有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100T45L (EDINETへの外部リンク)
株式会社すららネット 事業の内容 (2023年12月期)
当社グループは、当社とファンタムスティック社の計2社で構成されています。環境に左右されず、どのような子どもたちにも最適な「教育の機会」を提供することを目指しております。報告セグメントとしては「eラーニング事業」、「受託開発事業」及び「アプリ開発事業」の3つに区分しています。
当社eラーニング事業では、主に小学生・中学生・高校生を対象に、オンライン学習教材「すらら」「すららドリル」等のサービス提供を行っております。また、当社サービスを導入する顧客に対して、当社サービスを活用した教育カリキュラムの提案や独立開業の各種支援、勉強会の定期開催等による各種経営支援サービス、他社とのコラボレーションによるコンテンツの提供等を行っております。受託開発事業では、教育にかかるコンテンツ等受託開発及び関連する保守、メンテナンスサービスの提供、アプリ開発事業では、ゲーミフィケーションを活かした学習コンテンツを自社開発し、Apple Store等よりダウンロードをして活用いただく知育アプリの提供を行っております。
当社グループは全セグメントの売上高、営業損益の合計額に占めるeラーニング事業の割合が、いずれも90%を超えるためセグメントの情報を記載せず、主要な事業についてのサービス概要を記載いたします。
eラーニング事業では、主に小学生・中学生・高校生を対象としている学習塾や学校等に対して、オンライン学習教材「すらら」「すららドリル」等サービスの提供を行っております。また、当社サービスを導入する顧客に対して、「すらら」「すららドリル」等を活用した教育カリキュラムの提案や独立開業の各種支援、勉強会の定期開催等による各種経営支援サービス、他社とのコラボレーションによるコンテンツの提供等を行っております。
当社の教材は、利用学習塾や学校からの現場の声をもとに意見交換を行う「SuRaLabo」プロジェクト、大手企業との共同研究など、コンテンツの改善や利用者の学習効果向上に向けて様々な取り組みを行っています。今後も各教育機関と協働し、学習履歴のビッグデータ分析といった研究成果をサービスにフィードバックすることで、より学習効果の高い教材を目指していきます。
当社の教材は、PCやタブレット端末等のスマートデバイスに対応しております。海外マーケットにつきましては、独立行政法人国際協力機構から採択を受けた各種事業等を契機として、スリランカ、インドネシア、エジプト等でサービスの提供を行っております。また、経済産業省による教育に係る国内外プロジェクトに多数参画しております。
当社eラーニング事業が提供するサービスの内容は以下のとおりです。
(1) サービスの概要
① 「すらら」「すららドリル」「Surala Ninja!」「すらら にほんご」の提供
AI×アダプティブラーニング教材「すらら」は小学校から高校までの国語、算数/数学、英語、理科、社会5教科の学習を、先生役のアニメーションキャラクターと一緒に、一人一人の理解度に合わせて進めることができるアダプティブなeラーニング教材です。レクチャー機能、ドリル機能、テスト機能により、一人一人の習熟度に応じて理解→定着→活用のサイクルを繰り返し、学習内容の定着をワンストップで実現できます。初めて学習する分野でも一人で学習を進めることができる特長を生かし、小・中・高校、学習塾をはじめ、放課後等デイサービス等においても活用が広がっています。また、高校生向け総合的な探究学習「すららSatellyzer」の提供も開始しました。「すららドリル」は、アダプティブなドリルと自動作問・採点機能を有するテストからなり、「すらら」の姉妹版として主に公立小中学校向けに提供しています。「Surala Ninja!」は、「すらら」の海外版として小学生向けに開発された、インタラクティブなアニメーションを通じて加減乗除の四則計算を中心に算数を楽しく学べるeラーニング教材で、スリランカ向けのシンハラ語版、インドネシア向けのインドネシア語版、エジプトやフィリピンで活用されている英語版があります。新たな市場への取り組みとして、2023年リリースしました「すらら にほんご」は、国内外の外国にルーツを持つ人たちが就労・留学・生活に必要なレベルの日本語を楽しみながら習得できるICT教材を提供しております。② 「すらら」等を導入する顧客に対する経営支援
