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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OA6P (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日本郵政株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動


下記Ⅰ~Ⅷにおいて、当社及び当社グループの事業内容、経営成績、財政状態等に関する事項のうち投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクを例示しております。もっとも、当社及び当社グループの事業等のリスクは、これらに限定されるものではありません。
下記「Ⅰ. 当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク」において、当連結会計年度末現在において当社経営陣が特に重視する事項について記載し、その他の重要なリスクは下記Ⅱ~Ⅷに記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。


当社グループでは、グループ協定等に、事業子会社の管理対象リスクや当社への報告事項等、リスク管理に係る基本事項を定め、当社がグループのリスク管理状況や改善状況をモニタリングすること等により、グループ全体のリスク管理を行っています。
当社では、グループガバナンス強化のため、グループのリスク管理統括責任者として、執行役の中から「グループ・チーフ・リスク・オフィサー(グループCRO)」を選任しています。グループCROは、事業子会社のリスク管理担当役員をメンバーとする「グループオペレーショナルリスク管理連絡会」等を通じ、事業子会社のリスク管理の向上に向けた情報共有・協議等を実施するとともに、グループのリスク管理状況・取組みについて取締役会等への報告等を行い、取締役等からレビューを受けています。
なお、事業子会社は、自社のリスク管理を統括する部署を定め、自ら主体的に自社の事業特性やリスク特性に応じたリスクの特定、評価、制御、モニタリング等のリスク管理を行うとともに、当社に対し必要事項を報告する等のリスク管理態勢を整備しています。





当社は、外部環境の変化や事業戦略等を踏まえ、毎年、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスク(グループ重要リスク)の見直しを行っています。具体的なリスクの特定、評価については、取締役及び執行役へのアンケート(役員アンケート)を通じて行い、改善策の策定、改善策取組状況のモニタリング等を経営陣が行うPDCAサイクルを回しています。




Ⅰ.当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク

当社は、役員アンケートを通じて、グループ重要リスクのうち発生可能性と当社グループの業績への影響の観点から特に重要度の高いものをトップリスクと定め、「経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク」としています。下図は、かかる当社経営陣によるリスク分析の状況をわかりやすく示すために、「経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク」と位置付けた10のリスクにつき、その相対的な位置づけを図示したものです。ここに記載した各リスクの発生可能性、影響度、優先度は、本書提出日現在における当社経営陣の分析に基づくものであり、また、発生可能性、影響度又は優先度が「小」と記載されたリスクについても、現に当該リスクが発生し又は当社の事業等に重大な影響を及ぼす可能性を否定するものではありません。



1.低金利環境の長期化に伴うリスク
当社グループの収益の多くは、銀行業及び生命保険業(以下「金融事業」と総称します。)の運用・調達から生じる収益により占められています。
歴史的な低金利環境の長期化を受けて、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険(以下「金融2社」といいます。)の債券運用収益が低位から回復しないことにより、基礎的な収益力が低下し、当社グループの収益が大幅に減少するリスクは大きいものと認識しております。また、低金利政策の出口としての急激な金利上昇により、当社グループの保有資産の価値が大幅に下落するリスクや預金の預け替え、保険の解約が進むリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、金融2社では中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALM(Asset Liability Management)の枠組みの下、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行っているほか、財務健全性の観点から、リスク管理態勢を高度化するとともに、ストレス・テストや損益シミュレーション等を実施することによりリスクの分散に取り組み、市場リスク等を適切に管理するよう努めておりますが、低金利環境がさらに長期化した場合や急激な金利上昇が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。


2.金融2社の株式売却に関するリスク
当社は、金融2社の株式売却に関しては、郵政民営化法を踏まえ、金融2社の経営の自立性・自由度を広げる観点から、できる限り早期に金融2社株式の保有割合を50%以下とすることを目指しております(2022年3月末日現在、当社によるゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の議決権保有割合はそれぞれ、89.0%と49.9%です。)。金融2社の株式の売却が進んだ場合には、非支配株主に帰属する当期純利益の増加や持分法による投資利益の減少により、当社の連結財務諸表に反映される金融2社の利益が減少します。
また、株式売却は市場環境等にも左右されるため、当社の想定通りに株式の売却が進まない可能性があります。さらには、金融2社の株式保有割合が低下してグループの一体的な業務運営が難しくなること等により、顧客離れ・ブランド力低下が発生し、当社グループの収益が金融2社の持分低下の影響を超えてさらに低下する可能性もあります。
当社としては、将来的に金融2社に代わる事業基盤を確保するとともに、これら2社の株式売却により得た資金を活用して、例えば、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」として新たなビジネスを展開して収益機会を確保する等、ビジネスポートフォリオを転換することに取り組みますが、当社グループを取り巻く国内外の経済情勢は厳しい状況にあるほか、投資先の選定・管理等の難易度は増しており、上記の当社連結業績への影響を補えない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2022年4月の東京証券取引所の市場区分見直しに際し、ゆうちょ銀行はプライム市場の上場維持基準のうち「流通株式比率35%以上」に適合しなかったため、経過措置の適用を受けたうえで、プライム市場へ移行しました。当分の間、プライム市場への上場が維持される見込みですが、当社によるゆうちょ銀行株式売却が進まないこと等により、経過措置期間内に上場維持基準を充足できない場合には、ゆうちょ銀行の上場維持が認められず、ゆうちょ銀行の株式の株価下落により当社個別業績が悪化し、又はゆうちょ銀行株式売却がさらに困難になる可能性があります。

3.法令等違反に関するリスク
当社グループでは、郵便局長等による資金横領や預払金横領事案等が複数件発生しており、当社グループ内で連携して発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、法令等違反の撲滅に向けてコンプライアンスの徹底・強化、並びにグループガバナンス及び内部統制の強化に取り組んでおります。
また、当社グループは、2019年、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る諸問題に関し、監督当局からの行政処分を受け、2020年1月に策定した業務改善計画に基づき各種施策に取り組み、外部専門家で構成されたJP改革実行委員会のモニタリングを受けながら、お客さまからの信頼回復に向けた改善策を実行してまいりました。
加えて、かんぽ生命保険商品と投資信託を同一のお客さまに販売した際に、一部の取引について法令違反があったことを受け、契約無効措置等のお客さま対応を実施したほか、商品横断的なデータモニタリングなどの必要な対応を行いました。
さらに、当社グループは、内部通報制度等を活用して社員の声の収集・分析を行い潜在的なリスクの検知に努め、法令等遵守を徹底しております。
しかしながら、かかる態勢・予防策が十分な効果を発揮するとは限らず、結果として当社グループの役員・従業員による法令その他諸規則等の違反、社内規程・手続等の不遵守、不正行為、事故、不祥事等が生じた場合には、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4.顧客向けDXで競合他社から後れを取る等事業環境の変化に対応できないリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大や少子高齢化・デジタル化の進展の中、企業が競争上の優位性を確保するためには、ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、お客さまや社会のニーズに基づき、商品・サービス、ビジネスモデルを変革し、業務、組織、企業文化・風土等を変革することが必要となります。
当社グループでは、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」として、グループ一体でのDX推進による、リアルの郵便局ネットワークとデジタル(デジタル郵便局)との融合により新たな価値を提供できるように取組みを進めるほか、楽天グループ株式会社などグループ外企業等との資本・業務提携、その他新規事業への投資等に取り組んでおりますが、これらの取組みが成功する保証はなく、事業環境の変化に適時かつ適切に対応できない場合には、当社グループの業務・商品の競争力低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、P-DX(Postal-Digital transformation:デジタル化された差出情報と、日本郵便ならではの配達先情報を活用し、データ駆動型のオペレーションサービスを実現するための郵便・物流事業改革)の推進、オペレーション改革、窓口業務運営のデジタル化等を進めておりますが、かかる取組みが奏功せず、競合他社から後れを取るなど、事業環境の変化に対応できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

5.グローバル経済の減速による海外信用悪化に伴うリスク
当社グループの収益の多くは、金融事業の運用・調達から生じる収益により占められています。
世界的な金融政策の変更、ロシアによるウクライナ侵攻等の地政学リスクの高まり、新型コロナウイルス感染症の拡大等による歴史的な金融・資本市場の動揺、グローバル経済の減速懸念時には、金融2社については、海外金融資産の増加に伴い海外クレジット市場の信用スプレッド拡大、外貨の調達、通貨ベーシスの拡大によるヘッジコスト上昇の影響を強く受け、当社グループ各社の保有資産の評価損、減損損失及び売却損の計上、剰余金の処分による分配可能額の減少・消失等、金融事業に影響を及ぼすリスクは大きいものと認識しております。
これらに対し、財務健全性の観点から、リスク管理態勢を高度化し、ストレス・テスト等を実施し、運用の分散や機動的な運営に努め、必要な自己資本比率を確保しておりますが、金融・資本市場、国内外の経済情勢その他事業環境の変動が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

6.顧客本位の業務運営に反するリスク
当社グループでは、業務改善計画に基づいた改善策の実行に向けて取り組んでいるかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題に加え、かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売について、一部お客さま本位といえない営業が行われていたことや、ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済サービスの不正利用、郵便局におけるお客さま情報の紛失等の問題が発生しています。当社グループは、外部専門家の方々で構成された、各種取組みを公正・中立な立場から検証するJP改革実行委員会からの評価、助言等も踏まえ、ガバナンス機能、グループコンプライアンス機能、監査部門の機能の強化等を図り、業務改善計画を着実に実行しており、また、お客さまからの信頼回復に向け、2020年9月に発表した「お客さまの信頼回復に向けた約束」をもとに、お客さまや社員の声を経営や営業・業務改善に活用する等、お客さま本位の事業運営を徹底し、お客さまからの信頼回復に向けた改善策を実行してまいりました。
また、ゆうちょ銀行の即時振替サービスの不正利用事案等に関し、2021年1月にJP改革実行委員会から受領した「株式会社ゆうちょ銀行のガバナンス等に係る検証報告書」において、ガバナンス強化に向けた改善策に係る提言を受けており、提言事項への対応に取り組んでおります。
併せて、当社は、2021年4月1日付でグループコンダクト統括室を設置し、子会社からのコンダクト・リスクに係る情報を迅速に把握し、グループとして一体的な対応を可能とするための態勢整備を行いました。
他方、日本郵便では、経費で購入した業務用カレンダーの配布にあたって全国郵便局長会より不適切な指示が行われていた問題が発覚しました。再発防止のため、「会社の活動」と「業務外の活動」のしゅん別に関する全役員・社員への継続的な指導等を着実に実行し、同様の事案を発生させないよう取り組んでおります。
また、同カレンダーの配布にあたって、業務上得られた個人情報を業務外の活動に使用する等の不適切な取扱いも発覚しました。再発防止のため、個人情報の適正な取扱いの徹底等に関する教育・研修を日本郵便の全社員対象に行っております。
当社グループは、2022年4月1日付でグループコンダクト向上委員会を設置し、グループ行動憲章を実践していくためのグループコンダクトを向上させる取組みについて、外部有識者による助言をいただき、お客さまからの信頼回復などに取り組んでまいります。
さらに、2022年4月からは、「新しいかんぽ営業体制」を開始し、日本郵便からかんぽ生命保険に兼務出向した高い機動性と専門性をもったコンサルタントと、多様なお客さまニーズに応える日本郵便の窓口社員が、それぞれの能力を最大限に発揮し、専門性と幅広さを兼ね備えた「総合的なコンサルティングサービス」をグループ一体で実現してまいります。
当社グループは、お客さま本位の業務運営を徹底し、組織風土改革を含む信頼回復に向けた取組みを継続してまいりますが、今後、お客さまの不利益となる他の事例や法令違反又は社内ルール違反となる他の事例が追加で判明する可能性は否定できず、この場合には、更なる行政処分を受ける可能性があり、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



7.サイバーセキュリティに関するリスク
重要インフラである郵便・物流事業、銀行業、生命保険業を運営している当社グループにおいては、事業運営上のシステムへの依存度が高い状況にあります。当社グループは、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」としてグループ一体でのDXを推進していることから、今後ますますその重要性が高まることが予想される一方、社会ではシステムに対するサイバー攻撃や各種サービスの不正利用が発生しております。当社グループの事業運営における情報システムへの依存度は高く、インターネットを活用した顧客とのアクセスも多くなり、その結果、サイバー攻撃や各種サービスの不正利用のリスクが高くなっています。また、かかるリスクはサイバー攻撃の高度化や在宅勤務(テレワーク)の拡大等により、今後さらに増大する可能性があります。
当社グループでは、このような高まりを見せるサイバー空間におけるリスクに対して、恒常的にサイバーセキュリティ対策の高度化に取り組んでおりますが、かかる対策にもかかわらず、当社グループのシステムへの攻撃、各種サービスの不正利用により、当社グループの事業が大規模かつ長期間に亘り停止又は制約を受けるような事案が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

8.ユニバーサルサービス提供に係るリスク
当社及び日本郵便は、郵政民営化法等に基づき、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が、利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持する法律上の義務を負っています(かかる義務に基づき郵便局ネットワークを通じて行われる役務提供を、以下「ユニバーサルサービス」といいます。)。
そのため、当社グループの郵便・物流事業及び郵便局窓口事業においては、全国各地の郵便局及び配送拠点等に係る設備費、車両費等の多額の固定費に加え、多数の社員の給与等の人件費が発生しております。特に、人件費については、労使交渉・労働法制の変更等を受けて従業員への給与等を増額した場合には、それが一人当たりは比較的小さな増額であっても、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、高齢化に伴う厚生年金保険料率、雇用保険料率及び健康保険組合保険料率の引き上げなどによる法定福利費等の上昇も想定されます。
当社及び日本郵便は、今後、地方における過疎化の進展、企業活動又は個人の消費活動の縮小、電子メール等インターネットやウェブサイトを通じた通信手段、金融サービスの普及等を背景に、郵便物や荷物の取扱数量や、金融・保険商品の販売・募集の減少等、当社グループが郵便局を通じて提供するサービスの利用が減少した場合であっても、ユニバーサルサービスを維持する法的義務があり、収益性の低い事業又は拠点等を縮小する等の対応が制限されているため、かかる方法により固定費を削減することが困難となる可能性があります。当社グループの提供する商品・サービスの内容、対象若しくは対価を変更し若しくはその提供を中止し、又は、郵便局ネットワークを縮小するなどの対応ができず若しくは制約され、かかる固定費に見合った収益を挙げられない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、ユニバーサルサービス維持のため、固定費の負担から当社グループの損益が大幅に悪化し、その結果、事業運営コストを賄うために収益性を過度に追求した営業や過度のリスクを伴う資金運用を行い、コンダクト・リスクや運用リスクが顕在化する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ユニバーサルサービスの確保については、2015年9月28日付「郵政事業のユニバーサルサービス確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方」に関する情報通信審議会からの答申において、短期的には、「日本郵政及び日本郵便は自らの経営努力により現在のサービスの範囲・水準の維持が求められる」、「また、国は、ユニバーサルサービス確保に向けたインセンティブとなるような方策について検討することが必要である」、中長期的には、「郵政事業を取り巻く環境の変化やこれに応じた国民・利用者が郵政事業に期待するサービスの範囲・水準の変化も踏まえて、ユニバーサルサービスの確保の方策やコスト負担の在り方について継続的に検討していくことが必要」とされており、答申を受けて実施される政府の施策の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

