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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007V4A

有価証券報告書抜粋 東レ株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究・技術開発は、有機合成化学、高分子化学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーという当社が培ってきたコア技術をベースに、基幹事業である繊維、プラスチック・ケミカル事業の安定収益基盤強化・収益拡大を推進するとともに、成長する重点4領域(①環境・水・エネルギー、②情報・通信・エレクトロニクス、③自動車・航空機、④ライフサイエンス)に絶え間なく革新的先端材料を供給する役割を担っている。また、地球温暖化防止や環境負荷低減に対して、当社グループの総合力を発揮してソリューションを提供する新たな切り口で、さらなる成長を推進していく。
2014年2月に策定した中期経営課題“プロジェクトAP-G 2016”では、「グリーンイノベーション」と「ライフイノベーション」を重点分野として設定して、革新的新素材・新技術を創出することにより持続的発展を目指す。また、知的財産戦略による参入障壁の構築により技術競争力の優位性を堅持していく。

当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は次のとおりである。

(1) 繊維事業

基幹事業としての安定収益基盤の強化と収益拡大に向け、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進している。その成果として、性質の異なる2種類のナイロンポリマー(一部植物由来原料を使用)を貼り合わせたバイメタル構造の原糸を開発し、新感覚快適ストレッチテキスタイルPrimeflex®として展開を図る。また、超極細繊維の製造・加工技術を用いることで、爽やかな肌触りと落ち着いた質感を持つUVプロテクト超極細繊維テキスタイル「uts® 50+」や皮革の銀面調の光沢とスエードタッチを兼ね備えたハイブリッド人工皮革 ウルトラスエード®ヌーを開発した。さらに、ここ数年来戦力を重点化し研究・技術開発を進めてきた繊維複合・構造化技術を用い、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維トルコン®とZoltek Companies, Inc. (連結子会社)製のポリアクリルニトリルからなる耐炎化糸を用いた高性能遮炎ペーパーを開発した。その他、フッ素系化合物を使用せずに高い撥水性能と耐久性を実現した、環境配慮型撥水加工技術を開発した。

(2) プラスチック・ケミカル事業

基幹事業として安定収益基盤の強化と収益拡大、そして持続可能な循環型社会の発展に主眼を置いた研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、2種類以上の樹脂をナノメートルオーダーでアロイ化(混合)する当社独自のナノアロイ®技術によりポリフェニレンサルファイド樹脂(以下「PPS樹脂」)が本来有する高い耐熱性や機械強度を維持しながら、PPS樹脂の長年の課題であった靱性(しなやかさ)を飛躍的に向上した高性能PPS樹脂の開発に成功した。また、ナイロン6の原料であるカプロラクタムの合成において、東芝ライテック㈱と共同により、工程で使用するナトリウムランプを新開発のLEDランプに切り替えることで、電力使用量を30%削減する技術を開発した。そのほか、日常的な使用で表面につく、細かな擦り傷が瞬時に修復する自己修復性に加えて、偶発的な強い力による深い傷も修復できる新しい自己修復コートフィルム(高硬度タイプ)を開発した。

(3) 情報通信材料・機器事業

戦略的拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、UV印刷対応CTPサーマルプレート“東レ水なし平版”TAC-GU8の販売を開始した。今回開発したTAC-GU8は、東レ独自のナノ構造制御技術を駆使して版表面のシリコーン層内に存在するナノ空間を精密制御することにより、これまでの版に比べてインキの反発性が向上し、UV印刷における温度条件を広げることに成功した。また、半導体型単層カーボンナノチューブ(Carbon Nano-Tube:以下「CNT」)において、塗布型半導体としては世界最高となる従来比2倍の移動度36cm2/Vsを達成した。今回達成した移動度36cm2/Vsは、現在ディスプレイ等で用いられているアモルファスシリコンの約40倍であり、半導体としてのCNTのポテンシャルを十分に引き出した結果と言える。

