有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1001YBD
東洋エンジニアリング株式会社 業績等の概要 (2014年3月期)
(1) 業績
当連結会計年度における日本経済は、政府の経済・金融政策により年度後半にかけて円高是正と株価上昇が進み、企業収益および雇用情勢の改善が見られ、また、消費税率引上げに伴う駆け込み需要による生産・個人消費の増加などにより、景気は緩やかな回復傾向が見られました。世界経済は、先進国が回復軌道にあり、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。一方で、新興国経済の減速懸念、ウクライナ情勢等の地政学的リスク、欧州債務問題の継続、米国の金融緩和縮小の影響により、日本経済、世界経済ともに先行きは、未だ不透明な状況が続いております。当社グループの事業分野の中核であるプラント市場は、国内では、緩やかな景気回復が見られるものの、プラント関係の設備投資が回復するまでには至っておりません。海外では、米州において、米国、カナダで、シェールガスを利用したエネルギー、ガス化学、化学肥料の各分野の設備投資が計画され、また、ブラジルでは深海油田・ガス田等のエネルギー開発投資が引き続き活発になされております。インド、ロシア・CISおよびインドネシアなど東南アジア地域においては、エネルギー、素材、食糧、水の需要拡大を背景としたプラント建設のニーズが高い状況が継続しております。中東地域においては、引き続き高い油価を背景とした設備投資がなされ、イラクでは大規模な資源開発が計画されております。海外のプラント市場は、概ね良好であると言えますが、一方で、ウクライナ情勢をめぐる欧米諸国によるロシア制裁の動きや、米国の金融緩和縮小が与える新興国経済への影響が懸念され、また、中国コントラクターの大型石油化学案件への本格参入も見られ、当社グループの経営環境は予断を許さない状況が続いております。
こうした状況の中、当社グループは、中期経営計画「NEXT TOYO 2015」の下、グループ一体となった営業活動およびプロジェクトの遂行に努めました。
その結果、受注については、インドネシア向けエチレン製造設備能力増強、エジプト向けポリエチレン製造設備、インド向けLNG(液化天然ガス)再ガス化設備、ブラジル向けアンモニア製造設備、トルクメニスタン向け大型ガス化学コンプレックスなどの案件を受注しました。また、米国におけるシェールガス関連の案件として、エチレン製造設備詳細設計業務およびポリエチレン製造設備基本設計業務を受注しました。カナダでは、カナダ市場進出以来の念願であった本格的EPC(設計・調達・建設)案件として、トーヨー・エンジニアリング・カナダ・リミテッドがオイルサンド処理設備を受注しました。いずれも、当社とグループ拠点とのグループオペレーション体制によって案件獲得に至ったものであります。その他、当社および国内外の子会社が独自に受注した分を含め、当連結会計年度における受注高は過去最高の3,651億円(前連結会計年度比25.7%増)となりました。
業績については、インドネシア向け化学肥料製造設備、ブラジル向けコンペルジェ製油所ユーティリティ設備、ロシア向け製油所近代化等のプロジェクトの進捗に伴い、当連結会計年度における売上高(完成工事高)は2,301億円(前連結会計年度比0.6%増)となりました。収支面では、上半期の決算においてインドネシア向け化学肥料製造設備プロジェクトにおけるグループ拠点の損失拡大などによる営業損失44億円を計上しましたが、現地への当社役員・エンジニアの派遣やプロジェクト管理の強化など必要な対策を講じ、収益の改善に努力した結果、当連結会計年度における営業利益は4億円(前連結会計年度比71.4%減)、経常利益は持分法適用会社の利益貢献などにより49億円(前連結会計年度比22.6%増)、当期純利益は9億円(前連結会計年度比33.6%減)となりました。期初に掲げた収支目標を大きく下回る業績となったことは、経営として誠に遺憾であり、来期以降の収益改善に努める所存です。
当社単独の業績については、売上高1,476億円(前年度比9.6%減)、営業利益54億円(前年度比12.7%減)、経常利益86億円(前年度比7.5%減)、当期純損失25億円(前年度は当期純利益43億円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
セグメント別の業績
(EPC事業)
EPC(設計・調達・建設)事業では、中期経営計画の下、当社グループの事業の中核であるエネルギー(石油・ガス)、石油化学、化学肥料を「従来事業」と位置付け、この事業領域において、グループオペレーション体制の拡充を推進し競争優位性の向上に取り組んでおります。また、前掲のインドネシアプロジェクトで認識された課題をフィードバックし、より確実なプロジェクトの遂行とグループ一体となった積極的な営業活動に努めております。一方で、より付加価値の高い上流の事業・業務分野への拡大を図る「強化事業」では、石油・ガス開発向け包括技術サービス、FPSO(浮体式海洋石油生産・貯蔵・積出設備)、LNG(液化天然ガス)といった資源エネルギー開発分野、および、発電、水、交通といった社会インフラ分野において事業拡大に向け注力しております。更に、中長期的な事業展開を見据えた「育成事業」では、資源エネルギー開発分野や社会インフラ分野における投資や施設運営への事業参画に向けて取り組みを継続しております。以上の取り組みの下、EPC事業の業績は、売上高2,159億円(前連結会計年度比0.2%増)、営業損失8億円(前連結会計年度は営業利益2億円)となりました。
(IT事業)
東洋ビジネスエンジニアリング株式会社において、他社開発ERPパッケージ製品を基に展開するソリューション事業および自社の独自開発ERPパッケージ製品に基づくプロダクト事業が進捗したことにより、売上高120億円(前連結会計年度比9.7%増)、営業利益4億円(前連結会計年度比31.4%増)となりました。(不動産賃貸・管理事業)
株式会社テックエステートにおける千葉県習志野市商業施設賃貸事業や、その他住宅賃貸・管理事業などの事業収入を基盤として、売上高20億円(前連結会計年度比7.3%減)、営業利益9億円(前連結会計年度比6.9%減)となりました。(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します)は、営業活動による資金増加212億円、投資活動による資金減少16億円、財務活動による資金増加31億円などにより、前連結会計年度末に比べ252億円増加し、969億円となりました。なお、これにはジョイントベンチャーでの工事遂行案件において当社がジョイントベンチャーから預かっている資金の残高112億円が含まれております。(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益を56億円(前連結会計年度比90.2%増)計上したことや、売上債権の減少による資金の増加74億円、未成工事受入金の増加による資金の増加103億円などにより、212億円の資金増加(前連結会計年度は189億円の資金減少)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金収支は、16億円の資金減少(前連結会計年度は15億円の資金減少)となりました。無形固定資産の取得で13億円を使用したことが主な理由です。(財務活動によるキャッシュ・フロー)
借入金の収支が45億円増加したことなどにより、31億円の資金増加(前連結会計年度は5億円の資金減少)となりました。なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
2011年3月期 | 2012年3月期 | 2013年3月期 | 2014年3月期 | |
自己資本比率(%) | 32.9 | 30.1 | 28.9 | 28.5 |
時価ベースの 自己資本比率(%) | 31.0 | 34.0 | 32.6 | 35.3 |
キャッシュ・フロー対 有利子負債比率 | 3.2 | 6.8 | △2.1 | 2.1 |
インタレスト・ カバレッジ・レシオ(倍) | 14.5 | 5.5 | △17.0 | 20.9 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
* 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
* 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。
* キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
* 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
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