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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TN9T (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日本酸素ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2024年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。
技術開発において、独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、エレクトロニクス、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、環境、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取り組むことで収益拡大に貢献しています。またオープンイノベーションによる海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じ、成長分野における先端技術の取込みと、コア技術を最大限に利用した商材開発を促進しています。
当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は4,466百万円であり、各セグメントの内訳は、日本で3,895百万円、米国で529百万円、サーモスで41百万円となっております。主な技術開発活動の概要は次のとおりです。

〔日本〕
日本セグメントにおいては、大陽日酸株式会社つくば事業所、山梨事業所、SIイノベーションセンター、メディカル・テクニカル・サービスセンター及び京浜事業所の5拠点が連携して技術開発を実施しています。事業部門と開発部門の連携を強化し、工業ガスビジネス、エレクトロニクスガスビジネス、プラントビジネス、メディカルビジネス、新規事業開発に向けた基盤事業を支える技術開発を推進しています。カーボンニュートラルについてはグループ共通の重点課題として取り組んでいます。

カーボンニュートラルに向けた取組み
当社グループが所有する酸素燃焼技術をベースに、カーボンフリー燃料を利用する新たな酸素燃焼技術を開発しカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
・カーボンフリー燃料である水素ガスに注目し、工業炉分野でのCO2排出削減への貢献に取り組んでいます。当社酸素バーナのラインナップである高速酸素バーナランス「SCOPE-JETⓇ」、超低NOx酸素バーナ「Innova-JetⓇ」、自励振動型酸素バーナ「Innova-JetⓇSwing」について、水素を燃料として利用することを可能にしました。
・半導体封止材料の充填剤(フィラー)の製造工程に用いられる、純酸素燃焼を用いた粉体溶融・球状化システム「CERAMELTⓇ」に水素燃焼技術を組み合わせる技術を開発しました。燃焼工程におけるCO2排出量の削減とともに、カーボン不純物を低減させた高品質な球状粒子の製造に貢献することができます。
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「燃料アンモニア利用・生産技術開発/工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術開発」に参画し、アンモニア-酸素燃焼技術の開発を進めています。2023年度は、AGC株式会社横浜テクニカルセンターのガラス溶融炉で、アンモニア-酸素燃焼技術の実証試験を世界で初めて成功させました。
・石灰製造炉などの高濃度CO2排出源をターゲットとして、10t/日規模のCO2回収装置(回収CO2濃度98%)を開発・商品化しました。中小規模排出源(排ガス量1,000Nm3/hクラス)向けの装置であり、ユニット化して導入・設置が容易に行えます。
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」に参画し、水素精製装置の開発を進めています。
工業ガス分野
産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しています。

・配管の自動溶接に関する市場ニーズに対応し、大陽日酸株式会社と日酸TANAKA株式会社は、溶接状態を可視化するカメラ「サンアークⓇアイ」シリーズを共同で開発し、2019年4月より販売しています。新たに商品化した「サンアークⓇパイプコントローラ」は、回転管自動溶接の高品位と自動化を両立する制御装置です。配管自動溶接の各段階の溶接条件を予め設定して自動制御させることができるため、溶け込み不足といった不具合を回避し、全周に渡り安定した高品位な配管自動溶接を実現します。

・液体冷媒を液化窒素で冷却・循環・供給するクールマイスターⓇシリーズ(低温反応制御システム)に、新たに「クールマイスターⓇAC」を商品化しました。窒素やヘリウムなどの不活性ガスを液化窒素で冷却し、-60~-180℃の任意温度の極低温不活性ガスを供給することで、材料試験や機器の環境試験における極低温環境形成に貢献します。