(4) 炭素繊維複合材料事業

当社の代表的ナンバーワン事業であり、戦略的拡大事業として、グリーンイノベーション事業拡大、アジア・新興国及び米州での事業拡大のための研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、一般的な発泡シート材料に匹敵する低比重でありながら、繊維強化樹脂レベルの高い剛性を発現する革新的な炭素繊維構造材料「CFRF(Carbon Fiber Reinforced Foam)」を開発した。本材料は、新たに開発した炭素繊維シート基材を原料として、一般的なプレス成形により立体形状を成形することができ、高い曲げ剛性を、超軽量かつ高い生産性で実現できるため、今後、自動車・航空機を中心とした幅広い分野へ展開していく。また、三菱重工業㈱が製造する「Mitsubishi Regional Jet」(以下「MRJ」)向けに、炭素繊維複合材料(CFRP)を適用した尾翼部品(スパー、スキン・ストリンガーパネル、リブ)を開発・製作し、MRJ量産機用部品を初出荷した。

(5) 環境・エンジニアリング事業

情報通信材料・機器、炭素繊維複合材料に続く次の収益拡大の柱とするために、重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。水処理関連では、水中に含まれる汚れ成分の付着を抑制する耐汚れ性逆浸透(RO)膜について、高い脱塩性能及び透水性能を維持しながら、これまでよりも多様な汚れ成分の付着を抑制する基本技術の確立に成功した。本技術を用いた耐汚れ性RO膜は、これまで対策の難しかった汚れ成分を含む水の処理においても長期間安定して高品質のろ過水を提供できることから、より広範な地域の幅広い用途での利用が期待できる。アメニティー関連製品では、当社従来品の約2倍のろ過流量を実現した「時短・高除去」カートリッジを搭載した蛇口直結型浄水器「トレビーノ® カセッティ206SMX」を開発した。本製品は、JIS規格13項目除去の高い除去性能とおいしさはそのままに、ろ過時間を従来品の約半分にすることを可能とした。

(6) ライフサイエンス事業

重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。医薬分野では、特発性肺線維症を対象として㈱ボナックが創製した核酸医薬品に分類される化合物について、日本をテリトリーとしたライセンス契約を締結した。当社はライフイノベーション分野での事業拡大を意識した研究・技術開発力を強化する中、合成医薬と生物医薬の両面から創薬研究を行っている。今回の導入をきっかけとして核酸医薬への取り組みを拡大し、さらなる事業拡大につなげる。医療分野では、世界で初めての高周波を利用したバルーンによる発作性心房細動治療用カテーテル・アブレーションシステムとして開発した「SATAKE・HotBalloonカテーテル」、「SATAKE・HotBalloonジェネレータ」、「トレワルツ」について、厚生労働省より製造販売承認を取得した。今回の承認取得により、発作性心房細動患者の方々におけるカテーテル・アブレーション治療の新たな選択肢として、より安全で短時間での治療が可能となることが期待される。


上記セグメントに属さない基礎研究、基盤技術開発として、環境関連では、「全ての事業戦略の軸足を地球環境におき、持続可能な低炭素社会の実現に向けて貢献していく」という経営方針の下、革新電池部材の研究・技術開発を推進している。リチウムイオン電池については、当社が情報通信材料分野で長い研究・技術開発の歴史があり多くの知見を持つ、高強度・高弾性のポリイミドを適用し、電池の高容量化に対応するための負極バインダー用水溶性ポリイミドを開発した。また、燃料電池及び水電解装置の部材開発・製造・販売会社であるSolviCore GmbH & Co. KGを買収したことにより、当社の持つ製品や技術とのシナジーを発揮させ、燃料電池及びその関連分野での事業拡大を図る。

当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、588億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は427億円)である。セグメント別には、繊維事業に約9%、プラスチック・ケミカル事業に約14%、情報通信材料・機器事業に約19%、炭素繊維複合材料事業に約10%、環境・エンジニアリング事業に約4%、ライフサイエンス事業に約9%、本社研究・技術開発に約35%の研究開発費を投入した。
当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,607件、海外で3,357件、登録された件数は国内で518件、海外で1,215件である。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00873] S1007V4A)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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