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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R8P3 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 東京電力ホールディングス株式会社 事業等のリスク (2023年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。また、必ずしもこれに該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示している。
当社では、社長を統括責任者、最高リスク管理責任者をリスク運用・管理責任者とするリスク管理体制を整えており、各基幹事業会社の社長、リスク管理担当役員等と連携することにより、平時・リスク顕在化時における当社グループのリスク管理を統括している。取締役及び執行役は、当社及びグループ会社の事業活動に関するリスクを定期的に、また必要に応じて把握・評価し、毎年度の経営計画に適切に反映している。また、グループ全体のリスク管理が適切になされるよう社内規程を整備している。
当該リスクは、社内規程に従い、業務所管箇所が、職務執行の中で管理することを基本とし、複数の所管に関わる場合は、組織横断的な委員会などで審議の上、適切に管理している。
経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、執行役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、リスクの顕在化を予防するとともに、万一顕在化した場合には迅速かつ的確に対応することにより、経営に及ぼす影響を最小限に抑制している。加えて、従業員に対して、関係法令教育や社内規程・マニュアルの教育を定期的に実施している。
しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況にあり、以下のリスクが顕在化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。なお、各リスク項目の記載順序については、事業への影響度や発現可能性などを踏まえて判断した重要度に基づいている。
本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

①福島第一原子力発電所の廃炉
影響度特大発現可能性
想定されるリスク内容 当社では、「東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づき安全に最大限留意しつつ、着実に廃炉作業を進めているが、これまでに経験のない燃料デブリの取り出しなど、技術的に不透明かつ未解明な課題があり、30~40年後の廃止措置が計画通りに進捗しない可能性がある。
また、廃炉作業を進める上で、地域や社会の皆さまのご理解が必要だが、情報発信の不十分さやヒューマンエラー、トラブルの発生により、当社に対する地域や社会の皆さまからの信頼が得られず、着実な実施が困難となる可能性がある。
多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)は、政府の基本方針を踏まえ処分する予定だが、準備工事の遅延のほか、地域や社会の皆さまからのご理解が得られず、これを着実に実施できない可能性がある。
これらの廃炉の取り組みが円滑に進まず、工程がさらに長期に及ぶ場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
対応策廃炉作業は世界でも前例のない取り組みであり、今後の進むべき大きな目標である中長期ロードマップなどをベースに、徐々に得られる新たな情報や知見を踏まえ「廃炉中長期実行プラン」を策定している。
「復興と廃炉の両立」を通した「福島への責任を貫徹」を目指し、地域や社会の皆さまのご理解をいただきながら進めるべく、廃炉作業の進捗と今後の見通しについて、より丁寧にわかりやすくお伝えしていく。
今後も1号機原子炉格納容器内部調査や2号機燃料デブリ試験的取り出しなどを通し、新たな情報や知見を一つひとつ集め、「廃炉中長期実行プラン」を進捗や課題に応じて定期的に見直しながら、30~40年後の廃止措置終了に向け、安全に最大限留意しつつ、計画に基づき着実に対応を進めていく。
ALPS処理水希釈放出設備などの工事については、安全を最優先に進め、その状況を関係者や社会の皆さまに適時お伝えすることに加えて、自治体の安全確認、国際原子力機関のレビューなどに真摯に対応し、客観性・透明性を確保することで、国内外から信頼いただけるよう取り組んでいく。
また、風評影響を最大限抑制するための取り組みを強化・拡充するとともに、地域の皆さま、関係する皆さまのご意見などを丁寧に伺い、適宜対策を講じていく。
さらに、建屋屋根の補修や陸側遮水壁内側におけるフェーシングなど重層的な対策を講じ、また、局所的な建屋止水を進めるなどさらなる抑制対策により、汚染水の発生量の抑制を図っていく。



