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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007VOW

有価証券報告書抜粋 日本郵政株式会社 対処すべき課題 (2016年3月期)


生産、受注及び販売の状況メニュー事業等のリスク

当社グループは、2015年4月に、新たに2015年度から2017年度を計画期間とする「日本郵政グループ中期経営計画 ~新郵政ネットワーク創造プラン2017~」を発表いたしました。「主要三事業の収益力と経営基盤の強化」、「ユニバーサルサービスの責務の遂行」、「上場を見据えたグループ企業価値の向上」の3点を中期的なグループ経営方針とし、その上で、現在当社グループが直面している「更なる収益性の追求」、「生産性の向上」、「上場企業としての企業統治と利益還元」という新たな3つの課題を克服するため、当社グループが一丸となって、郵便・物流事業の反転攻勢や郵便局ネットワークの活性化などの「事業の成長・発展のための戦略」、ITの活用や施設・設備への投資などの「ネットワークの拡大、機能の進化を支えるグループ戦略」に取り組み、将来にわたって「トータル生活サポート企業」として発展していくことを目指しております。当年度におきましては、計画期間の初年度として、主要三事業を中心とした様々な施策を展開いたしました。
当社といたしましては、2016年度におきましても、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保並びに郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるよう、グループ各社の経営の基本方針の策定及び実施の確保に努めてまいります。
そして、当社グループの企業価値向上を目指し、上記方針を踏まえたグループ各社の収益力強化策や更なる経営効率化等が着実に進展するよう、グループ運営を行ってまいります。あわせて、当社グループが抱える経営課題については、持株会社として、グループ各社と連携を深めながら必要な支援を行い、その解消に努めてまいります。コーポレートガバナンスの強化のため、グループ全体の内部統制に努めるとともに、コンプライアンス水準の向上を重点課題として、グループ各社に必要となる支援・指導を行い、不祥事再発防止等につきましても、取り組みを推進・管理してまいります。
さらに、グループ各社が提供するサービスの公益性及び公共性の確保や、お客さま満足度の向上に取り組むとともに、当社グループの社会的責任を踏まえたCSR活動や東日本大震災・2016年熊本地震の復興支援に、グループ各社とともに取り組んでまいります。
金融2社株式の売却については、当社としましては、郵政民営化法に従い、最終的には当社が保有するすべての金融2社株式を売却する方針ですが、その前提として、金融2社株式の売却に伴う当社と金融2社との資本関係の変化が、金融2社の経営状況並びに当社及び日本郵便に課されているユニバーサルサービス確保の責務の履行に与える影響を見極める必要があります。そこで、当社としましては、まずは、金融2社の経営状況及びユニバーサルサービス確保の責務の履行への影響が軽微と考えられる、当社の保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却を進めることとしております。なお、金融2社株式の2分の1以上を処分することにより、郵政民営化法により課せられている新規業務に係る規制が認可制から届出制へと緩和されることになります。
また、政府も当社株式の売却収入を東日本大震災に係る復興債の償還費用の財源に充てることを目的として、当社株式の売却を段階的に進めていくことが予想されますが、当社及び金融2社の企業規模に鑑みれば、3社の時価総額は相当程度の規模になることが想定されるため、3社の株式を短期間で大規模に売却することは、株式市場の需給の観点からは容易ではないと考えられます。従って、当社としましては、金融2社株式をいつまでに売却するかを明確に示すことはできませんが、株式市場の動向等の条件が許す限り、まずは、保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却を進めてまいります。
金融2社株式の売却に伴う手取金については、上場時の売却においては、その売却手取金を2015年12月に実施した自己株式の取得の資金に充てましたが、今後の売却においては、その売却手取金を適切な投資機会に対して資本を投下し、企業価値の向上を図るとともに、必要に応じ、自己株式の取得を行うことにより資本効率の維持・向上を図ります。
金融2社株式の売却に伴う事業ポートフォリオの移行を実現するための手段として、当社グループ及びグループ各社の企業価値向上に資するような積極的な業務提携やM&Aも行ってまいります。
各事業セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。


(1) 郵便・物流事業
郵便・物流事業におきましては、次の収益増加及び生産性向上に向けた取り組みを行います。

① 収益増加に向けた取り組み
郵便・物流事業につきましては、引き続き、年賀状をはじめとしたスマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽しさを伝える活動の展開等により、郵便の利用の維持・拡大を図るとともに、受取利便性の高いサービスの推進、中小口のお客さまに対する営業の強化、お客さまの幅広いニーズに一元的に対応できる営業体制の構築に取り組みます。
特にゆうパック事業につきましては、戦略的な展開を図りながら、収支改善に取り組み、2016年度における単年度黒字化を目指します。
さらに、2016年1月から試行的な提供を開始したデジタル・メッセージ・サービス(「MyPost(マイポスト)」)の利用定着を図ります。
なお、過去5事業年度の郵便、ゆうメール及びゆうパックの取扱物数の推移は以下のとおりとなります。
(単位:百万通・百万個)
2012年3月期2013年3月期2014年3月期2015年3月期2016年3月期
郵便19,10818,86218,57218,18918,030
ゆうメール2,8723,1013,3243,3623,539
ゆうパック383382428485513