9.事業子会社における中長期の戦略リスク(既存事業の成長に関するリスク)
当社グループは、国内外の市場金利、為替、株価、経営環境(消費税増税を含む。)、競争状況、営業費用等多くの前提に基づいて中期経営計画を策定し、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等の業務に係る中期的な事業戦略・方針を定めております。2022年度は当社グループ5カ年の中期経営計画「JPビジョン2025」の2年目となりますが、「お客さまと地域を支える共創プラットフォームの構築」の戦略のもとに、成長に向けた投資、効率化施策、生産性向上の取組みを行っています。
しかしながら、将来の戦略、計画、方針等には様々なリスク等が内在しており、当社グループの施策が奏功しなかった場合、又は、当社グループの採用した前提と異なる状況が生じた場合には、当該計画の実現又は目標の達成ができない可能性があります。
日本郵便は、中期経営計画「JPビジョン2025」では、P-DXを推進することで、荷物分野の競争激化に打ち勝つ配送サービスを提供するとともに、生産性向上等に向けオペレーションの効率化を実施していくとしております。しかし、P-DXの推進が想定通りに進まなかった場合は、eコマース市場の荷物の獲得や生産性向上によるコストの抑制に遅れが生じる場合があります。また、窓口業務運営のデジタル化等により、業務の効率化を徹底する取組み等を進めておりますが、想定通りに業務の効率化が進まず、コスト削減を実現できない場合があります。
ゆうちょ銀行は、“信頼を深め、金融革新に挑戦”のスローガンの下、「リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革」、「デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上」等の5つの重点戦略を通じて、ビジネスモデルの変革と事業のサステナビリティ強化に取り組んでおります。
かんぽ生命保険は、「新しいかんぽ営業体制の構築」、「保険サービスの充実」、「事業運営の効率化」、「資産運用の深化・高度化」などの事業基盤の強化、及び「お客さま体験価値(CX)の向上」を中心に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループのかかる施策が十分な効果を発揮しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これにより当社の分配可能額が減少し、当社株主への配当の支払い額が減少し又は配当の支払い自体が困難となる可能性があります。

10.ESG・気候変動に関するリスク
当社グループは、郵便局ネットワークを活用し、事業を通じて、地域社会への貢献、SDGs等の社会的な課題に取り組むことにより、グループの持続可能な成長と中長期的な企業価値の創出を図っておりますが、その対応が不十分と評価された場合には、当社グループの資本市場における評価その他社会的な評価の低下につながる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
その中でも、気候変動への対応は、我が国及び世界において大きな課題となっており、当社グループにおいては、異常気象や増加する自然災害等により外務社員の熱中症などの従業員の健康被害や店舗、その他の設備や施設の損壊その他正常な業務遂行を困難とする状況等の郵便局ネットワークの損傷といった物理的リスクのほか、当社グループの気候変動への対応が遅れることで、より環境負荷の低い輸送手段を持つ企業に顧客が移る等の移行リスクに適切に対応する必要があります。当社グループとしても「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指し、温室効果ガス(GHG)の削減に取り組んでおりますが、その達成には、我が国における再生可能エネルギーの普及などが進むことが必要となります。当社グループも、持てるリソースの活用によって我が国及び世界のカーボンニュートラル化を後押しすることとしております。しかしながら、これらの動きが十分に進まなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

Ⅱ.当社グループ全般に関するリスク

1.事業環境に関するリスク
(1) 経済・政治情勢その他の事業環境の変化に伴うリスク
当社グループが行う事業のうち、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、銀行業、生命保険業等は、その収益の多くが日本国内において生み出されるものであるため、主として国内における経済情勢の変化、金利の動向、金融市場の変動、消費税増税、少子高齢化の進展、eコマース市場の動向、技術革新、賃金水準の変動、不動産価格の変動、預金水準等の影響を受けます。
また、国際物流事業において日本郵便の子会社であるトール社が、日本を含むアジア太平洋地域等におけるフォワーディング、ロジスティクス等の国際的な事業活動を行っており、世界経済の減速、新型コロナウイルス感染症の拡大を含む各国・地域における経済情勢や政治情勢等の変動による影響を受け、銀行業・生命保険業においては、運用の多様化・高度化の下、国際分散投資を推進している結果、足元の急速な円安や米国での金利上昇、株式市場の混乱など、国際金融・資本市場の変動による影響も受けます。加えて、郵便・物流事業においても、国際情勢や円安の影響等を受けてエネルギー価格が高騰した場合、費用が増加し、収益性が低下する可能性があります。従って、足元の新型コロナウイルス感染症の拡大を含む国内外の経済情勢、金融・資本市場その他事業環境の変動が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 他社との競合に関するリスク
当社グループが行う事業は、いずれも、激しい競争状況に置かれております。当社グループと競合関係にある同業他社は、AI・Fintech・テレマティクス等の技術の急速な進展・活用、その他の事業環境の変化・事業戦略の変更等で、当社グループより優れた商品構成、サービス、価格競争力、事業規模、シェア、ブランド価値、顧客基盤、資金調達手段、事業拠点、ATM・物流拠点その他のインフラ・ネットワーク等を有する可能性があります。
例えば、日本郵便が行っている郵便・物流事業については、信書便事業者や他の物流事業者等と競合関係にあります。特に成長が見込まれる物流事業における競争は激しく、日本郵便としては価格競争による個数獲得は目指さない方針ですが、競業他社が日本郵便よりも競争力のある価格でサービスを提供すること等により、日本郵便のシェアも影響を受けております。このように、他社サービスの競争力の向上その他の理由により他社の提供するサービスへの乗り換えが発生した場合、又は、競争激化により日本郵便の事業、シェア若しくは収益の動向が当社グループの想定通りに進捗しなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、ゆうちょ銀行が行っている銀行業、及びかんぽ生命保険が行っている生命保険業も、同業他社等と競合関係にあります。今後、両社が金融サービスに対する顧客ニーズの変化や市場構造の変化等に適切に対応できなかった場合、又は、両社が競合他社に対して優位に立てない場合等においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、近年では、国内外の各業界において統合や再編、業務提携が積極的に行われているほか、参入規制の緩和や業務範囲の拡大等の規制緩和が行われております。当社グループ各社が市場構造の変化に対応できなかった場合や規制緩和や新規参入が想定以上に進んだ場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、日本のeコマース市場の拡大に伴い宅配取扱数量の増加がみられる一方で、物流事業者やEC事業者による提携、主要なECプラットフォーマーによる独自の物流サービスの展開等が進んでおり、日本郵便がeコマース市場の拡大に伴う需要の増加を十分に取り込める保証はありません。また、郵便事業と競合する一般信書便事業については、民間事業者による信書の送達に関する法律(以下「信書便法」といいます。)に基づき、一定の参入条件が課された許可制とされており、現時点において同事業に参入している民間事業者はおりません。しかしながら、信書便法の改正等により、信書便事業の業務範囲の拡大や参入条件が変更されるなど参入規制が緩和された場合には、新規事業者の参入により競争が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 大規模災害等に伴うリスク
当社グループは、日本国内のみならず国際的な事業活動も行っており、各国・地域における地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪、火災等の大規模自然災害(異常気象・気候変動に伴うものを含む。)、新型インフルエンザやエボラ出血熱等の感染症の大流行、戦争、テロリズム、武力衝突等の人的災害、水道、電気、ガス、通信・金融サービス等に係る社会的インフラの重大な障害や混乱等の発生、又は当社グループの店舗、その他の設備や施設の損壊その他正常な業務遂行を困難とする状況等が生じた場合、当社グループの業務の全部若しくは一部が停止し、又は、運営に支障をきたすおそれがあり、また、設備やインフラの回復、顧客等の損失の補償等のために長期の時間及び多額の費用を要する可能性があります。
また、かかる状況下において当社グループの業務が円滑に機能していたとしても、かかる状況の発生に伴う経済・社会活動の沈滞等の影響を受け、当社グループやその顧客・取引先企業の事業活動の継続性に支障をきたす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、当社グループは生命保険子会社としてかんぽ生命保険を保有していることから、大地震その他の大規模災害や新型インフルエンザのような感染症の大流行を原因として大量の死者が出た場合に、かんぽ生命保険による保険給付に関し、通常の想定を超える債務を負うリスクにさらされております。同社は、保険業法の基準に従って危険準備金を積み立てておりますが、予想を超える大規模災害等の発生により危険準備金を超えるような保険金・給付金の支払いが発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 新型コロナウイルス感染症の拡大に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大は、郵便局等での営業、郵便・物流事業、国際物流事業を行う当社グループの事業活動に影響を及ぼしており、新型コロナウイルス感染症への対策として、当社社長を本部長とする本社合同対策本部を設置し、関係機関と連携を図り、感染の防止と業務・サービスの継続等のため、必要な取組みを継続しており、お客さまと社員の安全確保のための措置を行っております。具体的には郵便局及びゆうちょ銀行店舗窓口におけるマスク着用、郵便物等の対面配達時におけるマスク着用の徹底を行ったほか、ゆうパックや書留郵便物等をご希望に応じて対面ではなく郵便受箱や玄関前等に配達する等、お客さまへの影響と感染拡大の防止に最大限配慮して、業務を継続していくこととしていますが、今後の実際の感染拡大の収束時期や、国内外の経済環境、金融・資本市場の動揺などを通じた様々な要因により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の国際的な拡大は、国際物流事業を行うトール社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、金融・資本市場が大きく変動するとともに実体経済が多大な影響を受ける環境下においては、金融2社の国際分散投資による適切なポートフォリオ運営及びリスク管理が奏功せず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の大流行を原因として大量の死者が出た場合のかんぽ生命保険による保険給付に関する通常の想定を超える債務を負うリスクについては前記(3)のとおりです。
このほか、新型コロナウイルス感染症の収束後においても、非対面・非接触サービスの定着や、在宅勤務(テレワーク)が広まるなど、社会の在り方やライフスタイルが変わるような事業環境の変化に当社グループが適切に対応できない場合には、当社グループのサービスの競争力低下等により、当社グループの現在の収益基盤となっている郵便・物流事業や郵便局窓口事業等において収益性が悪化するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

2.法的規制・法令遵守等に関するリスク
(1) 法的規制及びその変更に関するリスク
当社グループは、業務を行うにあたり、以下のような各種の法的規制等の適用を受けております。
これらの規制により、当社グループは、同業他社に比して、新規事業の展開や既存事業の拡大、低収益分野からの撤退又は縮小が制約されるため、競争力を失い、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループに適用のある法令等の改正や新たな法的規制等により、当社グループの競争条件が悪化したり、事業活動の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会等の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

① 郵便法等に基づく規制
郵便法上、郵便事業は当社の連結子会社である日本郵便が独占的に行うこととされておりますが、郵便約款の変更や業務委託の認可制、全国一律料金制度、定形郵便物の料金制限、郵便料金の届出制(第三種郵便物及び第四種郵便物については認可制)といった、本事業特有の規制又は他の事業や他社とは異なる規制を受けております。

② 銀行法及び保険業法に基づく規制
当社グループの金融事業においては、一般的に適用される銀行法及び保険業法といった金融業規制を受けております。また、現在監督(規制)当局等において、銀行業におけるバーゼルⅢの最終化や生命保険業における経済価値ベース新規制等の適用に関する議論がなされており、当社グループではこれらの議論を注視しつつ、新たな規制等の導入を考慮した内部管理を行っていますが、規制の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(a) ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険及び金融持株会社としての当社に対する規制
金融2社は、それぞれ銀行法、保険業法及び関連業規制に基づき、金融庁の監督を受けており、内閣総理大臣からの委任を受けた金融庁長官による、法令違反等による免許取消し並びに業務の健全性かつ適切な運営を確保する等のために必要があると認めるときの業務停止及び立入検査等を含む広範な監督に服しております。当社も銀行持株会社及び保険主要株主として、銀行法及び保険業法に基づき金融庁の監督に服する等の金融業規制を受けております。
金融2社は、それぞれ銀行法、保険業法及び関連業規制に基づき、法令により定められた業務以外の業務を営むことができず、また、ゆうちょ銀行は自己資本の充実度合いを計る基準である自己資本比率(国内基準)を4.0%以上に維持すること等を、かんぽ生命保険は、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断する指標の一つであるソルベンシー・マージン比率を200%以上に維持すること等をそれぞれ求められております。
また、当社も銀行持株会社として、銀行法に基づき金融庁の監督に服するとともに、連結自己資本比率(国内基準)を4.0%以上に維持すること等が必要とされるほか、顧客の利益保護のための体制の整備や事業年度毎の規制当局に対する業務報告書等の提出の義務等を負っております。
2022年3月31日現在、ゆうちょ銀行の連結自己資本比率は15.56%、かんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,045.5%、当社グループの連結自己資本比率は17.21%であり、いずれも法令上の規制比率に比べ相当程度高い水準を確保しております。しかしながら、近時の金融市場の状況に対応したリスク性資産の増加により、これらの比率は低下傾向にあることに加え、保有有価証券等の価値の低下、これらの比率の算出方法の変更、比率に係る規制の変更、新たな規制の導入等により、連結自己資本比率がさらに低下する可能性があり、当該比率が規制比率を下回るような場合には、規制当局から、報告又は資料の提出や、業務の縮小等を含む改善措置が求められる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、国際的な監督規制では、システム上重要な金融グループに対する規制強化を図っているところですが、選定基準の見直し等、規制当局の動向によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(b) 日本郵便に対する規制
日本郵便は、当社グループの郵便局窓口事業に関連して、ゆうちょ銀行を所属銀行とする銀行代理業者として、かんぽ生命保険を所属保険会社等とする生命保険募集人として、それぞれ銀行法及び保険業法に基づき、金融庁の監督に服しております。また、日本郵便は、銀行代理業者として、内閣総理大臣の承認を得ない限り、法令により定められた業務以外の業務を営むことができず、また、分別管理義務、銀行代理業務を行う際の顧客への説明義務、断定的判断の提供等の一定の禁止行為等の規制を受けております。また、生命保険募集人として、顧客に対する説明義務、虚偽説明等の一定の禁止行為等の規制を受けております。日本郵便が上記規制に違反する等した場合には、規制当局から、許可又は登録の取消しや業務の一部又は全部の停止を命ぜられる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(c) 事業の前提となる許認可
当社グループは、主として以下のような許認可等を受けております。
許認可等の名称根拠条文会社名有効期限許認可等の取消事由等
銀行持株会社の認可銀行法第52条の17第1項日本郵政株式会社なし同法第52条の34第1項
保険主要株主の認可保険業法第271条の10第1項日本郵政株式会社なし同法第271条の16第1項
銀行代理業の許可銀行法第52条の36第1項日本郵便株式会社なし同法第52条の56第1項
生命保険募集人の登録保険業法第276条日本郵便株式会社なし同法第307条第1項
銀行業の免許銀行法第4条第1項株式会社ゆうちょ銀行なし同法第26条第1項、第27条、第28条
生命保険業の免許保険業法第3条第4項株式会社かんぽ生命保険なし同法第132条第1項、第133条、第134条

上記許認可等が取消しとなるような事由の発生は認識しておりませんが、将来、何らかの理由により、各法が定める取消事由等に該当し、所管大臣より許認可の取消処分等を受けることとなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 当社グループ固有に適用される規制等
ユニバーサルサービスの確保については、2015年9月28日付「郵政事業のユニバーサルサービス確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方」に関する情報通信審議会からの答申において、短期的には、「日本郵政及び日本郵便は自らの経営努力により現在のサービスの範囲・水準の維持が求められる」、「また、国は、ユニバーサルサービス確保に向けたインセンティブとなるような方策について検討することが必要である」、中長期的には、「郵政事業を取り巻く環境の変化やこれに応じた国民・利用者が郵政事業に期待するサービスの範囲・水準の変化も踏まえて、ユニバーサルサービスの確保の方策やコスト負担の在り方について継続的に検討していくことが必要」とされており、答申を受けて実施される政府の施策の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、ユニバーサルサービスの提供に関するリスクについては、「Ⅰ.当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク 8.ユニバーサルサービス提供に係るリスク」も併せてご参照ください。
また、当社及び日本郵便は、それぞれ日本郵政株式会社法及び日本郵便株式会社法に基づき、新規業務、株式の募集、又は株式交換若しくは株式交付に際しての株式の交付、取締役の選解任(当社のみ)、事業計画の策定、定款の変更、合併、会社分割、解散等を行う場合には、総務大臣の認可(ただし、日本郵便の新規業務については総務大臣への届出)が必要とされています。また、金融2社は、銀行法又は保険業法に基づく規制に加え、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するため、郵政民営化法に基づき、新規業務、子会社対象金融機関等(ゆうちょ銀行)・子会社対象会社(かんぽ生命保険)の保有、合併、会社分割、事業の譲渡・譲受け等を行う場合には、内閣総理大臣及び総務大臣の認可が必要とされているほか、ゆうちょ銀行においては銀行を、かんぽ生命保険においては保険会社等を子会社として保有することはできません。さらに、銀行業における預入限度額規制、生命保険業における加入限度額規制が課される等、同業他社とは異なる規制が課されております(なお、金融2社におけるこれらの規制を、以下「郵政民営化法上の上乗せ規制」といいます。)。
さらに、当社及び金融2社は、新たな収益機会を得るために新規業務を行う場合、郵政民営化法に基づき内閣総理大臣及び総務大臣の認可を得る必要があり、当該認可が得られず、又は認可取得に時間を要する場合には、当社グループが計画した時期又は内容で新商品を投入又は新サービスを提供できない可能性があるなど、当社グループによる新規事業の展開を含む業務範囲の拡大には一定の制約が伴います。
当社は、2021年6月9日、郵政民営化法第62条第2項に基づき、かんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した旨の総務大臣への届出を行いました。当社が総務大臣に届け出た日以後は、かんぽ生命保険が上記の各業務を行おうとするときは、認可は要しないものの、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣への届出を要するとともに、業務を行うに当たっては、他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないものとされております。