②電気の安定供給
影響度特大発現可能性
想定される
リスク内容
設備事故、燃料調達支障のほか、大規模自然災害、テロ・暴動などの妨害行為、感染症の発生などにより、安定供給を確保できなくなる可能性がある。また、その影響が長期、大規模に及ぶ可能性がある。
このような場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があるとともに、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
対応策 計画段階における需給の評価ならびに対応策については、国や電力広域的運営推進機関の議論を経て決定された内容を確認し、供給側の対策(kW公募など)ならびに需要側の対策(デマンドレスポンスなど)の需給両面で取り組んでいく。
日々の運用においては、週次で短期的な需給見通しの確認を行い需給ひっ迫の予兆把握に努める。
また、需給ひっ迫時に需給非常時対策を円滑かつ的確に実施するため、グループ大の需給非常時要項を適宜改定していく。
なお、需給ひっ迫時は、東京電力パワーグリッド株式会社の需給非常時対策の実施状況の確認を行うとともに需給ひっ迫状況に応じた体制の構築ならびに適切なタイミングでの情報発信により、広域的な停電を回避する。
自然災害の激甚化・広域化への対策としては、電力レジリエンスの強化を軸に据え、内閣府中央防災会議などの被害想定をベースとした設備の補強を促進している。設備事故の未然防止の観点からは、計画的かつ効率的に経年設備の更新を進めることで安定供給の維持に取り組んでいる。テロ・暴動などの妨害行為に対しては、関係機関との平時からの緊密な連携により備えている。被害軽減の観点からは、複数の送電系統を連携する設備の多重化により、設備の故障時に停電範囲や停電時間を極小化する取り組みを進めるとともに、被災設備の早期復旧に向けては、デジタル技術の積極的活用や、分散型電源として蓄電池・電動車両なども活用した電力供給手段の多様化、復旧資機材の確保や当社グループ一体での災害対応体制の整備、各種ハザードを想定した社内訓練や海上・陸上自衛隊、さらには国・自治体・一般送配電事業者などの関係者との連携・協働の強化などを図っている。
燃料調達リスクに対しても、引き続き、株式会社JERAにおいて燃料ポートフォリオの柔軟性やJERA Global Marketsによる燃料トレーディングを活用し、可能な限り安定的かつ柔軟な燃料調達に努めていくとともに、当社として株式会社JERAのモニタリングに努めていく。
また、感染症対策については、基本的な感染対策の徹底やテレワーク・時差出勤の活用により社員の健康と安全を確保するとともに、感染症拡大に伴う社会動向についても注視しながら必要な対応を適切に実施していく。


③原子力発電・原子燃料サイクル
影響度特大発現可能性
想定される
リスク内容
国による原子力政策の見直しや原子力規制委員会による安全規制の見直しなどにより、当社グループの原子力発電事業や原子燃料サイクル事業の運営は影響を受ける可能性があるとともに、当社グループの業績及び財政状態も影響を受ける可能性がある。
原子力発電は、カーボンニュートラル実現に加え、低廉で安定的な電力の供給、レジリエンス強化の観点からも重要な電源であり、二度と過酷事故を起こさないという決意のもと、安全対策の強化や組織の改革に取り組んでいる。しかしながら、2020年度に発生した核物質防護に関する事案や安全対策工事未完了問題などにより、現場での工事や検査といった技術的な対応が長期化したり、立地地域をはじめ広く社会の皆さまからの信頼回復が進まなかった場合、原子力発電の再稼働の見通しが立たず、火力燃料費の増加や不要となる核燃料資産の発生、発電設備の資産性の評価などにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。
使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処分、原子力発電施設などの解体のバックエンド事業については、多額の資金と長期にわたる事業期間が必要になるが、その処理が滞ることなく適切に実施されるよう制度措置がされている。具体的には、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分については、それに要する費用を拠出する制度が、また、原子力発電施設などの解体については、それに要する費用を引当金として積み立てる制度が措置されている。こうした国による制度措置などによりバックエンド事業に関する不確実性は低減されているが、制度措置などの見直しや制度外の将来費用の見積額の増加、日本原燃株式会社の六ケ所再処理施設などの稼働状況、同ウラン濃縮施設に係る廃止措置のあり方などにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。
対応策 原子力発電に関しては、発電所の喫緊の課題である核物質防護機能の強化のため、2021年9月に原子力規制委員会へ提出した改善措置計画を着実に遂行している。具体的には、不正侵入・誤許可防止のため複数の生体認証装置の導入や、経営層のリーダーシップのもと核物質防護業務の改善を推進する体制の構築などを実施しており、外部人材の登用を含む人的リソースの拡充や、設備対策へのさらなるリソースの投入により、持続的な核セキュリティ向上を図っていく。
さらに、本社機能の一部を発電所の立地する新潟県柏崎市へと移転し、本社と発電所の一体的な運営により、現場重視・地域共生の事業運営を進めている。
バックエンド事業に関しては、国の政策や関連する制度措置に則って適切に対応していくことで不確実性の低減を図るとともに、今後の政策、制度の動向を注視していく。また、六ケ所再処理事業やウラン濃縮事業などの原子燃料サイクル事業の推進に協力していく。
高レベル廃棄物の最終処分については、当社は、廃棄物の発生者として基本的な責任を有する立場から、お問い合わせ窓口を設置するなど、国や原子力発電環境整備機構(NUMO)と連携しながら、地層処分の実現に向け、理解活動に積極的に取り組んでいる。


