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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002C6I

有価証券報告書抜粋 株式会社カイオム・バイオサイエンス 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2014年3月期)


研究開発活動メニュー株式の総数等

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

(2)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は4,514,672千円となりました。主な内訳は、現金及び預金4,349,733千円、たな卸資産57,059千円、未収消費税等48,118千円、売掛金46,806千円等であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は498,131千円となりました。主な内訳は、有形固定資産373,495千円、敷金及び保証金72,716千円、のれん31,814千円等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は347,064千円となりました。主な内訳は、未払金115,167千円、前受金68,224千円、前受収益35,489千円、未払費用33,123千円等であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は106,595千円となりました。主な内訳は、資産除去債務47,935千円、長期前受収益22,073千円等であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は4,559,143千円となりました。主な内訳は、資本金3,348,737千円、資本剰余金3,338,737千円、利益剰余金△2,184,884千円等であります。

(3)経営成績の分析
当連結会計年度において、売上高は、国内製薬企業とのアライアンス契約に基づく収益の計上により434,962千円となりました。
販売費及び一般管理費は、969,814千円となりました。販売費及び一般管理費について主なものとして、研究開発費が442,591千円発生いたしました。
この結果、営業損失は708,815千円、経常損失は706,340千円、当期純損失は757,554千円となりました。