④ WTO(World Trade Organization:世界貿易機関)による政府調達ルール
公社を承継した機関として、当社、日本郵便及び金融2社が政府調達協定その他の国際約束の適用を受ける物品等を調達する場合には、国際約束に定める手続の遵守が求められます。当社グループ各社の作為又は不作為により、これらのルールを遵守できなかった場合には、調達行為が成立しない、あるいは調達行為に遅れが発生する可能性があり、当初想定していた計画が実施できないなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 訴訟その他法的手続に関するリスク
当社グループは、事業の遂行に関して、人事労務、業務上の事故、外部委託、知的財産権等の利用に関する事項をはじめとする、訴訟、行政処分その他の法的手続が提起又は開始されるリスクを有しております。一部ではありますが、人事処遇や勤務管理などの人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等に関連する訴訟等を、当社グループの従業員等から提起されております。
かかる訴訟等の解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、社会的関心・影響の大きな訴訟等が発生した、当社グループに対して損害賠償の支払等が命じられる等不利な判断がなされた場合には、当社グループにおいても当該判断を踏まえた対応が必要となるなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、労働契約法第20条(2018年法律第71号による改正前のもの)に基づき、期間雇用社員である原告が正社員と期間雇用社員に労働条件の差異があるのは不合理であるとして提訴した訴訟については、2020年10月15日に最高裁判所が、一部の手当や休暇制度について、正社員と期間雇用社員である原告間に差異があるのは不合理との判決を言い渡しました。当社グループにおける今後の人事労務制度改正の内容については、最高裁判所の判決の内容を踏まえ、労使交渉のうえ決定していくこととしておりますが、その内容等によっては対応に相当の費用を要するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 社会的信用の低下に関するリスク
当社グループは、あまねく全国に広がる郵便局ネットワークを通じて、多数の郵便物・荷物の配達や金融サービスの提供を行っております。当社グループの商品・サービス、事業、従業員、提携先又は委託先企業に関連して、郵便物の管理上の不備・遅配・誤配及び破棄・紛失等、配達員による交通事故、銀行口座やクレジットカードの不正利用、キャッシュカードの盗難、マネー・ローンダリング、テロ資金供与等の犯罪、サイバー攻撃等によるシステム・トラブルや個人情報その他の機密情報の漏えい、不正行為、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に反する行為、反社会的勢力との取引、労働問題、ハラスメント(業務の適正な範囲を超える言動等)、事故、業務上のトラブル、社内規程・手続違反、不祥事等が発生した場合には、当社グループが提供するサービスに対する社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではかかる事態の発生を未然に防止するため、グループ会社全社員へのコンプライアンス教育や「お客さま本位の業務運営」の徹底を通じ、影響の低減に努めておりますが、これらの施策にもかかわらず上記のような事態が生じた場合、社会的信用の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」が2019年12月18日付で公表した調査報告書では、当社グループにおいて、「不適正募集の実態把握につながる現場の声が経営陣に届かない」、「リスク事象を探知した際の原因追究・解決の先送り」、「問題の矮小化」及び「部門間の横での連携不足及び上意下達のもとでの情報伝達の目詰まり」といった企業風土又は組織文化が従前から存在してきたことが指摘されていました。当社グループにおいては、経営陣主導の下、かかる企業風土又は組織文化の健全化に取り組んでおりますが、かかる取組みが功を奏しない又は功を奏するまでに想定以上の時間を要する場合には、類似の事案が発生する結果、当社グループの社会的信用が低下する、又は当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2021年11月26日に公表したとおり、日本郵便では、経費で購入した業務用カレンダーの配布にあたって全国郵便局長会より不適切な指示が行われていた問題が発覚しました。再発防止のため、「会社の活動」と「業務外の活動」のしゅん別に関する全役員・社員への継続的な指導等を着実に実行し、同様の事案を発生させないよう取り組んでおります。また、支社機能の強化の一環として、支社長の下に地方本部長を配置し、局長とのコミュニケーションの強化を行いつつ、課題の把握、解決を図ることに取り組んでおります。しかしながら、かかる取組みが功を奏せず、類似の事案が発生した場合、当社グループの社会的信用が低下する可能性があります。
加えて、当社グループが行っている事業全般に対する風評・風説が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板やSNSへの書込み等により拡散した場合、又は、報道機関により否定的報道が行われた場合には、仮にそれらが事実に基づかない場合であっても、当社グループが提供するサービスの公益性、事業規模、社会における認知度・注目度等を背景に、当社グループは、顧客や市場関係者等から、否定的理解・認識をされ、又は、強い批判がなされる可能性があり、それにより当社グループ、商品・サービス、事業のイメージ・社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3.事業運営に関するリスク
(1) 中期経営計画に関するリスク
当社グループは、国内外の市場金利、為替、株価、経営環境(消費税増税を含む。)、競争状況、営業費用等多くの前提に基づいて中期経営計画を策定し、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等の業務に係る中期的な事業戦略・方針を定めております。当社グループの中期経営計画「JPビジョン2025」では、「お客さまと地域を支える共創プラットフォームの構築」、「グループ一体でのDX推進による新しい価値提供」の戦略のもとに、成長に向けた投資、効率化施策、生産性向上の取組みを行っています。
しかしながら、将来の戦略、計画、方針等には様々なリスク等が内在しており、当社グループの施策が奏功しなかった場合、又は、当社グループの採用した前提と異なる状況が生じた場合には、当該計画の実現又は目標の達成ができない可能性があります。具体的には、エンジニアの確保・育成や既存の人材・システムの置換が進まないこと等により、DXの推進による業務効率化、サービスの拡充や新たな価値創造、固定費の削減、当社グループの成長に向けた戦略的なIT投資が予定通りに進まない可能性があります。また、不動産開発に関するノウハウの不足又は不動産市況の悪化等により不動産事業の強化が期待された効果を生まない可能性があります。さらに、他社とのM&Aや提携については、他の投資者等との競合や規制上の理由により当社グループが企図したM&Aや提携を実施できない可能性があるほか、完了したM&Aや提携についても、実施後の統合プロセスが不十分なものであったり、M&Aや提携の効果についての見積もりが楽観的であったこと等により、期待されたリターンを得られない可能性があります。現在公表している楽天グループとの提携や佐川急便との協業に関する基本合意についても、現時点では必ずしもその具体的な内容が実施又は決定されているわけではないなど、当社グループが進める出資や提携が期待された効果を生まない可能性があります。加えて、新規ビジネス等の推進を目指していく中で、拡大するポートフォリオを十分に管理することができず、投資や撤退の時期等を適切に見極めることができなくなる可能性があります。
また、P-DX等の推進による郵便・物流事業における業務効率化が想定通りに進まない可能性があるほか、eコマース市場の成長又は物流市場における需要の増加が当社グループの想定を下回る、又は、当社グループがかかる物流需要を十分に取り込めない可能性があります。かんぽ生命保険に関しては、市場金利の低下に伴う保険料の値上げなどにより貯蓄性商品の新契約の獲得実績が想定以上に減少していることに加えて、保険募集プロセスの品質事案等の影響で新契約の獲得が計画通り進まない、又は、既存の契約の解約数が増加する可能性があり、かかる場合、当該計画期間終了後も新契約の獲得や既存の契約の維持については、厳しい状況が継続することが見込まれます。なお、中期経営計画のうち、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険にかかる事業戦略及び経営計画に関するリスクについては、それぞれ「Ⅳ.銀行業に関するリスク (8) 事業戦略・経営計画に係るリスク」及び「Ⅴ.生命保険業に関するリスク (5)事業戦略・経営計画が奏功しないリスク」も併せてご参照ください。
さらに、金融2社等当社グループ各社が保有する有価証券の価値の低下による減損損失、売却損の計上やその他有価証券評価差額金の減少等により当社グループ各社からの配当収入が減少する結果、当社では十分な配当可能額が確保できず、中期経営計画における配当目標を達成できない可能性があります。
また、2021年3月31日付で公表したとおり、当社は、2021年3月期通期の個別決算において、ゆうちょ銀行の株式について、時価が著しく下落したため減損処理を行い、2,229,538百万円の関係会社株式評価損(特別損失)を計上いたしました。今後も金融2社株式を含む当社保有の株式の時価が下落することにより更なる減損処理が必要となった場合には、これに伴う剰余金の減少によりさらに分配可能額が減少し、あるいは消失する可能性があります。
なお、当社は、今後の国際財務報告基準(IFRS)の適用について国内外の会計基準の動向等を勘案し対応を検討してまいりますが、将来的に国際財務報告基準を適用する場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) グループ外の企業との資本・業務提携、外部委託及び企業買収並びに業務範囲の拡大等に伴うリスク
当社グループは、当社グループ外の企業との間で、様々な業務に関し、資本・業務提携、外部委託を行っております。当社は、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険との戦略提携に合意し、アフラック・インコーポレーテッドの発行済株式総数(自己株式を除く。)の約7%を取得しております。また、2021年3月12日に、当社及び日本郵便は、楽天株式会社(現楽天グループ株式会社)との資本・業務提携に合意(さらに、同年4月28日に当社、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険と楽天グループとの間で改めて業務提携に合意)し、同年3月29日をもって、当社は、楽天株式会社の発行済株式総数(自己株式を除く。)の約8%を取得したほか、同年7月1日、日本郵便は、楽天グループと共同でJP楽天ロジスティクスを設立し、JP楽天ロジスティクスを日本郵便の連結子会社としております。加えて、同年9月10日には、日本郵便は、佐川急便株式会社との間で、物流サービスの共創に向けた両社の事業成長を目的とした協業に関する基本合意書を締結しております。このようなグループ外の企業との資本・業務提携については、具体的な内容が決定又は実施されていないものがあることに加え、資本・業務提携先との間における、戦略上若しくは事業上の問題又は目標の変更や当社グループとの関係の変化等により、期待通りの効果が得られない可能性や、投資に見合うリターンを得られない可能性、当社グループの既存事業に負の効果を及ぼす可能性も否定できません。このような場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、資本・業務提携先、外部委託先において、業務遂行上の問題が生じ、商品・サービスの提供等に支障をきたす場合、顧客情報等の重要な情報が漏えいする等の事故、違法行為、不正行為、不祥事等が発生した場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが、他の企業を買収するに当たっては、買収先企業や買収先事業を効果的かつ効率的に当社グループの事業と統合できない可能性、買収先企業の重要な顧客、仕入先、その他関係者との良好な関係を維持できない可能性、買収資産の価値が毀損し、損失が発生する可能性などがあります。また、想定した事業環境と異なる状況が発生する可能性、経営陣を含む人材流出・不足等の可能性などがあります。このような事象が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後の業務範囲の拡大については、当社グループが業務範囲を拡大することができたとしても、限定的な経験しか有していない業務分野に進出した場合、競争の激しい分野に進出した場合や業務拡大により過度の人的・物的負担が生じた場合等において、業務範囲の拡大が功を奏する保証はなく、当初想定した成果をもたらさず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報通信システム及び個人情報その他の機密情報の漏えいに関するリスク
当社グループは、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等を営んでおり、当社グループのコンピュータシステムは、顧客や各種決済機構等のシステムとサービスの提供に必要なネットワークで接続されるなど極めて重要な機能を担っております。これらについて、地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪、火災等の自然災害やテロリズム等に加えて、人的過失、事故、停電、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等のサイバー攻撃、システムの新規開発・更新における瑕疵、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵等により重大なシステム障害や故障等が発生する可能性があります。こうしたシステムの障害、故障等が生じた場合に、業務の停止・混乱等及びそれに伴う損害賠償、行政処分、社会的信用の低下、対応や対策に要する費用等が発生することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本郵便では、経費で購入した業務用カレンダーの配布にあたって業務上得られた個人情報を業務外の活動に使用する等の不適切な取扱いがあった事案や、投資信託取引及び国債取引に係る「金融商品仲介補助簿」を紛失した事案等も発生しています。当社グループは、多くの顧客や取引先等から様々な情報を取得しているほか、事業・人事などに関する多数の情報を保有しており、これらの情報については、郵便法、銀行法、保険業法、金融商品取引法等のほか、個人情報の保護に関する法律等に基づき適切に取り扱うことが求められています。当社グループは、かかる事態の発生を未然に防止するため、グループ会社全社員へのコンプライアンス教育や「お客さま本位の業務運営」の徹底に努めております。また、外部の専門人材の活用等多様な防御対策を講じることにより、システム障害等の発生の未然防止に努めています。しかしながら、当社グループのコンピュータシステムの障害・故障その他の理由により、当社グループが保有する個人情報及び機密情報等の外部への漏えいが発生した場合は、損害賠償や当該事案への対応費用、行政処分、社会的信用の低下による顧客の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、不正アクセス等のサイバー攻撃に対しては、メールやWeb閲覧に対するウイルス感染抑止等の入口対策、外部デバイスの接続制限や、許可された通信先以外の遮断等の出口対策を講じるとともに、当社グループのサイバーセキュリティ担当役員によるグループサイバーセキュリティ委員会を設置し、グループ全体でセキュリティの高度化を推進することに加え、セキュリティ専門家による点検・指導、対策推進等サイバー攻撃への対応に努めております。しかしながら、かかる施策によっても高度化するサイバー攻撃等を完全に防ぐことは困難であり、特に近年、不正アクセス等サイバー攻撃による企業・団体が保有する個人情報等の漏えいが多発しており、在宅勤務(テレワーク)の増加により、かかる脅威は今後さらに増大する可能性があります。また、グループ共通のアプリ・IDシステムの導入など、お客さまとの接点のデジタル化によってもかかる脅威は増大する可能性があるほか、当社グループの主要事業に適用される規制の影響により、利便性と安全性を兼ね備えたアプリの開発に支障が生じる可能性があります。
また、当社グループは、基幹ITシステムを含む当社グループのITシステムのアップグレードを行っており、かつ、新規のシステム投資を行うこともありますが、かかる作業の遅延、失敗、多額の費用発生により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人的リスク(人材確保・ハラスメント・労働問題・人件費増加)
少子高齢化による労働人口の減少などにより人材の確保は厳しさを増していることに加え、当社グループにおいて技術革新等に起因する経営環境の変化等に適切に対応できない場合などには、当社グループは、郵便・物流事業に従事する配達又は運送に係る各種人材のほか、DX推進に必要なIT等の高度な専門性及び知識・経験を有する有能な人材の確保が困難となる可能性があります。
また、当社グループが労働条件や人材育成システムの整備等による魅力的な労働環境を提供できなかった場合、又は人事処遇やハラスメント等の人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等が発生した場合には、人材の流出・不足等を招く可能性があります。
当社グループは、かかる事態に対処するため、社員視点に立った働き方改革として働きやすい職場づくり、労働条件の整備、ダイバーシティの推進、人材育成を推進しておりますが、当社グループの想定通りの人材確保ができない場合、又は人材育成・教育が進まない場合には、人材不足や人件費の増加等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 不動産事業に関するリスク
当社グループは、事務所・商業施設・住宅等の賃貸・管理事業、分譲住宅事業等の不動産事業を営んでおります。当社グループは多くの不動産を保有しているものの、不動産事業におけるノウハウが限られていること、また、必要な人員の採用、定着が進まないこと等により、当該事業を発展させることができない可能性があります。加えて、当社グループは、グループ保有不動産の再開発を加速するとともに、グループ外不動産への投資を強化することで、不動産事業の利益拡大を目指してまいりますが、不動産市況等によってはかかる開発が当社グループの想定通りに進捗する保証はなく、また、グループ外の企業との共同プロジェクトにおいては、当社グループによるプロジェクトへの管理が及ばなくなったり、共同事業者との間で意見の不一致が生じること等により、事業の進捗に支障が生じる可能性があります。
また、不動産事業については、国内外の景気又は特定地域の経済状況や紛争の発生、人口、市場における需給等の変化により、不動産価格の下落、賃貸料の下落や未収、空室率の上昇、建築資材の価格や工事労務費等の高騰、着工・竣工時期の遅延や見直し、棚卸資産の増加、さらに、法的規制の変更、大規模災害や感染症の発生等の影響を受ける可能性があります。特に今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言等を受けた深刻な経済活動の停滞により、テナント賃料の減免等が一部発生しているほか、空室率の上昇、開発中の案件における竣工時期の遅延等が想定され、また、収束後も、eコマース市場の拡大などの消費者動向の変化、ライフスタイルや働き方の変容により、オフィス需要や商業施設(特に小売り)の需要の変化等の影響を受ける可能性があります。これらの事象により、当社グループの不動産事業の収益や費用に影響を及ぼしたり、保有不動産等に評価損・減損損失や売却損が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 海外子会社に関するリスク
国際物流事業を担うトール社の事業は、世界経済の減速や新型コロナウイルス感染症、サイバー攻撃等の影響等もあり、厳しい経営環境が継続しております。エクスプレス事業については、2021年8月、Allegro Funds Pty Ltdの傘下企業への譲渡手続きが完了いたしましたが、本件譲渡に伴い、当社グループは、2021年3月期において、特別損失として674億円(減損損失619億円、その他の特別損失54億円)、2022年3月期において、特別損失(事業譲渡損)108億円を計上しました。エクスプレス事業の譲渡手続きは完了したものの、残存するトール社のオペレーションから当該事業を完全に切り離すことには困難を伴う又は時間を要する可能性があり、かかる対応のために追加の費用等が生じる可能性があります。また、トール社を親会社とする連結グループは、2022年3月末日現在で881億円の債務超過となっており、依然厳しい経営状況にあります。エクスプレス事業の譲渡後も、日本郵便は、人員配置の合理化等によりトール社の残るロジスティクス事業及びフォワーディング事業の採算性の向上に努めるとともに、JPトールロジスティクス及びトールエクスプレスジャパンの活用等により、豪州に依存した経営構造から脱却し、日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換による成長を図りますが、かかる経営改善策及び成長戦略が功を奏せず、トール社の業績が向上しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、トール社の保有する物流設備その他の固定資産について更なる減損損失を計上する可能性もあります。また、日本郵便がトール社の事業再編その他日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換に係る施策をさらに進めるに際して総務大臣の認可が必要となる場合、必要な認可を適時に取得できない又は認可を得られないことにより、事業再編等に支障が生じる可能性があります。
また、トール社は、日本郵便の買収以前に多数の企業買収を行い、事業統合を実施している過程にありますが、当社グループとの事業統合も含め統合が予定通り進捗しない場合には、複数のビジネス・ユニットによる取引先の競合やオペレーションの重複等が解消されないこと、複雑な業務及び設備、並びに異なる地理的エリアに存する多様な企業風土と異なる言語に基づく従業員を十分に管理できないこと、トール社と競合関係にある同業他社が、トール社より優れた革新的な商品・サービスを提供することで、トール社のマーケットシェア及び利益が低減すること、自然災害、事故等により、基幹ⅠTシステム、主要な輸送手段、倉庫が損害等を受けること、さらには、買収時に発見できなかった問題が発生すること等により、当社グループ又はトール社の事業に負の効果を及ぼして、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 宿泊事業・病院事業に関するリスク
当社の営む宿泊事業は、2021年9月29日開催の取締役会における決議に従い、営業中のかんぽの宿33施設のうち32施設に係る事業の譲渡を決定し、2022年4月1日及び同月5日をもって、事業を譲渡しました。これに伴い、2022年3月期の連結決算において、特別損失として減損損失及び社員の異動に伴う退職金等の割り増し分を計上しました。なお、当社運営時における事象について、事業譲渡後も、当社グループには、事業譲渡先等に対する損害賠償責任を負うリスク、行政処分等のリスク、及び引き続き事業を継続する一部施設の自然災害、事故、火災、食中毒等のリスクが残存します。
病院事業については、自然災害、火災、医療事故等から生じる潜在的な損失の発生、損害賠償責任、行政処分等のリスクを内包しています。また、高齢化等に伴う近時の医療費適正化の流れは、病院事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。
病院事業では、近年継続して営業損失を計上していることから、個々の病院の状況を踏まえ、増収対策や経費削減による経営改善を進めています。しかしながら、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、病院における患者数の減少により、さらに収益減少が続き赤字額の拡大が想定されます。かかる状況では、経営改善策が功を奏する保証はなく、当初想定した成果をもたらさず、又は損失が拡大する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8) マネー・ローンダリング、テロ資金供与、銀行口座の不正使用等に伴うリスク
金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策(以下「マネロン対策」といいます。)の重要性が急速に高まっております。
本邦においては、2021年8月の我が国のマネロン対策に関する法規制の遵守状況及び対策の実効性を審査するFATF第4次対日相互審査結果の公表及び本邦の行動計画の策定等、マネロン対策の強化が課題となっています。
当社グループは、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等の業務を営んでおります。当社グループの商品・サービス、事業、従業員、提携先又は委託先企業に関連して、マネー・ローンダリング、テロ資金供与等の犯罪、銀行口座の不正使用等が発生した場合には、当社グループが提供するサービスに対する社会的信用が低下する可能性があり、これらのリスクは大きいものと認識しております。
当社グループは、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の当局の監督を受けており、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、役員・従業員への研修等を通じてマネロン対策の更なる強化を継続的に実施しております。
しかしながら、かかる取組みが有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分等により、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4.財務に関するリスク
(1) 保有株式及び固定資産の減損損失に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた株式市場の混乱の影響を受けるなど、当社が保有する金融2社等の株式の株価又は実質価額が低下する可能性があります。これらの株式の株価等が取得した価額に比べて著しく下落し、回復する可能性があるとは認められない場合には、減損損失を計上することになり、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これにより当社の分配可能額が減少し、会社法の規定により当社株主への配当の支払いが困難となる可能性があります。
また、当社グループは、郵便・物流事業、郵便局窓口事業及び国際物流事業を中心に、多額の固定資産を所有しております。経営環境の変化や収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で、貸借対照表において繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合、繰延税金資産が減額され、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 退職給付債務に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は、前提条件に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループにおいて退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 財務報告に係る内部統制に関するリスク
当社は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書を提出すること、及び監査法人による監査を受けることを義務付けられております。当社グループは、財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制の評価及び報告に関する規程等を制定し、財務報告に係る内部統制について必要な体制を整備しております。また、評価の過程で発見された問題点等は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、財務報告に係る内部統制が有効でない場合には、当社グループの財務報告の適正性を確保できず、その信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 格付の低下に関するリスク
当社は、格付機関より信用格付を取得しておりますが、財務内容の悪化、日本国債の格下げ等により当社の信用格付が格下げとなった場合、著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 管理会計等に係る内部管理に関するリスク
本書には、日本の会計基準によらず外部監査を受けていない管理会計等に基づく数値・分析等が含まれております。当社は、これらについても正確性の確保に努めておりますが、管理会計等に係る内部管理が十分でない場合等には、当該数値等の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。