④販売電力量・販売価格・電源調達費用
影響度特大発現可能性
想定される
リスク内容
販売電力量は、気温や天候の影響、経済活動、生産活動に加え、節電や省エネルギー、カーボンニュートラル社会の実現に向けた対応など政策面、さらに小売市場の競争状況などの影響を受ける。また、販売価格及び収益については、小売市場の競争状況による影響を受ける可能性がある。
加えて、電源調達費用は、燃料市場や卸電力取引所における取引動向や外国為替相場の影響を受ける可能性があり、これらにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。
ただし、一定の範囲内の燃料価格・外国為替相場・卸電力市場価格の変動については、「燃料費調整制度」及び、「燃料費等調整制度」により、業績への影響は緩和される。
対応策 ウクライナ情勢などに伴う燃料価格・卸電力市場価格の高騰や電源調達構造の変化により当社グループの財務状態に影響を与えている。
そのため、「特別高圧・高圧」のお客さまを対象に2023年4月以降に販売価格の見直しを順次実施していく。また、「低圧」のお客さまに関しても、規制料金の値上げについて2023年5月19日に経済産業大臣の認可を受け、2023年6月1日より値上げをさせていただくとともに、低圧自由料金についても2023年7月1日から見直しをさせていただく。販売価格の見直しにあたっては、徹底した経営効率化に取り組むとともに、省エネプログラムの充実や、販売価格算定における原子力発電の再稼動の一部織り込みによる卸電力市場価格などの影響幅の圧縮なども実施し、お客さまのご負担を軽減しつつ、当社グループの財政状態の改善を図っていく。
併せて、電源調達費用については、電力デリバティブを活用したヘッジ取引の導入などによりリスクを適切に管理しつつ、調達先の拡大などによりコスト削減を進め、競争力の高い電源ポートフォリオを構築していく。
加えて、カーボンニュートラルの潮流や燃料国際市況の価格変動性の高さを踏まえ、地産地消型設備サービスという新たな事業モデルへの変革を進めることで、お客さまや社会の要請にお応えしながら、燃料価格などの影響を抑えて安定的な利益を確保していくことを目指していく。

⑤お客さまサービス
影響度大-特大発現可能性
想定される
リスク内容
法令に反するお客さま応対などにより、お客さまからの当社グループ及び当社が提供するサービスへの満足度や社会的信用が大きく低下し、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
対応策当社グループは、2021年7月に新たな経営理念を定め、その下で四次総特に示す具体的戦略の実現に向けて、お客さまのために変革を恐れず挑戦する新たな企業文化を確立し、信頼され、選ばれ続ける企業になることを目指している。
販売活動などを担う東京電力エナジーパートナー株式会社においては、お客さまサービスの向上のために、実務に即した研修・教育や応対スクリプトの整備などを行うとともに、電話・訪問の機会を通じて収集した「お客さまの声」を業務改善に活かし、主な改善事例をホームページに掲載している。
また、四半期に1回開催している東京電力エナジーパートナー株式会社社長を委員長、弁護士及び消費者団体役員を社外委員とする営業品質管理委員会において、過去に受けた行政処分などの再発防止などの実施状況の確認や、サービス内容の説明動画の活用、申込書を分かりやすく改良するなど、営業品質向上と同時に不適切事例の発生防止に向けた各種取り組みを社内横断的に評価し、改善方針の立案を行っている。さらに、CX向上室が各部署の改善の取り組みに対する支援と牽制の役割を担い、不適切事例の発生防止に努めている。


