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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100APSL

有価証券報告書抜粋 日本電信電話株式会社 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2017年3月期)


研究開発活動メニュー株式の総数等

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1)営業実績
当連結会計年度における情報通信市場では、固定/移動ブロードバンドを活用した様々な機器の普及・浸透に加え、クラウドサービスやAI、ビッグデータ、IoTなどの技術の進歩による新たなサービスの登場を通じて、人々の生活における利便性や各産業における生産性の向上など、幅広い変化が起きています。一方で、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対するセキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や安心・安全な社会システムの運営など、情報通信の役割はより重要となってきています。こうした動きは世界的な広がりを見せています。

このような事業環境のなか、NTTグループは、2015年5月に策定・公表した中期経営戦略「新たなステージをめざして 2.0」に基づき、「バリューパートナー」としての自己変革を加速し、グループ全体を利益成長軌道へ乗せていくための取り組みを推進しました。

《グローバルビジネスの拡大・利益創出に向けた取り組みの状況》
グローバル・クラウドサービスを事業の基軸として拡大するとともに、利益創出スピードを加速する取り組みを強化しました。

○セキュリティ・サービスのグローバルでの提供力を強化するため、NTTセキュリティ株式会社を設立し、NTTグループのセキュリティ専門技術・サービスプラットフォームなどを一元的に集約しました。
○グローバルネットワーク、クラウドマイグレーション、ITアウトソーシング案件を中心に、グループ会社間の連携によるクロスセルを推進し、オーストラリアのビクトリア州交通局のほか、金融業や製造業、運送業など、世界各地の様々な業種のお客さまから受注を獲得しました。
○グローバル・クラウド事業におけるサービスやオペレーションの効率化・最適化を図るとともに、調達についても、物品の仕様統一や機種の絞り込みなどを推進して調達コストの低減を行うなど、NTTグループトータルの競争力強化のための事業構造の改革に取り組みました。

《国内ネットワーク事業の効率化・収益力強化に向けた取り組みの状況》
国内ネットワーク事業における、付加価値の高いサービスの創出や、設備投資の効率化およびコスト削減による利益成長に向けた取り組みを強化しました。

○様々な事業者とのコラボレーションを推進する「光コラボレーションモデル」や「+d」の取り組みを通じて、付加価値の高いサービスの創出に努めました。
○ネットワークのシンプル化・スリム化を実施することに加え、既存設備の利用率の向上や調達コストの削減など、設備投資の効率化を推進しました。
○「光コラボレーションモデル」の進展に伴うマーケティングコストのコントロールや業務効率化など、継続的なコスト削減に取り組みました。

加えて、これらを支える仕組みとして、海外子会社を含め、グループ経営情報の見える化、会計基準の統一、資金効率の向上などに向けて取り組みました。また、2015年度に立ち上げたプロジェクトチームを通じて、徹底したコスト削減や利益創出に向けた取り組みを推進しました。
《B2B2Xビジネスの拡大に向けた取り組みの状況》
日本政府が「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(注)」と「地方創生」を軸に、各種政策を策定・遂行していることを捉え、B2B2Xモデルへの転換をさらに加速し、他分野の事業者や自治体とともに次世代に受け継がれるスタンダードとなるサービスの創出をめざした取り組みを強化しました。

○スポーツビジネスで、Jリーグや英国Perform Groupとのコラボレーションにより、B2B2Xビジネスを展開しました。先行ケースとして、Jリーグ大宮アルディージャのNACK5スタジアム大宮でスマートスタジアム化を推進し、スマートフォンなどでの新たな観戦体験や、周辺店舗との相互顧客創造によるホームタウンの地域活性化に取り組みました。
また、全国のJリーグのスタジアムのスマート化の取り組みを開始し、その第一弾として、ユアテックスタジアム仙台のWi-Fi環境整備を実施しました。さらに、Jリーグの試合映像を含む新たなスポーツコンテンツ配信サービスを開始し、スマートフォンユーザー向けに「DAZN for docomo」の提供を、光IPテレビユーザー向けに「ひかりTV」で「DAZN for docomo」と「DAZN」に対応しました。
○NTTグループが持つ最先端の視覚・聴覚の認知技術と歌舞伎とのコラボレーションによる共同実験を松竹株式会社との間で展開するなど、伝統芸能などのエンタテインメント分野でのコラボレーションを推進しました。
○エッジコンピューティング技術とアプリケーション配信技術を活用した工場のスマート化に係る協業についてファナック株式会社と合意したほか、センサー情報やドローン空撮、画像解析などによる生育管理などの農業のスマート化に取り組むなど、様々な産業分野とのコラボレーションも推進しました。
○NTTグループのICT技術を通じて、地域における社会的課題の解決に取り組むため、観光・スポーツをはじめ、交通・雪対策、健康・子育ての分野での札幌市のICT活用を目的として、2016年7月に「札幌市ICT活用プラットフォーム検討会」を設立しました。札幌市や地場商業施設のビッグデータ(観光客を中心とした人の流れ・購買データなど)を収集・解析し、札幌市の観光分野でのICT活用を推進しました。また、札幌の観光・スポーツのブランドの確立に向けて、2017年2月に開催された2017冬季アジア札幌大会において、先進的なICTを活用した新しいスポーツ観戦モデルを提供し、スポーツツーリズムの活性化に取り組みました。

(注) NTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ゴールドパートナー(通信サービス)です。

以上の取り組みの結果、当連結会計年度の営業実績は次のとおりとなりました。
(単位:億円)
前連結会計年度
(2015年4月1日から
2016年3月31日まで)
当連結会計年度
(2016年4月1日から
2017年3月31日まで)
増減増減率
営業収益115,410113,910△1,500△1.3%
固定音声関連収入13,30012,339△961△7.2%
移動音声関連収入8,3788,6532753.3%
IP系・パケット通信収入37,57838,0905111.4%
通信端末機器販売収入9,5308,065△1,465△15.4%
システムインテグレーション収入30,63530,416△219△0.7%
その他の営業収入15,98816,3483592.2%
営業費用101,92898,512△3,416△3.4%
営業利益13,48115,3981,91614.2%
営業外損益△189△1206936.4%
税引前当期純利益13,29315,2781,98514.9%
法人税等3,5484,6841,13532.0%
持分法による投資利益(△損失)58△0△58-
当期純利益9,80210,5947928.1%
控除:非支配持分に帰属する当期純利益2,4252,5921686.9%
当社に帰属する当期純利益7,3778,0016248.5%

営業収益
NTTグループの営業収益は、固定音声関連、移動音声関連、IP系・パケット通信、通信端末機器販売、システムインテグレーション及びその他の6つのサービス分野に区分しております。
2017年3月期の営業収益は、前期比1.3%減少し、11兆3,910億円となりました。これは、移動通信事業セグメントにおけるモバイル通信サービス収入の拡大や海外事業における連結拡大があったものの、円高による為替影響を受けたことなどによるものです。
2017年3月期における各サービス分野における営業収益の概要は、次のとおりです。

・固定音声関連収入
固定音声関連サービスには、加入電話、INSネット、一般専用、高速ディジタル伝送など、地域通信事業セグメントと長距離・国際通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年3月期における固定音声関連収入は、前期比7.2%減少し、1兆2,339億円(営業収益の10.8%に相当)となりました。これは、携帯電話や光IP電話の普及、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスの増加などにより、加入電話やINSネットの契約数が引き続き減少したことなどによるものです。

・移動音声関連収入
移動音声関連サービスには、LTE(Xi)における音声通話サービスなどの移動通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年3月期における移動音声関連収入は、前期比3.3%増加し、8,653億円(営業収益の7.6%に相当)となりました。これは、音声ARPUの増加などによるものです。

・IP系・パケット通信収入
IP系・パケット通信サービスには、「フレッツ光」などの地域通信事業セグメントの一部、Arcstar Universal One、IP-VPN、OCNなどの長距離・国際通信事業セグメントの一部、LTE(Xi)におけるパケット通信サービスなどの移動通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年3月期におけるIP系・パケット通信収入は、前期比1.4%増加し、3兆8,090億円(営業収益の33.4%に相当)となりました。これは、地域通信事業セグメントにおいて「光コラボレーションモデル」への転用の進展による収入の減少があったものの、移動通信事業セグメントにおいて料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」におけるパケット利用拡大や「ドコモ光」の契約者数拡大が進んだことなどによるものです。

