有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LJ79 (EDINETへの外部リンク)
日本冶金工業株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
当社グループの研究開発部門の主な業務は、戦略分野として位置づけている高機能材のプロセス技術開発、新製品開発、及び顧客への技術支援です。グループ全体の研究開発も担っており、各社と協力して開発を進めております。
プロセス技術開発では、中期経営計画2020のコンセプトである、業界トップレベルの品質・納期・対応力で信頼され続けるグローバルサプライヤーを目指し、顧客ニーズへの対応、要望に対応した製造可能範囲拡大・新商品開発に注力してきました。当社グループ会社のナストーア(株)とは、新しい溶接管製造プロセスの共同開発を開始しております。新製品開発ではソリューション営業部と連携する他、当社グループ会社のナス鋼帯(株)と連携し、今後一層その重要性を増してくると見られるエネルギー・環境・化学分野に多用される高耐食材、高耐熱材の開発に注力しております。
市場開拓の一環である顧客への技術支援として、当社製品の耐食性、及び溶接性等に関するデータベースの一層の拡充を図り顧客ニーズへの対応力強化を図っております。
当連結会計年度における技術開発の主な成果は以下のとおりであります。
1.高ニッケル耐食合金 冷延帯・板の製造プロセス開発
2015年以降、高ニッケル耐食合金NASNW276(UNS N10276)、NASNW22(UNS N06022)、NAS625(UNS N06625)の4フィート幅コイルの製造に成功し商業生産を行っております。2019、2020年度とプロセスの更なる安定化を図った結果、一般ステンレス鋼と遜色のないレベルにまで到達しました。今後は、生産能力向上を進める計画でおります。
これ以外では、中国JVを活用した製造可能範囲の拡大をトライし、NAS800T、NAS74NU、NASH38X、NAS625について板厚、板幅の範囲拡大を達成しました。NAS800Tについては、幅3270mmと3Mを超える世界一幅の広い高ニッケル耐熱合金を商品化、石油化学プラント・反応チューブ用途への販売に繋がりました。
引き続き、NAS625、NASNW276、NAS185Nなどを対象に製造可能範囲の拡大を進めてまいります。
2.多様なリサイクル原料活用による環境配慮型ニッケル製錬技術の構築
大江山製造所では、Ni鉱石を製錬しフェロニッケルを製造しておりますが、昨今の原料事情、環境意識の高まりを受け、いわゆる都市鉱山と呼ばれている有用な資源を含むリサイクル原料の活用を本格化しております。しかしながら、リサイクル品であるが故の不安定さ、多様性から製錬技術の確立が急務です。この問題を解決するために、包括的、かつ生産レベルに近い大規模模擬実験を開始しました。反応機能の解明、最適な製錬技術の確立、更にはリサイクル原料の活用拡大を目指します。
研究開発活動には、全体で38名のスタッフが携わっており、これは総従業員の約2%にあたります。また、当連結会計年度における研究開発費は663百万円であります。
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