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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002KYM

有価証券報告書抜粋 株式会社スリー・ディー・マトリックス 事業等のリスク (2014年4月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動


以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。
なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 医療製品事業に関するリスク
① 薬事法等の法的規制に関する事項
薬事法は医薬品及び医療機器等の有効性及び安全性を確保することを目的としています。薬事法上、医療機器を製造・販売するためには、所管の都道府県知事より医療機器製造販売業許可を取得する必要があり、また、個別製品ごとに所轄官庁の承認又は認証を得ることが必要となります。
当社は、2010年8月18日に、東京都知事より第一種医療機器製造販売業許可を取得して(有効期限2015年8月17日まで)、医療機器の研究開発を行い、製造・販売に向け事業活動を行っています。当社グループでは、薬事法その他の関連法規の遵守に努めており、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備にも取り組んで参りました。しかしながら、第一種医療機器製造販売業許可については、当社に薬事法その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は当社若しくは当社の役員が薬事法第12条の2第3号の準用する同法第5条第3号に掲げる事由に該当するに至ったときには、当該許可が取り消される可能性があり(同法第75条第1項)、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。
また当社は、先行パイプラインである吸収性局所止血材TDM‐621について、2011年5月に、厚生労働大臣に対し製造販売承認申請を行っています。
上記製造販売承認申請に至る過程において、当社では、TDM‐621について、PMDAのガイドラインに従ったGLP安全性試験を実施した後に、2010年1月よりヒトでの臨床試験を実施していますが、2011年4月までに実施された全97症例について、総じて有効な止血効果が認められており、また、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されませんでした。
そのため、TDM‐621について製造販売承認が得られない可能性は低いものと考えております。しかしながら、PMDAとの臨床試験開始前相談や臨床試験で安全性が確認された事項以外に追加確認が必要となる場合や、薬事法その他の関連法規に大きな変更が生じた場合等には、TDM‐621について、製造販売承認が取得できなくなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。
また、TDM‐621について製造販売承認が得られたとしても、TDM‐621が、その申請に係る効能、効果若しくは性能を有すると認められないとき等は当該承認が取り消されることとなり(薬事法第74条の2第1項・第14条第2項第3号)、また、当社が同法74条の2第3項に掲げる事由に該当する場合には、当該承認が取り消される可能性があります。かかる製造販売承認の取消がなされた場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。

② 収益の不確実性に関する事項
止血剤は外科手術において幅広く使用され、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、止血材であるTDM-621が製品化された場合、安定した需要が見込まれます。また、改正薬事法により生物由来製品の安全管理が厳しくなったことから、人工合成物であり安全性が高いTDM-621は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、現在は同製品について製造販売承認申請をした段階であり、今後想定する適応手術領域より狭い範囲でしか製造承認を取得できない場合や、同製品について保険収載が否定されたり、保険収載価格が想定価格と乖離が生じる場合があり得ます。
また、TDM‐621は、国内に引き続き、韓国・台湾においても製造販売承認申請及び保険収載の申請を行う予定です。そのため、各国においても、適応手術領域より狭い範囲でしか製造承認を取得できなかったり、同製品について保険収載が否定され、または保険収載価格が想定価格と乖離が生じる可能性があることは否定できません。
また、欧米及びその他アジア地域においても製品上市に向けて臨床試験を開始する予定でありますが、各地域での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合、また臨床試験の結果、同製品の有効性・安全性が認められなかった場合には、同製品の製造販売を実施することができない可能性があることは否定できません。
これらの事象が生じた場合には、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

③ 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項
当社グループの事業収益は、扶桑薬品工業株式会社への依存度が高く、第8期連結会計年度の事業収益に占める割合が約94.8%(第9期連結会計年度および第10期連結会計年度における同社からの事業収益はありません。)となっております。そのため、扶桑薬品工業株式会社との契約が解除その他の理由で終了した場合や、何らかの理由により同契約で予定されている収益が得られなくなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。
また、安定的製品売上まで当社グループの主な事業収益は、製造販売承認申請を実施した吸収性局所止血材に関する契約一時金・マイルストーンペイメントであります。そのため、仮に製品の製造販売承認や保険収載が取得できなかったり、計画通りに進展しなかった場合には、同収益が獲得できず、または獲得が遅れることとなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