・通信端末機器販売収入
通信端末機器販売には、地域通信事業セグメント、移動通信事業セグメントの一部などが含まれております。
2017年3月期における通信端末機器販売収入は、前期比15.4%減少し、8,065億円(営業収益の7.1%に相当)となりました。これは、主に移動通信事業セグメントにおけるスマートフォンなどの携帯電話端末の卸売販売台数が減少したことによるものです。

・システムインテグレーション収入
システムインテグレーションには、データ通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年3月期のシステムインテグレーション収入は、前期比0.7%減少し、3兆416億円(営業収益の26.7%に相当)となりました。これは、国内事業・海外事業ともに成長したものの、海外事業において為替影響を受けたことなどによるものです。

・その他の営業収入
その他のサービスには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、移動通信事業セグメントにおけるスマートライフ領域などが含まれております。
2017年3月期のその他の営業収入は、前期比2.2%増加し、1兆6,348億円(営業収益の14.4%に相当)となりました。これは、主に移動通信事業セグメントにおけるスマートライフ領域に関する収益が増加したことなどによるものです。

営業費用
2017年3月期の営業費用は前期比3.4%減少し、9兆8,512億円となりました。主な要因は以下のとおりであります。なお、下記の人件費、経費は、連結損益計算書上のサービス原価、通信端末機器原価、システムインテグレーション原価、販売費及び一般管理費に含まれております。

・人件費
2017年3月期の人件費は、前期比1.0%減少し、2兆2,768億円となりました。データ通信事業セグメントの人件費が連結拡大により増加したものの、地域通信事業セグメントの人件費が退職等により減少したことなどにより、人件費は前期と比較して減少しております。

・経費
2017年3月期の経費は、前期比1.1%減少し、5兆6,120億円となりました。海外子会社の連結拡大などによる経費の増加があったものの、地域通信事業セグメント、長距離・国際通信事業セグメント、移動通信事業セグメントなどにおける業務効率化の取り組み等による経費の削減により、経費は前期と比較して減少しております。

・減価償却費
2017年3月期の減価償却費は、前期比17.2%減少し、1兆4,622億円となりました。これは、減価償却方法を定率法から定額法に変更したこと、及び地域通信事業セグメントや移動通信事業セグメントにおいて設備投資を効率化したことなどに伴って減価償却費が減少したことによるものです。

営業利益
以上の結果、2017年3月期の営業利益は、前期比14.2%増加し、1兆5,398億円となりました。

営業外損益
2017年3月期の営業外損益は、前期の△189億円に対し△120億円となりました。

税引前当期純利益
以上の結果、2017年3月期の税引前当期純利益は前期比14.9%増加し、1兆5,278億円となりました。

法人税等
2017年3月期の法人税等は、前期比32.0%増加し、4,684億円となりました。これは、税引前当期純利益が増加したことのほか、2016年3月期において、西日本電信電話株式会社および株式会社NTTドコモが繰延税金資産の実現可能性の見積もりを変更したことに伴い、評価性引当金が減少したため、「法人税等:繰延税額」が減少したことなどによるものです。この結果、2016年3月期と2017年3月期の税負担率は、それぞれ26.69%、30.66%となっております。

持分法による投資利益(△損失)
2017年3月期の持分法による投資利益(△損失)は、前期の58億円に対し△0億円となりました。

当社に帰属する当期純利益
以上の結果、2017年3月期の当期純利益は前期比8.1%増加し、1兆594億円となりました。また、非支配持分に帰属する当期純利益を控除した当社に帰属する当期純利益は、前期比8.5%増加し、8,001億円となりました。




(2)セグメント情報
NTTグループの事業は5つのオペレーティング・セグメント、すなわち、地域通信事業セグメント、長距離・国際通信事業セグメント、移動通信事業セグメント、データ通信事業セグメントおよびその他の事業セグメントに区分しております。(連結財務諸表の注記18参照)
地域通信事業セグメントには、固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれております。
長距離・国際通信事業セグメントには、主に固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、システムインテグレーションサービス、その他が含まれております。
移動通信事業セグメントには、移動音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、その他が含まれております。
データ通信事業セグメントには、システムインテグレーションサービスが含まれております。
また、その他の事業セグメントには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、研究開発等に係るその他のサービスが含まれております。

各セグメントの営業実績の概要は、次のとおりです。なお、各セグメントの営業実績の記載における営業収益・営業費用・営業利益は、セグメント間取引を含んでおります。

①地域通信事業セグメント
地域通信事業セグメントでは、光アクセスサービスなどを様々な事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」によるB2B2Xビジネスの展開などの取り組みを行いました。

○「光コラボレーションモデル」において、通信業界、エネルギー業界、不動産業界、警備業界などの事業者のほか、当連結会計年度は住宅業界やメディア業界など異業種の事業者との協業がさらに広がり、卸サービスを提供している事業者数は当連結会計年度末時点で約550社となりました。また、住宅業界においては、同モデルとHEMSサービスや生活関連サービスを組み合わせて住宅購入後の生活も含めてトータルでサポートする新たな活用事例が生まれました。こうした取り組みにより、同モデルにおける光アクセスサービスの契約数は874万契約となりました。
○「光コラボレーションモデル」の進展に伴い、マーケティングコストの継続的な削減に取り組みました。また、ネットワークのシンプル化・スリム化や、既存設備の利用率の向上など、設備投資の効率化を推進しました。
○企業や自治体が自らの情報サービスの有力なツールとして積極的に導入を進めているWi-Fiについて、増加する訪日外国人旅行者の利便性向上に向けて、様々な地域における面的拡大に引き続き取り組んだ結果、Wi-Fiのエリアオーナー数は557となりました。

《主なサービスの提供状況》
○「フレッツ光」 :2,005万契約(対前連結会計年度: +79万契約)
(再掲)「コラボ光」: 874万契約(対前連結会計年度: +405万契約)
○「ひかり電話」 : 1,776万ch(対前連結会計年度: +38万ch)
○「フレッツ・テレビ」: 152万契約(対前連結会計年度: +9万契約)
(注)「フレッツ光」、「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ」は、「光コラボレーションモデル」を活用してNTT東日本およびNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスの契約数を含めて記載しております。

セグメント業績の概要(2016年4月1日~2017年3月31日) (単位:億円)
2016年3月期
連結会計年度
(2015年4月1日から
2016年3月31日まで)
2017年3月期
連結会計年度
(2016年4月1日から
2017年3月31日まで)
増減増減率
営業収益34,07933,082△996△2.9%
固定音声関連サービス12,98012,106△875△6.7%
IP系・パケット通信サービス15,64415,408△236△1.5%
システムインテグレーションサービス1,6121,662503.1%
その他3,8423,906641.7%
営業費用31,42929,487△1,942△6.2%
営業利益2,6503,59594535.7%

地域通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、固定音声関連サービス収入が減少したことなどに伴い3兆3,082億円(前期比2.9%減)となりました。
一方、当連結会計年度の営業費用は、「光コラボレーションモデル」の進展に伴うマーケティングコストのコントロールや継続した業務効率化などによる経費の削減、減価償却方法見直しに伴う減価償却費の減少などにより2兆9,487億円(前期比6.2%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は3,595億円(前期比35.7%増)となりました。

地域通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は以下のとおりです。

(固定音声関連サービス)
本セグメントにおける固定音声関連サービス収入は、前期比875億円(6.7%)減少の1兆2,106億円となりました。これは主に以下の要因によるものです。

加入電話やINSネットについて、お客さまニーズが携帯電話、IP電話、ブロードバンドアクセスサービス、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスなどへと移行していることなどに伴い、2017年3月31日現在の固定電話契約数(固定電話+INSネット)は、前期比1,382千契約減少し、21,336千契約となりました。
加入電話とINSネットの契約数は、次のとおりです。
(単位:千加入/回線)
サービスの種類2016年3月31日
現在
2017年3月31日
現在
増減増減率
(NTT東日本)
加入電話9,8759,315△559△5.7%
INSネット1,4141,293△121△8.6%
(NTT西日本)
加入電話10,0689,482△586△5.8%
INSネット1,3611,246△116△8.5%
(注)1.加入電話は、一般加入電話とビル電話を合算しております(加入電話・ライトプランを含む)。
2.「INSネット」には、「INSネット64」及び「INSネット1500」が含まれております。「INSネット1500」は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)いずれについても「INSネット64」の10倍程度であることから、「INSネット1500」の1契約を「INSネット64」の10倍に換算しております(INSネット64・ライトを含む)。