Ⅲ.郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業に関するリスク

(1) 郵便局窓口業務のサービス品質に関するリスク
日本郵便及びかんぽ生命保険におけるお客さまのご意向に沿わず不利益が生じた保険契約乗換等に係る事案(以下「募集品質問題」といいます。)及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案の発生により、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの信頼は未だ回復途上にあり、早期の信頼回復が最重要課題と認識しております。当社グループは、募集品質問題について、お客さまからの信頼の早期回復、並びに保険募集プロセスにおける法令遵守及びお客さま本位の意識の徹底による募集品質の確保・向上を図るため、お客さまの不利益の解消に向けたご契約調査等の対応や、2020年1月31日付で監督当局に提出した業務改善計画に基づく再発防止策の実施に最優先で取り組んでまいりました。
また、日本郵便において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち法令違反が認められたかんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、日本郵便が商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。
しかしながら、今後、これらの取組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の時間を要する場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信頼の回復に影響を及ぼす可能性があります。さらに、お客さまのご意向に沿わず不利益となる事例、法令違反又は社内ルール違反となる事例が新たに判明する場合、保険契約ないし投資信託契約等に対する苦情や無効申請等のお申し出が発生する等の場合には、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このように、今後、当社グループにおいて遵守すべき法令等の義務に反する行為が発生・発覚する場合、又は業務改善計画の進捗及び改善状況について監督当局がそれらを不十分であると判断した等の場合、当該違反行為の規模や程度又は日本郵便及びかんぽ生命保険の取組状況によっては、監督当局から再度業務停止命令等の行政処分を受けるなど、当社グループの経営や事業の存続にとって重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、日本郵便及びかんぽ生命保険は、上記の募集品質問題等を受けて、2019年7月以降、2020年1月から3月までの業務停止命令期間を含め、郵便局及びかんぽ生命保険支店におけるかんぽ生命保険商品の積極的な営業活動を控えておりましたが、2020年10月5日からお客さまにおかけしたご迷惑をお詫びすることを第一とする信頼回復に向けた業務運営を開始し、2021年4月1日からは、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタンスへ移行しております。
しかしながら、新契約の実績は、本書提出日現在において伸び悩んでおり、今後もこれらの取組みが奏功しない場合には、新契約の実績が長期にわたり計画通り進捗しない、又は保有契約の維持を図れないなどの理由により、当社グループの業務運営及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、新契約の実績が進捗しないなどの期間がより長期にわたり継続する場合には、当社グループの中期的な事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、日本郵便が取り扱う金融商品の販売が回復しない場合には、日本郵便が受領する金融2社及びその他の提携金融機関からの受託手数料の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 郵便・物流事業における経営環境の変化に関するリスク
郵便・物流事業においては、近年のeコマース市場の拡大に伴う宅配便需要の急激な増加とこれによる労働力の不足といった経営環境の急激な変化が顕在化しており、他の主要な物流事業者等においては、基本運賃や大口顧客向け特約運賃の値上げを含む契約条件の改定、配達時間帯や再配達に係るサービス内容の見直し、労働環境又は労働条件の改善のための取組みを行っているものも見受けられます。日本郵便においては、P-DXの推進やオペレーション改革などにより業務の効率化を徹底しますが、当社グループがこのような経営環境の変化に適時かつ適切に対応できなかった場合、当社グループの競争力、収益性、人材の確保等に影響し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
電子メール、SNSやスマートフォンの普及に加え、当社グループの顧客における請求書や取引明細書等の電子メール送信・Web閲覧の浸透等の影響により、郵便物数は年々減少を続けており、加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大によってデジタル化が進み、今後もかかる傾向は継続することが予想されるほか、ロシアによるウクライナ侵攻等の地政学リスクの高まりにより、国際郵便等の引き受けを停止することにより取扱物数が減少するリスクがあります。また、当社グループの郵便・物流事業における重要な収益の柱となっている年賀状の配達数も年々減少傾向にあり、国民の生活様式や社会慣行の変化等の要因により、今後も減少傾向が進む可能性があります。
日本郵便は、2020年12月4日に公布され、2021年5月1日に施行された郵便法等改正法を受けて、同年10月以降、普通扱いとする郵便物等の土曜日配達の休止、郵便区内特別郵便物の差出条件の見直し、速達郵便料金の1割程度の引下げ等を行っており、送達日数についても、宛先の地域に応じて 2022年1月以降1日程度の繰下げを行いました。また、2022年4月1日には、郵便区内特別郵便物のうち特別料金(3)又は特別料金(4)が適用となるもの及び配達地域指定郵便物の料金改定を行いました。これら郵便料金の改定、サービスの見直し等により、当社グループが取り扱う郵便物等の数に影響を及ぼす可能性があります。これらの事情により、当社グループの郵便・物流事業において取り扱う郵便物等の数が減少し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 金融2社からの郵便局窓口業務の受託に関するリスク
日本郵便が金融2社との間で締結している銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等に基づく受託手数料は、銀行法・保険業法に定められたアームズレングスルール等を遵守することが求められており、恣意的な変更が行われることは想定しておりませんが、今後、上記各窓口業務契約等が、合理的な理由に基づき受託手数料の額を減額する又は対象となる業務の範囲を限定する等、日本郵便にとって不利に改定された場合には、当社グループの郵便局窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。また、特にゆうちょ銀行から受け取る受託手数料については、ゆうちょ銀行の直営店での業務コストをベースに、日本郵便での取扱実績に基づいて委託業務コストに見合う額が算出されます。ゆうちょ銀行は、業務効率化等を通じて日本郵便への委託手数料の減少に向けた取組みを行う方針であり、ゆうちょ銀行においてかかる業務コストの削減が行われた場合には、当社グループの郵便局窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。さらに、これらの受託手数料の一定部分は、日本郵便において取り扱われた業務の量にかかわらず一定の計算方法により算定されるものとされていますが、今後仮に金融2社が日本郵便における業務量に比例する受託手数料の割合を高めようとする場合には、当社グループの郵便局窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。
また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行され、2020年3月期から郵便局ネットワーク維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便が負担すべき額を除く。)は、金融2社からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われることとなり、これを契機に委託手数料が見直されました。かかる交付金・拠出金制度の下で、今後も同手数料が見直される場合があり、その内容によっては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2022年3月期における銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等に基づく各社からの受託手数料並びに郵政管理・支援機構から交付される交付金は、それぞれ3,543億円及び1,902億円並びに2,909億円であり、それぞれ当社グループの郵便局窓口事業セグメントにおける経常収益の約31%及び約16%並びに約25%を占めています。
当社グループとしては、今後もユニバーサルサービスが利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、日本郵便と金融2社との関係を引き続き強化していく所存であり、当社が金融2社の株式を処分したことにより当社による両社への影響力が低下・消滅した場合においてもこの関係は変わるものではないと当社としては考えております。しかし、金融2社はユニバーサルサービスの提供に係る法的義務を負うものではなく、金融2社が、郵便局ネットワークに代替する販売チャネル(例えば、ATMの相互利用、オンライン取引、グループ外の企業への委託を含みますがこれらに限られません。)をより重視するようになった場合等や、窓口業務の健全・適切な運営確保の観点から特段の事由が生じた場合等、銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等の解除が発生した場合には、当社グループの郵便局窓口事業の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



