有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007ZTH
東武鉄道株式会社 業績等の概要 (2016年3月期)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢に改善が見られ、景気は緩やかな回復基調にありましたが、個人消費や住宅建設に力強さが見られないなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。このような情勢下にありまして、当社グループでは、安全・安心を根幹に、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指す「東武グループ経営方針」のもと、「東武グループ中期経営計画2014~2016」にもとづき、将来にわたる持続的成長に向けて、訪日外国人観光客向けサービスの拡充をはじめ交流人口の創出に努めるなど、各事業において経営基盤の強化に取り組みました。
当期の連結業績は、営業収益は574,334百万円(前期比1.5%減)、営業利益は64,399百万円(前期比21.1%増)、経常利益は56,006百万円(前期比21.4%増)となったものの、昨年9月における大雨災害の復旧費用を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は27,277百万円(前期比11.0%減)となりました。
セグメント情報の業績を示すと、次のとおりであります。
なお、各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。また、各セグメントの営業成績のうち「調整額」は内部取引消去額を表しております。
(運輸事業)
鉄道業におきまして、当社では、安全を最優先に、より多くのお客様にご利用いただけるよう、様々な取り組みを進めております。安全輸送面では、さらなる安全性向上をはかるため、「東上線新運転保安システム」について、前期の川越市~小川町間に続き、池袋~川越市間においても導入いたしました。ホーム上の安全対策としては、和光市駅の東上線側ホームにおいてもホームドア(可動式ホーム柵)の使用を開始いたしました。また、竹ノ塚駅付近や清水公園~梅郷間の高架化工事を進めたほか、大規模災害に備えた防災対策工事として高架橋耐震補強工事等を推進いたしました。さらに、沿線の消防や警察等と連携した避難誘導訓練やテロ対応合同訓練、また大規模地震に備えた列車の一旦停止訓練等、従業員に対して安全に関する様々な教育を継続して実施いたしました。なお、関東・東北豪雨の際には、9月9日から10日にかけて複数の路線において橋桁流出等の被災をいたしましたが、輸送の安全に万全を期し、お客様の安全を確保いたしました。さらに、公共交通機関の担い手としての使命のもと、運休区間において代行バスによる輸送を速やかに確保するとともに、復旧作業を進め10月7日までに全線にて運転を再開いたしました。
営業面では、東武アーバンパークラインおよび東上線においてダイヤ改正を実施いたしました。東武アーバンパークラインでは、沿線価値の向上を目的に、大宮~春日部間において急行列車の運行を新たに開始いたしました。東上線では、座席定員制列車「TJライナー」について、朝の通勤時間帯に上り(池袋行き)の運行を新たに開始するとともに、深夜時間帯に下りの運行を増やすことでお客様の利便性向上と増収に努めました。また、日中時間帯を中心に、東京メトロ副都心線・東急東横線・横浜高速みなとみらい線直通列車について、東上線内の急行運転を開始し、東京副都心や横浜方面への速達性を向上いたしました。交流人口の創出に向けた取り組みとしては、日光東照宮四百年式年大祭を記念し、特別塗装列車「日光詣スペーシア」の運行等を実施したほか、外国人観光客向けサービス拡充策として、駅ならびに特急「スペーシア」および特急「りょうもう」の車内において、無料でインターネットをご利用いただける公衆無線LANサービス「TOBU FREE Wi-Fi」の提供を順次推進しております。さらに、日本と台湾との間における観光交流人口の増加を見据えて、台湾鉄路管理局と友好鉄道協定を締結し、台北駅構内に当社沿線のPRコーナーを設置するなど誘客に努めました。そのほか、日光・鬼怒川地区等沿線観光地の活力創出を目的として、2017年度を目途に約50年ぶりの蒸気機関車(SL)の復活運転に向けた取り組みを進めており、乗務員等の養成を開始いたしました。
バス・タクシー業におきまして、東武バスウエスト㈱では、ふじみ野駅、志木駅からそれぞれ大型ショッピングモールを結ぶ2路線を新設いたしました。また、東武バスセントラル㈱および東武バスウエスト㈱では、「スカイツリーシャトル®お台場線」の運行を開始いたしました。
運輸事業全体としては、営業収益は216,631百万円(前期比2.2%増)となり、さらに原油価格下落にともなうバス・タクシー業等における燃料費低減効果もあり営業利益は37,649百万円(前期比21.7%増)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
鉄道業 | 161,462 | 1.7 |