④ 重要な契約に関する事項
当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 製造・販売に関する事項
当社グループは、伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社との間で業務提携契約を締結し、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の調達先や、製剤の業務委託先の選定、販売提携先の選定に関し業務提携を行っています。当社グループは、ペプチド原材料について、複数社に対し製造を委託しています。また、当社は、止血材について、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しておりますが、今後、複数の海外企業に対し、製造の委託をすることを予定しています。
このように、当社グループでは、TDM-621の製造販売承認取得後の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、想定外の事故なども含め原材料の供給や委託製造に遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、提出日現在TDM-621の製造販売承認申請を行っており、その国内販売について、扶桑薬品工業株式会社との間で独占販売権許諾契約を締結しております。同社との契約においては、同社に最低購入義務が課せられておりますが、何らかの理由で同社が同義務を果たさない場合、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 製造物責任に関する事項
医療製品の設計、開発、製造及び販売には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。
当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用したTDM-621について、ヒトでの臨床試験を実施済みであり、実施した全97症例において、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。しかしながら、今後、当社グループが開発した医療製品が患者の健康被害を引き起こす可能性は否定できず、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負うことにより、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、このような事例において結果として当社グループの過失が否定されたとしても、製造物責任に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 止血剤以外の医療製品に関する事項
当社グループでは、歯槽骨再建材TDM-711について、当社子会社が2011年7月にFDAからIDEの承認を得ておりましたが、米国において2012年2月に臨床試験を開始しております。しかしながら、臨床試験の結果、同製品の有効性・安全性が認められなかった場合には、同製品の製造販売を実施することができず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、外科領域において粘膜隆起材TDM-641・血管塞栓材TDM-631の研究開発を行っております。しかしながら、これらについてはいずれも研究開発段階であり、今後の研究開発が計画どおりに進む保証はなく、事業化が順調に進展しない場合には、当社グル―プの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
上記の歯槽骨再建材TDM-711及び研究開発中の粘膜隆起材TDM-641・血管塞栓材TDM-631は、いずれもTDM-621と同じ配列(RADA16)の自己組織化ペプチド技術を基礎としているものです。そして、TDM-621については、既にヒトへの臨床試験を実施しており、実施した全97症例について、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。そのため、これらの製品についても、今後の臨床試験の結果、その有効性が認められれば、所轄官庁の承認または認可を受けられない可能性は低いものと思われます。しかしながら、当該技術自体の安全性に疑問が生じることとなった場合や、薬事法その他の関連法規に大きな変化が生じた場合には、これらの製品について承認または認可が取得できなくなり、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。
DDS領域においては、主に医薬品の研究開発を行っております。医薬品の場合には、医療機器と比べ臨床試験が多段階に設定されていることから、承認申請に至るまでのプロセスが長期に亘り、また、不確定な要素が多くなるため、当社グループの想定どおりに研究開発が進まない場合には、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。DDS領域においては、主に医薬品の研究開発を行っております。医薬品の場合には、医療機器と比べ臨床試験が多段階に設定されていることから、承認申請に至るまでのプロセスが長期に亘り、また、不確定な要素が多くなるため、当社グループの想定どおりに研究開発が進まない場合には、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 研究開発活動に関する事項
当社グループは、MITからライセンスされている自己組織化ペプチド技術に関する基本特許群(下記「②知的財産権に関するリスク」において定義する。)の上に応用技術を構築し、新しい医療製品を開発することを目指しております。提出日現在で、当社グループは日米約100の研究機関と共同研究を実施し、心筋再生技術、肝細胞培養技術、膵島細胞培養/移植技術などの分野では特許出願またはその準備を行っており、その他多数の分野において論文発表が行われております。当社グループでは、現在の主要なパイプラインに続く次の事業化候補として、これらの応用技術から、(a)創傷治癒、心筋再生、軟骨/椎間板再生など細胞を用いない再生治療、(b)埋め込み型人工膵臓治療、体外型人工肝臓治療など細胞を用いるが体内埋植しない治療法、さらに(c)膵島移植治療、脊椎損傷治療など細胞を体内埋植する治療法、(d)BMPなどタンパク製剤やペプチド製剤、核酸などのDDSなど、新しいパイプラインが開発計画に組み込まれる可能性があると見込んでおります。これらの事業化候補については、現在は基礎研究段階であり事業計画に織り込まれておりませんが、事業化が順調に進展しない場合、将来の重要なアップサイドポテンシャルを失う可能性があります。

(2) 知的財産権・訴訟等に関するリスク
① 特許の取得状況等に関する事項
当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また当社グループにて特許出願しております。
当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド物質特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社と、非独占的なサブライセンス契約を締結しております。しかしながら、米国ARCH Therapeutics, Inc.社は現在、事実上事業を展開しておらず、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。
基本特許群は自己組織化を起こしハイドロゲルを形成するペプチド群を全てカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、主な特許は既に登録済みとなっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群が淘汰される可能性は否定できません。
また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、すべての特許について登録に至るとは限りません。当社グループは既に基本特許群を確保しているとはいえ、これらの特許が成立しなかった場合、一部特許権を行使することができず、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。

② 訴訟等に関する事項
当社グループは、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、第三者の特許権等の知的財産権を侵害する可能性は極めて低いと考えております。また、当社グループは第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、提出日現在において、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権に抵触している事実はなく、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、解決に多大な時間及び経費を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容および結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼に影響が生じ事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。