② 生産性向上に向けた取り組み
引き続き、集配局の内務作業の集中・機械化による郵便・物流ネットワーク再編に取り組みます。
また、郵便局の業務効率の向上を目指し、引き続き、集配業務の生産性の向上、輸送効率の向上に取り組むほか、業務運行に必要な労働力を確保できるよう、地域ごとの状況を踏まえた効果的な募集活動及び定着に向けた取り組みを行います。

(2) 国際物流事業
国際物流事業におきましては、トール社と日本郵便との連携によるシナジー効果を発揮し、アジアを中心とした日系企業等新規顧客の獲得、豪州における小売業等に対する積極的な営業展開や厳格なコスト管理、アジアを基点とした欧米地域の物流ニーズの獲得等により、収益拡大を図ってまいります。


(3) 金融窓口事業
金融窓口事業におきましては、次の収益増加及び生産性向上に向けた取り組みを行います。

① 収益増加に向けた取り組み
銀行窓口業務及び保険窓口業務をはじめとする金融サービスにつきましては、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険と連携した研修を通じた社員の営業力の強化や、JP投信株式会社の商品をはじめとする投資信託の販売を通じ、金融預かり資産重視の営業スタイルの更なる浸透や新契約拡大、新規利用顧客の拡大を図ります。また、がん保険等の提携金融サービスにつきましても、研修等を通じ、社員の営業力強化に取り組みます。
物販事業につきましては、他社との提携等により、商品の拡充・開発を行うとともに、販売チャネルの多様化を推進します。
不動産事業につきましては、JPタワー、JPタワー名古屋、大宮JPビルディング、KITTE博多等の賃貸ビル事業のほか、賃貸住宅を主とした住宅事業及び駐車場事業を推進します。

② 生産性向上に向けた取り組み
引き続き、郵便局の新規出店、店舗配置の見直し等を通じた郵便局ネットワークの最適化に取り組むほか、郵便局の業務効率の向上を目指し、郵便局の現金取扱いに関して、機器の増配備により資金管理体制の充実を図るとともに、郵便局への訪問支援や関連ツールの充実等による業務品質の向上に取り組みます。


(4) 銀行業
ゆうちょ銀行は、郵便局をメインとするネットワークによるリテール営業力に支えられた安定した資金調達や、強固な資本基盤、またそれらの特性を生かしたALM・運用戦略によって、安定的な利益を創出してまいりましたが、現在の極めて厳しい経営環境下、全社一丸となって中期経営計画に盛り込んだ課題に取り組んでまいります。
特に、2013年以来の日本銀行の量的・質的金融緩和の効果浸透による歴史的な低金利の継続や、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入決定後の一段の金利低下により、ベース・ポートフォリオの収益減少が見込まれる中、安定的利益を確保するため、手数料ビジネスの強化、サテライト・ポートフォリオの収益増加、コスト削減を最重要事項として取り組みます。

① 顧客基盤の確保と手数料ビジネスの強化
ゆうちょ銀行は、日本郵便(郵便局)と連携してリテール営業力を強化し、引き続き、給与・年金口座といったメイン化商品等を活用し、お客さまのライフサイクルに応じ、様々なニーズに応えられる営業を展開することで、安定的な顧客基盤の確保に取り組みます。
また、リテール営業力を活用し、金利変動による影響を受けにくい手数料ビジネスの強化を図ります。特に、資産運用商品の販売やATM提携サービス等、成長が見込まれる分野を中心に取り組みを強化します。
資産運用商品の販売では、JP投信株式会社の投資信託商品など初めて投資をお考えのお客さまにとっても簡易で分かりやすい商品の提供、資産運用コンサルタントの育成・増員などコンサルティング営業の強化に注力します。
ATMサービスについては、設置場所の選択肢を広げる小型ATM(全国に約27,000台設置)の導入をはじめとし、今後も利便性の高い場所へATMを設置していくとともに、ゆうちょ銀行ATMネットワークの活用を通じて、地域金融機関との連携を図ります。
なお、ゆうちょ銀行は、郵政民営化法により、当座預金に相当する振替貯金を除き、原則として一の預金者から受け入れることができる預金等の額が制限されております。このうち通常貯金、定額・定期貯金等(財形定額貯金、財形年金定額貯金、財形住宅定額貯金を除きます。)の預入限度額が、2016年4月に1,000万円から1,300万円に引き上げられました。