2017年3月期における固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)は、前期に比べ、NTT東日本が40円(1.5%)減少し2,610円、NTT西日本が30円(1.1%)減少し2,580円となりました。これらの原因は、移動体通話への移行、高利用者層のIP電話への移行などによるものです。
なお、ARPUについては、「(注)2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit)」をご参照ください。また、固定電話総合ARPUの算定式については、「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照下さい。

(IP系・パケット通信サービス)
本セグメントにおけるIP系・パケット通信サービス収入は、前期比236億円(1.5%)減少の1兆5,408億円となりました。これは主に以下の要因によるものです。

「光コラボレーションモデル」によるB2B2Xビジネスの展開などに取り組んだ結果、2017年3月31日現在の「フレッツ光(コラボ光含む)」の契約数は、前期比794千契約(4.1%)増加し20,053千契約、「ひかり電話」の契約数は、前期比385千チャネル(2.2%)増加し17,759千チャネル、「フレッツ・テレビ」の契約数は、前期比89千契約(6.2%)増加し1,521千契約となりました。

「フレッツ光(コラボ光含む)」、「フレッツADSL」および光IP電話「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」の契約数は、次のとおりです。
(単位:千契約)
サービスの種類2016年3月31日
現在
2017年3月31日
現在
増減増減率
(NTT東日本)
フレッツ光(コラボ光含む)10,66611,1735074.8%
フレッツ・ADSL475411△64△13.5%
ひかり電話(千チャネル)9,1239,3692462.7%
フレッツ・テレビ伝送サービス910951424.6%
(NTT西日本)
フレッツ光(コラボ光含む)8,5938,8802873.3%
フレッツ・ADSL577508△70△12.1%
ひかり電話(千チャネル)8,2528,3901391.7%
フレッツ・テレビ伝送サービス522570489.2%
(注)1.「フレッツ光(コラボ光含む)」はNTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しております。
2.「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」は、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しております。

2017年3月期におけるフレッツ光ARPUは、前期に比べ、NTT東日本が260円(4.7%)減少し5,250円、NTT西日本が190円(3.5%)減少し5,280円となりました。これは、「光コラボレーションモデル」の進展に伴う単金減などによるものです。
フレッツ光ARPUの算定式については、「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照下さい。

(その他)
システムインテグレーションサービス、その他については、企業や自治体などのお客様に対し、お客さまごとの課題やニーズに応じたサービスを提供し、ICTの利活用促進に取り組みました。

②長距離・国際通信事業セグメント
長距離・国際通信事業セグメントでは、ネットワーク、セキュリティなどを組み合わせたシームレスICTソリューションの提供力を強化したほか、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化を図りました。

《主な取り組み内容》
○より信頼性の高い国際ネットワークを基盤としたICTソリューションを企業のお客さまに提供していくため、新たな大容量光海底ケーブル「Asia Pacific Gateway」を2016年10月より運用開始しました。また、世界各地でのクラウドサービスやデータセンターの需要に対応するため、市場拡大の続く米国において「バージニア アッシュバーン 2 (VA2) データセンター」の提供を開始したことに加え、強固なセキュリティや高水準な省エネを実現する仕組みを備えた「バージニア アッシュバーン 3 (VA3) データセンター」の建設を開始するなど、様々なバリエーションのデータセンターの提供に取り組むことを通じて、クラウド基盤の積極的な拡充を推進しました。こうした取り組みにより、米国のTeleGeography社レポート(2016年11月発行)において、NTTグループのデータセンターは、総床面積およびサーバー設置可能面積ともに世界トップクラスに位置づけられています。
○英国の大手保険事業者ReAssure UK Services LimitedからITアウトソーシングを受注し、同社サーバーのクラウド化を含めたインフラサービスやセキュリティ監視サービスなどの提供を開始しました。

《主なサービスの提供状況》
○クラウドサービスお客さま数: 9,000件(対前連結会計年度: +700件)
○「ひかりTV」 :302万契約(対前連結会計年度:△3万契約)

セグメント業績の概要(2016年4月1日~2017年3月31日) (単位:億円)
2016年3月期
連結会計年度
(2015年4月1日から
2016年3月31日まで)
2017年3月期
連結会計年度
(2016年4月1日から
2017年3月31日まで)
増減増減率
営業収益22,50921,293△1,217△5.4%
固定音声関連サービス2,8512,626△225△7.9%
IP系・パケット通信サービス3,7193,9722546.8%
システムインテグレーションサービス14,25313,033△1,220△8.6%
その他1,6861,662△25△1.5%
営業費用21,54220,884△658△3.1%
営業利益967408△559△57.8%

長距離・国際通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、データネットワークの増収やデータセンター事業を中心とした国内外ビジネスの成長はあったものの、為替影響や固定音声関連サービス収入の減少などにより2兆1,293億円(前期比5.4%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、コンシューマ向けサービスの販売コストの効率化などによる経費の減少や為替影響による減少があったものの、ディメンションデータの構造改革に伴う一時費用やのれんなどの減損等があったことから、2兆884億円(前期比3.1%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は408億円(前期比57.8%減)となりました。

長距離・国際通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は次のとおりです。

(固定音声関連サービス)
本セグメントにおける固定音声関連サービス収入は、前期比225億円(7.9%)減少の2,626億円となりました。これは、主に携帯電話や光IP電話の普及、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスの増加などにより固定電話の契約数が減少したことなどによるものです。

(IP系・パケット通信サービス)
本セグメントにおけるIP系・パケット通信サービス収入は、前期比254億円(6.8%)増加の3,972億円となりました。これは、主に以下の取り組みによるものです。

個人のお客さま向けには、NTTコミュニケーションズのLTE対応モバイルデータ通信サービス「OCN モバイル ONE」において、無料で接続できるWi-Fiスポットや大容量かつシェアできる料金プランを提供開始するなど、新たな機能や料金プランの追加などで契約者数を増加させました。
法人のお客さま向けには、NTTコミュニケーションズの企業向けネットワークサービス「Arcstar Universal One」において、オンデマンドに即時開通や帯域変更が可能となるオプション機能を強化するなど、先進的な機能の提供などで契約数の増加に努めました。

長距離・国際通信事業セグメントにおけるIP系・パケット通信関連サービスの契約数は、次のとおりです。
(単位:千契約)
サービスの種類2016年3月31日
現在
2017年3月31日
現在
増減増減率
ネットワークサービス(VPN)(注1)(千回線)339353144.2%
OCN(ISP)8,0467,739△307△3.8%
ぷらら(ISP)(注2)3,0053,1061013.4%
ひかりTV(注2)3,0523,023△29△0.9%
(注1)「ネットワークサービス(VPN)」には、Arcstar Universal One、ArcstarグローバルIP-VPNなどが含まれております。
(注2)「ぷらら」及び「ひかりTV」に係る収入は、その他の営業収入に含まれております。

(システムインテグレーションサービス)
本セグメントにおけるシステムインテグレーションサービス収入は、グローバル・クラウドサービスをNTTグループ全体の事業の基軸として拡大させる取り組みを強化したものの、為替影響により、前期比1,220億円(8.6%)減少の1兆3,033億円となりました。
主な取り組みとして、フルスタック・フルライフサイクルでのサービス提供力をさらに強化するため、データセンターなどのクラウド基盤の拡充や、ネットワーク・セキュリティなどを組み合わせたシームレスICTソリューションの提供力の強化、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化などを図りました。
具体的には、NTTコミュニケーションズの総合リスクマネジメントサービス「WideAngle」について、マネージドセキュリティサービス運用基盤に搭載した人工知能を拡充し、サイバー攻撃分析ロジックを大幅に強化したほか、NTTセキュリティ株式会社と連携し、ますます巧妙化・悪質化が予想されるセキュリティ脅威への対策とリスクマネジメントを総合的に支援するサービスの提供を行いました。

