有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100WRQT (EDINETへの外部リンク)
株式会社トライアルホールディングス 事業の内容 (2025年6月期)
当社の事業区分である「流通小売事業」及び「リテールAI事業」は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であり、報告セグメントに含まれていない事業及びこれらに附帯する事業を「その他」に区分しております。
当社グループの事業内容は、次のとおりです。なお、主な関係会社の詳細については「4 関係会社の状況」に記載のとおりです。
(1)流通小売事業
①多様な店舗フォーマットとワンストップショッピングを可能にする豊富な商品ラインナップ
中核事業会社である㈱トライアルカンパニーを中心に、『あなたの「生活必需店」。』をストアコンセプトとした『TRIAL』ブランドのディスカウントストアを全国に展開しております。店舗フォーマットはメガセンター、スーパーセンター(SuC)、smart及び小型店の4種のフォーマットで、主力フォーマットであるスーパーセンターを中心に、商圏人口や立地、店舗面積等を考慮して様々なエリアに出店し、各エリアでのドミナント展開と収益の最大化を進めております。
業態名 | 売場面積 (㎡) | 主な出店 エリア | 業態の概要 | 主要販売品 及びアイテム数 | 店舗数 (2025年6月末現在) |
メガ センター | 約8,000㎡ | 地方都市 | 食品から趣味嗜好品までフルラインで商品を取り揃える大型店 | 生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨、家電品、衣料品、園芸・DIY用品、ペット用品、スポーツ用品、インテリアなど約10万点 | 28店舗 |
スーパー センター (SuC) | 約4,000㎡ | 郊外 | 生鮮食品や加工食品をはじめとする食品及び日用消耗品などの生活必需品を商品構成の中心としながら、家電製品や衣料品などの非食品を取り揃える中型店 | 生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨、家電品、衣料品、園芸・DIY用品、ペット用品、スポーツ用品、インテリアなど約6~7万点 | 207店舗 |
smart | 約1,400㎡ | 都市部・ 小商圏 | 加工食品や弁当、惣菜を含む生鮮食品など、食品を中心とする商品構成で、メガセンター、SuCが出店困難な都市部・小商圏エリアへの出店が可能なフォーマット | 生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨、衣料品など約3万点 | 70店舗 |
小型店 | ~約1,000㎡ | 都市部・ 小商圏 | 食品を中心とする商品構成で、SuCなど既存店舗からの高頻度配送により新鮮な生鮮食品、惣菜を提供。自動値下げソリューションや顔認証決済などのテクノロジーを活用した高い生産性を実現する次世代型スマートストア「TRIAL GO」等の小型店 | 一般食料品を中心として、日用雑貨など約7千~2万点 | 47店舗 |
なお、2025年6月末日時点の地域別の店舗数は以下のとおりです。
![]() |
また、商品ラインナップは、生鮮食品などの「食」を強みとして、日用消耗品などの生活必需品から家電製品、アパレル用品からホビー用品などの非食品まで、豊富な品揃えを有しており、24時間営業(一部店舗を除く。)で、何でも・いつでも・欲しいものがお得に買えるワンストップショッピングストアとして、利便性や価格優位性を特徴としております。
また、当社グループ内に弁当・惣菜製造や生鮮食品の加工を行うプロセスセンターやセントラルキッチン、飲料製造工場を有しており、商品製造のノウハウを増強しております。ナショナルブランド商品を調達して販売するスタイルが主流である一方、プライベート・ブランド(PB)商品も展開しております。PB商品においては、かつ重などの惣菜、ナチュラルミネラルウォーターやお茶などの飲料、菓子類、フリースなどの衣料品が人気商品であり、いずれも高品質で低価格であることが、人気の理由であると考えております。
②ローコストオペレーションを確立したユニークな店舗運営
1992年にトライアル1号店となる南ヶ丘店(福岡県大野城市)を開店して以来、当社は約30年におよぶディスカウントストアの運営ノウハウを蓄積しており、当社グループにてアライアンス先との物流網の共有化を通じた自社物流による最適化等、効率的な仕入れの確立と徹底したコスト管理、後述するリテールテックを活用した省力化によって、ローコストオペレーションを実現しております。
また、当社はグループ内に店舗の設計や建築を担う子会社を有しており、新規出店時における新築コストや店舗の改装コストを抑えることができるほか、居抜きによる出店も活用しており、新規出店時による一時的なコスト増加についても低位に抑える戦略が確立されております。
当社グループはEDLP(Every Day Low Price)(注1)を価格戦略における基本方針としております。EDLPが実現できる背景はEDLC(Every Day Low Cost)、すなわちローコストオペレーションであります。生鮮食品などの生活必需品を中心に、競争力のある価格提案を行い、欲しいものがいつでも安い、地域一番の生活必需店として、お客様に寄り添った店舗運営を確立しております。
③リテールテックを活用した独自のビジネスモデル