(4) 国際物流事業に関するリスク
① トール社の業績に関するリスク
国際物流事業を担うトール社の事業は、世界経済の減速や新型コロナウイルス感染症、サイバー攻撃等の影響等もあり、厳しい経営環境が継続しております。エクスプレス事業については、2021年8月、Allegro Funds Pty Ltdの傘下企業への譲渡手続きが完了いたしましたが、本件譲渡に伴い、当社グループは、2021年3月期において、特別損失として674億円(減損損失619億円、その他の特別損失54億円)、2022年3月期において、特別損失(事業譲渡損)108億円を計上しました。エクスプレス事業の譲渡手続きは完了したものの、残存するトール社のオペレーションから当該事業を完全に切り離すことには困難を伴う又は時間を要する可能性があり、かかる対応のために追加の費用等が生じる可能性があります。また、トール社を親会社とする連結グループは、2022年3月末日現在で881億円の債務超過となっており、依然厳しい経営状況にあります。エクスプレス事業の譲渡後も、日本郵便は、人員配置の合理化等によりトール社の残るロジスティクス事業及びフォワーディング事業の採算性の向上に努めるとともに、JPトールロジスティクス及びトールエクスプレスジャパンの活用等により、豪州に依存した経営構造から脱却し、日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換による成長を図りますが、かかる経営改善策及び成長戦略が功を奏せず、トール社の業績が向上しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、トール社の保有する物流設備その他の固定資産について更なる減損損失を計上する可能性もあります。また、日本郵便がトール社の事業再編その他日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換に係る施策をさらに進めるに際して総務大臣の認可が必要となる場合、必要な認可を適時に取得できない又は認可を得られないことにより、事業再編等に支障が生じる可能性があります。
また、トール社は、日本郵便の買収以前に多数の企業買収を行い、事業統合を実施している過程にありますが、当社グループとの事業統合も含め統合が予定通り進捗しない場合には、複数のビジネス・ユニットによる取引先の競合やオペレーションの重複等が解消されないこと、複雑な業務及び設備、並びに異なる地理的エリアに存する多様な企業風土と異なる言語に基づく従業員を十分に管理できないこと、トール社と競合関係にある同業他社が、トール社より優れた革新的な商品・サービスを提供することで、トール社のマーケットシェア及び利益が低減すること、自然災害、事故等により、基幹ⅠTシステム、主要な輸送手段、倉庫が損害等を受けること、さらには、買収時に発見できなかった問題が発生すること等により、当社グループ又はトール社の事業に負の効果を及ぼして、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② トール社に適用される規制等
国際物流事業を担うトール社は、豪州を中心に、アジア太平洋地域等におけるフォワーディング、ロジスティクス等の国際的な事業活動を行っており、関連する国・地域の事業許可や租税に係る法規制、運送、貿易管理、贈収賄防止、独占禁止、為替規制、環境、各種安全確保等の法規制の適用を受けております。法令等の改正や新たな法規制等により、当社グループの競争条件が悪化したり、事業活動の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合、また、コンプライアンス態勢が十分な効果を発揮せず、トール社に適用される規制等への違反が生じた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会等の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替変動・国際財務報告基準(IFRS)の適用のリスク
国際物流事業を担うトール社の連結財務諸表は外貨建て(豪ドル)で作成されていることから、大幅な為替相場の変動が生じた場合、外貨建ての資産・負債等が当社の連結財務諸表作成のために円換算される際に為替相場の変動による影響を受けるため、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、トール社の連結財務諸表は国際財務報告基準(IFRS)が適用されていることから、国際財務報告基準(IFRS)の変更により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 資金繰り等のリスク
トール社は、継続的に設備投資等を行っており、事業上必要な資金を確保する必要があるため、金融機関からの借入等に依存する割合も少なくありません。トール社の経営状況が非常に厳しい中、資金繰り安定化を企図し、トール社の借入金等に対し、日本郵便による債務保証を付しております。
今後、トール社の経営状況が改善せず、トール社による返済が困難となる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 不動産事業に関するリスク
当社グループは、郵便局窓口事業において、日本郵便が保有する不動産を有効活用して事務所・商業施設・住宅等の賃貸・管理事業、分譲住宅事業等の不動産事業を営んでおります。当社グループは多くの不動産を保有しているものの、不動産事業におけるノウハウが限られていること、また、必要な人員の採用、定着が進まないこと等により、当該事業を発展させることができない可能性があります。加えて、当社グループは、グループ保有不動産の再開発を加速することで、不動産事業の利益拡大を目指してまいりますが、不動産市況等によってはかかる開発が当社グループの想定通りに進捗する保証はなく、また、グループ外の企業との共同プロジェクトにおいては、当社グループによるプロジェクトへの管理が及ばなくなったり、共同事業者との間で意見の不一致が生じること等により、事業の進捗に支障が生じる可能性があります。
また、不動産事業については、国内外の景気又は特定地域の経済状況や紛争の発生、人口、市場における需給等の変化により、不動産価格の下落、賃貸料の下落や未収、空室率の上昇、建築資材の価格や工事労務費等の高騰、着工・竣工時期の遅延や見直し、棚卸資産の増加、さらに、法的規制の変更、大規模災害や感染症の発生等の影響を受ける可能性があります。特に今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言等を受けた深刻な経済活動の停滞により、テナント賃料の減免等が一部発生しているほか、空室率の上昇、開発中の案件における竣工時期の遅延等が想定され、また、収束後も、eコマース市場の拡大などの消費者動向の変化、ライフスタイルや働き方の変容により、オフィス需要や商業施設(特に小売り)の需要の変化等の影響を受ける可能性があります。これらの事象により、当社グループの不動産事業の収益や費用に影響を及ぼしたり、保有不動産等に評価損・減損損失や売却損が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。


Ⅳ.銀行業に関するリスク

(1) 市場リスク
ゆうちょ銀行が保有する金融資産・負債の多くは、市場の変動による価値変化等を伴うものであります。ゆうちょ銀行では、中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALMの枠組みの下、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行っているほか、ストレス・テストや損益シミュレーション等を実施することにより、市場リスク等を適切に管理するよう努めております。
しかし、かかる管理にかかわらず、足許では、インフレ懸念を背景とした米国等の金融政策の転換等に伴い、外貨調達コストの上昇やクレジットスプレッドの拡大等の影響が見込まれますが、これに加えて、更なる金融引き締めの進展、ウクライナ情勢の悪化、新型コロナウイルス感染症の再拡大等に伴い、更なる市場の大幅な変動や金融市場の混乱等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。

① 金利リスク
ゆうちょ銀行が保有する日本国債(2022年3月末日現在、49.2兆円・総資産額の21%)や外国証券(2022年3月末日現在、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)は74.1兆円・総資産額の31%)などの金融資産と、定額貯金をはじめとする貯金や外貨を含む市場性調達の負債の期間や金利更改サイクル等には、差異が存在します。このため、金利(長期や短期の金利)の変動は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当連結会計年度末現在において、日本国債の一部の金利がマイナスとなる等市場金利は歴史的な低水準にあり、さらに、今後の金融政策の動向によりかかる金利水準が長期に亘り継続し又は低下する場合、運用収益の減少に比して、相対的に貯金の調達コストが減少しないことにより、資金粗利鞘が減少し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、足許では、インフレ懸念を背景とした米国等の金融政策の転換等により、海外短期金利が上昇し、国内外の金利差が拡大傾向にあることから、外貨調達コストの上昇が見込まれますが、今後、大幅に国内外の金利差が拡大した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、市場金利及びクレジットスプレッドの変動は、ゆうちょ銀行の債券ポートフォリオ等の価値に影響を及ぼします。例えば、国内外の景気変動、中央銀行の金融政策、日本国政府の財政運営やその信認の変化等、様々な要因により市場金利が上昇(クレジットスプレッドが拡大)した場合、保有する債券等の価値下落によって評価損・減損損失、売却損やゆうちょ銀行が保有する有価証券中の投資信託において収益認識できない特別分配金の発生等が生じる可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、貯金について、急激な市場金利上昇等により、定額貯金(預入から6カ月経過後は払戻し自由、3年までは6カ月ごとの段階金利、それ以降は固定金利の10年満期・複利貯金)への預け替え等が発生した場合にも、調達コスト等の上昇等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、ゆうちょ銀行は、金利リスク状況のモニタリングの一環として、監督当局による「主要行等向けの総合的な監督指針」において定められた重要性テストの過程で用いられる手法に基づき、金利変動による資産・負債の経済価値の減少額(以下「ΔEVE」といいます。)を計測しております。今後、ゆうちょ銀行のΔEVEの最大値が重要性テストにおける評価基準である自己資本の額の20%を超え、監督当局から深度ある対話を行う必要が認められる銀行と判断される場合には、対話を通じて共有された課題認識に基づき、原因への対応も含めて必要な改善対応を求められる可能性があります。なお、仮に当該改善計画を確実に実行させる必要があると監督当局から判断された場合、監督当局から行政上の措置が課される可能性があります。

② 為替リスク
ゆうちょ銀行は、収益源泉・リスクの分散を目的に、運用の高度化・多様化の一環として国際分散投資を進め、外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等の外国証券の保有が増加しております。これらのうち、外貨建て資産については、為替リスクを軽減する目的から通貨スワップや為替予約等によりヘッジ取引を行っておりますが、その一部については為替リスクを軽減するヘッジを当初から行わない、若しくはヘッジを行った後に外国証券の価格変動等によりヘッジ比率に変動が生じる、又は短期のヘッジを行うことがあります。その結果、外国証券の取得後に大幅な為替相場の変動が発生した場合、非ヘッジ部分に係る差損が発生し、又は通貨ベーシスの拡大が発生した場合、ヘッジコストが上昇すること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 株式価格変動リスク
ゆうちょ銀行は、直接又は金銭の信託や投資信託を通じて間接的に、株式を保有することがあることから、国内外の経済状況又は市場環境の変化によって株価が変動する場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場流動性リスク
ゆうちょ銀行では、市場流動性を確保する観点から、流動性が低い資産への投資が過大にならないよう、また、市場規模に比して過大なポジションを保有することがないよう、基準を設定することにより、市場流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、経済状況の著しい悪化や金融市場の混乱、銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が低下する場合等には、当社グループが国内外の市場で取引・決済ができなくなることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされること等により、損失を被る可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 資金流動性リスク
ゆうちょ銀行では、安定的な資金繰りを達成するため、資金の受払いの差額について基準を設定しているほか、予期しない資金流出等に備え、流動性の高い資産の保有額に基準を設定することにより、資金流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、当社グループの業績や財政状態の悪化、風評等の発生や、予期せぬ資金流出、運用と調達の期間のミスマッチ(差異)等、また、当社グループの収益力・信用力の低下、日本国債の格下げ等の影響を受けたゆうちょ銀行格付の引き下げにより、円貨・外貨の必要資金確保が困難になる、又は、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、損失を被る可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 信用リスク
ゆうちょ銀行では有価証券発行体や貸出先などの債務者に対し、内部格付を付与の上、定期的にモニタリングを行うほか、個社・企業グループ及び国・地域に対するエクスポージャーの上限管理等を実施することにより、信用リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、債務者において、例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大による国内外の経済情勢(景気・信用状況等)への深刻な影響や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、誤った経営判断、不祥事等の発生、その他不測の事態により財政状態が悪化した結果、ゆうちょ銀行の与信関係費用が増加又はゆうちょ銀行が保有する有価証券等の価値が下落することによって評価損・減損損失や売却損等が生じ、当社グループの事業、業績、財政状態及び自己資本の状況に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。

(5) オペレーショナル・リスク等
ゆうちょ銀行の業務においては、オペレーショナル・リスク等として、事務リスク、システムリスク、情報資産リスク、訴訟等に係るリスク、人事リスク、レピュテーショナル・リスク、災害・パンデミックに係るリスク、サイバー攻撃等に関するリスク、法令違反等(横領その他の犯罪行為、テロ資金供与、インサイダー取引規制等違反、お客さまの属性に照らし不適合な説明や資産運用商品の販売等、法令・諸規則等を遵守できない等のミスコンダクトリスクが発生する等)に係るリスク及びマネー・ローンダリング等に係るリスクが存在します。
また、ゆうちょ銀行の業務に関連して、顧客その他第三者が、偽名による口座開設、ゆうちょ口座の不正目的による使用、又は盗難カードを使用した犯罪行為その他不正行為を行うなどの事象が発生しています。
ゆうちょ銀行では日本郵便等と連携し、各種取組みを通じて事故や不正利用・不正送金の防止に努めておりますが、これらのオペレーショナル・リスク等を適切に管理できず、リスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 代理店を通じた営業に係るリスク
ゆうちょ銀行は、銀行代理業務の委託契約等に基づき日本郵便に銀行代理業務等を委託しております。ゆうちょ銀行の店舗23,734(2022年3月末日現在)のうち23,499が代理店(郵便局)となっており、貯金残高の約9割が代理店で開設された口座への預入による等、ゆうちょ銀行の事業は、代理店である日本郵便の郵便局ネットワークによる営業に大きく依拠しております。
従って、コミュニケーション手段の多様化、競合するネットワークやサービスの利便性向上等により、ゆうちょ銀行の代理店である郵便局の利用者数や利用頻度が減少したり、代理店で取り扱うゆうちょ銀行の商品・サービスの種類や代理店数が減少した場合、ゆうちょ銀行の代理店業務に従事する従業員の確保やその教育が十分でない場合、郵便局で取り扱う競合商品との競争が激化する場合、日本郵便が人材等のリソースをゆうちょ銀行の商品・サービス以外に優先的に配分する場合等においては、ゆうちょ銀行の貯金等や新商品等の販売が伸びず、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、かんぽ生命保険及び日本郵便におけるお客さまのご意向に沿わず不利益が生じた保険契約乗換等に係る事案に関し、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの大きく低下した信頼の回復は未だ途上にあり、当社グループとして、外部専門家で構成されたJP改革実行委員会のモニタリングを受けながら、お客さまからの信頼回復に向けた改善策を実行してまいりました。
また、日本郵便において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち法令違反が認められたかんぽ生命保険の保険商品とゆうちょ銀行の投資信託の横断的な販売について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、当社グループとして商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。しかしながら、かかる取組みが功を奏しない場合や、今後も法令違反等の不適切な事案が発生する等の場合には、当社グループへの信頼の喪失等により、日本郵便が取り扱うゆうちょ銀行の金融商品の販売が回復しない可能性があります。結果的に、ゆうちょ銀行が委託している投資信託の販売等に影響し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2021年4月6日に公表した長崎県内の郵便局における長期・高額な現金詐取事案、2021年7月21日に公表した愛媛県内の郵便局における郵便局資金横領等事案、2022年1月20日に公表した山口県内の郵便局における貯金払戻金横領等事案を含め、郵便局において部内犯罪が依然として発生している事態を受け、ゆうちょ銀行は、日本郵便及び当社と連携し、発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、不祥事件の撲滅に向けてコンプライアンスの徹底・強化に取り組んでおります。また、2021年12月15日に公表した郵便局におけるお客さま情報の紛失に係る調査結果について、投資信託取引及び国債取引に関する金融商品仲介補助簿については、当該補助簿の電子化による再発防止策を実施したほか、当該補助簿以外の書類についても、紛失防止に向け、保存書類の削減、電子化(ペーパーレス化)を順次進めてまいります。しかしながら、かかる取組みが功を奏しない場合や、今後も法令違反等の不適正な事案が発覚する等の場合には、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があり、今後、ゆうちょ銀行の金融商品の販売が低迷し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、ゆうちょ銀行は、上記の銀行代理業務の委託契約等に基づき、郵便局を商品・サービスの販売・提供のメインチャネルとし、相当額の委託手数料を日本郵便に対して支払っておりますが、当該委託手数料の算定方法その他の条件がゆうちょ銀行と日本郵便との間の合意により見直されたり、当該契約等が解除され代替委託先等を適時に確保できない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 事業環境等に係るリスク
① ユニバーサルサービスの提供に係るリスク
ゆうちょ銀行は、日本郵便との間で銀行窓口業務契約を締結しており、日本郵便は全国の郵便局で、ゆうちょ銀行の基本的な商品・サービスを、日本郵便株式会社法に基づくいわゆるユニバーサルサービス提供に係る法的責務の履行として提供しております。ゆうちょ銀行は、法令上この責務を直接負わないものの、郵便局で使用するATM・窓口端末機など銀行委託業務に係るⅠTシステムの導入・運行コストとともに(なお、当該ⅠTシステムはゆうちょ銀行が所有。)、同業務に従事する日本郵便の従業員の指導・教育等を通じ、ユニバーサルサービス提供に係る一定のコストを負担しております。その結果、より収益性の高い業務や地域への経営資源配分が制約されること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、銀行窓口業務契約は、期限の定めがなく、また、本契約に定める特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り、解除できないものと定めております。また、ゆうちょ銀行の定款には、日本郵便と銀行窓口業務契約を締結する旨規定しているため、当該契約を終了させる場合には、定款の変更を要します。従って、ゆうちょ銀行が銀行窓口業務契約を終了させるためには、これらの手続等を充足させる必要があります。一方、本契約が終了した場合にも、ゆうちょ銀行の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これによって2020年3月期からゆうちょ銀行と日本郵便との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。そのため、ゆうちょ銀行直営店での業務コストの増減にかかわらず、拠出金と委託手数料の合計額が将来的に増加する可能性があります。また、今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 経済・社会情勢、市場に係るリスク
ゆうちょ銀行が行う当社グループの銀行業は、その収益の多くが日本国内での貯金調達や国内外での有価証券運用によって得られており、国内外の景気・信用状況や人口動態等の経済・社会情勢、金利・為替等の市場の変動・悪化が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、消費税率の引き上げによる家計の可処分所得の低下や、少子高齢化に伴い、日本の貯蓄率・預金水準が低下し、ゆうちょ銀行の貯金残高が減少する可能性があります。また、大幅な市場変動により、ALMやリスク管理態勢が期待通り奏功せず、ゆうちょ銀行の事業の低迷や資産内容の悪化、資金調達力・資産流動性の低下等が生じる可能性があります。このような場合、中長期的な収益の確保を目的とした運用の高度化・多様化が、目的に即した結果を生まない可能性もあります。
新型コロナウイルス感染症については、日米欧を中心としたワクチン接種の進展等、一部環境の改善要素もありますが、感染拡大予防のための経済社会活動の制限や、新規感染者数が大幅に拡大する局面も未だ見られる等、引き続き国際社会・世界経済にとって大きな脅威となっております。ゆうちょ銀行では、お客さまや社員への感染拡大防止や業務継続態勢の確保に努めておりますが、かかる対応にかかわらず、ゆうちょ銀行の商品・サービスの利用者が著しく減少した場合、また、当社グループ社員に感染が拡大することにより業務の継続が困難となった場合等は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 事業戦略・経営計画に係るリスク
ゆうちょ銀行は、“信頼を深め、金融革新に挑戦”のスローガンの下、5つの重点戦略である「リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革」、「デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上」、「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」、「ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化」、「一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化」を通じて、2021年度から2025年度までを計画期間とする中期経営計画を推進しております。しかしながら、これらに向けたゆうちょ銀行の事業戦略・経営計画は、各種のリスクにより実施が困難となり、又は有効でなくなる可能性があります。また、本項に記載したリスク要因等に伴い、事業戦略・経営計画の策定時に前提とした各種の想定が想定通りとならないこと等により、当初計画した成果が得られない可能性もあります。特に、市場(金利・為替等)・経済情勢(景気・信用状況等)等が計画策定時の想定通り安定推移しなかった場合、例えば、市場金利の低下による運用利回りの減少や米ドルをはじめとする海外短期金利上昇に伴う外貨調達コストの増加によって計画が達成できない可能性、海外のクレジットスプレッド拡大によるゆうちょ銀行が保有する有価証券中の投資信託の特別分配金発生によって計画が達成できない可能性、プライベート・エクイティの投資先の企業価値や売却時期が想定対比で乖離することによって計画が達成できない可能性、国際分散投資等の高度化・加速を継続していく中で、適切なポートフォリオ分散を達成できない可能性、より高いリスクを有する運用資産の増加によって価格変動リスクを受けやすくなり、ゆうちょ銀行の事業、業績及び財政状態に及ぼす影響が大きくなる可能性があります。さらに、DXの推進等による、各種決済サービス及び資産形成サポートサービスの利用促進等並びに店舗改革等の業務効率化、運用・リスク管理・営業等の人材確保・育成が、想定通り進捗しなかった場合、役務収支の拡大や営業経費の削減等の計画が達成できなくなる可能性があります。また、減損損失、売却損の計上等により十分な利益水準が確保できない場合や、法令によりその他有価証券の評価損が発生した際は分配可能額から控除する必要があることから、相場変動によりその他有価証券の評価損が拡大し、分配可能額を確保できない場合等には、株主還元の目標が達成できない可能性があります。

