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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R8O2 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 大日精化工業株式会社 事業等のリスク (2023年3月期)


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(1)リスク管理体制
当社グループはCSR・ESG推進本部が内部統制に関する体制を整備するとともに、全般的なリスク管理を統括しております。各組織単位の長がリスクの自己点検を行い、これにより確認されたリスクから重大なリスクを抽出、評価・選別の上、経営リスクについて対応を審議し、リスク管理に必要な情報の共有化を図っております。重大リスクについては、CSR・ESG推進本部が取締役会に報告すると共に、リスク低減の為の活動状況を確認しております。重大リスクとなり得る問題が発生した場合は、適宜、対策本部等を設置し、対応を図ってまいります。

(2)事業リスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

Ⅰ.戦略リスク
グローバル化への対応と事業の長期発展に対応するための戦略に起因するリスクのうち、現状、以下の3つを主要なリスクと認識しております。
*短期:1~2年以内、中期:3~5年以内、長期:5年超、不明:想定困難
1)需要構造変化への対応
顕在化する可能性:高顕在化し得る時期*:短期~中期顕在化した場合の影響度:大
リスク:
当社グループは、車両業界、情報・電子業界、建材業界、パッケージ業界など様々なお客様向けに製品を提供し、グローバルに事業展開をしております。好調・不調を相互に補完できる幅広い業界とお取引がありますが、個々の業界で大きな需要変動があった場合にはその事業範囲で影響を受けることとなり、経営成績に影響を与える可能性があります。
対応:①
特に車両業界において車の生産台数が減少したことと、液晶ディスプレイの需要減による在庫調整が続いたことから、これら業界向けに販売している事業領域で影響を受けました。お客様の情報を元に当社生産計画を適時修正することにより適切な在庫管理を行うとともに、サプライチェーン上の在庫調整が終了した際の出荷増・販売増にも対応できる体制を継続しました。
対応:②
パッケージ業界向けの、食品包装用やペットボトルラベル用のグラビアインキは、比較的景気に左右されにくい事業と認識しております。2019年6月にグラビアインキ等を生産する埼玉県川口市から茨城県坂東市への新工場移転計画を発表以降、フードロス問題に起因する販売数量の減少、コロナ禍での人流減と原材料価格高騰の影響を受け、当初想定していた移転計画の根拠となる事業計画と乖離が生じ、減損損失を計上することとなりました。移転計画を着実に進め、国内3拠点(川口、滋賀、坂東)稼働を2拠点(滋賀、坂東)稼働とし固定費負担等を削減するとともに、新設備での合理化推進、当社の強みを生かせる市場への注力、また、塗加工技術を生かした成長が見込める情報電子・産業資材への拡大を進めてまいります。
対応:③
オンデマンド印刷やデジタルサイネージの普及に加え、リモートワークなど働き方改革が広まった事により、商業印刷市場に依存したオフセットインキ事業においては市場縮小の影響を受けております。このトレンドは一層強まることとなると予想しており、オフセットインキ事業の経営効率化に取り組んでおります。一方、オンデマンド印刷向けの事業としてトナー用、インクジェットインキ用色材及び液晶ディスプレイパネル向けの事業として、カラーフィルター用顔料、パネル用コーティング剤などの開発と拡販に注力しております。


対応:④
気候変動対策やサーキュラーエコノミーなど、環境に配慮した最終消費財の供給、消費のありかたやその廃棄・処理に関する社会の考え方は大きく変わってきております。今後も環境にやさしい素材への転換、また廃プラスチックの再資源化に向けて、従来のサーマルリサイクル、マテリアルリサイクルからケミカルリサイクルへの取り組みが進むなど、資源循環型社会への移行が加速すると想定しております。これらサステナビリティ、SDGsの動きに遅れることのないように、お客様との協働、あるいは当社グループ独自に、社会に十分受け入れられる製品開発を進めてまいります。
対応:⑤
世界的なプラスチックを取り巻く事業環境が変化し、日本ではプラスチック資源循環戦略により、プラスチックの再資源化とバイオマス化の動きが加速しており、将来は新たに採掘された石油由来原料でプラスチックを製造する従来型の事業は持続可能が困難と認識しています。当社グループのポリウレタン樹脂の事業においては、これまで培ってきたウレタン樹脂合成技術を活かし、ケミカルリサイクル技術の開発、ポリウレタン樹脂の原料のバイオマス化、ポリウレタン樹脂の水性化・無溶剤化といったイノベーションを創出していく事に取り組んでいます。
これらのイノベーションを創出させるには、サプライチェーンパートナーとの連携に加え、設備投資や人的資本・知的財産への投資にも取り組んでいきます。
対応:⑥
世界的な動きである生物多様性の保全に向けた取り組みの強化を受け、生態系への負荷の少ない製品が求められております。当社グループの各種インキ、塗料、表面処理剤、ウレタン樹脂などは、顧客側で使用される段階で揮発性有機溶剤(VOCs)から有害なガスを発生させるものがあり、それらが大気汚染の原因になると認識しています。これらの製品を通じて生物多様性の保全に寄与すると共に、これら事業の持続可能な成長を目指して、製品の水性化、溶剤使用量の低減に取り組んでいます。
サプライチェーンパートナーと連携し、従来の溶剤系製品を順次環境負荷の少ない製品に切替えを進めています。
対応:⑦
「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」(以下「対処すべき課題等」という。)において、海外事業拡大に向けた事業基盤の強化を掲げており、アメリカ、中国を始めとした諸外国への製品の輸出、海外拠点における製品の製造、販売を積極的に展開しております。諸外国の経済的、社会的環境の変化が当社グループ売上高に大きな影響を与えることがあります。特にインドなど特定の地域における事業環境を鑑みると、当該国における社会的、経済的環境の変化から、当初想定していた時間軸での利益確保が困難となると予想されることもあり、当面、事業の内容を精査しつつ、抜本的対策も視野に入れた検討を進めてまいります。