(4)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(5)経営戦略の現状と見通し
① 会社の経営の基本方針
当社グループは、多様な抗体を迅速に創出して新規医薬品の開発につなげることにより、新しい治療法を必要とする患者さん及び御家族の方々のお役に立ちたいと願っています。治療法が確立されていない難治性或いは稀少疾患と、広域に流行する新興感染症は、いずれも人類にとって大きな脅威です。癌や免疫、アレルギー、さらには中枢系の疾患など多くの疾患に対して抗体医薬品が開発されていますが、患者さんによってはその抗体を処方できないことがあります。例えば、同じ肺がんでも患者さん個人でその原因が異なります。あるいは同じ抗体医薬品を投与しても患者さん毎に体内での分布や分解のスピードは異なります。個々の患者さん固有の疾患に対しては、本来であれば個々の患者さんにとって最適な治療が必要ですが、現在の医薬あるいは医療制度ではそれは適いません。また、新興感染症の爆発的な流行には、グローバルな素早い対応が求められます。完全ヒト抗体を提示するADLib®システムの実用化に成功したことにより、それぞれの患者さんにとって最適な抗体を迅速に提供することを可能にし、既存のどの方法でも為し得ない医療の実現がより現実味を帯びてまいりました。ADLib®システムの多様性や迅速性をもとに、これらの疾患の克服に向けて闘い、人類の健康に貢献してまいります。
② 事業展開の方針
完全ヒトADLib®システムの事業化に目途が立ったことで、全ての事業における質的・量的な拡充が期待されます。創薬アライアンス事業並びに基盤技術ライセンス事業におきましては、抗体作製におけるこれまでの実績に加え、完全ヒトADLib®システムを主体とする基盤技術の継続的な改良によるクライアントの期待を上回るパフォーマンスの提供により、連鎖的にアライアンス契約や技術ライセンス契約の獲得に結び付け、収益基盤の安定化を目指してまいります。リード抗体ライセンスアウト事業におきましては、自社での抗体医薬品の候補となる抗体作製体制強化のために研究開発本部に研開企画部を新設し、従来以上に付加価値の高い候補抗体創出を加速してまいります。
その為に、研究開発投資を継続しつつ、積極的に事業を展開していくことで、経営の安定化と企業価値の向上を図ってまいります。
③ 事業展開に関する現状認識
a.創薬アライアンス事業
創薬アライアンス事業におきましては、継続中の中外製薬㈱との共同研究が今期さらに延長となりました一方で、その規模が縮小されることになりました。中外製薬㈱以外の企業につきましては、完全ヒトADLib®システムの完成が近づいている事で、多くの候補クライアントに待ちの姿勢が見られ、当初計画に対して遅れが生じましたが、今後は完全ヒトADLib®システムの多様性の拡大、それにより得られた優良なライブラリを用いた特異的抗体や機能性抗体の取得の実績を積み上げることにより、本格的なアライアンス契約の締結に向けた交渉をより強力に推し進めてまいります。
b.リード抗体ライセンスアウト事業
リード抗体ライセンスアウト事業におきましては、横浜市立大学をはじめとして、国立がん研究センター、東京大学・高橋研、静岡がんセンター、がん研究会等、複数の大学や公的研究機関等との連携を強化し、治療用First in Class抗体についての共同研究開発を推進しております。これにより、複数の有望な候補抗体の獲得に成功しております。そのうちのいくつかは機能検証の段階に移行しており、今後臨床有用性を示し得る薬効試験、またその価値を示し得るPOC(proof of concept)となるデータの取得を進めてまいります。特に横浜市立大学との共同研究を通じて作製に成功した抗セマフォリン3A抗体につきましては、新たな適応疾患の可能性を示唆する結果も得ておりますので、今後は、これらを踏まえて事業開発戦略を見直し、より良い条件での導出契約を目指してまいります。その他のアカデミアとの共同研究については、当社および㈱リブテックの施設での機能検証や薬効検討の体制整備も進めることにより、タイムリーかつ信頼性の高いデータの取得を目指します。より付加価値の高いリード抗体の取得に向け、各種ライブラリの多様性及び品質の向上やセレクション方法の改良等を継続実施してまいります。
また、Biotecnolと共同研究開発契約を締結し、当社独自の創薬基盤技術であるADLib®システムとBiotecnolの技術(Tribody)との組み合わせによる付加価値の高い抗体医薬品の創製に取り組み、順調に進捗しております。今後もADLib®システムと相補的な技術を持つ企業との提携により、高付加価値のリード抗体の創製に積極的に取り組んでまいります。加えて、従来の技術では取得が困難であった抗原に対する抗体作製にも積極的に取り組んでおります。ADLib®システムの応用技術であるADLib® axCELLによって医薬品のターゲットとして注目されている抗原であるGPCRなど複数回膜貫通型タンパク質に対する抗体の取得にも海外企業との共同研究を通じて成功しております。今後も継続してADLib®システムの技術改良を行うことにより、クライアント候補先へADLib®システムの技術的優位性を積極的にアピールしてアライアンスの提案を行うとともに、新たな市場開拓に繋げていきたいと考えております。
c.基盤技術ライセンス事業
基盤技術ライセンス事業におきましては、富士レビオ㈱とADLib®システムに関する特許実施許諾及び共同研究開発契約を締結しており、2013年6月に3年間の共同研究開発期間の延長に関する覚書を締結しました。富士レビオ㈱では、ADLib®システムを用いてビタミンDに対する抗体の獲得に成功し、2013年12月に同社の欧州子会社から診断キットが発売されました。本成果は、従来の抗体作製技術では獲得ができない抗体を取得できた事だけでなく、従来の他社製品に比べて100倍の感受性を示す診断キットとして、今後の海外展開における主力製品と位置付けられています。この他、ADLib®システムに興味を持つ国内外の複数企業との間で技術評価のための検証試験の実施或いは技術ライセンス交渉を行っており、今後は抗体医薬品の研究開発を目的とする基盤技術ライセンス事業を積極的に進めてまいります。
また、当社グループの全ての事業に関連しますが、主たる技術開発の状況は下記の通りです。
約2年にわたって最優先課題として取り組んでまいりました完全ヒトADLib®システムについては、2014年3月に多様化されたライブラリから複数の抗原に対する特異的な抗体の獲得が確認され、実用化の目途が立ちました。これにより、短期間で最初からヒトの抗体を獲得することが可能になりました。今後は、オリジナルのトリADLib®システムと同程度以上の多様性を持たせることで様々な困難抗原に対する抗体作製実績を積み上げ、完全ヒトADLib®システムに対するアライアンス契約、技術導出契約等の各種契約獲得を目指します。
④ 中長期的な会社の経営戦略
独自の創薬基盤技術であるADLib®システムを核とした中長期的な事業シナリオは次のとおりです。
a.自社治療用リード抗体の創出
当社グループは、抗体作製の基盤技術であるADLib®システムの特性を生かすべく従来の技術では獲得が極めて困難なFirst in Class抗体の作製に重点的に取り組んでおります。横浜市立大学と共同研究中の抗セマフォリン3A抗体の研究開発をはじめ、企業やアカデミアとの共同研究開発を推進し、継続して医薬品として有望な抗体を自社で作製し、国内外の製薬企業への早期導出を目指してまいります。更に、セレクション技術の向上等を武器にして、より多くの高付加価値なリード抗体を創出してまいります。また、ADLib®システムの特性である抗体作製の迅速性については、完全ヒトADLib®システムの実用化の目途が立ったことでその競合優位性はさらに際立つものとなりました。これにより、長期化する研究開発期間を大幅に改善することで抗体医薬品の販売開始時期を早め、特許有効期限を最大化するなど、製薬企業に大きなメリットをもたらすものと考えております。
b.技術開発と事業開発の連動
当社グループのような基盤技術型のバイオベンチャー企業の場合、技術の改良や新規開発が全ての事業に影響を与え、それぞれの事業が相互に影響しながら事業展開をしていきます。それゆえ、継続的に技術開発と事業開発との連動を図っていくことが非常に重要であると考えています。技術開発の進捗が事業開発活動とその成果に大きな影響を及ぼすため、技術開発の進捗、クライアントニーズ及び環境変化に対応した柔軟な事業展開を行っていく方針であります。完全ヒトADLib®システムの実用化の目途が立ったため、当社グループの契約規模拡大に寄与する事が期待されるとともに、ADLib®システムと相乗効果を持ち、抗体の機能性向上などに関わる技術を保有する企業との共同研究を進展させることで、より付加価値の高い抗体医薬品を短期間に創出することが可能になると考えております。こうした取り組みで実績を積み重ねることで、多くの企業にとって掛け替えのない存在になる事が、当社グループの成長を加速すると考えています。そして、何よりも当社のビジョンであるパンデミック感染症対応や究極のオーダーメイド医療の実現に向けて大きなマイルストーンを越えることが出来たと考えております。
c.グローバル展開の加速
現在、当社グループでは国内外の複数の製薬企業と共同研究契約及び技術アライアンス契約を締結しておりますが、今後欧米における事業開発機能を更に充実させ、また研究開発機能を新たに構築することによって、抗体創薬企業としての認知度をグローバルレベルに高めるとともに最先端の情報をより速く入手し、より優秀な人材を確保することが出来ると考えております。今後の事業展開や情報収集分野等を考慮した適切な地域にこうした機能拠点を設けることにより、当社グループと相互補完的な価値を持つ企業との戦略的アライアンスや共同研究契約の新規締結と基盤技術の導出を積極的に推進し、企業価値の増大を目指してまいります。
d.創薬アライアンス事業や基盤技術ライセンス事業の規模拡大
国内外の製薬企業との共同研究契約の新規獲得並びに既存の製薬企業との契約規模拡大を目指します。新規契約の獲得に当たっては、既存の製薬企業との大型アライアンス締結に至る経緯と同様に、本格的契約に至る前段階としての検証的契約を取り入れ、より大規模な契約に繋げていくことを目指します。新規契約締結後は、クライアントのニーズに適合した抗体を作製し、更なる契約規模の拡大を目指します。