③移動通信事業セグメント
移動通信事業セグメントでは、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」や「ドコモ光」の販売を推進したほか、様々な事業者とのコラボレーションを推進し、新たな付加価値の提供を行うなど、スマートライフ領域の収益力強化を図りました。

《主な取り組み内容》
○お客さまのライフステージに合わせながら、長期にわたりお得にお使いいただける「カケホーダイ&パケあえる」の販売を引き続き推進したほか、2016年11月より「ドコモ 子育て応援プログラム」を提供するなど、お客さま還元の強化に取り組みました。その結果、「カケホーダイ&パケあえる」の契約数は3,707万契約となりました。
○地域通信事業セグメントの「光コラボレーションモデル」を活用し、光アクセスサービスとインターネット接続サービス、モバイルサービスを一括して提供する「ドコモ光パック」の販売を推進しました。その結果、「ドコモ光」の契約数は340万契約となりました。
○スマートライフ領域の収益力強化に向け、様々な事業者とのコラボレーションを通じて新たな付加価値を協創する「+d」の取り組みを推進し、コンテンツサービスや金融・決済サービスなどを拡充しました。具体例として、Perform Groupと協業してスポーツライブストリーミングサービス「DAZN for docomo」の提供を開始したほか、ポイントサービス「dポイント」の加盟店拡大などに取り組みました。


《主なサービスの提供状況》
○携帯電話サービス :7,488万契約(対前連結会計年度: +392万契約)
(再掲)カケホーダイ&パケあえる :3,707万契約(対前連結会計年度: +736万契約)
(再掲)LTE(Xi)サービス :4,454万契約(対前連結会計年度: +587万契約)
(再掲)FOMAサービス :3,034万契約(対前連結会計年度: △195万契約)
(注) 携帯電話サービス契約数、LTE(Xi)サービス契約数およびFOMAサービス契約数には、通信モジュールサービス契約数を含めて記載しております。

セグメント業績の概要(2016年4月1日~2017年3月31日) (単位:億円)
2016年3月期
連結会計年度
(2015年4月1日から
2016年3月31日まで)
2017年3月期
連結会計年度
(2016年4月1日から
2017年3月31日まで)
増減増減率
営業収益45,27145,8465741.3%
移動音声関連サービス8,4948,7522583.0%
IP系・パケット通信サービス19,54821,0131,4657.5%
その他17,22916,081△1,148△6.7%
営業費用37,38836,329△1,058△2.8%
営業利益7,8849,5161,63320.7%

移動通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、端末卸売台数の減少はあるものの、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」におけるパケット利用が進んだことや「ドコモ光」の契約者数が拡大したことなどに加え、スマートライフ領域が成長したことなどに伴い、4兆5,846億円(前期比1.3%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、「ドコモ光」の拡大やスマートライフ領域の成長による収益連動費用の増加などがあったものの、コスト効率化の推進や減価償却方法見直しに伴う減価償却費の減少などにより、3兆6,329億円(前期比2.8%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は9,516億円(前期比20.7%増)となりました。

移動通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は次のとおりです。

(移動音声関連サービス/IP系・パケット通信サービス)

本セグメントにおける移動音声関連サービス収入は、前期比258億円(3.0%)増加の8,752億円となりました。これは、主に音声ARPUが増加したことによるものです。また、IP系・パケット通信サービス収入は、前期比1,465億円(7.5%)増加の2兆1,013億円となりました。これは、お客さま還元強化による減収影響はあるものの、「カケホーダイ&パケあえる」におけるパケット利用が進んだこと、スマートフォン利用やタブレット端末などの2台目需要が拡大したことによりパケットARPUが増加したことや、「ドコモ光」の契約者数が拡大したことなどによるものです。
2017年3月31日現在、NTTドコモの携帯電話サービスの契約数は、7,488万契約と前期末時点の7,096万契約から1年間で392万契約増加いたしました。また、解約率は前期比0.03ポイント低下し、0.59%となりました。


移動通信事業セグメントの契約数および市場シェアは、次のとおりです。
(単位:千契約)
サービスの種類2016年3月31日
現在
2017年3月31日
現在
増減増減率
携帯電話サービス(注1)70,96474,8803,9165.5%
(再掲)カケホーダイ&パケあえる29,70437,0667,36224.8%
LTE(Xi)サービス38,67944,5445,86515.2%
FOMAサービス32,28530,336△1,949△6.0%
携帯電話市場シェア(注2)45.3%46.0%0.7ポイント-
spモードサービス32,46335,9213,45810.7%
iモードサービス18,77015,493△3,277△17.5%
(注1)携帯電話サービス契約数、LTE(Xi)サービス契約数及びFOMAサービス契約数には、通信モジュールサービス契約数を含めて記載しております。
(注2)他社契約数については、一般社団法人電気通信事業者協会及び各社が発表した数値を基に算出しております。

2017年3月期における携帯電話総合ARPUは4,430円と、前期の4,170円に比べ260円(6.2%)増加しました。これは、音声ARPUが、お客さま還元強化による減収影響はあるものの、「カケホーダイ&パケあえる」への継続的な移行による影響などにより1,250円と前期の1,210円に比べて40円(3.3%)増加したこと、データARPUが、お客さま還元強化による減収影響はあるものの、スマートフォン利用やタブレット端末などの2台目需要の拡大に加え、「ドコモ光」契約者数の拡大により3,180円と前期の2,960円に比べて220円(7.4%)増加したことによります。
携帯電話サービスにおけるMOUについては「(注)1.MOU(Minutes Of Use)」を、また、ARPUの算定式については「(注)3.ARPUの算定式(b)NTTドコモ」をご参照下さい。

下の表は、携帯電話サービスにおけるARPUおよびMOUに関するデータを示しております。
区分前連結会計年度当連結会計年度増減増減率
総合ARPU(円)4,1704,4302606.2%
音声ARPU(円)1,2101,250403.3%
データARPU(円)2,9603,1802207.4%
パケットARPU(円)2,9102,990802.7%
ドコモ光ARPU(円)50190140280.0%
MOU(分)13313743.0%

(その他)
本セグメントにおけるその他の収入は、前期比1,148億円(6.7%)減少の1兆6,081億円となりました。これは、スマートライフ領域の成長による増加があったものの、端末販売台数が減少したことによるものです。

スマートライフ事業においては、お客さまの健康や生活に密接したサービスを新たに提供するため、dマーケットのラインナップの充実などに取り組みました。

④データ通信事業セグメント
データ通信事業セグメントでは、お客さまのグローバル市場への進出の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でのビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したシステムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。

《主な取り組み内容》
○北米を中心とした事業基盤獲得によるプレゼンスの向上を図ると同時に、クラウドサービスやBPOサービスを強化することを目的として、ヘルスケア業界向けの業界特化型のデジタルソリューションやBPOサービスの提供などでお客さまから高い評価を獲得しているDell Services 部門の事業などを譲り受けました。
○オープンイノベーションを通じて新たな金融関連サービスを創出することを目的として、ベンチャー企業や地方銀行とともに「BeSTA FinTech Lab」を立ち上げ、位置情報を活用した情報配信サービスの実証実験を実施するなど、FinTechを活用した新規サービスの提供に向けて取り組みました。
○世界規模の地理空間情報の利用拡大、市場創出ならびに関連産業の振興をめざし、一般財団法人リモート・センシング技術センターと開発した世界最高精度の「AW3D®全世界デジタル3D地図」を、2016年4月より全世界エリアで提供開始しました。

セグメント業績の概要(2016年4月1日~2017年3月31日) (単位:億円)
2016年3月期
連結会計年度
(2015年4月1日から
2016年3月31日まで)
2017年3月期
連結会計年度
(2016年4月1日から
2017年3月31日まで)
増減増減率
営業収益16,16817,1871,0196.3%
営業費用15,04116,1081,0677.1%
営業利益1,1271,079△49△4.3%

データ通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、為替影響による減少はあったものの、Dell Services 部門の譲り受けによる連結拡大影響や、流通・サービス業界や中央府省向けのビジネス規模拡大などにより1兆7,187億円(前期比6.3%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、不採算案件の影響縮小はあったものの、連結子会社の拡大などに伴う経費や人件費の増加、M&Aに関連する一時的な費用の発生などにより1兆6,108億円(前期比7.1%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は1,079億円(前期比4.3%減)となりました。