2)海外事業活動に関するリスク
顕在化する可能性:低顕在化し得る時期*:不明顕在化した場合の影響度:大
リスク:政治・地政学変動に関するリスク
上記「1)-⑦」で言及したことと合わせ、当社グループの海外生産拠点は、当該国の政治体制、各種法令・規制の変更、経済的基盤及び自然災害発生のリスクがあり、これらが、グループ危機管理の想定以上に深刻化した場合には、各生産拠点の生産活動に重大な支障が生じ、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、長期化するロシアのウクライナ侵攻や台湾有事が発生した場合の影響として、資源価格の高騰やサプライチェーン及び物流の混乱等のリスクがあると想定しております。
対応:
このリスクを回避するためには、特定国への投資に過大にシフトすることなく、リスク要因も考慮の上で適正な水準・割合に投資配分することで全体的なリスク緩和を図ることとしてまいります。


3)金融リスク
顕在化する可能性:中顕在化し得る時期*:短期顕在化した場合の影響度:小
リスク:①為替リスク
2022年3月期を初年度とする中期経営計画の施策として、「海外事業拡大に向けた事業基盤の強化」を掲げております。現状の海外売上高比率は約30%にとどまっているものの、為替変動の影響を受けやすい水準であることは事実であり、今後同比率が高まっていくことにより、一層の為替リスクに直面することが想定されます。
対応:
当社グループでは、国内における外貨建て輸出・輸入と海外連結子会社の外貨建て損益の円換算時に為替影響が生じます。現在、損益の均衡が比較的取れている状況であるため、為替の変動による収益への影響、リスクは小さいと認識しております。また、本リスクを極力回避するため、収入、支出を極力同一通貨で支払うこと、海外拠点における現地通貨の借入れを検討すること、必要に応じて為替先物契約を締結することなどにより、リスクヘッジを図ってまいります。
リスク:②金利変動リスク
当社グループは、事業資金の一部を主として金融機関から借入金として調達しております。総資産の効率的な運用を行い、財務体質の改善・強化を図るべく有利子負債の返済に努めておりますが、2023年3月末時点において長短期借入金合計で約304億円あり、今後の金利水準が上昇した場合には、支払利息の金額水準が上昇することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
対応:
足元の金融環境を勘案すると、長期金利は上昇基調にありますが、本リスクが当社グループに与える影響は比較的小さいと思われます。同時に、新たに資金需要が生じた場合においても、当社グループ内に存する資金を効率的に活用することを検討し、次に、資金使途や資金繰りなどを勘案し、取引金融機関との間で調整の上で、長期固定金利借入や金利スワップ契約等を導入することで、長期にわたって低金利を享受できる契約構成を維持できるよう進めてまいります。

