有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007RJV
日本通運株式会社 業績等の概要 (2016年3月期)
(1) 業績
当連結会計年度のわが国経済は、良好な企業収益に牽引され、賃金や雇用環境の改善が期待されたものの、中国をはじめとした海外経済の減速や地政学リスクの高まりに加え、年明け以降には、円高・株安など景気の下押し要因が顕在化するなか、不透明な状況で推移いたしました。このような経済情勢のなか、物流業界におきまして、国内貨物は、経済の潮目の変化により企業の生産に弱さが見られ、出荷が伸び悩むなど、緩慢な荷動きとなりました。また、国際貨物は、輸出・輸入ともにマイナス基調が続き、アジア向けを中心に貨物が減少するなど、総じて低調に推移いたしました。
当社グループは、このような経営環境のなか、最終年度を迎えた3年間の中期経営計画「日通グループ経営計画2015-改革と躍進-」の達成に向け、「グローバルロジスティクス事業の更なる拡大」「国内事業の経営体質強化」「グループ各社の多様性を活かした事業拡大」「CSR経営に基づく、事業を通じた社会への貢献」の4つの基本戦略に、グループ一丸となって取り組んでまいりました。
また、大規模な組織改正の実施により、ワンストップでサービスを提供できる組織を構築し、営業からオペレーションまで一貫して対応するお客様起点のアカウント営業体制の確立を進めてまいりました。
具体的な取組みとして、グローバルロジスティクス事業では、東南アジアにおいて輸送ネットワークの拡充を進めるとともに、ハラールロジスティクスやコールドチェーン一貫輸送など、多くの新しい輸送サービスを提供し、これらを通じて、各地域での域内物流や倉庫業務の拡販にも積極的に努めてまいりました。
国内事業では、大都市圏における営業力を徹底的に強化するとともに、変動費管理を強力に推し進めるなど、高品質かつ効率的な作業体制を構築し、利益の最大化に努めてまいりました。
CSR経営では、持続可能な社会の実現に向け、温室効果ガスの漏洩を防止し適正かつ簡易に管理するフロン管理システムの運用を開始するなど、地球環境保全に取り組んでまいりました。
さらに、情報資産管理業界のリーディングカンパニーである株式会社ワンビシアーカイブズの株式を取得したことに加え、効率的なオペレーションの確立を目指し、名鉄運輸株式会社との業務提携をおこなうなど、事業拡大を進めてまいりました。
この結果、売上高は1兆9,091億円と前連結会計年度に比べ158億円、0.8%の減収となりましたが、営業利益は、547億円と前連結会計年度に比べ39億円、7.8%の増益、経常利益は623億円と前連結会計年度に比べ28億円、4.8%の増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては356億円と前連結会計年度に比べ92億円、35.2%の増益となりました。
セグメントの業績概況は以下のとおりであります。
(売上高の明細)
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) (百万円) | 増 減 (百万円) | 増減率(%) | ||
運送 | 国内会社 | 複合事業 | 742,356 | 736,568 | △5,787 | △0.8 |
警備輸送 | 55,401 | 53,803 | △1,597 | △2.9 | ||
重量品建設 | 46,886 | 51,395 | 4,508 | 9.6 | ||
航空 | 210,763 | 182,533 | △28,230 | △13.4 | ||
海運 | 118,836 | 118,205 | △630 | △0.5 | ||
海外会社 | 米州 | 79,160 | 94,697 | 15,536 | 19.6 | |
欧州 | 83,609 | 84,579 | 969 | 1.2 | ||
東アジア | 101,321 | 115,068 | 13,747 | 13.6 | ||
南アジア・ オセアニア | 64,607 | 70,225 | 5,618 | 8.7 | ||
販売 | 420,155 | 367,328 | △52,827 | △12.6 | ||
その他 | 143,602 | 173,632 | 30,029 | 20.9 | ||
合計 | 2,066,703 | 2,048,040 | △18,662 | △0.9 |
(セグメント利益(営業利益)の明細)
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) (百万円) | 増 減 (百万円) | 増減率(%) | ||
運送 | 国内会社 | 複合事業 | 18,201 | 22,495 | 4,293 | 23.6 |
警備輸送 | 867 | 1,530 | 663 | 76.5 | ||
重量品建設 | 2,156 | 3,686 | 1,529 | 70.9 | ||
