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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AP20

有価証券報告書抜粋 株式会社免疫生物研究所 研究開発活動 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は1,239,563千円であり、各事業の研究開発費については、診断・試薬事業は56,058千円、遺伝子組換えカイコ事業は1,175,612千円、検査事業は7,892千円となりました。なお、当連結会計年度において、前橋研究所は研究開発拠点としての意味合いが増加したため、同施設で計上していた設備等を研究開発費として941,704千円一括計上しております。各事業における内容等は次のとおりであります。

事業別の研究開発活動
① 遺伝子組換えカイコ事業
当社は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料、さらに、ヒト及び動物向け医薬品としての開発を推進してまいります。
イ ヒトフィブリノゲン
当社は、血液凝固活性を有する組換えヒトフィブリノゲンを遺伝子組換えカイコの繭中に生産させることに成功し、血液に代わって、ウイルス等の混入の可能性が無い、安全な製剤原料を提供できる可能性を見出してきました。現在、ヒトフィブリノゲンの医薬品原料としての製品化を目指し、アステラス製薬株式会社と共同研究を精力的に進めております。
ロ 動物用医薬品原料の生産
当社は、動物用医薬品メーカーと共同で、遺伝子組換えカイコによって動物用医薬品原料となるタンパク質の生産を進めております。遺伝子組換えカイコ生産技術の利点を最大限に生かし、高い安全性および有効性が要求される動物用医薬品の原料として活用することを目指すものであります。
ハ 研究用試薬および体外診断用医薬品原料としての抗体
当社は、研究用試薬や体外診断用医薬品に使用する抗体を、遺伝子組換えカイコにより生産する技術を開発してまいりました。この技術を活用して、当社の製品であるアミロイドβ測定キットに用いている抗体を、遺伝子組換えカイコ生産抗体に切り替えたほか、大手体外診断用医薬品メーカーへも、抗体の供給を行っております。
ニ ヒト型コラーゲン
当社は、遺伝子組換えカイコにより、アレルギーを起こす危険性が低い安心・安全なヒト型コラーゲンを開発することに成功しました。このコラーゲンを「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ」と命名し、化粧品原料として販売しております。また、ネオシルク化粧品のフレヴァンシリーズへも配合しております。
ホ ラミニン511-E8
iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8を遺伝子組換えカイコを用いて安価に製造する方法を確立しました。2016年9月より、㈱マトリクソームが研究用試薬(商品名:iMatrix-511 silk)の販売を開始しました。
へ 抗HIV抗体
当社は、遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できる可能性を示してきました。その技術を用い、フコースを含まない抗HIV抗体を開発し、ADCC活性を飛躍的に増強させ、遺伝子組換えカイコを用いた抗体医薬品の実用化を目指して、共同研究開発を進めており、順調に推移しております。

② 診断・試薬事業(医薬用関連)
当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。
また、診断用医薬品開発においては、当社研究用試薬として製品化してまいりました、アルツハイマー病、及び糖・脂質代謝関連疾患の領域での研究開発を進めております。
主な研究開発の進捗状況は以下の通りであります。
イ がん領域における抗体医薬品シーズ探索
当社グループは、大学との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。
某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。
ロ アルツハイマー病領域における治療用医薬品候補抗体の研究開発
当社は、京都大学、千葉大学との共同研究から、神経細胞に毒性を有するとされているアミロイドβの毒性コンフォマーに対する抗体を創出しております。モデル動物を使った薬効試験によるアルツハイマー型認知症治療薬シーズとしての評価、さらに診断における臨床的意義の検証を行ってまいりました。その結果、一定の認知機能障害の抑制効果、及び診断的意義が認められたことから論文発表を行いました。また、その成果として、以下にも記すように、アミロイドβ毒性コンフォマーに対する抗体を用いたELISA測定キットを開発し、研究用試薬として販売を開始しました。引き続き、本抗体の機能評価などを実施し、治療薬シーズとしての導出を進めてまいります。
ハ アルツハイマー病に対する体外診断用医薬品
当社は、海外他社とアルツハイマー病の診断を目的とした原因タンパク質の測定キットの共同開発を行い、欧州において体外診断用医薬品としての販売に至りました。今後は、安定的な製造を進めてまいります。
ニ 耳鼻科領域における、めまい・難聴にかかわる疾患の体外診断用医薬品
当社は、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行っております。この度、体外診断薬申請 の経験豊富な体外診断薬メーカー、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認された時は、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。
ホ 筋ジストロフィー患者の診断マーカーの測定系開発
某大学及び研究機関との共同研究によって、筋ジストロフィー患者の診断のためのバイオマーカーとして、尿中のタイチンというタンパク質に対する測定系の開発を進めてまいりましたが、2016年11月に研究用試薬として販売を開始いたしました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。患者尿中の解析において、このタイチンという巨大なタンパク質の断片が存在することが報告されており、本測定キットはこのタンパク質を特異的に検出することができます。また、このタンパク質は筋肉に存在することから、運動負荷による筋肉障害のバイオマーカーとしても有用であると考えています。病気の診断・病態のモニタリングマーカー、あるいは、運動のモニタリングマーカーとして、さらなる研究、開発を進めてまいります。