当社グループが属する流通小売業をはじめ、あらゆる産業・分野においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が浸透しており、様々な企業がIoT(注2)/AI(注3)などのデジタル技術を活用することで新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通じた価値の創出に取組んでおりますが、当社は、「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」をビジョンとして、常に革新的な技術開発に取組んできた企業であり、現在も流通小売業(リテール)のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する『リテールDX』を牽引する先駆者として、業界の改革に取組んでおります。
当社グループは1996年のスーパーセンター1号店であるスーパーセンタートライアル 北九州空港バイパス店(北九州市小倉南区)の開店以降、自社開発のPC-POSシステム(注4)によって顧客データの蓄積と活用をはじめており、現在は各メーカー企業とお客様の購買情報がスムーズに連携できるデータベースエンジンの運用や商品の自動発注等を可能にする独自のPACER(注5)を活用した効率的な店舗オペレーションを実現しております。
また、当社のシステム開発等を所管する㈱Retail AIを中心に、お客様のさらなる買い物体験の向上と店舗運営の省力化をはじめとする流通小売業界全体のDXを企図とした取り組みを加速しております。
2015年には決済手続きを省力化するスマートショッピングカート(現:Skip Cart)の導入を開始したほか、お客様の動線や商品の在庫を記録するAIカメラや商品の販促等に活用するインストアサイネージを導入するなど、リテールテックを活用した独自性のあるビジネスモデルを構築できているものと考えております。特に、Skip Cartの利用によってお客様のレジ待ち時間が大幅に改善され、お客様の利便性向上につながっております。
(注)1.「EDLP」とは、Every Day Low Priceの略で、特売や限定販売ではなく、数量を限定せず、毎日お値打ち価格で販売することを指します。
2.「IoT」とは、Internet of Thingsの略で、あらゆるモノがインターネットに接続する技術を指します。
3.「AI」とは、Artificial Intelligenceの略で、人工知能のことを指します。
4.「PC-POSシステム」とは、販売時の商品情報を読み取り売上管理や商品管理を担う機器であり、PCを内蔵したものを指します。
5.「PACER」とは、Plan・Action・Check・Education・Recoveryの略で、当社グループで開発した店舗運営業務における商品管理の各アプリケーションがインストールされたモバイル端末になります。
当社の特徴である①ワンストップショッピング、②ユニークな店舗運営、そして③リテールテックを活用したビジネスモデルは既存店の安定的な客数及び客単価の成長に貢献しており、順調な事業規模の拡大を実現できております。
トライアル1号店開店以降の売上高と店舗数の推移は以下のとおりです。
![]() |
既存店売上高(注) | 2024年6月期 | 2025年6月期 | |
前期比 | (%) | 105.8 | 103.6 |
既存店売上高 | 2024年7月 | 2024年8月 | 2024年9月 | 2024年10月 | 2024年11月 | 2024年12月 | |
前年同月比 | (%) | 101.6 | 109.3 | 101.9 | 100.8 | 105.0 | 104.2 |
既存店売上高 | 2025年1月 | 2025年2月 | 2025年3月 | 2025年4月 | 2025年5月 | 2025年6月 | |
前年同月比 | (%) | 103.6 | 101.8 | 105.6 | 103.8 | 103.6 | 101.3 |
当社グループの小売店舗における月次の既存店売上高は、日本チェーンストア協会が公表している既存店ベースのチェーンストア総販売額(全国の食品スーパーやGMSなど)と比べ、長期にわたって前年同月比で高い成長を実現しております。
![]() |
(注)「チェーンストア販売統計既存店売上高」とは、日本チェーンストア協会が公表している、同協会に加盟する会員企業(全国の食品スーパーマーケットやGMSなど)の総販売額における既存店ベース(当該月の販売額とその前年同月の販売額のうち、新規開店して売上増となったり閉店して売上減となったりする店舗の異動による影響を除いて比較)での前年同月比であります。
さらに当社グループでは、当社グループのみならず流通業界全体が活性化するような仕組みを『リテールDX』を通じて実現させることに注力しており、自社のみならず業界全体を巻き込んだ改革に取り組んでおります。
当該改革の一環として、2021年7月には、当社と福岡県宮若市、九州大学が連携し、産官学協働で『リテールDX』を軸にしたまちづくり「リモートワークタウン ムスブ宮若」プロジェクトを開始しました。同プロジェクトは、『リテールDX』を推進する当社グループと、宮若市及び九州大学が協働して推進する地方創生・まちづくり構想の一つであり、産官学による「リテールDXの拠点づくり」を目指し、リテール企業とメーカー企業が共同で実証実験を行っております。業界全体を巻き込んだ改革意識の醸成として、食品・消費財メーカーの担当者が全国から集まり、『リテールDX』を学び、実践する「宮若ウィーク」や、リテール企業やIT企業など、流通業に関わる様々な企業がオープンな環境で共にSmart Store Technologyを探求し、新たな購買体験と店舗効率化の共創を進める「Smart Store Consortium」というイベントを開催しており、当社グループでは、既成概念にとらわれない、自由な発想を取り入れたイノベーションを誘発する仕組みを設けることで、よりスピード感のある開発を実現し、リテールDXの最先端拠点を目指しております。具体的には取引先である食品・消費財メーカーやIT企業とともに、共同学習としてリテールAI専門家による講義の提供やリテールDX人材の育成プログラムを開発するほか、DX実践としてSkip Cartやインストアサイネージを活用したマーケティング改革、MD-Linkを活用したデータの共有・可視化によるサプライチェーン全体の最適化について協働しております。
