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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TNMJ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社アイシン 事業等のリスク (2024年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

(1)基本的な考え方
当社グループのリスクマネジメントは、事業活動とともに企業経営のクルマの両輪であると考えています。様々な経営戦略を実行していく中で、外部環境の急激な変化により、経営に影響を与えるリスクが増加しています。そのような成長を阻害する可能性のあるリスクを把握し、コントロールすることと事業継続力強化の両面で取り組んでいきます。

① 方針
企業がその目的を達成しようとする活動に対して、重大な影響を及ぼす様々なリスクを未然防止・抑制対応し、万が一発生した場合は、経営への影響を最小化し、企業の持続性を保証することで、ステークホルダーの皆様からの期待に応えていきます。

② 目指す姿~リスクマネジメントの高度化~
当社は、1997年の刈谷工場火災において、皆様にご迷惑とご心配をおかけしました。これを機に、同じ失敗を繰り返さないようERMを導入し、全社的なリスクマネジメントに取り組んできました。近年、能登半島地震や線状降水帯の頻発など自然災害や部品供給問題、地政学・経済安全保障リスクなど経営を取り巻くリスクは複雑化・多様化しています。
このような中、「リスクマネジメントの高度化=あらゆるリスクを最小化できている状態」を目指し、2022年度からは、経営戦略に関するリスクを含め統合的に管理する新たなリスクマネジメントプロセスを導入し、経営戦略の遂行を阻害する「経営戦略リスク」と、事業の円滑な運営を阻害する「オペレーショナルリスク」の両面から、リスクの予兆を捉え、影響度を適切に分析・評価し「先手を打つ」リスクマネジメントを実践していきます。

(2)リスクマネジメントの体制と取り組み
リスクマネジメント推進体制として、社長をはじめCxO、監査役及びグループ11社の社長などが参加するリスクマネジメント委員会を設置しています。当社グループ内のリスク発生状況及び当社グループ内外の環境・動向を踏まえ、グループで取り組むべき重点リスクの審議・方向付けを行い、リスクへの対応力を強化しています。選定した各リスクについてはそれぞれに機能主管部署を定め、グループのリスク対策責任者、推進者を任命し、平時における被害の未然防止・抑制対応、有事の際の早期復旧・被害最小化に取り組んでいます。さらに、これらの対策の有効性評価、改善及び標準化を行い、リスクマネジメントサイクルを回すことでリスクに対する実効性を高めています。
また、定期的な取締役会への報告を通して、事業や戦略に関する議論に資する情報を提供するとともに、リスクマネジメントに関する監督を受けています。

リスクマネジメント体制 リスクマネジメントプロセス
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(3)重点リスクの選定
当社では年2回のサイクルで、リスクアセスメントを実施し、社内機能部署の専門的な視点、グループ会社の業務特性に基づく視点、及び海外拠点の地理的な視点から、想定されるリスクを洗い出しています。それらのリスクの影響度や発生頻度を軸とした分析結果に、これまでのリスク対策による抑制・軽減度を加味しリスクの評価を行っています。また、これら内部でのリスク評価に加えて、2021年からは外部の視点を追加し、得意先や投資家などのステークホルダーが重要視しているリスクや、グローバルリスクレポートなどの専門機関によるリスクの評価を参考に、リスクマネジメント委員会で最重点リスクと重点リスクを決定しています。

重点リスク選定フロー
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(4)事業等のリスク
当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

① 経済状況
当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、外部環境の変化に強い収益体質に向けて、需要変動に対応した柔軟な生産体制づくりの推進や既存領域の収益改善活動・構造改革を加速させています。

② 為替レートの変動
当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生じる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、デリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。

③ 金融市況の変動
株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、株式保有が企業価値向上に必要不可欠と認められる場合を除き、原則保有しない方針であり、株式保有を通じた共同技術開発や事業提携を推進する必要性がある場合に政策保有株式を保有しています。保有している政策保有株式については、保有意義又は今後の縮減方針等について、取締役会で検証しています。そのうえで、保有が企業価値向上に必要不可欠ではないと判断した場合には、取引先各社との対話を通じて縮減を進めています。
また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。
当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、年金運用の目的やプロセスについて十分に理解している人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。