学習塾や学校等に対して、「すらら」等を現場で活用した教育カリキュラムの提案や成功事例・各種ノウハウの提供等の経営支援サービスを提供しております。また、当社のサービスを使って学習塾を独立開業される方等に対して、物件探索や資金調達・販売促進活動・その他塾経営に必要な情報や研修等を提供する開業支援サービスを提供しております。③ 他社とのコラボレーションによるコンテンツサービスの提供
当社は「すらら」をはじめとする自社教材に加え、他社コンテンツとの連携により、サービスの品揃えを拡充し、顧客満足とユーザーの拡大を目指しております。当社は、他社との協働により、英語の発話トレーニングのできるAI機能や長文読解コンテンツ等を提供しております。④ BtoC受講者に対する包括的なサポート
当社のBtoC顧客の中には、不登校、発達障がい、学習障がいなど、悩みの深い家庭が多数含まれています。当社では、保護者への包括的なサポートを目指し、「すららコーチ」による保護者向けコーチングや、保護者向け勉強ペアレント・トレーニング、心理・教育アセスメントサービスの提供を行っています。また、不登校生がICT教材を活用することにより出席認定を得られる制度を活用するためのセミナーやアドバイス活動など、悩みの深い家庭の課題に寄り添い、包括的なサポートを行っております。
(2) サービスの対象顧客と収益構造
当社は、オンライン学習教材「すらら」「すららドリル」等サービスを、主に学習塾、自治体や学校法人等、個人学習者に対して提供しております。当社の主な収益源は、当社オンライン学習教材の導入校や個人学習者に対して提供することによる、サービス利用料やID利用料収入であります。〈学習塾・学校向け(BtoBtoC)の事業モデル〉
学習塾や学校等のBtoBtoCの事業モデルにおいては、当社は導入校に対して当社オンライン学習教材を利用するための管理者用ID(先生ID)を発行し、導入校は導入校に通う生徒向けに生徒IDを発行しております。導入校に通う生徒は導入校を介して当社オンライン教材を利用することになります。導入校は「すらら」等の各種機能を使って、生徒に対する受講フォローを実施しますので人件費・各種管理コストの発生を抑制することが可能となります。「すらら」は当社のサービスを使って独立開業される方や、従来より塾を経営されている個人顧客に加えて、複数の校舎や生徒を有する学習塾や学校法人等でご活用いただき、自治体や公立高校では「すららドリル」も利用されています。法人顧客においては、授業内の活用だけでなく、「すらら」を活用した反転授業(※)等により自宅でも利用されています。また、当社は、当社のサービスを使って学習塾を独立開業される方等に対しては、「すらら」等サービスを提供することに加えて、「物件や資金調達、内装や生徒募集に関するサポート」、「定期開催による成功事例・塾経営ノウハウの共有」、「販売促進チラシ等の無償提供」等の各種経営支援を実施しております。当社による「すらら」等サービス提供の対価として、学習塾においては、「すらら」等サービスを契約された1校舎につき課金される月額「サービス利用料」と、導入校がすららシステムに登録した生徒ID1つにつき課金される月額「ID利用料」を主な収益として得ております。また、学校法人においては、契約時に発生する「初期導入料」と、導入校がすららシステムに登録した生徒ID1つにつき課金される月額「ID利用料」を主な収益として得ております。
〈個人学習者向け(BtoC)の事業モデル〉
個人学習者向けのBtoCの事業モデルにおいては、当社が個人学習者に対して「すらら」を利用するための生徒IDを発行しております。各ご家庭には、当社と業務協力関係にある「すらら」導入塾の先生(すららコーチ)が指導経験を活かして、学習習慣の身に付け方を始めとした学習に関する悩みや、基礎学力、成績を上げるための学習設計をサポートします。当社による「すらら」サービス提供の対価として、個人学習者においては、生徒ID1つにつき課金される月額「ID利用料」を主な収益として得ております。また、導入塾の先生に対しては、受講フォロー業務委託料を支払うことにより、エンドユーザーの数が増える度に導入塾の収益も増えるといった当社とWin-Winの関係となる事業モデルを構築しております。
これらのサービス提供の結果、2023年12月末時点での導入校数は2,596校、利用ID数は428,121IDとなっております。
〈課金対象導入校数の推移及びID数の推移〉
年月 | 導入校数 | 利用ID数 | |||||||
学習塾 | 学校 | 海外 | 合計 | 学習塾 | 学校(注2) | 海外 | BtoC | 合計 | |