(6)経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第一部 企業情報、第2 事業の状況、3.対処すべき課題」に記載のとおりです。


番号用語意味・内容
*41多重特異性抗体1分子が複数の抗原結合部位を持つ多価抗体といい、複数の特異性をもつような抗体を多重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)といいます。多重特異性抗体は、免疫診断薬や治療薬などに有用性があります。
*42超ラージスケールセレクションオリジナルのADLib®システムのセレクションの規模(容量)を100倍程度(50リッター)に大規模化したものになります。
*43フェーズ・ゼロフェーズ・ゼロの目的は、新薬候補がヒトでも標的であるタンパク質と結合し、本当に目的とする作用が期待できるか否かを、ヒトで確かめることです。そのため、投薬量も限定されます。フェーズ・ゼロで標的との作用のPOC(Proof of Concept:コンセプト証明)が得られた新薬候補に限り、フェーズ1に進みます。
*44トリ抗体ニワトリの体内でつくりだされる抗体と同じ構造をもったニワトリIgM抗体で、ニワトリの抗体を作り出すADLib®システムを使って取得した抗体を指します。
*45偽遺伝子座鳥類の抗体遺伝子においては、タンパク質をつくるための正しい抗体遺伝子に対して、多くの配列の異なる抗体遺伝子の断片があり、これを偽遺伝子座と呼びます。この偽遺伝子座の配列が相同組換えによって正しい遺伝子上にコピーされることで抗体遺伝子の多様化が起こります。
*46プロトタイプ実験的に少数作られるモデルのことです。
*47機能性抗体ターゲット抗原に結合することで何らかの生物学的作用・生理活性を示す抗体をいいます。抗体は、ターゲット抗原に結合するだけでは医薬品に必要な機能性を持っているとはいえず、ターゲット抗原の持つ機能を何らか修飾(中和、阻害、促進等)して初めて生理活性を発揮します。
*48がん特異的分子がんの原因となる物質のことをいいます。

研究開発活動株式の総数等


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