⑤その他の事業セグメント
その他の事業セグメントでは、主に不動産事業、金融事業、建築・電力事業、システム開発事業に係るサービスを提供しました。

《主な取り組み内容》
○不動産事業
オフィスビル・商業施設を中心としたオフィス・商業事業や、マンションブランド「Wellith(ウエリス)」を主体とした住宅事業を推進しました。また、これらの事業で培ったノウハウを活用し、グローバル事業やホテル・リゾート事業などにも取り組みました。
○金融事業
情報関連機器分野を中心としたリース・割賦やファイナンスなどの金融サービス、通信サービス料金などの請求・回収、クレジットカードの決済サービスの提供を行いました。
○建築・電力事業
「ICT・エネルギー・建築」の技術を最大限に融合・活用し、大規模な太陽光発電システムやデータセンターの設計および構築などを行いました。
○システム開発事業
最適で高品質なICTサービスを提供するため、ネットワークのオペレーションシステムやアプリケーションサービスの開発などに取り組みました。

セグメント業績の概要(2016年4月1日~2017年3月31日) (単位:億円)
2016年3月期
連結会計年度
(2015年4月1日から
2016年3月31日まで)
2017年3月期
連結会計年度
(2016年4月1日から
2017年3月31日まで)
増減増減率
営業収益12,94512,823△122△0.9%
営業費用12,20412,050△155△1.3%
営業利益740773334.4%

その他の事業セグメントにおいては、建築・電力事業における売上高の減少などにより、当連結会計年度の営業収益は1兆2,823億円(前期比0.9%減)となりました。一方、当連結会計年度における営業費用は、収益連動経費の減少などにより、1兆2,050億円(前期比1.3%減)となりました。この結果、営業利益は773億円(前期比4.4%増)となりました。

(参考)国内売上高及び海外売上高に関する情報
(単位:億円)
前連結会計年度
(2015年4月1日から
2016年3月31日まで)
当連結会計年度
(2016年4月1日から
2017年3月31日まで)
増減増減率
営業収益115,410113,910△1,500△1.3%
国内96,46295,564△898△0.9%
海外18,94818,346△602△3.2%
(注)営業収益は、製品及びサービスの提供先別に国内・海外を分類しております。

国内における当連結会計年度の営業収益は、固定音声関連収入や通信端末機器販売収入の減収などにより9兆5,564億円(前期比0.9%減)となりました。海外における当連結会計年度の営業収益は、連結拡大影響による増収はあったものの、為替影響による減収などにより1兆8,346億円(前期比3.2%減)となりました。

(注)
1.MOU(Minutes Of Use):1利用者当たり月間平均通話時間

2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit):1契約者(利用者)当たり月間平均収入
1契約者(利用者)当たりの月間平均収入(ARPU)は、契約者(利用者)1人当たりの平均的な月間営業収益を計るために使われます。固定通信事業の場合、ARPUは、地域通信事業セグメントの営業収益のうち、固定電話(加入電話およびINSネット)並びに「フレッツ光」の提供により毎月発生する収入を、当該サービスの稼動契約数で除して計算されます。移動通信事業の場合、ARPUは、移動通信事業セグメントの営業収益のうち、携帯電話(LTE(Xi))、携帯電話(FOMA)、及び「ドコモ光」のサービス提供により発生する通信サービス収入(一部除く)を、当該サービスの稼動利用者数で除して計算されます。これら数字の計算からは、各月の平均的な利用状況を表さない端末機器販売、契約事務手数料、ユニバーサルサービス料などは除いています。こうして得られたARPUは各月のお客さまの平均的な利用状況を把握する上で有用な情報を提供するものであると考えております。なお、ARPUの分子に含まれる収入は米国会計基準による連結決算値を構成する財務数値により算定しております。

3.ARPUの算定式
(a) NTT東日本、NTT西日本
NTT東日本およびNTT西日本のARPUは、以下の2種類に分けて計算をしております。
・音声伝送収入(IP系除く)に含まれる加入電話とINSネットの基本料、通信・通話料、およびIP系収入に含まれる「フレッツADSL」、「フレッツISDN」からの収入に基づいて計算される固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)。
・IP系収入に含まれる「フレッツ光」、「フレッツ光」のオプションサービスからの収入、「ひかり電話」における基本料・通信料・機器利用料、および附帯事業営業収益に含まれる「フレッツ光」のオプションサービス収入に基づいて計算されるフレッツ光ARPU。
※1 「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」および「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しております。「フレッツ光」のオプションサービスは、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しております。
※2 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)およびフレッツ光ARPUには相互接続通話料が含まれておりません。
※3 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上の契約数は、固定電話(加入電話及びINSネット)の契約数であります。
※4 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上、INSネット1500の契約数は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)いずれについてもINSネット64の10倍程度であることから、INSネット1500の1契約をINSネット64の10倍に換算しております。

※5 フレッツ光ARPU算定上の契約数は、「フレッツ光」の契約数(「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含む)であります。
※6 NTT東日本およびNTT西日本におけるARPU算出時の稼動契約数の計算式は以下のとおりであります。
通期実績:4月~3月までの各月稼動契約数{(前月末契約数+当月末契約数)/2}の合計

(b) NTTドコモ
NTTドコモのARPUの計算式は、以下のとおりであります。
・総合ARPU:音声ARPU+パケットARPU+ドコモ光ARPU
※1 ・音声ARPU:音声ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
・パケットARPU:パケットARPU関連収入(月額定額料、通信料)/稼動利用者数
・ドコモ光ARPU:ドコモ光ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
なお、パケットARPUとドコモ光ARPUの合算値をデータARPUと称します。
※2 NTTドコモにおけるARPU算出時の稼動利用者数の計算式は以下のとおりであります。
通期実績:4月~3月までの各月稼動利用者数{(前月末利用者数+当月末利用者数)/2}の合計
※3 利用者数は、以下のとおり、契約数を基本としつつ、一定の契約数を除外して算定しています。
利用者数 = 契約数
-通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びに仮想移動体通信事業者(MVNO)へ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る契約数
-Xi契約及びFOMA契約と同一名義のデータプラン契約数

なお、通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びに仮想移動体通信事業者(MVNO)へ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る収入は、ARPUの算定上、収入に含まれておりません。

(3)流動性及び資金の源泉

資金調達及び資金の源泉と使途
当連結会計年度の営業活動によって得たキャッシュ・フローは、2兆9,174億円となり、前連結会計年度の2兆7,118億円から2,055億円増加しております。これは、当連結会計年度の売掛金の回収が前連結会計年度に比べて増加したこと等によるものであります。
NTTグループは、営業活動によって得たキャッシュ・フローを主に設備の取得、新規連結子会社の取得、自己株式の取得等に充てました。
当連結会計年度の投資活動に充てたキャッシュ・フローは、2兆893億円となり、前連結会計年度の1兆7,598億円から3,295億円増加しております。これは、有形固定資産、無形固定資産に対する投資が現金支出ベースで643億円増加したことに加え、新規連結子会社の取得による支出が2,084億円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度の有形固定資産、無形固定資産に対する投資の増加は、地域通信事業において光関連投資が減少した一方で、移動通信事業において設備の集約化・大容量化施策により投資が増加したことに加え、データ通信事業において大型案件の規模拡大により投資が増加したこと等によります。なお、当連結会計年度の発生主義に基づく設備投資額1兆7,000億円の主な内訳は地域通信事業が5,834億円、移動通信事業が5,971億円でした。
当連結会計年度に財務活動に充てたキャッシュ・フローは、9,815億円となり、前連結会計年度の7,076億円から支出が2,739億円増加しております。これは、短期借入債務及び長期借入債務の返済による支出が純額で1,759億円減少した一方で、自己株式の取得による支出が純額で2,805億円増加したことに加え、非支配持分からの子会社株式の取得による支出が1,402億円増加したこと等によります。なお、当連結会計年度の長期借入による資金調達額の内訳は、社債による調達1,283億円、金融機関借入による調達1,922億円となっております。
また、2017年3月31日現在のNTTグループの有利子負債残高は4兆882億円であり、2016年3月31日現在の4兆1,633億円から751億円減少しました。2017年3月31日現在の有利子負債の株主資本に対する比率は45.2%(2016年3月31日現在は47.1%)となりました。なお、2017年3月31日現在の有利子負債は、連結財務諸表の注記11に記載されている短期借入債務及び長期借入債務に加え、金銭消費寄託契約に基づく預り金106億円を含んでおります。
NTTグループは、営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、銀行やその他の金融機関からの借入金、あるいは、資本市場における株式や債券の発行により、将来にわたって現在予測される設備投資とその他の支出や負債の支払に必要な財源が確保できると確信しております。
翌連結会計年度は、地域通信事業においてネットワーク増強関連投資が減少することに加え、移動通信事業においてLTE基地局構築の効率化により投資が減少する一方で、データ通信事業において当連結会計年度に連結子会社となったDell Services 部門の通年化影響や大型案件の規模拡大により投資が増加すること等により、発生主義に基づく設備投資額を当連結会計年度と同額の1兆7,000億円と見込んでおります。その内訳は、地域通信事業が5,550億円、移動通信事業5,700億円等となっております。設備投資は確実な予測が困難な需要動向、競争環境及びその他の要因に影響を受けるため、予想とは異なることもありえます。なお、NTTグループの実際の資金調達額は、将来の事業運営、市場状況、その他の要因によって変化するため、正確に予測することは困難であります。

