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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007LY6

有価証券報告書抜粋 株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2016年2月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

(2)財政状態の分析
①資産
当連結会計年度末における資産の残高は2,093,689千円となり、前連結会計年度末と比較して382,134千円の増加となりました。
流動資産は1,845,545千円となり、前連結会計年度末と比較して233,960千円の増加となりました。これは主に現金及び預金が178,695千円増加したことによるものであります。固定資産は248,143千円となり、前連結会計年度末と比較して148,174千円の増加となりました。これは主に長期預金100,000千円の預入及び差入保証金が69,851千円増加したことによるものであります。
②負債
負債の残高は333,563千円となり、前連結会計年度末と比較して131,526千円の増加となりました。
流動負債は327,442千円となり、前連結会計年度末と比較して131,319千円の増加となりました。これは主に未払法人税等が75,813千円増加したことによるものであります。固定負債は固定リース債務のみで、残高は6,120千円であり、前連結会計年度末と比較して207千円の増加となりました。
③純資産
純資産の残高は1,760,126千円となり、前連結会計年度末と比較して250,608千円の増加となりました。これは新株予約権の行使により、資本金が13,702千円、資本準備金が13,702千円増加したことの他、新株予約権を15,164千円発行したこと、及び利益剰余金が208,445千円増加したことによるものであります。

(3)経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、アジア新興国等の経済成長に対する減速懸念や欧州の地政学的リスクの影響により、2015年8月以降株価が大きく変動したものの、政府政策や日銀主導の金融緩和策などにより企業収益は緩やかな回復基調を継続しており、雇用や個人消費も回復の兆しが見られました。
不動産市場においては、雇用と個人所得が改善したことに加え、2014年の緊急経済対策に基づく住宅ローン金利の優遇施策や住宅取得資金に係る贈与税の非課税枠拡大、省エネ住宅ポイント制度などの政府政策の効果により、住宅取得や住宅ローンの借換えが注目されました。また、賃貸住宅市場は、相続税改正に対応する相続税対策や資産運用の目的として、居住用途以外の不動産売買が底堅い推移となりました。
このような状況の中、当社グループにおきましては、当連結会計年度を初年度とした中期3カ年計画を「Start Up 2017」とし、既存サービスの拡大を図りつつ、新規エスクローサービスの開発に注力し、『日本版エスクロー』を業態として確立するための成長ステージに向けて準備と行動を開始する当初年度といたしました。具体的には、①「取引に関連するBPOサービスの拡張」として主要取引先の金融機関における業務請負範囲の拡大と処理件数の増加を図り、②「新たなエスクローサービスの開発」として不動産鑑定業の取得、信託口座を活用した各種サービスの開発、不動産オークション・エスクローサービスの開発を行い、③「新規取引先の拡大」として株式会社ブイキューブや税理士法人タクトコンサルティングとの提携による営業範囲の拡大と新規顧客獲得を推進させるという3つの成長戦略を基軸として事業活動を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,687,717千円(前年同期比40.1%増)、営業利益は402,627千円(前年同期比97.4%増)、経常利益は403,059千円(前年同期比104.6%増)、また、業務用データベースとして取得したソフトウェアに26,083千円の減損損失を特別損失として計上いたしましたが、当期純利益は244,116千円(前年同期比129.6%増)となりました。

(4)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,412,772千円となり、前連結会計年度末と比較して278,475千円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローの収入は402,646千円(前連結会計年度は82,666千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益376,975千円、未払金の増加額37,038千円、仕入債務の増加額25,851千円、及び減損損失の計上額26,083千円があった一方で、法人税等の支払額71,574千円があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローの支出は120,866千円(前連結会計年度は118,104千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金の差入による支出103,253千円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローの支出は3,303千円(前連結会計年度は151,442千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払による支出35,513千円、及びリース債務の返済による支出9,248千円があった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入26,820千円、新株予約権の発行による収入15,044千円によるものであります。

