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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10050D5

有価証券報告書抜粋 東レ株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究・技術開発は、有機合成化学、高分子化学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーという当社が培ってきたコア技術をベースに、基幹事業である繊維、プラスチック・ケミカル事業の安定収益基盤強化・収益拡大を推進するとともに、成長する重点4領域(①環境・水・エネルギー、②情報・通信・エレクトロニクス、③自動車・航空機、④ライフサイエンス)に絶え間なく革新的先端材料を供給する役割を担っている。また、地球温暖化防止や環境負荷低減に対して、当社グループの総合力を発揮してソリューションを提供する新たな切り口で、さらなる成長を推進していく。
2014年2月に策定した中期経営課題“プロジェクトAP-G 2016”では、「グリーンイノベーション」と「ライフイノベーション」を重点分野として設定して、革新的新素材・新技術を創出することにより持続的発展を目指す。また、知的財産戦略による参入障壁の構築により技術競争力の優位性を堅持していく。

当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は次のとおりである。

(1) 繊維事業

基幹事業としての安定収益基盤の強化と収益拡大に向け、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進している。その成果として、ナイロンの素材特性を生かすとともに、着用快適性をもたらす様々な工夫を凝らすことで、上質な素材感とサラサラとした爽やかな肌触りを持つナイロン長繊維テキスタイル「サラコナ™」を開発した。また、当社独自のナノスケール加工を用いることで、汚れ付着防止機能を保ちながら、汚れの落ちやすさを大幅に向上させた防汚加工テキスタイル「テクノクリーン®」を開発した。その他、ミクロンレベルで繊維断面を制御できる口金設計技術に加え、製糸時の口金付近の気流制御といった製糸条件の最適化技術を新たに用い、高い吸水拡散性、ソフトな肌触りと透け防止性を特長とするポリエステル原綿「ペンタス®α」を開発した。

(2) プラスチック・ケミカル事業

基幹事業として安定収益基盤の強化と収益拡大、そして持続可能な循環型社会の発展に主眼を置いた研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、最大成形伸度300%という優れた易成形性と耐傷性を両立し、長期間の使用でも光沢感が持続する自己修復コートフィルムを開発した。本開発品は、形状が複雑で強い光沢が要求される電子機器や家電製品、自動車内装用をはじめ、フレキシブルディスプレイの表面材料など、幅広い用途に向けて展開が期待される。また、独自のポリマー設計技術と高精度延伸によるフィルム構造制御技術の融合により、新規高機能PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムを開発した。本開発により、長期耐熱性や耐加水分解性、耐薬品性、難燃性などの従来の優れた素材特性を維持しながら、PPSフィルム同士や樹脂成形体とだけでなく、金属や繊維シートなどの異素材とも強固に熱接着することが可能になった。

(3) 情報通信材料・機器事業

戦略的拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、次世代パワーエレクトロニクスに用いられるシリコンカーバイド(Silicon Carbide、以下「SiC」)トランジスタ向けに、製造工程であるイオン注入プロセスを大幅に簡略化できる感光性耐熱レジストを開発し、SiCダイオードとSiCトランジスタによる「フルSiC」パワー半導体モジュールに対応した材料提供が可能となった。また、投入電力を上げることなく、白色LEDデバイスの輝度を10%以上向上させることが可能な白色LED用蛍光体シートを開発した。蛍光体の高濃度充填による薄膜形成が可能なため、放熱性にも優れており、投入電力を上げて輝度向上が可能である。さらに、蛍光体を均一分散し、膜厚精度にも優れ、白色光の色バラツキを最小化することができる。加えて、本材料は、LEDチップの発光面だけに効率的に蛍光体層を形成できることから、LED製造工程の大幅なプロセスコスト削減にも貢献でき、また、蛍光体の使用量を減らすことができるため、レアアースの使用量削減にも有効となる。

(4) 炭素繊維複合材料事業

当社の代表的ナンバーワン事業であり、戦略的拡大事業として、グリーンイノベーション事業拡大、アジア・新興国及び米州での事業拡大のための研究・技術開発に取り組んでいる。米ボーイング社との間で、新型機「777X」向けに炭素繊維「トレカ®」プリプレグを供給することに基本合意し、加えて、航空宇宙用途における炭素繊維複合材料の適用をさらに促進するため、設計・材料・部品生産に跨がる広範な領域で両社が共同開発を進めることを確認した。また、トヨタ自動車㈱が発売した燃料電池自動車「MIRAI」に、①自動車構造部品向け熱可塑性炭素繊維複合材料(熱可塑CFRP)、②燃料電池電極基材用カーボンペーパー、③高圧水素タンク用高強度炭素繊維の3つの炭素繊維材料が採用された。そのほか、従来の一方向連続繊維を用いたプリプレグ(UDプリプレグ)と同等の力学特性を維持しながら、複雑形状への優れた成形性を達成した新規プリプレグシートUACS(Unidirectionally Arrayed Chopped Strands)を開発した。