流動性
2017年3月31日現在のNTTグループの現預金及び現金同等物(期間3ヶ月以内の短期投資を含む)残高は9,252億円であり、2016年3月31日現在の1兆883億円から1,631億円減少しました。現金同等物とは、負債の返済や投資等に利用される予定の一時的な余剰金のことで、運転資金として使用されます。したがって、現金同等物の残高は、その時点の資金調達や運転資金の状況に応じて毎年度変化します。

契約上の債務
下記の表は、2017年3月31日現在におけるNTTグループの契約上の債務をまとめたものであります。
(単位:百万円)

負債・債務の内訳支払い期限ごとの債務額
総 額1年以内1年超
3年以内
3年超
5年以内
5年超
契約上の債務
長期借入債務 (注)1
社債1,574,339425,215499,489369,688279,947
銀行からの借入金2,276,043256,689591,253470,586957,515
長期借入債務に係る支払利息195,59440,74758,42836,84059,579
キャピタル・リース債務 (注)248,27616,84020,1208,2913,025
オペレーティング・リース債務165,29041,17654,90730,36638,841
購入債務 (注)3222,087134,54180,8504,2752,421
その他の固定負債 (注)4-----
合 計4,481,629915,2081,305,047920,0461,341,328
(注)1.長期借入債務の詳細については、連結財務諸表の注記11参照。
2.キャピタル・リース債務には利息相当額を含んでおります。
3.購入債務は主に有形固定資産その他の資産の購入に関する契約債務であります。なお、残余期間が1年内の購入債務を含んでおりますが、解約可能な購入債務を除いております。
4.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載しておりません。なお、連結財務諸表の注記12に記載のとおり、NTTグループの年金制度に対して、翌連結会計年度に合計16,531百万円の拠出を見込んでおります。

2017年3月31日現在、NTTグループの有形固定資産及びその他資産の購入等に係る契約債務残高は約2,221億円となっており、営業活動によって得たキャッシュ・フローによりこれらの売買契約代金の支払をする予定であります。

(4)オフバランスシートアレンジメント(簿外取引)
2017年3月31日現在、保証債務等に関する偶発債務は758億円であります。

(5)最重要の会計方針
NTTグループの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準(米国会計基準)に準拠して作成しております。連結財務諸表の注記3には、財務諸表作成に用いられた重要な会計方針の要約が記載されております。当社は、重要な会計方針のうち以下に記載した事項は、より高度な判断もしくは複雑さを伴うものと考えております。

・収益の認識
固定音声関連収入、移動音声関連収入、IP系・パケット通信収入及びその他の通信サービスに係る収益は、顧客にサービスが提供された時点で認識しております。契約事務手数料等の初期一括収入は繰り延べ、サービス毎に最終顧客(契約者)の見積平均契約期間にわたって収益として認識しております。また、関連する直接費用も、初期一括収入の金額を限度として繰り延べ、同期間で償却しております。当該処理方法は、当期純利益には重要な影響を与えないものの、収益及び原価の計上額は、初期一括収入及び関連する直接費用、ならびに収益・費用の繰り延べの基礎となる顧客の見積平均契約期間によって影響を受けます。顧客の平均契約期間の見積りに影響を与える要因としては、解約率、新規のまたは予想されうる競合商品・サービス・技術等があげられます。現在の償却期間は、過去のトレンドの分析と経験に基づき算定されております。通信端末機器販売収入は、顧客(販売代理店等)への引渡時に代理店手数料及びお客さまに対するインセンティブの一部を控除した額を収益として認識しております。当該引渡日とは、製品の所有権が販売代理店に移転し、所有によるリスクと便益が実質的に移転したとみなされる日であります。システムインテグレーション収入に関しては、損失の発生が予測される場合の損失引当は、損失の発生が最初に予測され、損失の額が合理的に見積り可能となった日の属する連結会計年度において行っております。NTTグループは、給付完了時に見込まれる全ての収益及び費用の見積りに基づいて損失を認識しております。これにより、給付が完了するまでの様々な段階で収益及び費用の合理的見積りが可能となります。認識された損失は、契約の進捗にしたがって見直すことがあり、その原因となる事実が判明した連結会計年度において計上されます。
・有形固定資産、ソフトウェアその他の償却可能無形資産及び耐用年数を特定できない無形資産
NTTグループは、連結会計年度に計上すべき減価償却費を決定するために、有形固定資産、ソフトウェアその他の償却可能無形資産の耐用年数及び残存価額を見積っております。耐用年数及び残存価額は、資産が取得された時点で、類似資産における過去の経験に基づくほか、予想される技術その他の変化を考慮に入れて見積っております。技術上の変化が予想より急速に、あるいは予想とは異なった様相で発生した場合には、当該資産に適用された耐用年数を短縮する必要が生じる可能性があります。その場合、結果として、将来において減価償却費を増加修正する必要が生じる可能性があります。なお、従来、当社及び国内連結子会社は、有形固定資産の減価償却方法として、原則として定率法を採用しておりましたが、2016年4月1日より原則として定額法に変更しております。また、減価償却方法の変更にあわせて残存価額等についても検証し、一部の資産について見直しを行っております。これにより、従来の方法に比べ、当連結会計年度の減価償却費は2,442億円減少しています。
NTTグループは、その帳簿価額が回復不能であることを示唆する事象や環境の変化がある場合、常に減損の検討を行っております。仮に、割引前将来キャッシュ・フロー見積額が資産の帳簿価額を下回る場合には、当該資産の帳簿価額と割引キャッシュ・フロー、市場価額及び独立した第三者による評価額等により測定した公正価値との差額を「減損損失-その他」として計上することとしております。また、耐用年数を特定できない無形資産は償却をせず、年1回以上、減損テストを実施することとしております。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度に計上された「減損損失-その他」は、それぞれ280億円及び206億円であります。

・営業権
営業権については、少なくとも年に一度、減損の兆候があればそれ以上の頻度で、事業セグメントまたはそれより一段低いレベルの報告単位毎に、当該報告単位の公正価値の見積りから始まる二段階の減損テストを行っております。減損テストの第一段階では、報告単位の公正価値と営業権を含む帳簿価額を比較し、報告単位の公正価値については、割引キャッシュ・フロー等に基づき算定しております。第二段階では、報告単位の営業権の帳簿価額とこの時点で改めて算定された営業権の公正価値を比較し、帳簿価額が公正価値を上回っている金額を減損損失として計上することとしております。二段階の減損テストの前に、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回る可能性が50%以下であると結論づける場合、当該報告単位の二段階の手続きによる減損テストは要求されません。
営業権の公正価値の測定にあたっては、当該報告単位の将来の事業利益及びキャッシュ・フローの創出能力に対する経営陣の見通し、ならびに当社の事業目標における報告単位の戦略的重要性等がその決定要素となっております。また、耐用年数を特定できない無形資産は償却をせず、年1回以上、減損テストを実施することとしております。NTTグループは、現時点で合理的であると判断される一定の前提に基づき公正価値の測定を行っておりますが、将来の予測不能な事業上の環境の変化により見通しと異なることがあります。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度に計上された「減損損失-営業権」は、それぞれ47億円及び533億円であります。重要な報告単位は長距離・国際通信事業セグメントにおけるDimension Data及びデータ通信事業セグメントにおけるグローバルビジネスです。2017年3月31日現在、Dimension Dataに帰属する営業権は、当連結会計年度の年次減損テストの結果、488億円の減損損失を計上したことにより、2,357億円となっております。データ通信事業セグメントにおけるグローバルビジネスに帰属する営業権は3,962億円であり、当連結会計年度の年次減損テストの結果、報告単位の公正価値は帳簿価額を13.3%上回っております。