バス・タクシー業 | 32,673 | 1.8 |
貨物運送業 | 23,542 | 6.3 |
小計 | 217,679 | 2.2 |
調整額 | △1,047 | ― |
営業収益計 | 216,631 | 2.2 |
(提出会社の鉄道業成績)
種別 | 単位 | 第195期 | 第196期 | |
(自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) | (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) | |||
営業日数 | 日 | 365 | 366 | |
営業キロ | キロ | 463.3 | 463.3 | |
客車走行キロ | 千キロ | 268,555 | 268,522 | |
定期 | 千人 | 576,266 | 588,349 | |
輸送人員 | 定期外 | 〃 | 308,781 | 315,411 |
計 | 〃 | 885,047 | 903,760 | |
定期 | 百万円 | 64,534 | 65,754 | |
旅客収入 | 定期外 | 〃 | 77,676 | 79,033 |
計 | 〃 | 142,210 | 144,787 | |
運輸雑収 | 〃 | 15,403 | 15,107 | |
収入合計 | 〃 | 157,613 | 159,894 | |
1日平均収入 | 〃 | 431 | 436 | |
乗車効率 | % | 32.7 | 33.3 |
(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)÷(客車走行キロ×平均定員)×100
乗車効率とは、客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。
(レジャー事業)
スカイツリー業におきまして、「東京スカイツリー®」では、映画「スター・ウォーズ」最新作の公開を記念した特別企画の開催や、夜間の天望デッキ®において、窓ガラスを巨大スクリーンに仕立て迫力ある映像を投影する新しい演出空間「SKYTREE ROUND THEATER™(スカイツリー ラウンド シアター)」をオープンするなど、魅力向上による集客力強化をはかりました。また、強風時における営業継続が可能となるよう、天望シャトル(エレベーター)の改修工事を進め、当期においては計2基の改修を完成させました。旅行業におきまして、東武トップツアーズ㈱では、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と「東京2020スポンサーシッププログラム」において東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会オフィシャル旅行サービスパートナーとして契約を締結いたしました。また、訪日旅行者数の伸長が顕著であるタイに現地法人を開設することで、当社沿線およびグループ施設のPRをはじめ、外国人観光客の訪日旅行に対する営業強化をはかりました。
ホテル業におきまして、外国人宿泊客のさらなる取り込みをはかるため、「コートヤード・マリオット銀座東武ホテル」では、欧米からのビジネス客のニーズに、また、「成田東武ホテルエアポート」では、アジアからの家族旅行客のニーズに応じて、客室の一部リニューアルを実施し、増収に努めました。
遊園地・観光業におきまして、「東武動物公園」では、昨年生まれたホワイトタイガーの赤ちゃんの一般公開を開始したほか、ヒグマの生き生きとした様子をご覧いただける生態展示型施設「ヒグマの森」をオープンいたしました。「東武ワールドスクウェア」では、新たなミニチュア展示物「台北101」を展示するとともに、台湾との相互誘客イベントを開催するなど積極的な活動が評価され、台湾交通部観光局より「台湾観光貢献賞」を受賞いたしました。
レジャー事業全体としては、東京スカイツリーのエレベーター改修工事による影響もあり、営業収益は79,006百万円(前期比0.8%減)となったものの、ホテル業における増収による増益のほか、飲食業をはじめとして経営の効率化に努めたことにより、営業利益は8,208百万円(前期比2.6%増)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
遊園地・観光業 | 5,254 | 5.8 |
スポーツ業 | 11,722 | △6.3 |
旅行業 | 22,026 | 5.4 |
ホテル業 | 17,091 | 1.8 |
飲食業 | 9,776 | △2.5 |
スカイツリー業 | 15,110 | △8.4 |
小計 | 80,981 | △0.9 |
調整額 | △1,975 | ― |
営業収益計 | 79,006 | △0.8 |
(不動産事業)