(9) LIBOR等の指標金利に関するリスク
ゆうちょ銀行は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の指標金利を参照する金融商品を保有しており、さらに当該指標金利は、ゆうちょ銀行内における金融商品の評価等においても利用されております。
2014年7月に、金融安定理事会が、金利指標の改革及び代替金利指標としてリスク・フリー・レートの構築を提言し、また、2017年7月には、LIBORを規制する英国の金融行動監視機構(FCA)長官が、2021年末以降はLIBOR公表継続のためにパネル銀行にレート呈示を強制する権限を行使しない旨表明しており、2021年末以降のLIBORの公表には不確実性があるとされていましたが、2021年3月5日、LIBOR運営機関(IBA)が、米ドルの一部テナーを除き、2021年12月末をもってLIBORの公表を停止する旨を公表し、同公表のとおり、LIBORは公表停止となりました(米ドルの一部テナーは、2023年6月末まで公表継続予定)。
ゆうちょ銀行では、LIBOR公表停止に向けて、代替金利指標への移行に対する対応を進め、2021年12月末のLIBOR公表停止に向けた対応を実施いたしました。ただし、2023年6月末に予定されている米ドルLIBORの一部テナーの公表停止に関して、後継指標に関する市場慣行等、未確定事項が残存しており、参照金利や評価方法の変更等により、指標金利を参照するゆうちょ銀行の金融資産につき損失が発生し、また、システム開発が必要になること等に伴う費用の増加等の要因により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 東京証券取引所におけるプライム市場上場維持に係るリスク
2022年4月に実施された東京証券取引所の市場区分見直しに際し、ゆうちょ銀行はプライム市場の上場維持基準のうち、「流通株式比率35%以上」に適合していませんが、2021年11月12日に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」等を提出・開示し、経過措置の適用を受けることで、2022年4月4日、プライム市場へ移行しました。
当分の間、経過措置※の適用対象となる結果、当該期間中はプライム市場への上場が維持されますが、当該期間中においては、当該計画書に記載の事項を遵守する必要があります。
なお、当該計画の適切な実行については、各種のリスクによりその実施が困難となり、又は有効でなくなる可能性がある等、不確実性を伴い、また仮に当該計画の遵守ができない場合には、上場維持が認められなくなる可能性があります。
また、当社のゆうちょ銀行株式保有割合が低下した場合、ゆうちょ銀行の流通株式比率向上に寄与することが期待されますが、その過程において、ゆうちょ銀行株式の追加的な売却が行われ、又はかかる売却により市場で流通するゆうちょ銀行の株式数が増え需給が悪化するとの認識が市場で広まった場合には、ゆうちょ銀行株式の流動性・株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

※ 2022年4月26日、東京証券取引所は、上場会社の企業価値向上に向けた取組みや経過措置の取扱い等について、同社に対して助言を行うことを目的とした有識者会議の設置を公表しました。


Ⅴ.生命保険業に関するリスク

(1) 保険募集プロセスにおける品質確保に関するリスク
日本郵便及びかんぽ生命保険における募集品質問題及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案の発生により、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの信頼は未だ回復途上にあることから、早期の信頼回復が最重要課題と認識しております。
当社グループは、お客さまからの信頼の早期回復、並びに保険募集プロセスにおける法令遵守及びお客さま本位の意識の徹底による募集品質の確保・向上を図るため、お客さまの不利益の解消に向けたご契約調査等の対応や、2020年1月31日付で監督当局に提出した業務改善計画に基づく再発防止策(健全な組織風土の醸成、適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化)に最優先で取り組んでまいりました。
しかしながら、今後、これらの取組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の時間を要する場合や、当社グループの全役員・社員にこれらの取組みが徹底されない場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信頼の回復に影響を及ぼす可能性があります。さらに、お客さまのご意向に沿わず不利益となる事例、法令違反又は社内ルール違反となる事例が新たに判明する場合、保険契約に対する苦情や無効申請等のお申し出が発生する等の場合には、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このように、今後、当社グループにおいて遵守すべき法令等の義務に反する行為が発生・発覚する場合、又は業務改善計画の進捗及び改善状況について監督当局がそれらを不十分であると判断した等の場合、当該違反行為の規模や程度又は当社グループの取組状況によっては、監督当局から再度業務停止命令等の行政処分を受けるなど、当社グループの経営や事業の存続に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
かんぽ生命保険は、上記の募集品質問題等を受け、2019年7月以降、2020年1月から3月までの業務停止命令期間を含め、郵便局及びかんぽ生命保険支店におけるかんぽ生命保険商品の積極的な営業活動を控えておりましたが、2020年10月5日からお客さまにおかけしたご迷惑をお詫びすることを第一とする信頼回復に向けた業務運営を開始し、2021年4月1日からは、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタイルへ移行しております。
しかしながら、新契約の実績は、本書提出日現在において伸び悩んでおり、今後もこれらの取組みが奏功しない場合には、新契約の実績が長期にわたり計画通り進捗しない、又は保有契約の維持を図れないなどの理由により、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。かかる業績及び財政状態への影響は、営業活動に関する手数料支払の減少により利益の増加が先行するというかんぽ生命保険の収益構造の特性により、短期的には顕在化しにくいものの、新契約の実績が進捗しないなどの期間がより長期にわたり継続する場合には、当社グループの事業、業績、財政状態及びEV等の指標に影響を及ぼす可能性があります。

(2) ユニバーサルサービスの提供に関するリスク
かんぽ生命保険は、日本郵便との間で生命保険募集・契約維持管理業務委託契約及び保険窓口業務契約を締結しており、日本郵便は、郵政民営化法上のユニバーサルサービスに係る責務を履行するため、かんぽ生命保険の保険代理業務を受託し、全国の各郵便局において、かんぽ生命保険の商品・サービスを提供しております。特に、保険窓口業務契約は、期間の定めのない契約であり、本契約に定める特段の事情がない限りかんぽ生命保険から一方的に解除することはできないこととされております。また、かんぽ生命保険の定款上、かんぽ生命保険は日本郵便との間で、保険窓口業務契約を締結する旨の規定が存在し、当該契約を終了させる場合にはかんぽ生命保険の定款変更が必要となります。従って、かんぽ生命保険が日本郵便との間の保険窓口業務契約を終了させるには、これらの手続等を充足する必要があります。
このように、かんぽ生命保険が、ユニバーサルサービスの提供義務を負う日本郵便との間で、解除することが困難な保険窓口業務契約を締結していることで、日本郵便がユニバーサルサービスを提供する上での関連保険会社としての地位を維持する契約上の義務を負うため、かんぽ生命保険の柔軟な事業展開が困難となる可能性があります。
また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これによって2020年3月期からかんぽ生命保険と日本郵便との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。かんぽ生命保険の負担する拠出金と、日本郵便に直接支払う代理業務に係る委託手数料の合計額は、将来的に増加する可能性があります。
今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 商品の集中に関するリスク
かんぽ生命保険の取り扱う商品は、個人向け生命保険、とりわけ養老保険・終身保険などの貯蓄性商品に集中しておりますが、国内の雇用水準及び家計水準、代替商品であるその他の商品に対する相対的魅力、保険会社の財務健全性、社会的信用に対する一般的な認識、出生率及び高齢化といった日本の人口構成に影響を与える長期的な人口動態等の要因が、新契約数や保有契約の消滅率に影響を及ぼしているほか、長引く低金利環境等により、貯蓄性商品の貯蓄としての魅力が低下しております。
また、かんぽ生命保険の顧客基盤は中高年層及び女性の比重が高く、青壮年層の割合が相対的に低くなっております。
かんぽ生命保険は、お客さまの保障ニーズに対応するため、2022年4月より、新しい医療特約「もっとその日からプラス」の取扱い等を開始し、手厚い医療保障を提供するなど、青壮年層を含めたあらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えする保険サービスの開発や、DX推進とともにお客さま体験価値(CX)を最優先とするサービス提供体制の構築を目指しておりますが、これらが想定通りに進捗しない場合には、中長期的な商品・販売戦略、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 日本の人口動態に関するリスク
1970年代半ば以降、日本の出生率は総じて徐々に低下する傾向にあり、現在は世界で最低の水準にあります。これらの結果、15歳から64歳までの人口は減少傾向が続いており、この傾向が、日本国内における生命保険の総保有契約高の減少の主要な要因であると考えております。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、15歳から64歳までの人口は、今後も減少し続けるであろうと予測されております。こうした見通しの下、かんぽ生命保険は、人口減少や公的医療費の増加等の社会的課題を踏まえ、健康増進サービスやデジタルマーケティングの推進、青壮年層等を含むお客さまニーズにマッチした保障性商品等の開発等の検討を進めてまいりますが、お客さまニーズにマッチしたサービスの提供や商品開発ができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 事業戦略・経営計画が奏功しないリスク
かんぽ生命保険は、募集品質問題等の反省を踏まえ、お客さまから真に信頼される企業へと再生し、持続的な成長を目指すため、「信頼回復に向けた取組みの継続」、「事業基盤の強化」、「お客さま体験価値の向上」、「ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)」、「企業風土改革・働き方改革」、「ガバナンスの強化・資本政策」に取り組むことを基本方針とした2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画をはじめとする事業戦略・経営計画を策定しておりますが、これらに含まれる施策の実施については、各種のリスクが内在しております。また、将来において、かんぽ生命保険による上記施策の実施を阻害するリスクが高まる又は新たなリスクが生じる可能性もあります。
さらに、これらの事業戦略・経営計画は、市場金利、外国為替、株価、事業環境、法制度、一般的経済状況、新しい営業体制の下での日本郵便及びかんぽ生命保険の従業員の活動状況などの多くの前提を置き、それらに基づいて作成されておりますが、かかる前提通りとならない場合や各施策に対する十分な事業評価が行われない場合には、当該計画における目標を達成できない可能性があります。なかでも、新契約の実績は、本書提出日現在において伸び悩んでおり、今後もこれらの取組みが奏功しない場合には、新契約の実績が長期にわたり想定計画通り進捗しない、又は既存保有契約の維持を図れないなどの理由により、当社グループの事業、業績、財政状態及びEV等の指標に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、かんぽ生命保険は、法令上可能な限りにおいて、新たな収益機会を得るため新規業務への参入を行うことがありますが、当社グループの信頼が回復途上にある状況では、新規業務への参入が困難となる可能性があります。加えて、2021年5月に公表したかんぽ生命保険による自己株式取得等により、当社のかんぽ生命保険株式の議決権比率が50%を下回ったことから、新商品の販売開始に当たって郵政民営化法に基づく認可を取得することは不要となり、届出制へ移行したため、新商品の投入スピードの向上が今後は見込まれるものの、かんぽ生命保険が事前届出を適時適切に行うことができない、郵政民営化委員会から適正な競争関係の確保と役務の適切な提供の配慮義務に関して必要な意見が述べられる、金融庁による保険業法上の認可が得られない等の事由により、新商品を予定通りに販売できない可能性や、新商品を販売した場合であっても、予想を超える外部要因等により収益が確保できない等、当該商品が当初想定した成果をもたらさない可能性があります。このような結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらには、中期経営計画期間において、DX推進等をはじめ、かんぽ生命保険全体で約2,500億円規模の投資を行うこととしております。これらの投資は減価償却を通じて今後数年間にわたり費用化されるとともに、その管理・維持には相当程度のコストが生じる見込みでありますが、投資額やコストに見合った成果が得られない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 資産運用に関するリスク
① 国内金利に関する市場リスク
かんぽ生命保険の資産構成は、円金利資産の割合が高く、かんぽ生命保険の保険契約者に対する債務のデュレーションが運用資産より長期であることから、資産と負債のデュレーションのミスマッチによる国内金利の変動リスクを有しております。
2016年2月の日本銀行によるマイナス金利政策導入以降、低金利環境が継続しておりますが、かんぽ生命保険が既に保有している保険契約の予定利率は変わらないことから、当初想定していた運用収益が確保できない、あるいは逆ざや(資産運用ポートフォリオの平均運用利回りが既契約の責任準備金の積立てに用いた予定利率を下回る現象)となる可能性があります。
一方、国内金利が現在の水準より上昇した場合には、資産運用利回りが上昇することにより、利息収入などの収益が向上するものの、債券価格の下落等により、評価損・減損損失や売却損等が発生する可能性があります。また、保険契約者がより高い収益を得られる別の金融商品へ資金を移動させることにより、保険契約の解約が増加する可能性があります。

