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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OAVY (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 東邦チタニウム株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)


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(1)リスクに関わる当社の取組み
当社グループでは、事業の継続性と安定的発展を確保するため、事業を取り巻くリスクに関わる課題及び対応策を総括的に協議、推進、進捗管理する組織として、従前からリスク管理委員会を設置しています。この体制のもと、具体的には、当社グループの経営理念、経営目標、経営戦略の達成を阻害する様々なリスクに対して、最適なコストで適切な処理を行うため、個別リスク事象毎に対応策の策定、取組み等を担う主管部門と推進責任者を定め、リスク管理のための活動を推進しています。
なお、リスク管理体制については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 ア.業務の適正を確保するための体制及び当該体制の運用状況 (ア)業務の適正を確保するための体制の整備にかかる決議の内容 3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」、及び「同(イ)業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要 3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご覧ください。

(2)事業等のリスク
当社グループの事業において、上記(1)に述べたリスク事象も含め、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには以下のものが考えられますが、全てを網羅するものではありません。なお、これらリスクは当連結会計年度末現在において判断したものです。
現在、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大や変異株の出現は、社会生活に止まらず企業の経済活動に世界的な規模で連鎖的に影響を及ぼしています。加えてロシアによるウクライナ侵攻に伴う金属資源・エネルギーの調達懸念・高騰やそれに伴う各種原材料価格の上昇等の地政学的リスクの顕在化は、当社の業績に大きく影響を及ぼしています。これらグローバルに経済、企業活動に対して影響を与えている事象に関しては、当社事業に関連する以下のリスクの中で具体的に補足します。

① 特定用途向けの需要が大きな割合を占めていることによる需要変動のリスク

金属チタン事業の主力製品の一つであるスポンジチタンは、航空機向け用途が需要の中心となっております。触媒事業では、製品である「THC」はプロピレン重合用にほぼ特化した触媒であります。また、化学品事業における超微粉ニッケル及び高純度酸化チタンも、積層セラミックコンデンサなどの電子部品向けの用途が需要の大部分を占めております。このように当社グループの事業は、セグメント別に見た場合、特定用途向けの需要が大きな割合を占め、当該用途先業界の好不調により販売量が大きく変動する傾向があります。
特に、航空機向けのスポンジチタンは、これまで、世界の経済情勢や航空旅客数の動向、航空会社による航空機の更新やメンテナンス需要の動向等により、大きな幅で好不調を繰り返してまいりました。2020年度には新型コロナウイルス感染拡大の影響による航空機産業の事業環境悪化を受け、大幅な需要減となりました。一方、直近ではウクライナ問題を契機に、主要な需要国である米国顧客が関わる地政学的なリスクから生じる調達不安が増大し、当社への引き合いが増加しています。このようにサプライチエーンでの景気変動や需要先が関わる地政学的リスク等により、需要が大きく変動する可能性があります。今後も、景気の悪化や地政学的リスクの顕在化等により、需要が減退する可能性があります。
また、一般工業向けのチタンインゴットについても、その多くが電力、化学プラントや海水淡水化プラント用として、主にアジア・中東地域向けに間接輸出されております。したがって、これらの地域の政治・経済情勢の変動により、需要が減退する可能性があります。
当社グループは、事業の多角化、製品の新たな用途開拓、競争力ある製品の提供により、その影響を最小限にすべく努めておりますが、用途先業界の状況変化によって、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
なお、当社グループの製品の価格は、需要の動向により大きく変動する傾向があります。顧客と交渉を重ね適切な価格設定に注力しておりますが、需要の動向によっては製品価格が大幅に下落し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。