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「4 事業等のリスク」をご参照ください。


(6)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、米国の不動産取引におけるエスクロー&タイトルサービス(注)のビジネスモデルを模範として、我が国の不動産取引における「安全性・利便性・合理性」に寄与する事を基本理念に、新しい時代における取引決済の形を目指しています。主に、米国のエスクロー&タイトルサービスには、精算業務・決済業務・保証業務の機能がワンストップで消費者に対して提供されています。
しかし、我が国では、金融機関、不動産事業者、司法書士を始めとする有資格者との人的連携により取引決済がなされており、消費者からの目線では、決して利便性が高いとは言えません。
また、安全性についても、其々の連携する機関の属人的な信用保証で成り立っているために様々なリスクが潜在化し、更に、連携により取引決済がなされるために合理的なローコストオペレーションが実現されておりません。今後、高齢化による取引事務の専門家の不足、更に、中古住宅市場の拡大に向けて、より一層、不動産取引の現場では、取引の安全性や利便性、合理性が求められて来ます。
そこで、当社グループはこれらの問題の解決策を米国のエスクロー&タイトルサービスに求め、不動産取引の現場において合理的な利便性のある専門サービスの創出を目指すことを経営方針のひとつに掲げております。
事業セグメントとしては、エスクローサービス事業とBPO事業の二つに区分し、トータルなワンパッケージ専門サービス提供によって、不動産取引の安全を図り、さらなる業績の進展を目指して参ります。
具体的には下記の課題(外部、内部)について取組んで参ります。

1.外部課題
a.エスクローサービス事業
不動産取引の現場では、合理的且つ安全で、簡単なサービスが求められています。当社グループは、それに対し取引の決済機能と保証機能について、新たな商品化を進めて参ります。
現在の決済業務は、不動産取引代金、金融機関からの融資金などを当社グループが信託口座にて預かる仕組みを取り入れております。具体的には、その金銭を第三者の信託会社あるいは、連結子会社である株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託にて金銭の保全機能を担い、当社は、中立的な第三者として決済業務に関わっております。
決済業務において信託機能はなくてはならないものであり、当社子会社と連携し、新しいエスクローサービスの開発や信託事務の合理化により安価なサービスの提供を目指しております。具体的には、相続関連のBPO事業の拡大に伴い、相続手続に関する取引決済サービスの開発をいたしました。また、今後拡大する中古市場における取引の合理化ニーズに対応したサービスの開発にも取り組んで参ります。
また、米国における不動産取引の安全性は、過去の取引から将来に渡っての所有権が広く長期間、保険で守られています。しかし、我が国では充実した登記制度や時効制度があるため、米国ほどの期間において所有権を保険で守るという消費者のニーズは低いのが現状ですが、実際には我が国の登記には公信力はありません。
当社グループは、其々の取引ごとに所有者の確定から登記が完了するまでの間の債務不履行責任を担保するための包括的な取引保証を開発いたしました。

b.BPO事業
我が国の少子高齢化による生産年齢人口の減少は、多くの業界にとって優秀な人材確保を困難なものとしており、金融機関においても、利益率の改善や貴重な人材の最適配置が重要な課題となっております。今後、少子高齢化の影響はますます強まっていくことが予想されるため、金融機関では更なる業務効率化や経費節減ニーズが強まるものとなります。
当社のBPO事業は、創業以来、不動産取引決済の分野にて、金融機関の事務合理化や業務体制の確立について、専門的なコンサルティング実績とノウハウの蓄積があります。今後、更に、これらのコンサルティング実績とノウハウを活かすことで、金融機関や不動産事業者の現場業務の事務合理化に対するコンサルティングサービスの拡充を行い、不動産取引に関わる全ての当事者が行う精算業務に対するサービスを開発して参ります。
また、国の政策として、諸外国に比べて立ち遅れた中古住宅・リフォーム市場の活性化が掲げられていることに対応し、不動産鑑定業を開始するなど、中古住宅市場の活性化から生じる金融市場ニーズを捉えて参ります。