・投資
NTTグループは、他企業に対して投資を行っており、原価法、持分法及び公正価値に基づいて会計処理しております。また、NTTグループは、投資価値が帳簿価額を下回り、その下落が一時的でない場合は減損損失を認識し、新たな取得原価を計上しております。一時的な下落か否かを判断するにあたっては、投資価値が帳簿価額を下回る程度及び期間、出資先企業及び事業分野の財務状況、ならびに投資を維持する能力及び意図を考慮しております。NTTグループは、投資の簿価が回復できない可能性を示唆する事象や環境の変化が発生したときは、常に減損の要否について検討を行っております。さらに、NTTグループは、評価を行うにあたり、キャッシュ・フロー予測、外部の第三者による評価、ならびに適用可能である場合は株価分析を含む様々な情報を活用しております。
当該予測及び評価には、統計(人口、普及率及び普及速度、解約率等)、技術革新、設備投資、市場の成長及びシェア、ARPU及び残存価値に係る推定が必要になります。前連結会計年度及び当連結会計年度に計上された「市場性のある投資有価証券及びその他の投資」の減損損失は、それぞれ約60億円及び約30億円であります。また、関連会社の市場を取り巻く最近の経済、財政状況により、投資先の価値が一時的ではない下落が生じていないか判断するため、投資先の事業の見通しを検討しております。当連結会計年度においてHutchison Telephone Company Limitedを含む関連会社投資について239億円の減損額を計上しております。
過去において、NTTグループはいくつかの「関連会社投資」について多額の減損処理を実施し、その減損額はそれぞれの会計期間における「持分法による投資損益」に計上されました。今後においても「市場性のある有価証券及びその他の投資」及び「関連会社投資」について同様の減損が発生する可能性があります。また、今後、投資持分の売却に際して多額の売却損益を計上する可能性もあります。
・退職給付会計
NTTグループにおける前連結会計年度及び当連結会計年度の退職給付費用は、それぞれ営業費用合計の概ね0.9%及び1.0%となっております。従業員に対する退職給付制度に係る費用及び債務の連結財務諸表計上額は、多くの仮定を用いた数理計算により決定されております。退職給付費用及び退職給付債務の決定に用いられる仮定には、長期期待運用収益率、割引率、予定昇給率、平均残存勤務期間等があり、そのなかでも長期期待運用収益率と割引率は重要な仮定といえます。これらの仮定は、少なくとも年1回は見直され、また重要な仮定に大きな影響を与えることが想定される出来事が起こるか、あるいは環境が変化した場合にも見直しが行われます。仮定と実績との差異は、米国会計基準に従い、数理計算上の差異として将来にわたって繰延償却処理されます。2017年3月31日現在、NTTグループの退職給付制度に関連する数理計算上の差異の合計額は4,209億円であり、このうち退職給付債務又は年金資産の公正価値の10%を超える金額は、予測平均残存勤務期間にわたって償却するため、将来の年金費用に対し増加影響が生じることとなります。
NTTグループは、年金資産の長期期待運用収益率として、前連結会計年度及び当連結会計年度において2.0-2.5%を採用しております。NTTグループは、年金資産の長期期待運用収益率の決定に際し、現在及び将来の年金資産のポートフォリオや、各種長期投資の過去の実績利回り分析を基にした期待収益とリスクを考慮しております。NTTグループは、年金資産のポートフォリオについて、年金資産の種類別の期待収益を考慮するとともに、年金資産から生ずる収益を安定化させリスクを軽減するため、制度毎に政策的資産構成割合を定めております。当連結会計年度第4四半期において、NTTグループは、より安定的な年金財政の運営を目的として、年金資産の政策的資産構成割合を変更しております。この変更により期待運用収益率は2.0-2.5%から1.0-1.9%へ低下しておりますが、当連結会計年度の連結財務諸表に与える影響は軽微であるため、退職給付費用の算定に使用した期待運用収益率を変更しておりません。制度毎の政策的資産構成割合は、退職一時金及び規約型企業年金においては、国内債券、国内株式、外国株式、生保一般勘定に、それぞれ65.0%、10.0%、5.0%、20.0%、NTT企業年金基金においては、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、生保一般勘定に、それぞれ55.8%、15.0%、6.2%、10.6%、12.4%(加重平均)の年金資産の配分としております。2017年3月31日現在の年金資産残高は、概ね目標配分比率に整合するものとなっており、2018年3月期における政策的資産構成割合も同水準になると予測されます。また、前連結会計年度及び当連結会計年度における年金資産の実際運用収益率は、それぞれ約0%、約3%となっており、将来においても、その時々の市場環境により、大きく増減する可能性があります。年金資産の公正価値は測定日現在の市場価格を用いて測定しております。
もう一つの重要な仮定は、退職給付費用及び退職給付債務の決定に用いられる割引率であります。NTTグループは、退職給付費用の決定に際して、前連結会計年度においては1.0%の割引率を使用し、当連結会計年度においては0.5%の割引率を使用しております。また、退職給付債務の決定に際して、2016年3月31日現在においては0.5%の割引率を使用し、2017年3月31日現在においては0.7%の割引率を使用しております。NTTグループは、割引率の決定に際して、年金給付満期までの見積り期間と同じ期間の優良確定利付債券の利率に関し利用可能な情報を考慮しております。
2017年3月31日現在のNTTグループの年金制度において、その他全ての仮定を一定としたままで、割引率及び長期期待運用収益率を変更した場合の状況を示すと次のとおりであります。
(単位:億円)

仮定の変更退職給付債務退職給付費用
(税効果考慮前)
その他の包括利益
(損失)累積額
(税効果考慮後)
割引率が0.5%増加/低下△/+2,400+/△60+/△1,700
長期期待運用収益率が0.5%増加/低下-△/+110-


・法人税等
NTTグループは、資産・負債の帳簿価額と税務申告上の価額との間の一時差異及び繰越欠損金に対する税効果について、繰延税金資産及び負債を認識しております。繰延税金資産及び負債の金額は、一時差異が解消する期間及び繰越欠損金が利用可能な期間において適用が見込まれる法定実効税率を用いて計算しております。法定実効税率が変更された場合には、税率変更のあった日が属する連結会計年度において、税金費用の計上を通じて繰延税金資産及び負債を調整しております。
2016年3月29日、「所得税法等の一部を改正する法律」等が成立し、2016年4月1日以降開始する連結会計年度より法人税率等が変更されることとなりました。この税率変更による繰延税金資産(純額)の減少額は327億円であり、前連結会計年度の連結損益計算書「法人税等:繰延税額」に計上しております。また、前連結会計年度の当社に帰属する当期純利益は237億円減少しております。

NTTグループは、将来の実現可能性を考慮し、繰延税金資産に対して評価性引当金を計上しております。評価性引当金を適切に決定するため、予想される将来の課税所得水準及び利用可能なタックスプランニングを考慮に入れております。将来の課税所得が予想を下回った場合、またはタックスプランニングが期待通りに利用可能とならなかった場合には、その判断がなされた連結会計年度において、税金費用の計上を通じて評価性引当金を追加計上する可能性があります。2016年3月31日及び2017年3月31日現在、NTTグループは、それぞれ1兆5,618億円及び1兆7,323億円の繰延税金資産を有しており、その資産に対して、それぞれ1,671億円及び3,795億円の評価性引当金を計上しております。当該評価性引当金は、主に将来の実現が見込めない税務上の欠損金を有する当社及び特定の子会社の繰延税金資産に関するものであります。評価性引当金の変動額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ988億円の減少及び2,123億円の増加となっております。前連結会計年度における評価性引当金の減少額には、NTT西日本において、将来課税所得の発生見通しが改善したことに伴う地方税に係る評価性引当金の減少額437億円と、NTTドコモにおいて、慎重かつ実行可能なタックスプランニング戦略を考慮したことに伴う評価性引当金の減少額327億円が含まれております。当連結会計年度における評価性引当金の増加額は、主にNTT America, Inc.による子会社Verio Inc.の吸収合併の影響によるものであります。詳細は財務諸表注記の注13に記載しております。