② 原料代及び電力代の上昇に伴うリスク

金属チタンの製造コストは、原料代及び電力代がその相当部分を占めております。原料鉱石については、鉱石を
同じく原料とする他業種での景気動向や、原料産地の地政学的リスクに影響を受けます。また原油、LNG、石炭等の資源エネルギー価格の変動は、製造プロセスでの電力使用量が多いチタン事業では、電力代の増加につながります。ウクライナ侵攻の影響による足元の原料及びエネルギー価格の上昇は、地政学的リスクの実現の顕著な例と言えます。当社はこれまでもこれらコスト上昇影響を緩和すべく、比較的安価な低品位鉱石の使用による原料の多様化や、省エネなどコスト削減に取組んでまいりましたが、これらコスト低減努力を上回る原料価格や電力単価の上昇が継続した場合、あるいはコストアップ分の製品価格の転嫁等が十分できない場合には、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
また化学品事業の主要原料であるニッケルは国際市況により取引価格が決定されます。当社顧客との間では、この国際市況価格を、一定期間の後、製品価格に反映する取引と、交渉により製品価格が決まる取引があります。したがって原料ニッケル価格の変動は、製品価格へ反映タイミングの期ズレや、交渉での転嫁が難しい場合には当社グループの業績に大きな影響を与えることになります。当期末にかけてウクライナ侵攻の影響を受け、貴金属価格の高騰が見られました。このため当社では、国際市況価格が反映される取引に関しては、先物取引によるヘッジを利用してその影響を緩和する等対応策を実施することとしていますが、国際市況価格が短期的にかつ急激に変動する場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

③ 輸出比率が高いことによる為替リスク
金属チタン事業のスポンジチタンや、触媒事業のTHC、化学品事業における電子部品材料は、輸出が販売量の大きな割合を占めており、当社グループ全体の売上高に占める輸出の割合は、当連結会計年度実績で51.2%となっております。輸出の多くはUSドル建てとなっているため、為替による影響を受けます。当社グループは、短期的な変動に関し為替予約取引によるヘッジを行うなど、為替リスクを低減すべく努めておりますが、為替が大きく円高に振れた場合には、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

④ 自然災害等に関するリスク

当社グループは、製品のほとんどを自社で生産しており、自然災害による工場施設に対する被害により、製品の生産・販売に支障が生じる可能性があります。特に、茅ヶ崎工場は、東海地震の地震防災対策強化地域内に所在しており、設備の耐震強化、防災諸設備の整備、防災体制の強化、防災訓練の実施などの対策に努めているほか、生産設備の複数拠点化(BCP)の検討を進める等リスク低減を図ることとしております。しかし自然災害の規模及び内容によって、当社グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大は、先に述べたように金属チタン事業において大幅な需要減を経験しましたが、ほかにも様々なサプライチェーンの停滞による資材等の調達懸念、従業員の感染による事業活動の制限などにより、生産活動が停滞し、業績にさらなる悪影響が及ぶ可能性があります。当社グループは、調達先の複数化や適正在庫の確保、並びに感染拡大を防止するための衛生管理の徹底や在宅勤務及び時差出勤を行うなど、各種の対応に努めております。

⑤ 環境・安全に関するリスク

当社グループは、製造現場を持つ企業として、安全確保と環境保全は事業運営上、最も重視しなければならない事項と認識しております。そのため、設備・技術の改善や管理体制の強化により、安全操業の維持と環境保全に万全を期しておりますが、万が一、事故・災害等が発生した場合は、操業の停止・制約や対策コストの発生により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。


⑥ 品質に関するリスク

当社グループは素材メーカーであり、その社会的使命は、顧客が満足する製品・サービスを安定的に供給することであります。そのため、ISO9001に基づく品質管理システムを整えるとともに、その維持及び継続的な改善により品質管理に万全を期しておりますが、万が一、品質不良、品質事故等が発生した場合は、対策コストの発生や当社グループ製品への評価の低下により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

⑦ 知的財産に関するリスク

当社グループは、特許権等の知的財産権を重要な経営資源の一つと捉え、法令に従い適切な取得保全手続きを行うと共に、知的財産権を含む第三者の権利を侵害することの無いよう細心の注意を払っております。しかしながら、当社グループの技術が十分に保護されず、又は当社グループが第三者の技術を侵害した場合には、収益機会の喪失・減少や損害賠償の支払いなど、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、的確な対応に努めております。

⑧ 情報漏洩に関するリスク

業務上の過失や不正アクセス等、何らかの原因により顧客情報や個人情報が流出した場合には、損害賠償や信用の失墜等、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、情報管理に係る規則を定め厳格な運用を行うと共に、必要と思われるシステム対策を講じております。