Ⅱ.オペレーショナルリスク
事業系オペレーショナルリスク(仕入・生産・販売活動)及び管理系オペレーショナルリスク(事業継続するための管理体制とCSR対応)に起因するリスクのうち、現状、以下の4つを主要なリスクと認識しております。
1)購買に関わるリスク
顕在化する可能性:高顕在化し得る時期*:短期顕在化した場合の影響度:大
リスク:原材料調達リスク、原材料及びエネルギー価格の変動リスク
主力原材料である石油化学誘導品及びエネルギー(電気、ガス等)は、原油価格の動向に伴う価格変動のほか、天災、事故、政策なども含めた生産国での状況の変化などにより、価格変動のみならず、調達不安に陥る可能性もあります。当社グループ製品が使用されている最終消費財の市況や供給責任なども勘案しますと、原材料及びエネルギー価格の上昇をすぐさま製品価格に反映させるには時間を要すことから、結果として原材料及びエネルギー価格の上昇が当社グループの収益を圧迫することにつながります。
対応:
本リスクは、化学メーカーである当社グループにとって回避しづらいものであることは事実ですが、生産計画策定にあたっては、価格予測、需要予測をできうる限り丁寧に行い、また、一定の原材料在庫を保有した上で市場状況を見ながら原材料購入のタイミングを図る、あるいは、特定の企業・国に偏することなく、原材料の代替購入先を常日頃から調査の上で確保することなどにより、当社グループの業績に与える影響を緩和することに努めております。
また販売活動においては、お客様へ原材料及びエネルギーの市場動向を説明し、販売価格の見直しにご理解をいただけるように努めております。


2)コンプライアンスに係わるリスク
顕在化する可能性:中顕在化し得る時期*:中期顕在化した場合の影響度:大
リスク:①化学物質管理リスク、品質管理リスク
当社グループでは、多種の化学物質を取り扱っており、その保管、使用、移動、排出、廃棄において法令順守を徹底しております。しかしながら、化学物質管理や環境管理関連において、国内・海外を問わず法的要件が強化されることがあり、順守できていない場合には罰則を受けるだけでなく、輸出入の禁止や生産活動の停止による、収益機会の喪失、あるいは対処するための投資を招く蓋然性があり、当社グループの業績に与える影響は甚大となる可能性があります。
対応:
特定のセグメント(事業機構)から独立した化学物質管理体制及び環境、安全衛生体制(組織)を充実させることと同時に、特に化学物質管理においては要件変更への対処に遺漏が生じることのないように、システムによる管理(新化学物質管理システム)の構築を進めているところであり、これによりリスクコントロールを行うこととしております。
リスク:②製造物責任、補償のリスク
環境、安全衛生上の問題や、製品の品質管理上の問題などに起因して、大規模な損害賠償につながるリスクが現実化し、賠償金支払いが生じる可能性があります。
対応:
現在、当社グループが付保しております賠償責任保険等、保険契約の内容を勘案すると、これらの発生する蓋然性は比較的小さいものと判断しておりますが、引き続き、保険内容を十分に検討した上での付保手続きを進めてまいります。

3)情報セキュリティリスク
顕在化する可能性:中顕在化し得る時期*:短期顕在化した場合の影響度:大
リスク:
当社グループは事業活動の中で取引先の情報、技術、契約、人事等の機密情報を取り扱いますが、多くは情報システムで管理しております。サイバー攻撃、不正アクセス等によるデータの改ざん、逸失、情報の漏洩、また災害や障害によるシステムの停止が引き起こす事業活動の停止などが発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応:
ネットワーク監視、ウイルス対策、アカウント管理などの基本的な情報セキュリティ対策、バックアップなどの適切なデータ保全、従業員に対する情報セキュリティ教育に取り組んでおります。

4)人員・人財不足のリスク
顕在化する可能性:中顕在化し得る時期*:中期顕在化した場合の影響度:大
リスク:
当社グループの持続可能な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。出生率低下で新卒者減少に伴う優秀な人財の採用逸失、有能な社員など人財の流出が頻発する場合は、当社の長期的な成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。
対応:
新卒者へのきめ細かいアプローチ、中途採用を積極的に行うと同時に、従業員の定着率を維持するため、ワーク・ライフバランスに配慮した社内制度の充実、多様な人財が能力を発揮できるような複数のキャリアパスの設定、従業員自身が成長を実感できるような能力開発の支援、仕事のやりがいなど環境改善を高める取り組みを進めております。

Ⅲ.ハザードリスク
1)自然災害、疫病等のリスク
顕在化する可能性:中顕在化し得る時期*:不明顕在化した場合の影響度:大
リスク:
近年、大規模地震や大雨等の自然災害のリスクは高まっており、被害の規模によっては生産設備や情報処理システムの毀損、従業員の出勤不能、物流機能の停滞、原材料の調達難などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症の大流行(パンデミック)は、世界的な経済活動の停滞、需要減による販売減、感染者の拡大による営業拠点や工場の操業停止などにより、一時的に事業の継続が困難になる可能性があります。
対応:
当社グループは、自然災害等の発生に備えて順次対策を進めておりますが、当該リスクが発生する蓋然性を事前に評価することは極めて困難ですので、建物、機械設備等の状況を十分に把握の上で合理的な内容で損害保険を付保することを行っております。同時に、製造・輸送コスト等も十分に検討しながら、お客様への製品供給が不合理に途切れることなく維持できるようにBCPの観点から、製造場所の複数化なども実施しております。

従業員の状況研究開発活動


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