⑥火力発電用燃料価格
影響度大-特大発現可能性
想定される
リスク内容
LNG、原油、石炭などの価格は、燃料国際市況や外国為替相場の動向などにより変動し、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。特にウクライナ情勢などを受けた全世界的な燃料価格の高騰により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。
対応策 株式会社JERAにおいて、世界最大級の調達規模を梃子に構築している価格競争力、価格変動リスク対応力に優れた燃料ポートフォリオ、JERA Global Marketsによる燃料トレーディング及び先物市場におけるヘッジの活用などにより燃料価格変動に伴うリスク対応に努めていく。

⑦電気事業制度・エネルギー政策変更
影響度大-特大発現可能性
想定される
リスク内容
電気事業における制度変更を含めたエネルギー政策の見直し、地球温暖化に関する環境規制の強化など、事業を進めていく上での政策面での変化への対応により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。
対応策 エネルギー政策や電気事業に係る制度、環境規制に関する動向など必要な情報を幅広く、積極的に収集し、関係箇所で連携しながら様々な場を通じて当社グループの考え方を説明するとともに、必要な対応を実施していく。

⑧安全確保・品質管理・環境汚染防止
影響度大-特大発現可能性中-高
想定される
リスク内容
当社グループは、あらゆる事業、部門、事業所において、安全確保、品質管理、環境汚染防止に加え、それらの状況について透明性・信頼性の高い情報公開の徹底に努めているが、作業ミス、法令・社内ルール違反などによる事故や人身災害、大規模な環境汚染の発生、不適切な広報・情報公開により、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
対応策 当社グループは、企業の社会的責任を果たすため「東京電力グループ企業行動憲章」を制定し、そのもとで、安全の最優先と企業倫理の徹底による法令やルールの遵守、誠実な行動を一体となって取り組んでいる。
事業活動のあらゆる場面において安全を最優先に掲げ、安全管理の取り組みについて、法令の遵守及び安全活動に実効性があるルール・施策を策定・展開し、継続的に評価・改善している。
品質管理や環境管理についても、規程・マニュアルなどにより遵守すべきルールを定め徹底するとともに、内部監査などによりその遵守状況を確認し、必要な改善を適宜実施している。
特に、原子力事業は、管理者が現場における設備・人の状況を定期的に確認・改善するなど、現地現物を重視した安全・品質の向上に取り組んでいる。また、外部専門家による指導・助言なども踏まえて、取り組みを継続的に改善していく。
情報公開については、お客さまや地域、社会の皆さまに必要な情報が正確に迅速に伝わることを意識して取り組んでいる。


⑨企業倫理遵守
影響度大-特大発現可能性中-高
想定される
リスク内容
当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取り組みに努めているが、法令違反などの企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループへの社会的信用が低下するなど、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
また、原子力事業においては、安全文化醸成の方針のもと、従事者に具体的に求められる行動を明確化し、一人ひとりが実践できるよう教育や対話活動などに取り組んでいる。しかしながら、これらの取り組みが不十分な場合には、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
対応策 「東京電力グループ企業行動憲章」及び「東京電力グループ企業倫理遵守に関する行動基準」を定め、会社としての方向性や役員・従業員が遵守すべき具体的行動を明確にするとともに、社長を委員長とし社外有識者を含めた委員で構成する東京電力グループ企業倫理委員会を設置し、企業倫理の定着を図るための諸施策の審議・決定及びその実践状況について指導・助言を受け、組織毎に企業倫理責任者・企業倫理担当者を配置することにより、東京電力グループ一体となった定着活動を実施している。
また、定期的に実施する意識調査において定着度合いを確認し、その結果を踏まえ、今後の活動方針を決定している。さらに、東京電力グループ大で利用できる企業倫理相談窓口を社内外に設置し、グループ全体で企業倫理に反する行為の未然防止を図っている。
原子力事業においては、柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護事案などを受け、経営層による所員との対話活動や対話活動などから得られた意見に基づいた「柏崎刈羽原子力発電所の志」の作成や外部人材の登用等の施策により、内部コミュニケーションや所員のモチベーションの改善を行い、地域の皆さまから信頼される発電所を実現するための取り組みを継続して行っている。