エレクトロニクス分野
社会のデジタル化の加速的な普及、カーボンニュートラルな社会を支えるエレクトロニクス産業の発展に貢献するために、電子材料ガスや関連機器の販売やサービスのグローバルな提供とともに、技術開発を強化しています。
・大陽日酸株式会社とRasirc, Inc.社は共同でALD成膜技術の開発に取り組んでいます。窒化膜ALDには無水ヒドラジンが、酸化膜ALDには過酸化水素ガスがそれぞれ既存の窒化材、酸化材よりも良好なプロセスを実現できることを実証しています。2023年度には、有機溶媒と混合させることで安全性を高めた無水ヒドラジン供給ソース(Rasirc製BRUTEⓇ-Hydrazine)を供給源とする高純度ヒドラジンガス供給システムを開発しました。
・当社グループが製造しているジボランガスは、ロジック(演算素子)、メモリ(記憶素子)など幅広い半導体デバイスの製造において不可欠な材料です。日本、韓国、中国での製造能力を順次増強するため、製造システムを進化(深化)させています。
・当社グループが開発したインテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)は、IoTやRPAを活用したデジタル革新技術と、長年蓄積した当社グループのガスハンドリング・ノウハウを融合した次世代ガス供給システムです。人とロボットが共に働く協働社会の実現、新たなサービスの付加提供によって、お客様の業務効率化、省力化に貢献するべく、改良改善を進めています。
・導電性ペースト・インク用途向け表面改質銅ナノ粒子を開発しました。銅ナノ粒子が有機溶媒中に均一に分散するため、小型電子部品の電極薄膜やセラミック基板の微細配線を実現するための銅ペーストの製造に有効です。
プラント分野
深冷空気分離プラントについては当社グループのコア技術の深化(高性能・高品質・低コスト)に取り組むとともに、プラント製作、工場操業、ロジスティックスに革新を起こすため、DXを推進しています。
・DX推進によって保安や品質管理、生産性の向上に努め、遠隔監視システムやプラント運転条件制御システムを深化させました。
メディカル分野
高品質の医療用ガスの安定供給を行うとともに、在宅酸素療法のためのさまざまな機器の開発・製造、機器の定期点検や遠隔監視システム、医療用ガスの24時間体制の緊急配送など、トータルサポートに貢献しています。さらに、当社グループの持つガステクノロジーを応用し、生体試料の凍結保存をはじめとするバイオ分野、SI(Stable Isotope 安定同位体)や混合ガス等を利用した高度診断・治療分野にも取り組んでいます。
・医療ガス供給設備の容器(O2、N2、Air)内ガス残量などを遠隔地で監視するシステムの最新版となる次世代医療ガス監視システムTerm-3を開発しました。通信規格をLTE(4G)とし、サーバ機能をクラウド化することで、手持ちの端末による監視データの閲覧を可能にしました。信頼性の向上、ガス安定供給の強化、異常発生時の重大事故回避に貢献しています。
新規事業分野
当社グループでは、自社開発技術やオープンイノベーションにより獲得した製品・技術の事業化を加速しています。アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業、化合物半導体製造装置やSI(Stable Isotope 安定同位体)をはじめ、今後市場の発展が見込まれる分野の事業拡大を推進しています。
・アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業では技術の開発と造形物品質安定化に寄与するソリューション「3DProⓇシリーズ製品」の拡充に注力しています。当連結会計年度においては、従来のパウダードライキャビネット、超高純度窒素発生装置に加え、アドオン型循環精製装置「3DProⓇPrintPure™」及び統合遠隔モニタリングシステム「MiruGas™ For AM」を開発・商品化しました。また、金属3Dプリンターメーカーとの業務提携を進めており、2023年度はAdditive Technologies, LLC(米国)、Rapidia Tech Inc.(カナダ)両社製品の日本における販売権を取得しました。
・化合物半導体の製造に必要となるMOCVD装置及びHVPE装置の製造・販売するとともに、用途拡大、改良改善のための開発に取り組んでいます。2023年度は、GaN(窒化ガリウム)系量産型MOCVD装置UR26Kに新機構として「基板自動搬送システム」と「一体型ドライ洗浄システム」を追加することに成功しました。従来機に比べ、およそ50%の大幅な生産効率向上に貢献します。
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム/生産性に優れたSi基板上GaN系パワー半導体向けMOCVD装置の開発」に採択され、GaN/Siエピ基板を安定的に供給可能なMOCVD装置の開発に取り組んでいます。
・世界初の酸素蒸留による酸素安定同位体(17O、18O)濃縮技術を開発し、水や酸素ガス、それらを使用した同位体標識化合物を製造・販売しています。
・重水素化アンモニアの製造プロセスを確立し、国内で初めて量産体制を構築しました。また、使用済み重水を再濃縮する装置を開発し、国内企業として初めて商業化しました。重水リサイクル体制の構築により、効率的でサステナブルな重水の利用を可能にするとともに、重水素化アンモニアをはじめとする重水素標識化合物のグローバルからの需要に対し、安定供給に貢献します。

・大陽日酸株式会社は無細胞タンパク質合成技術を活かし、クロマトグラフィー技術に強みを有する株式会社ワイエムシィと共同で、バイオ医薬分野で需要が見込まれる難発現タンパク質の合成から精製までの一貫した開発に取り組んでいます。