2010年12月末 | 97 | 47 | ― | 144 | 1,322 | 16,465 | ― | 49 | 17,836 |
2011年12月末 | 181 | 55 | ― | 236 | 2,157 | 19,334 | ― | 26 | 21,517 |
2012年12月末 | 318 | 57 | ― | 375 | 3,543 | 21,346 | ― | 44 | 24,933 |
2013年12月末 | 428 | 60 | ― | 488 | 4,985 | 22,672 | ― | 112 | 27,769 |
2014年12月末 | 511 | 72 | ― | 583 | 6,682 | 25,739 | ― | 127 | 32,548 |
2015年12月末 | 520 | 86 | 4 | 610 | 7,384 | 25,877 | ― | 186 | 33,447 |
2016年12月末 | 543 | 111 | 21 | 675 | 9,610 | 27,314 | 812 | 218 | 37,954 |
2017年12月末 | 561 | 133 | 23 | 717 | 13,872 | 34,702 | 1,810 | 594 | 50,978 |
2018年12月末 | 797 | 154 | 29 | 980 | 15,895 | 41,545 | 2,248 | 1,122 | 60,810 |
2019年12月末 | 872 | 183 | 42 | 1,097 | 18,637 | 46,580 | 2,401 | 2,349 | 69,967 |
2020年12月末 | 1,116 | 1,096 | 55 | 2,267 | 25,280 | 343,151 | 1,936 | 3,416 | 373,783 |
2021年12月末 | 1,215 | 1,336 | 55 | 2,606 | 22,494 | 404,558 | 2,710 | 3,677 | 433,439 |
2022年12月末 | 1,204 | 1,191 | 95 | 2,490 | 19,430 | 328,882 | 7,819 | 4,161 | 360,292 |
2023年12月末 | 1,177 | 1,366 | 53 | 2,596 | 18,571 | 402,045 | 3,204 | 4,301 | 428,121 |
(注) 1.当社ICT教材の導入校数、利用ID数を各マーケット毎に表しています。
2.ご利用いただいている当社ICT教材は以下となります。
すらら:主要5教科の学習を一人一人の理解度に合わせて進めることができるアダプティブなICT教材
すららドリル:ドリル機能、テスト機能に特化した公立小中学校向け「すらら」の姉妹版ICT教材
すららSatellyzer:宇宙をテーマに必要な基礎スキルを身につけていく高校生向け探究学習ICT教材
〈公立学校の導入校数及びID数〉
年月 | 公立学校(注1) | EdTech導入補助金(注2) | 探究的な学び支援(注3) | |||
学校数 | ID数 | 学校数 | ID数 | 学校数 | ID数 | |
2021年12月末 | 1,126 | 339,330 | 484 | 161,885 | ― | ― |
2022年12月末 | 942 | 268,038 | 345 | 103,152 | ― | ― |
2023年12月末 | 1,034 | 326,866 | ― | ― | 282 | 133,296 |
(注) 1.経済産業省EdTech導入補助金、探究的な学び支援により利用している学校数・利用ID数を含めていますが、当社既存契約校舎が採択された補助金申請分の学校数・利用ID数は控除しております。
2.経済産業省EdTech導入補助金により利用している学校数・利用ID数になります。
3.経済産業省探究的な学び支援により利用している学校数・利用ID数から、当社既存契約校舎が採択された学校数・利用ID数は控除しております。
[事業系統図]
当社グループの事業の系統図は、以下のとおりであります。
〈用語集〉
※反転授業:これまで教室で一律講義していた新たな学習内容を、オンライン学習教材等を用いて自宅で予習することで教室では講義を行わず、その代わりに教室では従来宿題としていた課題について講師が個々の生徒の特性に合わせた指導を行ったり、生徒同士での協働学習を行う形態の授業
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