⑩情報管理・セキュリティ
影響度大-特大発現可能性
想定される
リスク内容
当社グループは、大量のお客さま情報をはじめ、業務上の重要な情報を保有している。社内規程の整備や、社員教育などを通じ情報の厳正な管理に留意しているが、サイバー事案やヒューマンエラーなどにより、これらの情報の流出などが発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
対応策 高度化、巧妙化するサイバー事案に対処するため、防御対策、常時監視、対応・復旧訓練などあらゆる手段を用いてセキュリティ強化に努めている。
また、お客さま情報の保護は特に重要であると認識しており、外部記憶媒体への情報書き出しを制限するなどのシステム上の対策を実施するとともに、情報流出などによって生じるお客さまや社会への影響について社員へ教育・啓発している。

⑪資材調達
影響度発現可能性
想定される
リスク内容
大規模災害の発生や感染症の蔓延、国際紛争、米中摩擦などの影響によるサプライチェーンの混乱により、調達コストの高騰や計画的な調達が阻害され、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
特に昨今のウクライナ情勢などの地政学問題、半導体不足や新型コロナウイルス蔓延時の工場稼働停止などに起因する納品の遅れや製造不能は、電力の安定供給に支障をきたす可能性がある。
また、当社のサプライチェーンにおいて当社グループまたは調達先が万が一、環境破壊や人権侵害に加担していたことが判明した場合、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
対応策 サプライチェーンの持続的な確保に向けて、調達先については、取引先登録制度を採用し、あらかじめ適格性を担保するとともに、競争と共創拡大の方針のもと、調達先の多様化を図っている。半導体不足などの資材の納品遅れや製造不能の発生については、早期発注に加え、代替品の検討や在庫管理の徹底と工程調整による欠品リスクの回避などで対処している。
また、昨今の環境問題・人権問題への社会的関心の高まりや、その重要性に鑑みて、「東京電力グループ調達基本方針」を改定し、調達先に対して「サステナブル調達ガイドライン」を新たに示し、環境や人権問題に対する取り組み状況の確認や対話を通じた信頼関係の構築などを行うことで、サプライチェーン全体での持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいる。

⑫気候変動等に関する取り組み
影響度発現可能性
想定される
リスク内容
当社グループは、「販売電力由来のCO2排出量を2013年度比で2030年度に50%削減」「2050年におけるエネルギー供給由来のCO2排出実質ゼロ」という目標を宣言し、カーボンニュートラル社会の実現に挑戦しているが、成長志向型カーボンプライシングを含むGX推進法の成立などCO2に関する規制の強化や、需要側での太陽光や蓄電池などの自家発電・自家消費、地産地消の広がりによる販売電力量の低下などにより、当社グループの業績、財政状態及び事業運営、企業イメージに影響を及ぼす可能性がある。
また、ESGに関する投資家の行動変容などにより、当社グループの資金調達や株価に影響を及ぼす可能性がある。
対応策 当社グループの目標達成に向けては、長期的な安定供給とCO2削減を両立させつつ、ビジネスの軸を「カーボンニュートラル」にシフトし、当社グループ一体となり再エネ電源などのゼロエミッション電源の開発とエネルギー需要の電化促進の両輪での取り組みを展開していく。
今後の規制強化に対しては、GX推進法などの温暖化対策に関する制度設計など必要な情報を幅広く・積極的に収集し、関係箇所で連携しながら様々な場を通じて当社グループの考え方を説明するとともに、必要な対応を実施していく。
また、大規模電源・大量送電から、自家発電・自家消費といった地産地消型の社会への移行に対しては、これまでの電気(kWh)の販売事業から、お客さまに密着した設備サービス事業にビジネスモデルの軸を大胆にシフトし、新たな事業を社会・コミュニティなどの「まち」単位で、面的に拡大して取り組みを進めていく。ビジネスモデルの変革にあたっては、設備サービス・アグリゲーション事業の全国展開を最重点分野としアライアンスを進めていく。
ESGに関する投資家の行動変容に対しては、ESG委員会やESG担当役員の設置など世界的なESGの潮流を経営に取り込む体制を整備し、ESG課題の抽出と社内改革などの対策、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に則ったESG情報開示を充実するとともに、カーボンニュートラルロードマップに記載した取り組み事項を着実に実施していき、株主・投資家の皆さまとのエンゲージメントを通じて当社事業や取り組みに対する理解を深めていく。