スカイツリータウン業におきまして、「東京ソラマチ®」では、「春節ショッピングキャンペーン」を開催したほか免税対応店舗を増やすなど、外国人観光客の誘客と増収に努めました。不動産賃貸業におきまして、当社では、保有資産の有効活用による長期的かつ安定的な収益確保を目的に、東武豊洲ビルをデータセンターとして建て替え、新たに賃貸を開始いたしました。また、駅および周辺施設の充実と増収を目的に、成増駅の駅ビルおよび橋上店舗を一体的に改修し、「EQUiA(エキア)成増」としてリニューアルオープンいたしました。そのほか、子育て世代のご家族が住みやすい環境を整備するため、高架下等の駅近くへ保育施設の誘致を積極的に進め、当社沿線に誘致した保育施設は、2016年4月1日現在で合計12か所となりました。
不動産分譲業におきまして、当社では、沿線価値向上と沿線定住人口増加を目的として、「ソライエ柏豊四季」(柏市豊四季)等の分譲マンション、「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」(野田市清水公園東)等の分譲戸建住宅および東松山市あずま町等の土地を販売いたしました。そのほか、沿線への人口流入促進策として、シニア世帯が所有する住宅を借り上げ、子育て世帯に貸し出す「住みかえ支援事業」を開始いたしました。
不動産事業全体としては、マンション販売戸数の縮小等により、営業収益は54,505百万円(前期比4.1%減)となったものの、前期に行った分譲土地の評価減の反動により、営業利益は14,002百万円(前期比47.2%増)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
不動産賃貸業 | 33,741 | △1.7 |
不動産分譲業 | 8,361 | △16.1 |
スカイツリータウン業 | 12,753 | △1.5 |
小計 | 54,857 | △4.2 |
調整額 | △352 | ― |
営業収益計 | 54,505 | △4.1 |
(流通事業)
流通業におきまして、㈱東武百貨店では、池袋店において、より多くのお客様にご来店いただけるよう、「Good Restaurants ~食べたいものが必ず見つかる池袋のメインダイニング~」をコンセプトに、11階から15階までのレストラン街について全面改装を行い、都内百貨店最大級となる46店舗を揃えたレストラン街へとリニューアルいたしました。また、㈱東武宇都宮百貨店では、宇都宮店、大田原店および栃木市役所店において、共同で「栃木県縦断ウルトラバーゲン」を開催し、県内全域での誘客強化に取り組みました。東武商事㈱では、柏駅構内等3か所でコンビニエンスストアをオープンし、増収に努めました。流通事業全体としては、消費税増税後から続く個人消費の伸び悩みにより、営業収益は199,442百万円(前期比2.7%減)、営業利益は395百万円(前期比37.6%減)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
流通業 | 199,442 | △2.7 |
調整額 | ― | ― |
営業収益計 | 199,442 | △2.7 |
(その他事業)
建設業におきまして、東武緑地㈱では、柏市においてショッピングモールの造園工事を完成させました。また、東武谷内田建設㈱では、墨田区において美術館の建設工事を進めたほか、東武建設㈱では、宇都宮市において複合ビルの建設工事を受注いたしました。そのほか、東武ビルマネジメント㈱では、壬生町において大学施設の清掃および設備管理業務を受注し、増収に努めました。
その他事業全体としては、連結子会社の一部において原油価格の下落にともなう販売額の減少等もあり、営業収益は91,027百万円(前期比4.8%減)、営業利益は5,235百万円(前期比11.4%増)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
建設業 | 55,447 | △4.3 |
その他業 | 36,743 | △5.9 |
小計 | 92,190 | △5.0 |
調整額 | △1,162 | ― |
営業収益計 | 91,027 | △4.8 |
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,406百万円増加し32,477百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、税金等調整前当期純利益46,580百万円に減価償却費52,912百万円等を加減算した結果78,114百万円となり、前連結会計年度と比べて16,710百万円の資金流入の減少となりました。これは、主に棚卸資産の減少等によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は63,593百万円となり、前連結会計年度と比べて79,309百万円の資金流出の減少となりました。これは、主に有形及び無形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は12,102百万円となり、前連結会計年度と比べて58,932百万円の資金流出の増加となりました。これは、主に短期及び長期借入金の純増減額が減少したこと等によるものです。- 有価証券報告書 抜粋メニュー
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