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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10078F9

有価証券報告書抜粋 株式会社カイオム・バイオサイエンス 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2015年12月期)


研究開発活動メニュー株式の総数等

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
1.重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のためこれらの見積りと異なる場合があります。

2.財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は4,273,501千円となり、前事業年度末と比較して1,300,512千円減少しました。この主な要因は、販売費及び一般管理費の支出や有価証券の取得による現金及び預金の減少等や、有価証券の取得による有価証券の増加等であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は645,279千円となり、前事業年度末と比較して107,800千円増加しました。この主な要因は、投資有価証券の取得による投資有価証券114,000千円の増加や研究機器の購入等による有形固定資産40,053千円の増加等であります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は237,529千円となり、前事業年度末と比較して4,400千円増加しました。この主な要因は、借入による1年内返済予定の長期借入金45,837千円の増加や、決算期変更に伴う賞与支給対象期間の変更による賞与引当金12,756千円の増加等であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は117,010千円となり、前事業年度末と比較して53,771千円増加しました。この主な要因は、借入による長期借入金54,163千円の増加等であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は4,564,241千円となり、前事業年度末と比較して1,250,884千円減少しました。この主な要因は、当期純損失の計上による利益剰余金1,282,714千円の減少、新株予約権の権利行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ10,573千円増加したこと、新株予約権の発行等により新株予約権が10,684千円増加したことであります。

3.経営成績の分析
当事業年度における売上高は、国内製薬企業とのアライアンス契約に基づく収益の計上等により280,113千円となりました。販売費及び一般管理費は1,411,972千円となり、その主なものは研究開発費828,139千円であります。この結果、営業損失は1,269,916千円、経常損失は1,253,916千円、当期純損失は1,282,714千円となりました。
これらの要因については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。

4.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

5.経営戦略の現状と見通し
当事業年度において当社は、「創薬アライアンス事業」「リード抗体ライセンスアウト事業」「基盤技術ライセンス事業」の3つを報告セグメントとしておりましたが、2016年1月から、当社の事業展開と連動させ「創薬事業」「創薬支援事業」の2つの報告セグメントに変更しました。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご覧ください。なお、本項においては変更後のセグメント区分で説明いたします。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおり、当社の事業開発活動の状況を踏まえた経営戦略の現状と見通しは以下のとおりです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は多様な抗体を迅速に創出して新規医薬品の開発につなげることにより、新しい治療法を必要とする患者さん、御家族及び医療従事者の方々のお役に立ちたいと願っています。
がんや自己免疫疾患さらには感染症等、多くの疾患に対して抗体医薬品が開発されていますが、ある患者さんには有効性を認める抗体が他の患者さんには有効性を認めないことがあります。これは、例えば同じ肺がんでも患者さんによってがん細胞の性質が異なることがあるためです。その場合、患者さんのがん細胞に適合した抗体を迅速に作製して治療に用いることが望まれます。このように、本来であれば個々の患者さんの疾患原因に対する最適な治療薬が必要となる訳ですが、現在の医療制度ではそれは適いません。
また、治療法が確立されていない難治性あるいは希少疾患と広域に流行する新興感染症はいずれも人類にとって大きな脅威です。新興感染症の爆発的な流行には、グローバルな素早い対応が求められます。
ADLib®システムの多様性や迅速性に加え、他の抗体作製技術や新規の創薬技術の特長を最大限活かし、これらの疾患の克服と人類の健康に貢献します。
(2) 目標とする経営指標
創薬事業においては、ADLib®システムの継続的な改良及び技術導入や共同研究提携等の戦略的アライアンスを推進することで、創薬力を高めてまいります。また、パイプライン数の増大に向けては、ADLib®システムに加えてリブテックで実績のあるハイブリドーマ法等も駆使して、医薬品の未充足な新規ターゲットやPOCが確立されている疾患の抗原に対する抗体作製実績を積み重ねます。リード抗体の価値最大化に向けては、前臨床試験段階のみならず初期臨床試験まで実施した上での導出を検討します。
創薬支援事業においては、アライアンス契約や技術ライセンス契約を継続的に締結することで、収益基盤の安定化を目指します。その上で、当社の抗体作製技術、これまでの経験と実績を活かしてクライアントの要望を上回る成果を提供して包括契約の締結を目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
独自の創薬基盤技術であるADLib®システムを核とした中長期的な事業シナリオは次のとおりです。
① 治療用リード抗体の創出
当社はADLib®システムの特性を活かし、従来の技術では獲得が困難である抗体の作製に取り組んでいます。また、企業やアカデミアとの共同研究開発を継続して、医薬品候補として有望な抗体を自社で作製し、製薬企業へ早期に導出することを目指します。
ADLib®システムに加えてハイブリドーマ法等を用いて抗体を作製すること及びリブテックの抗体導出実績で培われた経験やノウハウを活用することで、研究開発の初期段階を大幅に短縮し、抗体医薬品の販売開始時期を早める等、製薬企業に大きなメリットをもたらすものと考えます。
② 技術開発と事業開発の連動
当社のような創薬基盤技術型のバイオベンチャー企業の場合、技術開発、医薬品候補抗体の作製及び事業開発が相互に影響を与えながら事業が展開されます。そのため、事業開発と継続的な技術開発の連動を図り、柔軟な事業展開を行っていく方針です。
③ グローバル展開の加速
現在当社では、製薬企業等と共同研究契約及び技術アライアンス契約を締結しております。今後も相互補完的な価値を持つ企業との戦略的アライアンスを推進することにより、欧米における事業開発や研究開発活動を加速させてまいります。それにより、抗体創薬企業としての認知度をグローバルで高めることで、最先端の情報をより早く入手し、優秀な人材を確保することが出来ると考えます。
④ 創薬事業の規模拡大
製薬企業との新規アライアンス契約の締結、並びに既に締結済みの契約の規模拡大を目指します。新規契約の協議時には、本格契約に至る前段階として検証契約(オプションライセンス契約)を設定し、クライアント自身により導出予定の抗体の検証・評価を行うことを提案します。その上で提供した抗体がクライアントのニーズに則していた場合には、早期に本格契約(ライセンス契約)へと繋げていくことを目指します。