(5) 環境・エンジニアリング事業

情報通信材料・機器、炭素繊維複合材料に続く次の収益拡大の柱とするために、重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。水処理関連では、当社が開発・販売している高性能と耐汚染性を両立させた革新的逆浸透(RO)膜が評価され、「日本化学会 第63回(2014年度)化学技術賞」を受賞した。アメニティー関連製品では、高い除去性能を維持しながら1Lを約3分(当社従来品約5分)でろ過するスピード浄水を実現したポット型浄水器の新しいカートリッジを開発した。また、ポット型浄水器「トレビーノ®PT305SV」及び蛇口直結型浄水器「トレビーノ®カセッティ307MX」の2機種が2014年度グッドデザイン賞をダブル受賞した。

(6) ライフサイエンス事業

重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。医薬分野では、当社が製造販売承認を取得し、鳥居薬品㈱が日本国内において販売中の血液透析患者におけるそう痒症改善剤「レミッチ®*カプセル2.5μg」(一般名:ナルフラフィン塩酸塩)について、国内における慢性肝疾患患者におけるそう痒症を適応症とした効能追加にかかる製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。本剤は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などとは異なるメカニズムで痒みを抑えることから、既存薬では効きにくい痒みに対しても有効性を示すものと期待される。医療分野では、血液に含まれる微量のタンパク質を高感度で短時間に検出できるタンパク質検出システムとして「RAY-FAST®(レイファースト)」測定装置(研究用)及び、血中に存在し免疫機構に深く関わるタンパク質であるサイトカインIL-6(インターロイキン6)を検出する専用チップ「RAY-FAST®IL-6」(研究用試薬)の販売を開始した。同システムにより、これまで数時間以上を要していた微量タンパク質の検出作業を20分以内に行うことが可能となる。さらに、カテーテルでは発作性心房細動治療用カテーテル・アブレーションシステムの製造販売承認申請を行った。製造販売承認取得後、新製品として販売予定である。

*レミッチ®は鳥居薬品㈱の登録商標である。


上記セグメントに属さない基礎研究、基盤技術開発として、環境関連では、「全ての事業戦略の軸足を地球環境におき、持続可能な低炭素社会の実現に向けて貢献していく」という経営方針の下、革新電池部材、有機薄膜太陽電池の研究・技術開発を推進している。燃料電池電解質膜については、当社炭化水素(HC)膜を使用すれば、白金触媒溶出の抑制により、白金使用量を大幅に削減できるとのデータを得た。これにより、スタックコストの大幅削減が期待できる。また、“プロジェクトAP-G 2016”において推進している「ライフイノベーション事業拡大」として、NEDOの支援による最先端の次世代がん診断システム開発への産学官連携プロジェクトに参画した。本プロジェクトでは、独立行政法人国立がん研究センター(以下、NCC)に蓄積された膨大な臨床情報とバイオバンクの検体、マイクロRNA腫瘍マーカーについての研究成果を基盤として、当社が開発した高感度なDNAチップと、当社とNCCが共同開発した血液中に存在するマイクロRNAバイオマーカーの革新的な探索方法を活用して、体液中のマイクロRNAの発現状態についてのデータベースを構築、網羅的に解析する。この測定技術により、乳がん、大腸がんに加えて膵臓がんや胆道がんなど13種類のがんや認知症の早期発見マーカーを見出し、これらのマーカーを検出するバイオツールを世界に先駆け実用化を目指す。

当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、595億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は445億円)である。セグメント別には、繊維事業に約10%、プラスチック・ケミカル事業に約13%、情報通信材料・機器事業に約19%、炭素繊維複合材料事業に約9%、環境・エンジニアリング事業に約5%、ライフサイエンス事業に約10%、本社研究・技術開発に約34%の研究開発費を投入した。
当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,552件、海外で3,096件、登録された件数は国内で614件、海外で1,198件である。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00873] S10050D5)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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