⑨ 親会社等との関係に関するリスク

当社は、ENEOSホールディングス㈱並びにJX金属㈱の子会社であります。
ENEOSホールディングス㈱は、エネルギー事業のENEOSエネルギー㈱、石油・天然ガス開発事業のJX石油開発㈱、金属事業のJX金属㈱、その他多くの子会社・関連会社を有し、「ENEOSグループ」を形成しております。当社は、その中で「金属事業」のセグメントに属する独立事業会社と位置付けられております。当社とENEOSグループとの間には、①当社からJX金属㈱への高純度チタンの販売、②JX金属㈱から当社への各種金属の溶解加工委託、③JX金属㈱から当社への非常勤役員の派遣、④ENEOSグループから当社への従業員の出向等の関係があります。
当社と親会社等との関係については、当社の自主性・独立性を確保したうえで、両社の企業価値向上を目指し連携・協力しあうことを基本と考えております。取引の条件等は、協議・交渉を行ったうえで決定しており、当社が受ける制約はありません。
しかしながら、親会社等は当社の議決権の過半数を有しており、当社の株主総会における取締役の選解任等を通じて当社の経営判断に大きな影響を及ぼし得る立場にあるため、その議決権の行使は当社の少数株主の利益に反する可能性があります。
なお、ENEOSグループによる当社株式保有比率は、将来に亘って一定とは限りません。当該比率に大きな変動が生じた場合には、当社株式の流動性、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。


⑩ 海外事業に関するリスク

当社グループは、チタン事業の中長期的な競争力向上を目的として、サウジアラビアでのスポンジチタン生産合弁事業に参画しております。当社(35%出資)とサウジアラビアの石油化学メーカーであるタスニー社のグループ企業AMIC社(65%出資)が共同で設立したAdvanced Metal Industries Cluster and Toho Titanium Metal Co.,Ltd.(ATTM社)は、2019年度にサウジアラビアのヤンブーにおいて、スポンジチタンの生産を開始しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響等により立ち上げが遅れ収益性が低下した結果、同社は固定資産に係る減損損失を計上し、2020年12月末時点において債務超過となりました。
当社の連結財務諸表においてATTM社は持分法で会計処理されており、2021年3月期連結会計年度において持分法適用上の同社への投資簿価をゼロまで減額し、持分法による投資損失を計上しました。同社の欠損を負担する責任が投資額の範囲に限られていることから、当連結会計年度以降の持分法による投資損失の計上リスクはありません。
また、当社はATTM社に対し、経費の立替等による未収入金を有しております。ATTM社と当社との約定に基づいた資金計画や過去の入金実績から、貸倒引当金計上対象以外の未収入金は回収可能と判断しておりますが、金属チタン事業製品の深刻な需要減退や中東における地政学リスクの顕在化など想定外の事態が生じた場合、貸倒損失を計上するなど当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。当社としては引き続き同社を取り巻く事業環境や同社の業績動向を注視してまいります。
なお、当連結会計年度におけるATTM社との取引等に関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 関連当事者情報」に記載のとおりであります。

⑪ 法令等へ抵触するリスク

当社グループは、国内外において事業を展開しており、許認可・通商・環境・税制・独占禁止法等各国の様々な法令・規制の適用を受けております。将来における法令等の新設・変更等が行われた場合、事業活動の停止・制限や対策コストが生じる可能性がありますが、不断の情報収集を通じその予防・回避に努めております。
中でも、脱炭素社会実現への取組みは世界的に加速している状況にあり、炭素税等法規制が厳格化する可能性があります。これに対し、当社グループは、チタン新製錬技術の活用等によりカーボンニュートラルの実現を目指し、当該リスクの低減を図る考えであります。
また、当社グループは、行動基本方針に「コンプライアンスの最優先」を掲げると共に定期的な教育を行うなど法令等の遵守に努めておりますが、万が一これらの法令等への違反が認められた場合、各規制当局からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

⑫ 投資に関するリスク

当社グループは、中期経営計画において「成長分野への重点投資による収益基盤の強化」を基本戦略として掲げるなど、継続的に様々な投資を行っております。
投資にあたっては、かねてより需要予測や当社グループの競争力などから採算性を慎重に判断し実施しておりますが、将来の正確な予測は困難であり、販売量の増加やコストダウン等の投資による効果が当初計画を下回って推移した場合、償却費負担の増加や該当資産に係る減損損失の計上などにより、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

従業員の状況研究開発活動


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