(2)リテールAI事業
小売事業者や食品・消費財メーカーに対して、お客様の買い物体験の向上やリアル店舗のオペレーション改善、広告・販売促進活動の効率化、在庫・物流などサプライチェーンの効率化等に資するプロダクトやソリューションを提供しております。当社では実店舗の運営で発生する現場のニーズを速やかに開発に活かすことができ、また、開発した技術を速やかに現場で実証実験できる体制が最大の特徴であり、実際の小売店舗という現場や流通サプライチェーンのステークホルダーの営業活動などの場面で実活用できるプロダクトやソリューションを開発する「オペレーション・ドリブン」のコンセプトのもと、流通小売事業と連携を図りながら、実店舗で実利用され、効果を生み出すことのできるプロダクトを開発しております。
主力プロダクトであるSkip Cartは、セルフスキャンによるレジ待ちの解消及びレジ人時(注1)の削減やクーポン・レコメンドを活用した実店舗におけるワン・トゥ・ワンマーケティング(注2)など、新しい価値をお客様、小売事業者、食品・消費財メーカーに提供しております。なお、Skip Cartやその他のプロダクトの月額利用料・ライセンス利用料等の収入を得ております。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
2025年6月末現在で、Skip Cartの当社グループ外での導入も含む導入店舗数は258店舗、導入台数は21,561台となっております。マンスリーユーザー数(注3)は450万人となっております。他にもPOS(注4)やID-POS(注5)等のデータ分析プラットフォームの「MD-Link」(2025年6月末時点で288社が利用)及びそのインフラ基盤である「e3-SMART」、棚状況の監視等を行う「カメラソリューション」、店頭における広告・販売促進ツールである「インストアサイネージ」などのプロダクトやソリューションの開発を行うとともに、グループ内の基幹システムや各種業務システムの開発・運用・保守を行っております。
(注)1.「レジ人時」とは、会計時の精算業務1時間当たりに必要な従業員数のことを指しております。
2.「ワン・トゥ・ワンマーケティング」とは、お客様個人の嗜好や属性、購買履歴等に応じて、個別に行うマーケティング活動です。マスマーケティングと比較した際、より深い顧客理解と広告等の出し分けを行う仕組みの構築が必要となります。
3.「マンスリーユーザー数」とは、2024年7月1日から翌年6月30日におけるSkip Cartの延べ月間利用者数(グループ外を除く)の平均を指しております。
4.「POS」とは、Point of Salesの略称であり、小売店において商品が購入された店舗や日時、数量等の把握が可能となる仕組み・システムを指しております。
5.「ID-POS」とは、(注)4の「POS」にIDデータが組み合わされたものであり、商品が購入された店舗や日時、数量だけでなく、ID単位でどのお客様が何の商品を購入したのかを把握することができる仕組み・システムを指しております。
6.「平均利用率」は、2024年7月1日から翌年6月30日にSkip Cartの稼働実績のあった当社グループのスーパーセンター195店舗における、2024年7月1日から翌年6月30日の9時から21時のカート利用可能な時間帯における延べ客数のうち、Skip Cartの延べ利用者数の割合であります。
7.「1時間当たりの通過客数」及び「1時間当たりの通過点数」は、スーパーセンターであるアイランドシティ店の2025年4月29日から同年5月6日におけるPOSデータから算出しております。なお、当該店舗を対象とした理由は、一般的にSkip Cartの導入直後は不自然に利用者が増加する傾向があるため、Skip Cartの導入後期間が最も長い同店を対象としたものであり、また当該期間を対象とした背景は、顧客数が多い方がより実態に即したデータになるという考えから、繁忙期であるゴールデンウイークを選んだためです。
(3)その他
当社グループは、「食」のブランディングを通じて本業である流通小売業における「ロイヤルカスタマー」を確立するため旅館施設である「久織亭(くおりてい)」、「虎の湯」、「古民家煉り(ねり)」や2024年2月1日付で東急不動産株式会社より取得した大分及び阿蘇のゴルフ場を含むゴルフ場運営などのリゾート関連事業及び建築・不動産管理等を行っております。各事業の連携を通じて、会員サービスの拡充及び周遊性を高めることを目指しております。
当社グループ全体のビジネスを俯瞰した図は以下のとおりです。
![]() |
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E38525] S100WRQT)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。