(50音、アルファベット順)
用語意味・内容
キメラ抗体ヒト以外の動物に由来する抗体分子のうち抗原と結合する部分(可変領域)を取り出し、ヒト由来の抗体分子の定常領域と交換したものをヒトキメラ抗体といいます。このような異種の抗体のキメラ抗体は、一般的に可変領域のもっている抗原と結合する能力を保持することが知られています。
クローン同一の起源を持ち、かつ均一な遺伝情報を持つ核酸、細胞、個体の集団のことをいいます。
クロマチン構造クロマチンとは、真核細胞内に存在するDNAとタンパク質の複合体のことを表します。例えばヒトの場合、一つの核に納められているDNAの総延長はおよそ2mといわれており、これを10μmの核に収納するための構造がクロマチン構造であります。
抗原通常、細菌やウイルスの持つタンパク質等、体内で異物と認識され、抗原抗体反応を起こさせる物質のことを抗原と言います。抗原が体内に入ると、これを撃退するための物質として抗体が作られ、抗原を排除するために働きます。さらにこの意味から派生して、抗体に結合する物質、あるいはこれから抗体を作製したい物質全般を、抗原と呼ぶこともあります。
抗セマフォリン3A抗体セマフォリン3A(Semaphorin 3A)は神経軸索ガイダンス因子として同定された分子で、神経軸策伸張を抑制することにより伸長方向を決めていることが知られています。最近の研究では、骨や臓器の発生と成長に重要な役割を果たしていること、セマフォリン3Aを阻害することにより神経再生が起きること、また炎症・免疫反応やがん、アルツハイマーとも関連していることが報告されています。
抗体遺伝子抗体遺伝子とは、抗体タンパク質の設計図となる遺伝子のことです。
抗体遺伝子座遺伝子座とは、染色体やゲノムにおける遺伝子の位置のことをいい、抗体遺伝子座とは、ゲノムの中で抗体を形作る遺伝子が存在する場所のことを示します。
抗体医薬品抗体を利用した医薬品のことです。
相同組換え相同組換え(相同的組換え)は、DNAの塩基配列がよく似た部位(相同部位)の間で起こる遺伝子の組換えメカニズムのことをいいます。
様々な化学物質や放射線により切断されたDNAは主に相同組換えによって修復されます。また、相同組換えがうまくいかないと配偶子が形成されなくなる等、生命が存続するために不可欠な仕組みの一つです。トリDT40における抗体遺伝子座の相同組換えは、抗体遺伝子の多様化を創出するための仕組みとして機能しています。
探索創薬研究の最初の段階として、医薬品の元となる生理活性をもつ物質を探索する研究段階があります。この研究を一般的に探索研究と呼びます。
低分子医薬分子量が小さく、ごく少数の機能的な分子グループを含む比較的単純な構造をした有機化合物。医薬品の領域では、概ね分子量数百程度のものを低分子(型)化合物といいます。
特異的抗体抗原抗体反応において、ある特定の抗原に結合する抗体です。
トリコスタチンA(TSA)ニワトリDT40細胞にクロマチン弛緩を誘導するために利用する薬剤でヒストン脱アセチル化酵素という種類の酵素の働きを阻害する働きがあります。
バイスペシフィック(多重特異性)抗体1つの抗体分子で2つのターゲット(抗原)を認識する多重特異性抗体のことです。
ハイブリドーマ法抗原を実験動物に免疫して、抗体を作り出すB細胞と増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)を融合した細胞(ハイブリドーマ)を作製する方法です。
ヒト化抗体ヒトの抗体に似ていますが、一部他の動物由来の構造を保持する抗体のことをいいます。


