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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TO3M (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日鉄ソリューションズ株式会社 研究開発活動 (2024年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


研究開発活動につきましては、技術進化・ビジネストレンド・社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への新技術導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」として設定しております。
未来目標1「究極のデジタルツイン(注1)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう
未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう
未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう
当連結会計年度においては、生成AI(注2)の社会への急速な浸透を踏まえ、未来目標への生成AIが及ぼすインパクトを整理しつつ、そこからバックキャストすることで解決すべき課題や必要となる技術を検討して、研究開発活動に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,405百万円であり、各未来目標に向けた主な研究開発成果は次のとおりであります。

(1)未来目標1:究極のデジタルツイン
製造業のデジタルツインを実現するシステム「Geminant(ジェミナント)」(注3)は協業を進める三井E&Sシステム技研株式会社(MSR)主催の「MSRソリューションフェア2023」へのデモ出展等複数のPoV(注4)案件に取り組みユースケースの具体化と社外公開を進めております。同様にIoX(注5)関連技術・エッジ技術につきましても実案件への適用を進め、画像解析基盤アーキテクチャやデータ取り込みロジック等の拡張やリアルタイム映像解析デモ環境等の整備が進んでおります。
アンビエント技術(注6)につきましては、HCMIコンソーシアム(注7)と共同で「溶接技能伝承」をテーマとしたVR(注8)溶接シミュレーターの研究開発を行っており、溶接VR訓練システムを開発しました。生成AIを活用した対話型リコメンデーションシステムのデモ環境の整備も進んでおります。
最適化技術及びシミュレーション技術(注9)につきましては、日本製鉄㈱等の実フィールドへの適用と検証を行いつつ、研修やワークショップ等で人材育成に注力(50名以上を育成)しております。新たに、Geminantとの連携を前提としたシミュレーション機能とのセットで効果を発揮する最適化モデルの開発にも着手しております。
プライバシー保護技術を中心としたデータセキュリティにつきましては、特に秘匿性の確保とデータ活用の両立を実現する匿名加工技術に関して、加工や安全性/有用性検査の自動化について実装が進み、製薬業界を中心とした現場に適用されております。新たに、社会課題解決に向けて欧州や日本で注目されている「データスペース」(注10)について研究開発に着手しております。

(2)未来目標2:業務を理解・実行できる人工知能
生成AIは、ChatGPT(注11)にて利用される等、世の中で急速に活用と議論が進んでおります。顧客要求に基づく案件支援を多数行いつつ、当社内のサービス開発や他の研究テーマへの適用等実用化を進めており、並行して特許等の知的財産化を進めております。
そうした人工知能(AI)技術は、自然言語だけでなく、画像・ビッグコードを含むマルチモーダル(注12)なドキュメント処理モデルでは、オープンなモデルの検証と活用に加え、独自データセットと基盤モデル(注13)の開発を行っております。文章の意味を理解し、同時に画面レイアウトを理解するマルチモーダルなAI技術を用いて、Web画面テスト自動化AI「Curatis(キュラティス)」を開発し、実証実験と実用性向上を進めておりますが、これにより、システムの素早い提供と工数の大幅な削減に貢献します。
AIによる開発プロセスの改善や人材育成にも取り組んでおります。育成コンテンツを整備して実践的なデータ分析ワークショップを行う等この分野の戦力強化にも取り組んでおります。
(2023年度の主なコンペティション成績)
データ分析世界大会“Kaggle”「BirdCLEF 2023」で1,209チーム中 第6位に入賞 Gold Medal獲得
データ分析世界大会“Kaggle”「LLM Science Exam」で2,662チーム中 第7位に入賞 Gold Medal獲得
データ分析世界大会“Amazon KDD Cup 2023”で451チーム中 第6位に入賞

(3)未来目標3:サステナブルな企業情報システム
この目標は、環境変化に対して柔軟に対応できるように最新技術の活用によって、システム自体のサステナビリティを担保しながら、サステナブルな社会やビジネスを支えるシステムの実現を目指すものであります。
開発プロセスにつきましては、データドリブン(注14)なプロジェクト管理をプロアクティブに行うために「プロジェクト状況可視化ダッシュボード」の実案件への適用を開始しております。また、様々なユースケースや作業を対象に生成AIの適用可能性検証を開始しております。
システムの設計ノウハウの展開に対しては、クラウドネイティブ技術(注15)のデザインパターン(注16)を整備し複数の実案件に適用しております。国内においてもクラウドネイティブ技術を採用するプロジェクトのすそ野が広がりはじめており、戦力強化のための人材育成として130人を超える受講者を輩出しております。
今後の企業情報システムでは、アジリティを重視するDXと、品質や安定性が重視される基幹系を含む既存の情報システムにおいて、一見相反する要求を両立しなければなりません。それらのエンタープライズレベルでの統合を実現する組織分担・開発プロセス・システムアーキテクチャの研究開発を進めております。

(注1) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。
(注2) 生成AI:深層学習や機械学習の手法を駆使し、人が生成するようなテキスト、画像、音楽、ビデオ等のデジタルコンテンツを自動で生成するAI技術。後述の注13「基盤モデル」によって実現されており、注11「ChatGPT」もこの一種。
(注3) Geminant(ジェミナント):当社が開発したデジタルツイン可視化のためのプラットフォーム及び部品群。
(注4) PoV:価値実験(Proof of Value)
(注5) IoX:機械・部品が互いにつながる「IoT(モノのインターネット)」と、ヒトがIT武装によって互いにつながる「IoH(ヒトのインターネット)」が、高度に連携・協調することにより大きな成果を出すコンセプト。
(注6) アンビエント技術:環境に溶け込み、ユーザーが促さなくてもいつでも支援を提供できる技術。
(注7) HCMIコンソーシアム:産業技術総合研究所の産学官連携プラットフォーム。
(注8) VR:仮想現実(Virtual Reality)。
(注9) シミュレーション技術:合理的に最適条件を導出する技術をコンピュータ上でシミュレーションすること、実験や試験と比較して、時間やコストを抑えられる場合が多く、有用な技術。
(注10) データスペース:デジタル社会で不可欠なデータに注目した概念で、異なる組織・国・エコシステム・異業種等の間で、信頼性を確保しながらデータを共有するための標準化されたルールや仕組み。
(注11) ChatGPT:OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボット。
(注12) マルチモーダル:複数状態、複数形式等を意味し、例えばマルチモーダルAIでは数値、画像、テキスト、音声等複数種類のデータの組み合わせを処理できる単一のAIを意味する。
(注13) 基盤モデル:大量で多様なデータを用いて訓練され、様々なタスクに適応(ファインチューニング等)できる深層学習モデル。
(注14) データドリブン :収集した様々なデータをもとに意思決定を行う手法。
(注15) クラウドネイティブ技術:クラウドの提供する機能を徹底的に活用して、スケーラブルで信頼性・回復性のある疎結合なシステムを開発する設計技術。
(注16) デザインパターン:ソフトウェア設計において過去に編み出した設計ノウハウを蓄積し、再利用しやすいように特定の規約に沿ってカタログ化したもの。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E05304] S100TO3M)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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