⑬金融市場の動向
影響度発現可能性
想定される
リスク内容
企業年金資産などにおいて保有している国内外の株式や債券は、株式市況や債券市況などにより時価が変動することから、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。また、支払利息に関しては、今後の金利動向などにより影響を受けることがある。
対応策 企業年金資産の分散投資や、確定拠出年金制度の導入による退職給付債務の削減を通じて、当社グループ全体での財務リスクの軽減を図り、業績への影響緩和に努めている。
また、支払利息に関しては、固定金利の社債発行で資金調達を実施するなど、金利変動リスクの低減に努めている。

⑭四次総特に基づく経営改革
影響度発現可能性中-高
想定される
リスク内容
当社グループは、福島への責任を果たしていくため、賠償・廃炉の資金確保や企業価値の向上を目指して、生産性改革、再編・統合を含めた連携などの推進及び事業基盤の強化などの非連続の経営改革に取り組んでいくとともに、原子力発電所を運営する主体として、地域の皆さまをはじめ広く社会の皆さまからの信頼回復の取り組みを最優先事項として位置付け、抜本的な改革に取り組んでいくが、信頼回復が十分に進まず、経営改革が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
対応策 四次総特に基づく経営改革を実現していくために、責任者・期限・達成すべき内容などをアクションプランとして作成し、取り組みを進めている。また、各アクションプランの進捗状況については重要度に応じたモニタリングを実施し、PDCAを回すことで計画を達成していく。
地域の皆さまをはじめ広く社会の皆さまからの信頼回復に向けて、経営層を含む組織全体で自己の弱点・課題を認識し、自律的に改善が進む組織になるよう原子力をはじめ経営改革を着実に進めるとともに、カイゼンを基軸とした生産性改革などによる経営合理化や、カーボンニュートラルや防災を軸とした新たな価値の提供などにより、企業価値の向上を実現していく。

⑮機構による当社株式の引き受け
影響度発現可能性中-高
想定される
リスク内容
当社は、2012年7月31日に機構を割当先とする優先株式(A種優先株式及びB種優先株式。以下A種優先株式及びB種優先株式をあわせて「本優先株式」という。)を発行しました。A種優先株式には、株主総会における議決権のほか、B種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。また、B種優先株式には、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会における議決権は付されていないが、A種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。
機構は、本優先株式の引受けにより総議決権の2分の1超を保有しており、株主総会における議決権行使などにより、当社グループの事業運営に影響が生じる可能性がある。今後、機構によりB種優先株式のA種優先株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合、又は本優先株式について、普通株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合には、既存株式の希釈化が進む可能性がある。特に、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、既存株式の希釈化が進む結果として、持株会社である当社の株価が下落する可能性があるほか、当該普通株式を機構が市場売却した場合には、売却時の市場環境などによっては、さらに持株会社である当社の株価に影響を及ぼす可能性がある。
対応策当社グループ一体となって福島への責任貫徹を第一に、社会からの信頼回復、企業価値向上に向けて、引き続き最大限の努力を行っていく。



⑯電気事業以外の事業
影響度発現可能性
想定される
リスク内容
当社グループは、四次総特の目標利益を達成するため、アセットサービス・アグリゲーション事業や次世代まちづくりなど電気事業以外の事業を推進していく。これらの事業は、当社グループの経営状況の変化、お客さまニーズの変化、他事業者との競合の進展、規制の強化、外国為替相場や燃料国際市況その他の経済状況の変動、政情不安、制度変更、自然災害、その他の変動要因により、投融資時点で想定した結果をもたらさない可能性がある。この場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。
対応策 新たな事業領域への投資などについては、四次総特における事業ポートフォリオの戦略に基づき、一定の経営資源の範囲内で優先順位付けを行い実施している。個別のプロジェクトの投資判断については、予め設定したハードルレート基準に従い、投資管理委員会においてプロジェクトの収益性や戦略性などを評価し投資判断を行っている。事業開始後のプロジェクトについては定期的にモニタリングを行っており、不採算の事業は撤退・縮小するなど、選択と集中を行い投資パフォーマンスの向上を図っている。

従業員の状況研究開発活動


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