 自社 | BioAge (米国) | |
*1 Long acting parenteral formulation、*2 Cabotegravir、*3 Rilpivirine |
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00923] S100LMYP)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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