用語意味・内容
ファージディスプレイ法遺伝子工学的手法でファージ(細菌に感染するウイルス)粒子に多様な抗体タンパク質の抗原認識部位を発現提示させ、抗原と反応するファージを回収して、モノクローナル抗体を作製する方法です。
免疫化学的アッセイ免疫化学的アッセイとは、生物材料を用いて行うバイオアッセイ(生物化学的実験)の一つであり、特に抗体を用いて行う分析手法をいいます。抗体が、抗原に対して非常に特異的に結合する特長を持っているため、免疫化学的アッセイはバイオアッセイの中でも特に広く用いられる手法です。
免疫寛容特定の抗原(例えば、自身の体の構成成分やそれに似ているもの)に対しては、これが異物とみなされないために体が免疫反応を示さず、体内で抗体を産生しない状態をいいます。
免疫チェックポイント阻害剤いわゆる免疫療法の一種です。最近話題になっているこの治療薬は、これまでの免疫療法では免疫細胞の攻撃力を高める、アクセルをかける働きが中心であったのに対し、免疫細胞にかけられたブレーキを外す働きをもっています。他に治療法のなかった患者さんにも治療効果をあげることに成功しています。
免疫反応生体が外来性あるいは内因性の物質に対して自己か非自己かを識別し非自己に対してこれを排除することで、個体の生存維持及び種の存続のために起こす一連の生体反応をいいます。
モノクローナル抗体DT40細胞やハイブリドーマ等、単一の抗体を産生する細胞から得られた抗体のこと。
ライブラリ一つ一つの細胞が異なる構造の抗体を持っているような、大量の細胞の集団のことを、図書館にたとえて、ライブラリと呼びます。
リード抗体医薬品の候補となる抗体のことです。
ADC抗体抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。ADCの特徴は、悪性腫瘍や炎症性疾患等の目的の組織や細胞表面タンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に抗がん剤等の薬物を結合させることにより、薬剤を病変部位に選択的に到達させ、細胞内に放出させることで、がん細胞等を死滅させることができます。
ADLib® axCELLADLib®システムの応用技術の一つです。ADLib®システムで使用する抗原を細胞にまで拡大した技術で、当社で開発に成功した独自技術です。細胞表面に発現する抗原をそのまま自然な状態で利用することで従来技術では取得困難であった抗体を得ることができます。
ADLib® ComboADLib®システムの応用技術の一つです。既存の抗体とは異なったエピトープ(抗体が認識する抗原の一部分)を認識する抗体の取得方法で、当社で開発に成功したものです。
ADLib®(アドリブ)システムニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性を増大させ、特定の抗原を固定した磁気ビーズで特異的抗体を産生する細胞をつり上げる仕組みです。理研で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていること及び従来困難であった抗体取得が可能であること等の点に特徴があると考えております。
Bリンパ細胞リンパ球の1種で、主に抗体を産生します。
DT40細胞ニワトリのファブリキウス嚢(鳥類に特有な一次免疫器官)から取り出され、がん遺伝子の導入により不死化されたB細胞(抗体産生細胞の一種)の一つです。このDT40細胞株の抗体遺伝子座において起こる遺伝子変換を人為的に誘導することによって、多様な抗体を産生する細胞集団(ライブラリ)が得られます。これがADLib®システムの技術の基になっています。


用語意味・内容
ELISAELISA (Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay) は、試料中に含まれる抗体あるいは抗原の濃度を検出・定量する際に用いられる免疫化学的アッセイの一つです。
first-in-class一般的には、その作用機序の医薬品のなかで市場に最初に登場した医薬品を指します。類似薬がないことから高い薬価と高い売上が期待できます。抗体の場合は、あるタンパク質(抗原)を疾患治療用のターゲットとして初めて用いる場合、その抗体はfirst-in-class抗体と呼ばれます。first-in-class抗体のターゲット抗原の候補は、潜在的なものも含めてアカデミアを中心としたさまざまな疾患研究の中に多く存在していると考えられます。当社ではそうした抗原をターゲットとすることで、これまでにない医薬品候補抗体の開発を目指し、治療充足度が十分でない疾患の治療に貢献します。
GPCRGPCR(G Protein Coupled Receptor)は、7回膜貫通型タンパク質であり、がんや免疫疾患の治療を目的とした有力な医薬品ターゲットとして注目されています。
IgG抗体は、構造の違いによっていくつかのタイプに分けられ、その中の免疫グロブリンG(Immunoglobulin G)の名称を略したものです。IgG抗体はヒトの抗体の大部分を占めている抗体です。
IgM抗体は、構造の違いによっていくつかのタイプに分けられ、その中の免疫グロブリンM(Immunoglobulin M)の名称を略したものです。オリジナルのADLib®システムによって作製する抗体は一般的にこのタイプのものです。なお、当社では、ADLib®システムによって作製したIgM抗体をIgG化する技術も保有しております。
Nature BiotechnologyNature誌と同じ出版社であるNature Publishing Group社が発行するバイオテクノロジー専門の論文雑誌です。

研究開発活動株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E26096] S10078F9)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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