航空 | 10,173 | 7,385 | △2,788 | △27.4 | ||
海運 | 4,904 | 6,109 | 1,205 | 24.6 | ||
海外会社 | 米州 | 3,404 | 5,088 | 1,684 | 49.5 | |
欧州 | 2,394 | 1,559 | △834 | △34.9 | ||
東アジア | 1,904 | 1,679 | △224 | △11.8 | ||
南アジア・ オセアニア | 930 | 1,568 | 637 | 68.5 | ||
販売 | 6,423 | 6,084 | △339 | △5.3 | ||
その他 | 2,643 | 2,746 | 103 | 3.9 | ||
合計 | 54,005 | 59,935 | 5,929 | 11.0 |
①複合事業(運送、国内会社)
自動車の取扱いが減少したこと等により、売上高は7,365億円と前連結会計年度に比べ57億円、0.8%の減収となりましたが、燃料費の減少及び料金改定の効果により、営業利益は224億円と前連結会計年度に比べ42億円、23.6%の増益となりました。
②警備輸送(運送、国内会社)
輸送業務の取扱いが減少したこと等により、売上高は538億円と前連結会計年度に比べ15億円、2.9%の減収となりましたが、営業利益は15億円と前連結会計年度に比べ6億円、76.5%の増益となりました。
③重量品建設(運送、国内会社)
海外における各種プロジェクト案件が増加したこと等により、売上高は513億円と前連結会計年度に比べ45億円、9.6%の増収となり、営業利益は36億円と前連結会計年度に比べ15億円、70.9%の増益となりました。
④航空(運送、国内会社)
前年の米国西海岸の港湾混雑の影響による輸出貨物増加の反動減等により、売上高は1,825億円と前連結会計年度に比べ282億円、13.4%の減収となり、営業利益は73億円と前連結会計年度に比べ27億円、27.4%の減益となりました。
⑤海運(運送、国内会社)
国内貨物及び輸入貨物の取扱いが減少したこと等により、売上高は1,182億円と前連結会計年度に比べ6億円、0.5%の減収となりましたが、営業利益は61億円と前連結会計年度に比べ12億円、24.6%の増益となりました。
⑥米州(運送、海外会社)
航空輸入貨物の取扱いが好調に推移したこと等により、売上高は946億円と前連結会計年度に比べ155億円、19.6%の増収となり、営業利益は50億円と前連結会計年度に比べ16億円、49.5%の増益となりました。
⑦欧州(運送、海外会社)
航空輸出貨物の取扱いが堅調に推移したこと等により、売上高は845億円と前連結会計年度に比べ9億円、1.2%の増収となりましたが、営業利益は15億円と前連結会計年度に比べ8億円、34.9%の減益となりました。
⑧東アジア(運送、海外会社)
航空輸出貨物の取扱いが堅調に推移したこと等により、売上高は1,150億円と前連結会計年度に比べ137億円、13.6%の増収となりましたが、営業利益は16億円と前連結会計年度に比べ2億円、11.8%の減益となりました。
⑨南アジア・オセアニア(運送、海外会社)
航空輸出貨物の取扱いが好調に推移したこと等により、売上高は702億円と前連結会計年度に比べ56億円、8.7%の増収となり、営業利益は15億円と前連結会計年度に比べ6億円、68.5%の増益となりました。
⑩販売
石油販売単価が下落したこと等により、売上高は3,673億円と前連結会計年度に比べ528億円、12.6%の減収となり、営業利益は60億円と前連結会計年度に比べ3億円、5.3%の減益となりました。
⑪その他
日通NECロジスティクス社の株式取得等により、売上高は1,736億円と前連結会計年度に比べ300億円、20.9%の増収となり、営業利益は27億円と前連結会計年度に比べ1億円、3.9%の増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは788億円の収入となり、前連結会計年度に比べ43億円収入が増加しました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益及び売上債権の増減額による収入が増加したこと等によるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローは1,228億円の支出となり、前連結会計年度に比べ1,004億円支出が増加しました。その主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは439億円の収入となり、前連結会計年度に比べ775億円収入が増加しました。その主な要因は、長期借入れによる収入が増加したこと等によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ29億円減少し1,460億円となりました。
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