② 「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を踏まえたベース・ポートフォリオの運営
ベース・ポートフォリオでは、長期国債利回りがマイナスとなる場面が多くみられるようになるなど、資金運用を取り巻く環境は非常に厳しい状況にありますが、中長期的に安定的な収益の確保を図るスタンスのもと、金利動向等に応じて機動的な運用を行っていきます。

③ サテライト・ポートフォリオの資産内容充実
サテライト・ポートフォリオでは、国際分散投資を推進するとともに、プライベート・エクイティ等、新たな投資領域を開拓し、収益の向上に取り組んでいきます。このため、専門的人材の確保等、運用態勢をさらに強化してまいります。
さらに、これらの運用の高度化に伴い、リスク管理態勢の充実、信用力評価及びモニタリング態勢、審査態勢の強化等によるリスク管理・審査態勢の高度化を図ります。

④ コスト削減等経営基盤の強化
ゆうちょ銀行では、これまでも経費の効率的使用に努めてきましたが、引き続き、顧客サービスの向上や成長に向けた投資を拡充する一方、生産性向上のためのBPR(Business Process Re-engineering)を継続し、より一層の効率化に努めます。
また、各種研修等を通じたコンプライアンス意識の更なる浸透、資産運用商品販売における顧客保護態勢の充実など、コンプライアンスの水準向上、内部管理態勢の充実を経営上の最重要課題として取り組みます。


(5) 生命保険業
かんぽ生命保険は、引き続き「お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社を目指す」という方針のもと、成長に必要な経営基盤を確立するとともに、かんぽ生命保険の強みをさらに強固にする商品・サービスを開発することで、本格的な成長軌道への転換に道筋をつけていくこととしています。

① 引受けから支払いまで簡易・迅速・正確に行う態勢整備
将来の成長戦略を描くために、基盤となる事務・システムインフラへの投資を行うことで、保険契約の引受けから支払いまで、簡易・迅速・正確に行う仕組みを構築し、ご契約の管理態勢を強化するとともに、質の高いサービスを提供してまいります。また、2017年1月の基幹系システム更改に併せて、システムの開発・運用態勢をより強化することにより、システム品質・開発生産性の向上を目指してまいります。

② 販売チャネルの営業力強化
日本郵便と一体となって、かんぽ生命保険の新契約販売実績の大部分を占める郵便局チャネルの営業力を強化いたします。日本郵便の営業人材の確保を支援するとともに、育成による生産性向上を図ります。また、既にご契約いただいているお客さまへのご訪問等により営業活動量を増やし、新契約の拡大を目指してまいります。特に、ユニバーサルサービスの対象商品である養老保険・終身保険に特約を付加した販売を強化いたします。かんぽ生命保険の直営店チャネルでは、法人営業の態勢強化により、法人・職域・インナー(当社グループ内)の各マーケットでの販売拡大を目指してまいります。

③ お客さまニーズに対応した商品開発、ご高齢のお客さまへのサービスの充実
お客さまニーズに対応した商品・サービスを開発することにより、お客さまの利便性向上に貢献するとともに、新契約の拡大につなげてまいります。
また、かんぽ生命保険の強みであり、今後も拡大が予測されるシニアマーケットにおいて、「ご高齢のお客さまに優しいビジネスモデル」をさらに強化し、ご高齢のお客さまに質の高いサービスをご提供できるよう、すべてのお客さま接点をご高齢のお客さまの目線で見直す改革を推進してまいります。

④ 運用収益力の向上
資産運用につきましては、資産と負債のマッチングを推進するとともに、運用部門の態勢強化、運用資産の多様化を進めることにより、収益向上を目指してまいります。

⑤ 内部管理態勢の強化
経営の根幹である「募集品質の確保・コンプライアンスの徹底」を図り、「お客さまの声」を経営に活かす取り組みを推進するとともに、リスク管理の強化を図ることで、内部管理態勢を強化いたします。

(参考)
過去の新契約、保有契約の件数の推移は下記のようになります。
(単位:万件)
契約の種類2012年3月期2013年3月期2014年3月期2015年3月期2016年3月期
新契約(個人保険)212220223238239
簡易生命保険3,1012,6932,3191,9951,697
かんぽ生命保険8019871,1661,3531,535

(注) 2007年10月1日の民営化時の簡易生命保険契約は5,517万件でした。

生産、受注及び販売の状況事業等のリスク


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