・ポイントプログラム引当金
NTTグループは、携帯電話やフレッツ光等の利用に応じて付与するポイントと引き換えに、商品購入時の割引等の特典等を提供しており、顧客が獲得したポイントについてポイントプログラム引当金を計上しております。2016年3月31日現在及び2017年3月31日時点におけるポイントプログラム引当金は短期、長期合わせてそれぞれ941億円及び1,146億円であります。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において計上されたポイントプログラム経費は、それぞれ603億円及び947億円であります。
ポイントプログラム引当金の算定においては、将来の解約等による失効部分の見積りが可能である場合には、その失効部分を反映したポイント利用率等の見積りが必要となります。実際のポイント利用率が当初見積りよりも多い場合等において、将来において追加的な費用の計上や引当金の計上を実施する必要が生じる可能性があります。
2017年3月31日現在の携帯電話の利用に応じて付与するポイントに対する引当金において、その他全ての仮定を一定としたままで、ポイント利用率が1%上昇した場合の引当金への影響は軽微であります。


(6)最近公表された会計基準
・顧客との契約から生じる収益
2014年5月28日、FASBはASU2014-09「顧客との契約から生じる収益」を公表しました。当該基準は、企業が、約束した財又はサービスの支配を顧客へ移転したときに認識することを要求しております。収益は、財又はサービスとの交換から獲得すると見込んでいる対価を反映した金額で認識されます。また、企業は、財務諸表の利用者が、顧客との契約から生じる収益、ならびにキャッシュ・フローの性質、金額、認識時期、及び不確実性を理解するのに十分な定量的及び定性的情報を開示することを要求されます。当該基準が適用になると、現在の米国会計基準の収益認識に係るガイダンスの大部分が当該基準の内容に置き換わります。また、2016年3月にASU2016-08「本人か代理人かの検討(収益の総額表示か純額表示)」、2016年4月にASU2016-10「履行義務の識別及びライセンス付与」、2016年5月にASU2016-12「限定的な改善及び実務上の処理」、2016年12月にASU2016-20「顧客との契約から生じる収益―技術的な修正及び改善」、2017年2月にASU2017-05「資産の認識中止ガイダンスの範囲及び非金融資産の部分的な売却の会計処理の明確化」が公表となり、当該基準の一部が修正されております。
2015年8月12日、FASBはASU2015-14「顧客との契約から生じる収益―適用日の延期」を公表し、当該基準の適用を1年延期しました。このため、当該基準は、2017年12月16日以降に開始する年度から適用され、NTTグループにおいて2018年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。なお、2017年4月1日に開始する連結会計年度からの早期適用も認められております。
当該基準適用時の移行方法は、完全遡及アプローチ及び修正遡及アプローチの2つの方法が認められております。完全遡及アプローチにおいては、表示される全ての報告期間が当該基準の適用により更新され、報告期間以前の期間における累積影響の調整は、報告期間初年度の期首利益剰余金に計上されます。修正遡及アプローチにおいては、適用初年度が当該基準の適用により更新され、適用初年度以前の期間における累積影響の調整は、適用初年度の期首利益剰余金に計上され、当該基準適用による影響額に関連する開示が要求されます。
当社は、当該基準適用時の移行方法の選択は実施しておらず、NTTグループの連結財務諸表及び関連する注記に与える影響について、現在検討しております。現時点において、当該基準の適用により影響が及ぶと考えられる項目は以下の通りであります。
・当該基準は、契約獲得の増分コスト及び契約履行コストを資産計上することを要請しております。現行の会計基準においては、地域通信事業、長距離・国際通信事業、及び移動通信事業において提供する通信サービスに係るそれらのコストを、初期一括収入を上限として資産計上し見積り平均契約期間で償却しておりました。当該基準の適用後は、それらのコスト全額を資産計上することになるため、従来は費用処理していた一部の販売手数料等を追加的に資産計上することとなります。当連結会計年度において、現行の会計基準に基づき費用として計上された主な代理店手数料は、移動通信セグメントにおいて計上された320,800百万円であります。
・当該基準では、企業が顧客との契約の一部として、企業から追加的な財又はサービスを値引き価格で購入できるオプションを顧客に付与した場合は、オプションを付与した時点では別個の履行義務として識別し、取引対価の一部を契約負債として認識し、将来の財又はサービスが顧客に移転した時点、または行使期限が終了した時点で収益を認識することが要請されています。従来はサービスの利用に応じて顧客が獲得したポイントに対して引当金を計上しておりましたが、当該基準適用後は、ポイントを付与した時点でサービスの取引対価の一部を契約負債として計上し、ポイントを行使した時点で収益が認識されることとなります。当連結会計年度において、現行の会計基準に基づき計上された主なポイントプログラムに係る費用は、移動通信セグメントにおいて計上された94,291百万円であります。
NTTグループは、新しい収益認識に係る基準の適用に向けて、業務プロセス及び内部統制の構築を進めております。

・金融資産及び金融負債の認識並びに測定
2016年1月5日、FASBはASU2016-01「金融資産及び金融負債の認識並びに測定」を公表しました。当該基準は、金融商品の会計処理、表示及び開示の改善を目的としております。当該基準は、ほとんどの持分投資を公正価値で測定し、当期純利益に公正価値の変動を認識することを要求しております。なお、持分法で連結され、会計処理される投資の会計処理には影響を与えません。また、当該基準は、公正価値オプションを選択した金融負債の公正価値の変動の認識ならびに金融商品の表示及び開示の要求を変更するものであります。当該基準は、2017年12月16日以降に開始する年度から適用され、NTTグループにおいて2018年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。当社は、当該基準の適用による影響について、現在検討しております。

・リース
2016年2月25日、FASBはASU2016-02「リース」を公表しました。当該基準は、原則として、すべてのリースの借手に対し、使用権資産とリース負債の計上を要求しております。当該基準は、2018年12月16日以降に開始する年度から適用され、NTTグループにおいて2019年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。なお早期適用も認められております。
当該基準の適用により、リースに係る使用権資産とリース負債について新たに認識することが想定されますが、現在、その対象範囲及び金額について検討しております。

・営業権の減損テストの簡略化
2017年1月26日、FASBはASU2017-04「営業権の減損テストの簡略化」を公表しました。当該基準は、営業権の減損テストの第二段階の手続きを削除し、報告単位の公正価値と営業権を含む帳簿価格を比較し、報告単位の帳簿価額が公正価値を上回っている金額を減損として認識することを要求しております。当該基準は、2019年12月16日以降に開始する年度から将来に向かって適用され、NTTグループにおいて2020年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。なお、2017年1月2日以降を基準日とする減損テストからの早期適用も認められています。当社は、当該基準の適用による影響について、現在検討しております。

・期間年金費用及び期間退職後給付費用の表示の改善
2017年3月10日、FASBはASU2017-07「期間年金費用及び期間退職後給付費用の表示の改善」を公表しました。当該基準は、期間年金費用及び期間退職後給付費用について、勤務費用要素を他の人件費の含まれる営業損益項目に表示し、勤務費用以外の要素は営業損益以外の項目に表示することを要求しております。また、退職給付費用のうち勤務費用要素のみ資産計上が適格であることを明示しております。勤務費用とそれ以外の費用の要素を区分開示する規定は遡及適用し、勤務費用要素のみを資産計上する規定は将来に向かって適用されます。当該基準は、2017年12月16日以降に開始する年度から適用され、NTTグループにおいて2018年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。なお、2017年4月1日に開始する連結会計年度からの早期適用も認められています。当社は、当該基準の適用による影響について、現在検討しております。


研究開発活動株式の総数等


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