〔米国〕
米国セグメントは、技術対応力の強化、顧客へのより良いサービスの提供、及び既存ガス商権とエレクトロニクス向け事業の拡大を目指して、コロラド州ロングモントにあるAdvanced Technology Centerにて技術開発活動に取り組んでいます。半導体市場は長期的にも強靭な経済状態が維持されており、電子チップの需要増大が続いています。あらゆるデバイスの需要が増加していますが、特に、FinFET、GAA(Gate All Around)トランジスタ、3D-NANDメモリ、DRAMなどの最先端デバイスの需要増大が顕著です。これら3次元集積デバイスの製造には、より多くのプロセスステップが必要であることから、不活性ガス、エッチング、成膜、洗浄、ドーピングガスなどプロセス材料の消費量も増えています。
このような中で、米国セグメントは、エレクトロニクス顧客との密接な関係を構築し、グローバル市場で日々変化する顧客の要望に応えております。研究開発においても、顧客の技術課題に協力して対応し、得られた知見を既存商品の改善や新商品の開発に活用しております。米国セグメントはこれらの活動を通して、製造からロジスティクスまでの最適化されたサプライチェーンに基づき、高品質・高付加価値商品の開発企業としての地位を確立しています。とりわけ、研究開発活動では、事業、技術、安全、環境に関するリスクを最小限に抑えつつ、最大限の財務貢献が見込めるプロジェクトに重点を置いています。
当連結会計年度において、次世代デバイス製造企業からの要望に基づいた既存製品へのサポート、関連技術課題の診断とトラブルシューティングによる顧客支援、並びに新商品及び新技術の開発、その分析評価技術の開発を進めました。特に、半導体チップ製造に存在する微少汚染や不純物の制御と低減に注力し、最近では2つの半導体プロセスガス中不純物精製装置を新たに開発し、製造効率向上に貢献するとともに、米国での精製装置メーカーポジションを強化してきました。
加えて、溶接や金属加工など産業用として使用されるカートリッジ型精製器であるWeld Knight™シリーズの設計変更に取り組み、交換時の効率・迅速化を達成しました。さらに半導体向けに、不活性ガス及びプロセスガス用カードリッジ型精製器3機種を新たに製品化しました。ppbレベルでの不純物の除去が可能で、また交換も容易に行うことができます。
また大型の一般工業ガス向けの精製アプリケーションにも注力しており、近年では金属3Dプリンタ向けの精製装置である3DProⓇRecircを販売しています。これはプロセス中の水分と酸素を除去することにより生産効率及び造形品質向上に貢献するものです。

また前連結会計年度と同様に、各生産拠点において、ガス製造プロセスの品質向上に貢献するとともに、新規機器の技術開発により商品の安全性を向上してきました。

〔サーモス〕
サーモスセグメントにおいては「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」という理念に従い、断熱技術を利用することで省エネルギーに貢献するとともに、快適なライフスタイルを実現すべく、積極的な商品開発を推進しております。
当連結会計年度においては、コロナ禍によって変化した消費者の暮らしに合わせたキッチンアイテム、コロナ後で需要の戻りつつある携帯用まほうびんやスポーツボトルといったカテゴリに重点を置いて新商品を投入しました。
フライパンシリーズや調理器具からなるキッチンプラスシリーズを更に拡充して、補助取っ手付きの『サーモス デュラブルシリーズ マルチパン』2種8アイテムと、『サーモス ミトン』、『サーモス デュラブルシリーズ 取っ手のとれる玉子焼きフライパン』など、キッチンウェア17アイテムを開発しました。
マルチパン『KFJ/KFKシリーズ』は煮込み等もできる超深型の炒め鍋で、持ち上げて傾ける際に安定して傾けられるように補助取っ手を付属させています。ミトン『KT-M001』はこの補助取っ手を掴む際に便利で、洗濯機対応としました。これによりマルチパンで重量のある料理があってもしっかり安全に支えて持ち上げることができるよう設計しています。
取っ手のとれる玉子焼きフライパン『KEA-015』は取っ手の留め具をフライパン内面ではなく、外側につけてお手入れしやすい構造としています。専用のガラス蓋『KLI-001』も発売して調理の幅が拡げられるようにしました。
携帯用まほうびんケータイマグシリーズとして、楽に持ち歩ける『ラク持ち』できるキャリーシリーズの新商品、『JOS シリーズ』と 『JOV シリーズ』を開発しました。JOSは初めてワンタッチオープン栓の上面にはまり込むキャリーループを搭載、JOVは広口タイプのスクリュー栓の上面に前後に折りたためるキャリーハンドルを搭載しており、各々持ち運び性の向上だけではなく、栓と一体化した形状となり、使用時や収納時の利便性を高めています。また、食洗機にも対応し洗浄性も高い商品となっております。
スポーツボトルの新商品として、今までの商品と差別化を図るためアメリカのサーモス社にデザインを依頼し、従来と異なるユーザーに向けたスタイリッシュなデザインテイストの『FJUシリーズ』を開発しました。新機構の飲み口「クイックオープン構造」を採用し、素早い水分補給ができます。「持ち運びやすいキャリーループ」や「握りやすいボディリング」、「衝撃に強いソコカバー」の採用に加え食洗機にも対応し、使いやすさとお手入れのしやすさにもこだわった商品となっております。
このように引き続き積極的に新商品を投入し、お客様に快適なライフスタイルを提案しております。

事業等のリスク株式の総数等


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