② ①以外の市場リスク
かんぽ生命保険は外貨建資産を保有しており、その一部については、為替リスクをヘッジするため為替予約をしておりますが、為替リスクがヘッジされていない部分について、為替相場の変動が発生した場合や、為替リスクをヘッジしていたとしても、各国の金融・財政政策の動向等による国内外の金利差拡大によりヘッジコストが高まり、これまでの条件でロールによる為替予約が出来なくなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、各国の金融・財政政策の変更や外国金利の変動により、かんぽ生命保険の保有する外国証券の価値が下落した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、国内外の経済状況又は市場環境の悪化や地政学リスクの顕在化等によって、かんぽ生命保険が保有する株式の価格が下落した場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、オルタナティブ運用などの資産運用の多様化が、期待した結果を生まない可能性があります。

③ 信用リスク
かんぽ生命保険の取引先・投資先・かんぽ生命保険が保有する有価証券の発行者において、国内外の景気動向や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、不祥事の発生、地政学リスクの顕在化等その他不測の事態により、財政状態が悪化した場合には、信用リスク及び与信関係費用が増加し、又はかんぽ生命保険が保有する有価証券の価値が下落すること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、外国公社債運用などの資産運用の多様化が、期待した結果を生まない可能性があります。
上記①~③のリスクに備えて、かんぽ生命保険では、保険契約の引受けによって生じる負債に見合った運用資産を適切に管理し、損益の安定を図る目的で、資産と負債のバランスを考慮してリスクコントロールを行う、ALM及び財務健全性の維持を軸にしたERMの高度化に向けた取組みを継続しております。
また、定期的にストレス・テストを実施し、ストレス事象発生時の対応力を検証するとともに、特に運用資産の多様化に当たっては、審査やモニタリングの体制を強化しています。しかしながら、そうした対応が奏功しない場合や、各国の金融・財政政策の変更等により市場環境が大きく変動した場合には、かんぽ生命保険の業績及び財政状態に影響を及ぼし、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



(7) 保険料設定に関するリスク
かんぽ生命保険は、保険の種類及び内容、契約時の被保険者の年齢、性別、保険金額等を考慮して、次に掲げる計算基礎率(予定死亡率、予定利率、予定事業費率)等に基づいて保険料を設定しております。

予定死亡率過去の統計をもとに、性別・年齢別の死亡者数を予測し、将来の保険金の支払等に充てるために必要な保険料を設定いたします。この計算に用いる予測された死亡率を予定死亡率といいます。
予定利率資産運用による一定の収益を予め見込み、その分を割り引いて保険料を設定いたします。この割引率を予定利率といいます。
予定事業費率保険会社の事業運営上必要な経費を予め見込んで保険料を設定いたします。この割合を予定事業費率といいます。


保険契約においては、実際の死亡率が事前に設定した予定死亡率を超過した場合、実際の運用利回りが事前に設定した予定利率を下回った場合、実際の経費が事前に設定した予定事業費を超過した場合には、保険期間中の保険料等の受取総額を保険金・経費等の支払総額が上回ることにより損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8) オペレーショナルリスク
かんぽ生命保険が業務を遂行していく過程には、オペレーショナルリスクが存在し、内部及び外部の不正行為、労務管理及び職場環境面での問題発生、顧客本位の業務運営への対応が不十分であることによる信用失墜、自然災害やシステム障害等に伴う事業中断、不適切な事務処理、外部への情報漏えい等が生じる可能性があります。
かんぽ生命保険では日本郵便等と連携し、各種取組みを通じて事故や不正の防止に努めておりますが、これらのオペレーショナルリスクを適切に管理できず、リスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本郵便及びかんぽ生命保険は、かんぽ生命保険の業務を行う日本郵便の従業員に対し、法令等の遵守についての指導・教育を行っておりますが、これらの指導・教育が十分行われない、又はその効果が発揮されないことにより、同社従業員による不適正な募集活動などの法令等の違反が発生した等の場合、又は、かんぽ生命保険が日本郵便の従業員による不適正な活動の実態を適時かつ適切に把握することができない場合には、同様の影響が及ぶ可能性があります。

(9) 保険金の支払いに関するリスク
かんぽ生命保険は、正確・迅速な保険金等の支払いが生命保険会社の根幹業務であるとの認識の下、支払管理態勢の強化、お客さまサポートの充実に取り組んでおりますが、何らかの理由により、監督当局又はかんぽ生命保険が支払管理態勢の強化が不十分であると判断した場合には、各種改善策を講じる可能性があり、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 格付の低下に関するリスク
かんぽ生命保険は、各格付会社より格付を取得しており、財務の健全性に対して一定の評価を得ているものと認識しております。しかしながら、募集品質問題の発生を受け、中期経営計画においては、お客さま本位の業務運営を徹底し、信頼回復に努めておりますが、新契約の実績、保有契約の維持及び事業費の抑制などが計画通りに進捗せず、かんぽ生命保険の将来的な財務内容の見通しが悪化することにより、各社の信用格付が引き下げられた場合には、かんぽ生命保険の金融・資本市場における負債性資金の調達がかんぽ生命保険に有利な内容で行えない可能性があるとともに、かんぽ生命保険の業務運営に対する不安を想起させ、更なる新契約の減少又は保有契約の解約の増加等につながる可能性があります。

(11) 市場流動性・資金繰りに関するリスク
① 市場流動性リスク
金融市場の混乱等により、市場において正常に金融商品の取引・資金決済ができなくなった場合や、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることになった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の金融市場及び経済状況の悪化等により、市場の流動性が減退した場合には、かんぽ生命保険の保有する資産の売却可能性や価値が減少する可能性があります。

② 資金繰りリスク
かんぽ生命保険の財務内容の悪化等による新契約の減少に伴う保険料収入の減少、大量解約に伴う解約返戻金支出の増加、巨大災害に伴う保険金の大量支払による資金流出等により資金繰りが悪化し、保険金等の支払いが滞った場合や資金の確保に通常よりも著しく低い価格での資産売却を余儀なくされることにより損失を被った場合には、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(12) 責任準備金の積立に関するリスク
かんぽ生命保険は、日本の生命保険会社として、保険業法及び関連業規制に基づき、保険料収入の大部分を責任準備金として将来の保険金等の支払いに備えて積み立てております。責任準備金は、かんぽ生命保険の負債の最も大きな部分を占めているものであり、各保険契約の保障対象となる事象の起こる頻度や時期、保険金等支払額、資産運用額等につき一定の前提を置き、これらに基づく見積りによって計算されるものであります。これらの前提と実際の結果が乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、責任準備金の積立水準に関するガイドラインや標準利率・標準生命表は、規制当局である金融庁等によって定められているものですが、これらに変更があった場合には、保険料見直しや責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 契約者配当準備金に関するリスク
かんぽ生命保険が確保すべき契約者配当準備金の繰入額は費用として扱われ、これにより各事業年度における純利益が減少します。かんぽ生命保険は契約者配当準備金の繰入額の決定について裁量を有しており、その水準については、かんぽ生命保険商品の競争力、業績、ソルベンシー・マージン比率等の様々な要素を考慮して判断しておりますが、その水準によっては、かんぽ生命保険の株主への配当原資の額、事業、業績及び財政状態又はかんぽ生命保険の株式価値に影響を及ぼす可能性があります。
なお、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約については、「旧簡易生命保険契約に基づく保険責任に係る再保険契約」において、かんぽ生命保険が引き受けた保険契約と区分してその収益及び費用を経理するものとし、簡易生命保険契約の再保険損益の8割を契約者配当準備金に繰り入れることとしております。また、再保険配当の計算方法の変更の必要性について、毎事業年度、郵政管理・支援機構と当社間で協議することとされておりますが、本契約締結以降、当該計算方法が変更されたことはなく、当連結会計年度末現在において変更の予定もありません。

(14) 生命保険契約者保護機構への負担金及び国内の他の生命保険会社の破綻に係るリスク
かんぽ生命保険は、生命保険契約者保護機構(以下「保護機構」といいます。)への負担金支払義務を負っております。保護機構は、破綻した生命保険会社の保険契約者を保護することを目的としており、破綻した生命保険会社から他の生命保険会社へ保険契約を移転する際に、資金援助を実施しております。保護機構への負担金額は保険料収入及び責任準備金の額などに応じて決められるため、かんぽ生命保険の保険料収入及び責任準備金の額が他の生命保険会社に比して増加した場合、負担金が増加する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、日本の他の生命保険会社の破綻は、日本の生命保険業界全体の評価にも悪影響を与え、保険契約者の生命保険業界全体に対する信用を損ない、これにより当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



Ⅵ.その他事業に関するリスク

(1) 投資事業に関するリスク
当社グループでは、日本郵政キャピタル株式会社及びJPインベストメント株式会社が投資事業を営んでおり、国内外への投資や新たな事業領域への出資等を行っていますが、適正な収益や機会をもたらす保証はありません。
投資事業において投資時点で投資先の価値や将来の成長性を正確に見極めることは容易ではなく、また、当社グループが投資時点で想定したとおりに投資先が事業を展開できる保証はありません。投資先の事業環境の変化その他様々な理由により、投資先の業績又は財政状態が悪化した場合には、当社グループが投資した資金を回収できず、また、投資活動により取得・発生した株式などの金融資産やのれんに評価損・減損損失が発生するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループの投資先が内部統制上の問題を抱えていたり、法令に違反する行為を行っている可能性があります。当社グループが投資後にそうした問題や行為を早期に是正できない場合、当社グループの信用や企業イメージが低下し、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 不動産事業(郵便局窓口事業に係るものを除く。)に関するリスク
当社グループは、事務所・商業施設・住宅等の賃貸・管理事業、分譲住宅事業等の不動産事業を営む日本郵政不動産株式会社を2018年4月2日に設立しております。また、日本郵政不動産株式会社は、2021年8月2日に同事業を営む郵船不動産株式会社の発行済株式の51%を取得し、子会社化(2022年4月にはJPプロパティーズ株式会社に商号変更)しております。当社グループは多くの不動産を保有しているものの、不動産事業におけるノウハウが限られていること、また、必要な人員の採用、定着が進まないこと等により、当該事業を発展させることができない可能性があります。加えて、当社グループは、グループ保有不動産の再開発を加速するとともに、グループ外不動産への投資を強化することで、不動産事業の利益拡大を目指してまいりますが、不動産市況等によってはかかる開発が当社グループの想定通りに進捗する保証はなく、また、グループ外の企業との共同プロジェクトにおいては、当社グループによるプロジェクトへの管理が及ばなくなったり、共同事業者との間で意見の不一致が生じること等により、事業の進捗に支障が生じる可能性があります。
また、不動産事業については、国内外の景気又は特定地域の経済状況や紛争の発生、人口、市場における需給等の変化により、不動産価格の下落、賃貸料の下落や未収、空室率の上昇、建築資材の価格や工事労務費等の高騰、着工・竣工時期の遅延や見直し、棚卸資産の増加、さらに、法的規制の変更、大規模災害や感染症の発生等の影響を受ける可能性があります。特に今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言等を受けた深刻な経済活動の停滞により、テナント賃料の減免等が一部発生しているほか、空室率の上昇、開発中の案件における竣工時期の遅延等が想定され、また、収束後も、eコマース市場の拡大などの消費者動向の変化、ライフスタイルや働き方の変容により、オフィス需要や商業施設(特に小売り)の需要の変化等の影響を受ける可能性があります。これらの事象により、当社グループの不動産事業の収益や費用に影響を及ぼしたり、保有不動産等に評価損・減損損失や売却損が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。


Ⅶ.金融2社株式売却等に関するリスク

2022年3月期において、日本国政府は当社の発行済株式の33.3%(自己株式を除く議決権割合は34.3%)を、当社はゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の発行済株式のそれぞれ89.0%(自己株式を除く議決権割合は89.0%)及び49.9%(自己株式を除く議決権割合は49.9%)を保有しております。
郵政民営化法に基づき、日本国政府による当社株式の保有割合は常に3分の1を超えるものとされており、また、当社が保有する金融2社の株式も、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、その全部をできる限り早期に処分するものとされております。当社では、上記趣旨に沿って、中期経営計画期間中のできる限り早期に金融2社株式の保有割合を50%以下とすることを目指します。
なお、当社は、2021年5月のかんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び同年6月の株式処分信託の設定により、当社が保有するかんぽ生命保険普通株式163,306,300株を処分いたしました。
この結果、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となりました(本株式処分前64.5%)が、実質支配力基準により、かんぽ生命保険が当社の連結子会社であることに変更はありません。
また、日本国政府は、2021年6月の当社による自己株式取得に応じた売付けにより276,090,500株を処分しました。この結果、日本国政府による当社株式の保有割合は発行済株式の50.7%(自己株式を除く議決権割合は60.6%。なお、当社は、2021年6月18日開催の取締役会決議に基づき、同月30日付で732,129,771株の自己株式を消却しており、当該自己株式の消却を行った後における日本国政府の自己株式を除く議決権割合は60.6%)となりました。
さらに、日本国政府は、2021年10月に公表した当社株式の国内売出し及び海外売出し(以下「グローバル・オファリング」といいます。)により当社株式1,027,477,400株を処分しており、その結果、日本国政府による当社株式の保有割合は発行済株式の33.3%(当社は、2021年10月6日開催の取締役会決議に基づき、2022年3月末までに105,043,800株の自己株式を取得しており、取得後の自己株式を除く議決権割合は34.3%)となりました。
当社は、2022年5月13日付の取締役会決議に基づき、2022年5月16日から2023年3月31日までを取得期間とし、当社普通株式278,000,000株、取得価額の総額2,000億円をそれぞれ上限として、取引一任契約に基づく市場買付による当社の自己株式の取得を実施することを決議しております。同決議に基づき、2022年5月16日から2022年5月31日までの間に、15,430,700株の自己株式を取得いたしました。これにより、2022年5月末日現在における発行済株式総数に対する政府が保有する株式の保有割合は34.3%(自己株式を除く議決権割合は34.5%)となっております。
以下では、かかる日本国政府による当社株式の保有と、当社による金融2社株式の売却に起因する当社グループの事業等のリスクのうち主要なものを記載しております。