製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者
物質特許
吸収性局所止血材
粘膜隆起材
血管塞栓材
歯槽骨再建材
PuraMatrix
自己組織化ペプチド物質特許US 5670483米国
(登録)
MIT
自己組織化ペプチド物質特許
(自己組織化方法・阻害方法含む)
US 6548630米国
(登録)
MIT
自己組織化ペプチド物質特許WO 06/014570米国
(出願中)
3-D Matrix, Inc.
用途特許
吸収性局所止血材
粘膜隆起材
自己組織化ペプチドの止血材及び組織閉塞材方法特願 2008-316133日本
(出願中)
当社

歯槽骨再建材
PuraMatrix
自己組織化ペプチド細胞培養法US 5955343米国
(登録)
MIT
歯槽骨再建材
PuraMatrix
自己組織化ペプチド細胞培養法US 6800481米国
(登録)
MIT
PuraMatrix
DDS
自己組織化ペプチド
たんぱく質の薬物送達法
US 7098028米国
(登録)
MIT
PuraMatrix自己組織化ペプチド
軟骨細胞培養法
US 7449180米国
(登録)
MIT
EP 1367961欧州
(登録)
PuraMatrix自己組織化ペプチド
修飾ペプチド物質特許(注)
US 7713923米国
(登録)
MIT
PuraMatrix自己組織化ペプチド神経再生法US 2005/0287186米国
(出願中)
MIT
PuraMatrix自己組織化ペプチド
軟骨細胞培養法
第507629号日本
(登録)
MIT
PuraMatrix自己組織化ペプチド
修飾ペプチド細胞培養法
第5057781号日本
(登録)
MIT
PuraMatrix自己組織化ペプチド
心筋組織再生法
EP 2089047欧州
(登録)
3-D Matrix, Inc.
PuraMatrix自己組織化ペプチド
細胞培養法及び細胞培養物
第5263756号日本
(登録)
岡山大学、
当社
創傷治癒再建材
PuraMatrix
自己組織化ペプチド
創傷治癒・皮膚再建材
第5497451日本
(登録)
当社


(注)欧州・日本・カナダの各国への特許出願及びPCTに基づく国際特許出願も実施しており、現在審査中であります。

(3) 経営成績、財務状況等に関するリスク
① 業績の推移に関する事項
当社は、日本における吸収性局所止血材製品に関し、扶桑薬品工業株式会社と独占販売権許諾契約を締結し、その製品開発においては臨床試験を終了し製造販売承認申請中ではありますが、未だ承認取得には至っておらず、そのため製品の売上による事業収益は計上しておりません。現在までの事業収益は、主に上記を含む過去に締結した販売提携契約に基づく収益であり、また、2012年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しておりました。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。

② マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項
当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、第10期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金(△3,791,587千円)を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。
③ 税務上の繰越欠損金に関する事項
当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

④ 資金繰りに関する事項
当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。

⑤ 配当政策に関する事項
当社グループは、創業から2011年4月期までは当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、当期(2014年4月期)においても、1,525,374千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。

(4) 組織に関するリスク
① 業歴が浅いことに関する事項
当社は2004年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。また研究開発型企業であり、創業以来提出日現在で上市に至った製品はなく、事業ステージは先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。

② 小規模組織に関する事項
当社グループは提出日現在、親会社で取締役5名、監査役3名、従業員19名の計27名体制、子会社で取締役8名(内4名は親会社役員が兼務)、従業員16名の計24名体制の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

③ 特定の人物への依存に関する事項
当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である永野恵嗣と髙村健太郎であります。この両名は経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務の推進における責任者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは、両名に過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、両名が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 人材の確保及び育成に関する事項
当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(5) その他
① 調達資金の使途に関する事項
当社は、公募増資による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化など投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項
当社はストック・オプション制度を採用しております。既に発行されたストック・オプションには、旧商法第280条ノ20及び第280条ノ21の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたもの、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたものがありますが、発行済みの新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、2014年4月末日現在で合計1,064,000株となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数19,876,400株とを合計した数20,940,400株に対し5.1%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。当社は、今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。

③ ベンチャーキャピタル等の当社株式保有比率に関する事項
当社の2014年4月末時点における発行済株式総数は19,876,400株であり、そのうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「VC等」という。)が所有している株式数は40,000株であり、その所有割合は上場前の24.6%から0.2%となっております。
一般的にVC等が未上場株式に投資を行う目的は、上場後に当該株式を売却してキャピタルゲインを得ることであることから、VC等は当社の株式公開後の現在において所有する株式の一部または全部を売却することが想定されます。このことから、当社株式売却により、需給バランスの悪化が生じる可能性があり、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。

④ 為替に関する事項
当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。
そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。

対処すべき課題研究開発活動


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