④ 原材料や部品の調達
当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を国内・海外の複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っていますが、昨今の半導体部品に代表されるように需給バランスの急激な変化や、地政学の影響や需要の急激な変化、供給元が災害等により被災するなど供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、資源やエネルギー費・労務費等の高騰により当社グループが調達している原材料や部品の価格が上昇し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化し、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築に努めています。安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。
また、価格転嫁に関しては、供給元への能動的な声掛けにより、相談しやすい環境づくりを行い、1社1社、協議のうえ適切な取引を行うと共に、得意先とも共有・協議し、収益逼迫要因とならないよう、回収交渉を推進しております。併せて、供給元と一体になった新材料・新工法開発や工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、最適な価格の維持に努めています。

⑤ 得意先への依存
当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において65.5%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、強みである「幅広い商品群」と「ものづくり力」をベースとして、電動化製品を中心に新規顧客の開拓や市場多角化を積極的に推進し、収益の多様化をはかっています。また、既存の顧客との関係を強化し、顧客満足度を向上させることで、長期かつ継続的なパートナーシップを築いています。

⑥ 価格競争
当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や自動車メーカーによる部品の内製化、エレクトロニクス製品メーカーなど新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「幅広い商品群」と「ものづくり力」を強みに、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やIoTやAIを活かした生産性向上をはかるとともに、体制面では「製品開発センター」を新設し、魅力ある製品戦略立案と設計・品質・原価企画により、商品競争力・コスト競争力の強化をはかっています。

⑦ 新商品開発
当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
(ⅰ)新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
(ⅱ)長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。
(ⅲ)当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。
(ⅳ)新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
(ⅴ)技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。
(ⅵ)現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、電動化・知能化技術を中心に社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の拡充に取り組んでいます。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスを制御・ソフト領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。
さらに、当社グループが保有する製品群間の連携を促進し、製品横断での技術・商品開発を強化するため、2024年4月に「製品開発センター」を新設しました。既存商品の強みであるアクチュエータや駆動ユニットの電動化といったハードウェアに、センシング技術とソフトウェアを組合せて統合的に制御することで知能化をはかり、付加価値の高い商品に作り上げていきます。また、エネルギー関連分野にも注力し、カーボンニュートラルにつながるエネルギー領域の技術開発を積極的に進めます。
これらの開発は、当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、アイシンらしい魅力ある商品の開発を強力に進めていきます。

⑧ 海外事業展開
当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ⅰ)予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
(ⅱ)社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響
(ⅲ)不利な政治的又は経済的要因の発生
(ⅳ)人材の採用と確保の難しさ
(ⅴ)テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的混乱
当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、中国、アセアン・インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進し、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。2022年4月には地政学リスクの高まりや複雑化を踏まえ、全社横断的な会議体として「経済安全保障委員会」を設置し、経営トップを中心にレピュテーションを踏まえた高度な判断を必要とする経済安全保障リスクに対応していく体制を構築しています。また、2024年4月、当社グループ経営戦略本部に事業戦略部と地域統括部を設置し、地域毎の事業課題認識と上記リスクを踏まえた事業戦略・地域戦略策定を一元的に行い、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。

⑨ 事業投資
当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断などに影響を及ぼす可能性があり、当社及び当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、変化の激しい事業環境の中、競争力と成長性を見極めた事業ポートフォリオ変革に努めています。具体的には、電動化・知能化に対応する製品を成長領域と位置づけ、ヒト・モノ・カネのリソーセスシフトを行っています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。

⑩ 製品の欠陥
当社グループは、お客様に高い品質を確保した商品を提供するため、厳格な品質管理体制や品質管理基準に従い、グローバルで各種製品を製造しています。しかしながら、すべての製品について欠陥がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、グローバルで開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制のもと、企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各階段の節目管理を行い、お客様の信頼に応えるものづくりを実践しています。また、以下事項を強化し品質の更なる向上をはかっています。
・お客様の要求及び法規認証遵守状況の確認
・リスクの高い製品、工法の要素技術に対する審議
・海外を含めた仕入先の評価と体質改善
・重点領域の電動化に対応したDX活用による開発精度向上

⑪ 災害等による影響
当社グループは、大規模地震や台風・豪雨等の自然災害、火災・爆発事故や感染症等の人的災害の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、これらのリスクの発生による操業停止で、顧客への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの工場や取引先は、国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・物流活動が停止、遅延する可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループすべてを対象としたリスクマネジメント委員会において、特にリソーセスを投入し取り組むべき重点リスクの審議・方向付けを行い、リスクへの対応力強化に取り組んでいます。甚大な被害が想定される自然災害に対しては、平時から緊急時の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」や、過去の被災経験を標準化したガイド「学び・気づき」に基づき、グループ一体となってリスクの未然防止及び被害最小化を推進しています。その成果として、当期に発生した能登半島地震においてグループ会社が被災しましたが、2016年の熊本地震以降の震災の教訓を活かした吊りものの落下対策や、停電時に備えた自家発電の配備などのグループ全体での取り組みにより、被害を少なくするとともに、生産・納入への影響を限定することができました。一方、新たな課題として今回の地震で深刻な被害を受けた液状化に加え、昨今の線状降水帯により想定を超えた降雨被害が発生しており、引き続きグループを上げて対策に取り組んでいます。
今後も従業員とその家族、顧客を始めとするすべてのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、様々なリスクに対し代替生産やバックアップなどあらゆる手段で顧客への製品・サービスの供給継続に努めています。