(1) 持分の減少による連結業績への影響、事業の規模・範囲の縮小に関するリスク
2022年3月期におけるゆうちょ銀行の営む銀行業と、かんぽ生命保険の営む生命保険業のセグメント利益・セグメント資産の各合計額は、当社グループのセグメント利益・セグメント資産の各合計額(「その他」(宿泊事業、病院事業、関係会社受取配当金等)に区分されるものを除きます。)のそれぞれ約85%及び約98%を占めております。郵政民営化法に基づき、当社が金融2社の株式を処分した場合、当社の連結財務諸表の親会社株主に帰属する当期純利益に反映される金融2社の純利益や、非支配株主持分を除く純資産の額に反映される金融2社の純資産の額が減少することになります。金融2社の議決権の過半数を保有している間は連結対象となりますが、金融2社の議決権の過半数を保有しないこととなった場合には、連結対象となるかについて他の要件とも併せて検討することとなります(なお、上記のとおり、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となりましたが、実質支配力基準により、かんぽ生命保険が引き続き当社の連結子会社であることに変更はありません。)。なお、金融2社が連結対象から外れた場合、連結貸借対照表上、金融2社の資産、負債を合算しなくなるため、当社グループの資産、負債の規模が減少することになります。さらに、金融2社が持分法適用関連会社からも外れた場合は、金融2社株式は「その他有価証券」となり毎期時価で評価することになり、原則として評価差額は「その他有価証券評価差額金」として純資産に計上することになります。
なお、当社の連結財務諸表に対する金融2社の収益・利益が与える影響については、以下のとおりと想定しております。
① 金融2社が当社連結対象となる場合
金融2社の収益が当社連結収益に寄与します。また、金融2社の利益が持分比率に応じて当社連結利益に寄与します。
② 金融2社が持分法適用となる場合
金融2社の利益が持分比率に応じて当社連結利益に寄与します。
③ 金融2社が①及び②以外の場合
金融2社からの配当収入があれば、当該収入が当社連結収益・利益に寄与します。
また、上記のとおり、当社が保有する金融2社の株式は、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、その全部をできる限り早期に処分するものとされており、当社が金融2社の株式を処分しその持分が低下するにつれて、当社グループの事業は、金融2社以外の事業のウェイトが高まることになり、当該各事業における収益の悪化が、当社グループの事業、業績及び財政状態に、より影響を及ぼすことになります。また、金融2社に対する持分が低下又は消滅することにより、当社グループの財務の健全性又はキャッシュ・フローが悪化し、当社グループの資金調達能力が制限される可能性があります。
当社は、金融2社株式の売却手取金を有効に活用し企業価値の向上に努める所存ですが、金融2社からの配当収入に代わる利益を得られない場合には、当社の配当原資が確保できないおそれがあり、また、上記の金融2社の当社連結利益への影響の低下を通じて当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 議決権割合の減少による影響力の低下、少数株主との利益相反、子会社からの配当収入の減少に関するリスク
当社は、2015年11月の金融2社株式の売出し、2019年4月のかんぽ生命保険株式の売出し及び2021年5月のかんぽ生命保険株式の一部処分の実施後においても、金融2社の議決権を保有する親会社であり、当社の利益とその他の少数株主の利益は相反する可能性があります。会社法上、取締役及び執行役は、会社及び少数株主を含む総株主の利益のために業務を行う義務を負っているため、金融2社における意思決定は、常に当社の意向に沿った、又は、当社グループの利益に資するものとなるとは限りません。また、当社がゆうちょ銀行の株式の2分の1以上又は3分の1超を処分した場合には、株主総会における普通決議又は特別決議を要する事項につき、当社がゆうちょ銀行の議案を単独で可決することができなくなる可能性があります。また、2021年5月のかんぽ生命保険株式の一部処分により、当社は、株主総会における普通決議を要する事項につき、かんぽ生命保険の議案を単独で可決することはできません。当社の金融2社の株式処分により、金融2社に対する議決権割合が減少した場合には、当社が金融2社の意思決定に及ぼしうる影響はその処分割合に応じて限定的となり、金融2社の意思決定は、当社グループの意向に沿った、又は、当社グループの利益に資するものとはならない可能性があります。さらに、当社は、安定的な配当を目指してまいりますが、当社の配当の原資は金融2社からの配当収入に依存しており、当社の金融2社の株式処分により金融2社の意思決定に及ぼす影響力が低下した場合、金融2社が中期経営計画の目標を達成できない場合等においては、当社は金融2社から当社の期待する配当収入を得られる保証はありません。

(3) 日本国政府との利益相反・関係希薄化に関するリスク
2021年6月の当社による自己株式取得に応じた日本国政府による当社株式の売付け、2021年10月の日本国政府によるグローバル・オファリング実施、及び当社自己株式の取得を経て、2022年5月末日現在における日本国政府の当社に対する議決権割合は34.5%となっております。
当社グループの事業その他に関する日本国政府の利益は、当社のその他の株主の利益と相反する可能性があり、日本国政府が、株主としての経済的利益よりも公共政策上の判断等を優先した場合等には、当社のその他の株主の利益に反する支配力又は影響力の行使がなされる可能性があります。グローバル・オファリング実施等を経て、日本国政府の当社に対する議決権割合は34.5%であるため、グローバル・オファリング後においては、日本国政府は当社の株主総会において、普通決議事項について単独で可決することはできなくなったものの、特別決議事項については自らの意思で否決することができます。郵政民営化法により当社株式の発行済株式総数の3分の1超に相当する株式は日本国政府が引き続き保有することが規定されていることから、グローバル・オファリング実施による当社株式の処分完了後も日本国政府は引き続き当社に重要な影響を及ぼしうることになります。また、上記のとおり、日本国政府は法令上当社株式の発行済株式総数の3分の1超に相当する株式を保有している必要があるため、当社が将来新株式の発行により資金調達を実施する場合には、日本国政府に対しても新株式を割り当てることが必要となり、その条件等について日本国政府と合意できない場合には、結果として当社は新株式の発行による資金調達を断念せざるを得なくなる可能性があります。
他方で、金融2社は、その唯一の株主を当社、当社の唯一の株主を日本国政府とする上場前の状態にあっても、日本国政府その他の公的機関から何らの保証その他の信用補完を受けていたわけではありませんが、当社が金融2社の親会社ではなくなることに伴い、金融2社と日本国政府との関係が弱まった場合には、顧客等が、金融2社の経済的信用力が低下した、又は、ゆうちょ銀行の貯金及びかんぽ生命保険の商品のリスクが上昇したという誤認や錯誤を有することとなる可能性があります。実際の金融2社の経済的信用力等とは無関係であるにも関わらず、かかる誤認や錯誤が社会に広く伝播した場合等においては、顧客等によるゆうちょ銀行への新規貯金の差控えや既存貯金の引出し、かんぽ生命保険との新規契約の差控えや既存契約の解約、その他金融2社との取引量の低下を招き、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 当社による金融2社株式の売却に関するリスク
郵政民営化法に基づき、当社は金融2社株式の全部を処分することが規定されております。金融2社株式の処分時期について、具体的な期限の定めはないものの、その処分に際しては、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分することとされています。金融2社株式の処分時期については、中期経営計画において、2025年までの期間のできる限り早期に金融2社の議決権保有割合が50%以下となるまで売却していく方針としております。具体的な時期については上記の各要素を勘案して当社取締役会において決定しますが、その時期によっては当社の株主全体の利益とは一致しない可能性があります。従って、当社は、金融2社株式の処分を、適切な時期に適切な条件で実行することができない可能性があります。郵政民営化法上の上乗せ規制については、当社が金融2社の株式を2分の1以上処分した場合には、金融2社に対する新規業務に係る規制は認可制から届出制へと緩和されます。さらに、当社が金融2社の株式を全部処分した場合又は2分の1以上を処分した旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、内閣総理大臣及び総務大臣が他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認め、その旨の決定をした場合には、金融2社に対する新規業務に係る規制、子会社保有、合併、会社分割、事業の譲渡・譲受け等を行う場合の規制、銀行業における預入限度額規制、生命保険業における加入限度額規制等の適用は廃止されることになります。しかしながら、今後の当社による金融2社株式の売却の時期及び規模は未確定であり、また、金融2社株式の処分に係る郵政民営化法の定めの変更、株式市場の動向等により、金融2社の株式の処分が予定通りに進まない場合には、かかる上乗せ規制の撤廃が行われず、当社の期待する金融2社の経営の自由度の拡大等が実現しない可能性があります。また、金融2社株式の売却収入が売却に係る当社保有金融2社株式の帳簿価額を下回った場合には、売却される株式の帳簿価額と売却収入の差額について、当社の損益計算書に売却損失として計上する必要があり、その結果、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(なお、当社は、2021年5月のかんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び同年6月の株式処分信託の設定により、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となり、かんぽ生命保険の新規業務に係る規制は、認可制から届出制に緩和されています。)。
一方、連結財務諸表においては、金融2社株式の売却収入が、売却による当社の持分の減少額を下回った場合には、売却による当社の持分の減少額と売却収入の差額を、連結貸借対照表の資本剰余金から減少させる必要があり、その結果、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。また、金融2社が持分法適用関連会社となり、金融2社株式の売却収入が、売却による当社の持分の減少額を下回った場合には、売却による当社の持分の減少額と売却収入の差額について、連結損益計算書に売却損失として計上する必要があります。さらに、金融2社が子会社及び持分法適用関連会社ではなくなり、金融2社株式の売却収入が、売却に係る当社が保有する金融2社株式の帳簿価額を下回った場合には、売却される株式の帳簿価額と売却収入の差額について、連結損益計算書に売却損失として計上する必要があります。以上の結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2015年11月の金融2社株式の売出しにおいては、ゆうちょ銀行株式の売却により、当社の損益計算書における関係会社株式売却損126,236百万円及び当社の連結貸借対照表における資本剰余金351,922百万円の減少が発生し、かんぽ生命保険株式の売却により、当社の損益計算書における関係会社株式売却益32,796百万円及び当社の連結貸借対照表における資本剰余金17,754百万円の減少が発生しております。
また、2019年4月のかんぽ生命保険株式の売却により、当社の損益計算書における関係会社株式売却益129,365百万円及び当社の連結貸借対照表における資本剰余金50,199百万円の減少が発生しております。
さらに、2021年5月及び同年6月のかんぽ生命保険株式の売却により、当社の損益計算書において関係会社株式売却益が87,530百万円発生し、当社の連結貸借対照表において資本剰余金が76,576百万円減少しております。
なお、2022年3月31日現在、当社が保有するゆうちょ銀行株式の帳簿価額は3,550,602百万円、かんぽ生命保険株式の帳簿価額は332,391百万円です。

(5) 当社の商標等の金融2社による継続使用に関するリスク
当社及び事業子会社等が締結した、「日本郵政グループ運営に関する契約」等(以下「グループ運営契約」といいます。)に基づき、金融2社は、当社による金融2社株式の処分後も、引き続き「日本郵政」ブランド及び関連商標の使用を継続する予定です。
そのため、金融2社株式の売却後も、金融2社における業績の低迷、従業員の不祥事その他の理由により金融2社の社会的信用が低下した場合には、当社グループの社会的信用及び「日本郵政」のブランド・イメージに悪影響を及ぼす可能性があり、また、当社グループのコンプライアンス等の内部統制の十分性又は有効性に疑義があるものと受け止められる可能性があり、かかる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、グループ運営契約に基づき、金融2社から、当社グループに属することによる利益の対価としてブランド価値使用料を受け取っており、当社による金融2社株式の保有割合にかかわらず、金融2社がそれぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行又は同条第3項に定める関連保険会社である限り、収受することを想定しております。しかしながら、金融2社が関連銀行若しくは関連保険会社に該当しないこととなりグループ運営契約そのものを適用しないこととなった場合、又は重大な経済情勢の変化等に起因してブランド価値使用料の算定方法が変更された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

Ⅷ.金融2社との関係について

(1) 当社と金融2社との関係について
① 当社グループにおける金融2社の位置づけ
ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の金融2社は、現在、日本郵便がユニバーサルサービス提供に係る責務を果たすために営む銀行代理業又は保険募集等に係る業務委託契約を日本郵便との間でそれぞれ締結しており、それぞれ当社グループにおいて、日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行として銀行業セグメント、同条第3項に定める関連保険会社として生命保険業セグメントを担っております。

② 金融2社とのグループ協定等
グループ会社として相互に連携・協力し、シナジー効果を発揮するため、当社及び金融2社は、「日本郵政グループ協定」及び「日本郵政グループ運営に関する契約」(いずれも2015年4月1日発効。以下「グループ協定等」といいます。)を締結しており、グループ共通の理念、方針、その他グループ運営に係る基本的事項について合意しております(グループ協定等の詳細については下記「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)。
なお、グループ協定等の存続期間は、金融2社が日本郵便と締結している上記の業務委託契約が解除されるまでとしており、これらの契約の解除は、当社による金融2社の株式売却と連動しておりません。
グループ協定等に基づき、事業子会社等に関するグループ運営は、当社が中心となって行っておりますが、金融2社の独立性を確保する観点から、金融2社については事前承認ルールを採用せず、グループ運営を適切・円滑に行うために必要な事項や法令等に基づき管理等が必要となる事項について、事前協議又は報告を求めています。

③ 金融2社との人的関係
当社の役員1名(増田寬也)が、グループ経営体制の強化、及び金融2社のトップマネジメント強化のため、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の役員(非常勤)を兼任しております。本書提出日現在において、ゆうちょ銀行の役員1名(池田憲人)及びかんぽ生命保険の役員1名(千田哲也)がグループ経営体制の強化のため、ゆうちょ銀行の役員1名(田中進)及びかんぽ生命保険の役員1名(市倉昇)が、国が資本金の3分の1以上を出資している法人である当社として国会において各子会社等に関する専門的な質問への答弁対応の必要があると考えているため、当社の役員(非常勤)を兼任しております(当社の役員の状況については下記「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2) 役員の状況」をご参照ください。)。

④ 金融2社との取引等
当社と金融2社との2022年3月期における主な取引等は、以下のとおりであります。
取引等内容取引等先金額
(百万円)
取引等条件の決定方法等
ブランド価値使用料ゆうちょ銀行4,326「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (1) 日本郵政グループ協定等」をご覧ください。
システム利用料(※)ゆうちょ銀行18,038システムの提供にかかる必要経費に一定の利益率を乗じた金額を、日本郵便及び金融2社が、利用状況等に応じて負担する。
配当金ゆうちょ銀行166,851将来に向けた安定的な企業成長を実現するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元を株主である当社に対して行う。
なお、ゆうちょ銀行は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うこととしている。
ブランド価値使用料かんぽ生命保険2,504「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (1) 日本郵政グループ協定等」をご覧ください。
システム利用料(※)かんぽ生命保険1,930システムの提供にかかる必要経費に一定の利益率を乗じた金額を、日本郵便及び金融2社が、利用状況等に応じて負担する。
配当金かんぽ生命保険36,541将来に向けた安定的な企業成長を実現するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元を株主である当社に対して行う。
なお、かんぽ生命保険は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うこととしている。

(※) PNETサービス、情報系共用システムサービス及び人事関係システムサービスの利用料(日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社との取引を含む。)

(2) 日本郵便と金融2社との関係について
当社の子会社である日本郵便は、ゆうちょ銀行から銀行窓口業務等の委託、また、かんぽ生命保険から保険窓口業務等の委託を受けており、これらの業務は郵便局窓口事業セグメントの収益の大部分を占めることから、両社の経営方針に変更が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2022年3月31日現在の日本郵便と金融2社との関係につきましては、次のとおりであります。

① 人的関係
日本郵便では、銀行窓口業務及び保険窓口業務における営業施策の企画・立案、推進管理を金融2社と協力して行うとともに、両社から販売支援・業務指導を受けるなど、一体的な営業体制を構築することを目的として、人事交流を行っております。

② 取引関係
日本郵便と金融2社との2022年3月期における主な取引等は、以下のとおりであります。
取引等内容取引等先金額
(百万円)
取引等条件の決定方法等
銀行代理業の業務に係る受託手数料の受取(※1)ゆうちょ銀行354,374銀行代理業等の委託業務に関連して発生する原価を基準に決定
保険代理業務の業務に係る受託手数料の受取(※1)かんぽ生命保険190,263募集手数料については、代理店方式を採用している他の生命保険会社の例に準じて設定。維持・集金手数料については、業務量に応じた計算により額を設定
郵便料金等の受取ゆうちょ銀行11,543一般の利用者の料金と同一の条件で取引
かんぽ生命保険4,860
土地・建物等の賃貸
(※2)
ゆうちょ銀行7,082不動産鑑定評価の考え方に基づき決定
かんぽ生命保険2,623
シェアードサービス利用料の受取
(※3)
ゆうちょ銀行2,855必要経費に加え、利用状況、他企業における平均的な利益率を勘案し両社交渉により手数料率等を決定
かんぽ生命保険1,237

(※1) 受託手数料の詳細は下記「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 参考1 ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの委託手数料、参考2 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要及び金融2社との業務委託契約への影響」をご参照ください。
(※2) 営業店等の施設の賃貸、社員用社宅関連業務の提供等
(※3) グループ内物流業務の提供等
(※4) 上記のほか、「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(2005年法律第101号)」に基づき、郵便局ネットワーク維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便が負担すべき額を除く。)は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われることとなっております。当事業年度に日本郵便が郵政管理・支援機構から交付を受けた交付金の額は290,991百万円であります。

当社は、上記のような当社及び日本郵便と金融2社との契約関係・人的関係・取引関係に基づき、金融2社を含む当社グループの企業価値を最大化していく方針ですが、金融2社と当社及び日本郵便とのシナジー効果を実現できない可能性があり、また、金融2社と当社及び日本郵便との利益相反を適切に管理できない可能性があります。さらに、将来の金融2社株式の追加処分などによって、かかる関係に変更が生じる又はかかる関係による当社グループの企業価値の最大化がさらに困難となる可能性があります。

従業員の状況研究開発活動


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