2.内部課題
a.エスクローサービス事業
エスクローシステム
当社グループのエスクローサービスは、合理的に、利便性よく、安全性の高い取引の実現を目指しています。そのためには、先に述べました専門的な人材育成のほかに以下の様なサービスの開発を目指しています。
第一には、精算業務・決済業務は労働集約型のため、過度に属人的な専門能力に依存しがちになります。そこで、専門業務のマニュアル化の整備により標準化し、作業ごとに分業化を進め、これらの業務に発生しがちな事務ミスを防止するためにエスクローシステムの開発に力を入れております。
本システムは、消費者、金融機関、不動産事業者、司法書士等の専門家をつなぐシステムとして受発注から進捗管理、品質管理までの工程を自動化し、具体的な合理化を実現しています。

b.BPO事業
当社グループのBPO業務では、金融機関の各種事務を大量、迅速かつ正確に処理する能力が求められます。金融機関においてはBPOによって、いかに合理化が実現できるのかという視点が重要な差別化となります。
よって、当社グループでは、どこまでローコストオペレーションを実現できるかという視点で、合理化の数値を可視化できるコンサルティング能力・業務の標準化・単純化・分業化が、差別化の重要な要因であり、それらの当社グループの強みを実現する専門的な人材の育成体制が、重点的な課題となっております。

c.専門家との業務提携の推進
取引決済の精算業務の中では、様々な専門家(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、1級建築士等)との連携があり、その専門家の方々とともに取引決済のサービスの開発や商品化を進めております。
よって、今後とも専門家の方々と多面的な業務提携を推進し、新しい取引決済の形に取組んで参ります。

d.内部統制及びコンプライアンスの強化
当社グループは、顧客である金融機関から会社法・金融商品取引法等で求められる高度な企業のコンプライアンス、リスクマネジメント、コーポレート・ガバナンスを求められており、内部統制システムの整備・強化は企業継続のために必須であり、また、継続的な見直しと有効性の評価が顧客に対して大きな差別化の要因となります。
よって、今後とも内部統制及びコンプライアンスの強化に努めて参ります。

(注)不動産取引において、中立的な第三者が取引の事務、履行の確認及び決済等を行い、また、売買時にその不動産に対して様々な権限の状況を調査し、すべての条件をクリアし物件の権利委譲が正しく行われることを保証すること。取引の安全を図るための制度として、米国カリフォルニア州において発祥し、米国にて広く利用されております。

(7)今後の見通しについて
中国の経済動向や欧州各国の経済不安と地政学リスクに加え、米国の利上げ調整など先行きが不透明な世界経済の中、我が国経済においては、政府主導の経済政策により引き続き金融緩和やインフラ促進を伴う「民間投資を喚起する成長戦略」を基軸としておりますが、民間企業や一般消費者への具体的な影響度は推し測ることが難しく、雇用や所得状況に対する不安から依然として将来への不透明感が漂っております。
不動産市場においては、マイナス金利制度の導入により民間投資の拡大が期待されており、また、依然として継続する低金利相場により住宅用途や資産運用を目的とした不動産投資マインドが向上する見込みがある反面、都心部の中古物件を中心に不動産価格相場は上昇傾向であり、取得意欲を減退させる可能性もございます。
そのような中、当社グループの2017年2月期の見通しとしては、エスクローサービス事業では、当社システムサービスのユーザー数を増加させるための営業推進を行うと同時に、精算・決済・保証機能の拡充及びそれらのパッケージ化等により新たなサービスの開発に取り組んで参ります。また、子会社である株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託では、中古不動産市場や相続市場の拡大を背景に、当連結会計年度に開始した各種信託サービスの推進と、2015年7月より開始した不動産オークション・エスクローサービスの推進により業績拡大を目指して参ります。
BPO事業においては、既存提携先との提携効果を活用するとともに新たな提携先を模索し、一層の業務効率化に注力しながら、不動産業界や金融業界において刻々と変化する取引先のニーズに対応することで、既存取引先からの業務受託範囲の拡大と新規顧客の獲得に向けた営業活動を推進して参ります。特に当社が強みを発揮できるネット系金融機関や第二地方銀行または信用組合などの金融機関への営業活動を強化して参ります。

事業等のリスク株式の総数等


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