⑫ 気候変動
当社グループは全世界で事業を展開しているため、中長期にわたり様々な気候変動に関する影響を受けると認識し、「気候変動への対応」を優先課題(マテリアリティ)の1つとして選定しました。また、TCFD提言に沿ってシナリオを分析し、その対応策を事業戦略に組み込み推進しています。主な脱炭素社会への移行リスクとして、
(ⅰ)低炭素原材料の需要が高まり必要な原材料の価格高騰による調達コストの増加
(ⅱ)炭素税や再生可能エネルギー導入などの政策によるコストの増加
(ⅲ)電動化の推進で電動車向け製品需要が拡大する一方、ガソリン車向け製品需要が減少
につながる可能性があります。
こうしたリスクに対し当社グループは「生産」と「製品」の両軸で対応しています。
生産面では、徹底した省エネ活動や革新生産技術開発によるエネルギー使用量削減、再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーの導入・切替を実施しています。
製品面では、電動車向け製品の更なる進化、エネルギーと資源の循環・普及を進め、モビリティ・エネルギー技術融合による新価値創出を目指します。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)」をご参照ください。

⑬ 知的財産権
当社グループは、新価値を創造して提供する将来事業の優位性・安全性を確保するため、独自の技術とノウハウ等を蓄積し知的財産を戦略的に獲得するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。なお、特定の国及び地域においては、法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない可能性があります。また、保有する知的財産権が無効となる可能性があります。そのため、第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、関係部門と連携して、特許をはじめとする各種知的財産権により技術等の知的資本を戦略的に領域を定めて保護するとともに特許調査等を行い第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。また、訴訟提起された場合には、侵害性や、対象権利の有効性、使用権有無等を迅速に判断して適切に対応しています。

⑭ 情報セキュリティ
当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守ることは、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、当社グループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、セキュリティ専門組織「情報セキュリティ推進部」を設置し、当社グループ全体でのセキュリティ対策の実施とセキュリティ脆弱性情報の収集・展開・対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。

⑮ コンプライアンス
当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、グループ全役職員の行動規範となる「アイシングループ企業行動憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置し、グループ主要11社の取締役社長、担当役員、常勤監査役が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況及び当社グループの課題を確認すると共に、次年度の活動方針、実施事項を承認しています。さらに、活動を推進するのはあくまで人であると考え、各種教育活動を継続的に行い、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識向上に努めています。また、コンプライアンスリスクの高いグループ会社に対して、重点支援を行い、グループとしてのリスク低減をはかっています。一方で、問題の早期発見・是正に対しては、内部通報窓口を社内外に設置し、早期解決に努めています。

⑯ 人権
当社グループは、国内・海外で事業活動を遂行するうえでの基本として人権の尊重を捉えていますが、サプライチェーンを含めた事業活動が各国・各地域で人権へ影響を及ぼすリスクがあると認識しています。これらのリスクは顕在化や取組み不足によって、社会的信用の失墜につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、グループ全社員の行動規範である「アイシングループ企業行動憲章」及び「社会的責任を踏まえた行動指針」の中で、人権の尊重を明確に宣言しています。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「アイシングループ人権方針」を策定し、人権尊重へのコミットメントを行うとともに、サプライチェーンに対しても「仕入先サステナビリティガイドライン」を通じて人権方針への理解・支持を求めています。また、「人権専門委員会」を設置し、今後の重点分野・活動計画を承認しています。人権デュー・ディリジェンスの取組みでは、グループ・サプライチェーンに対する主要人権分野に関するセルフチェックや、勉強会、現地での対話・実態確認を通じて、必要な指導・コンテンツ提供等を行い、連携・支援を進めています。さらに、相談窓口の設置・運用、外部専門家との対話、「責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム」の活動への参画等、総合的・継続的に人権への取組みを推進しています。

従業員の状況研究開発活動


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