③ 診断・試薬事業(研究用関連)
研究用関連では、将来、診断に役立つ事を目指した抗体開発、及びそれを用いた測定キットの新製品の開発に取り組んでおります。分野として、当社の強みであるアルツハイマー病、がん・炎症及び糖・脂質代謝関連疾患の領域に特化した開発を行っております。
イ 老化関連分子に対する抗体・測定系の開発
この領域においては、既に可溶性α-Klotho測定キットを製品化し、国内外を問わず広く使用されております。2016年7月にはマウス版を製品化し、研究用試薬として販売を開始いたしました。マウス動物モデルでの使用ユーザーに対して販売を促進してまいります。本分子以外にも老化に関連する分子に対する抗体・測定系の開発を進めております。
ロ アルツハイマー型認知症関連タンパク質に対する抗体・測定系の開発
アミロイドβを中心とした種々のタンパク質に対する抗体・測定系の開発を進めています。これまでもアミロイドβ、及びその前駆体蛋白であるAPPなどに対する製品を広くラインアップしておりますが、新規の分子に対する開発も継続しております。先述したように、アミロイドβ毒性オリゴマー測定キットを2016年11月に発売いたしました。また、アミロイドβと並び重要なターゲット分子であるタウタンパク質の測定系開発も進めております。今後もユニークな製品を開発してまいります。
ハ メタボリックシンドローム・生活習慣病関連分子に対する抗体・測定系の開発
これまでにも糖代謝、脂質代謝、及び血圧調節などに関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化しておりますが、既存製品の高感度化、あるいは新規ターゲットに対する測定系の開発等、継続して特徴のある新規製品を開発しております。その中で、糖代謝に関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化してまいりましたが、特に、血糖値をコントロールするインスリンの分泌を促進するインクレチンというホルモンの測定系開発に注力しており、既存の製品に加えて、高感度化した新製品の開発、上市を進めてまいりました。その結果、2016年5~7月にかけて、GIP、GLP-1各High sensitivityキットの販売を開始いたしました。さらに、インスリン自体に対しても、マウスやラットなどを用いた動物実験に使用可能な高感度の測定系を開発し同年9月に上市いたしました。
脂質代謝関連分子に関しては、脂肪の分解をつかさどる各種リパーゼ測定系の開発を進めております。その中で、リポプロテインリパーゼの酵素活性の新規測定系の開発を進めておりましたが、試作品が出来上がり、海外検査会社での評価を実施、2017年度第2四半期には販売開始の予定です。さらに、既に発売を開始していた内皮性リパーゼ(EL)、肝性リパーゼ(HTGL)などの測定系を改良し高感度化した製品で、2017年度第1四半期には販売開始の予定です。
また、2017年4月6日群馬大学において研究発表がありましたタンパク質GPIHBP1につきましても測定キットを開発しております。このタンパク質は血管内部でLPLと結合して脂質異常症に関連する血管内皮細胞アンカータンパク質です。これらの脂質代謝関連タンパク質における体外診断薬への展開も視野に入れ、本共同研究を推進して参ります。
これらの脂質代謝関連タンパク質は、いわゆるメタボリックシンドロームといわれる疾患の中でも、特に脂質異常症に関連する因子であり、これらの測定キットはこの領域での基礎的な研究、及び治療薬の開発研究などに有効なものになると考えます。今後の研究成果によっては、研究用試薬に終わることなく、体外診断薬への展開も期待できます。また、検査事業においても、脂質に係るタンパク質であるリポタンパク質の詳細なプロファイリング測定サービスであるLipoSEARCH、あるいはコレステロールの吸収/合成マーカー測定サービスの提供を推進しており、これらの測定キットの販売、及び受託測定サービスなどを並行してプロモーションしていくことで、相乗効果を上げることが期待できます。これらの測定キット、測定サービスなどにより、この領域における当社の製品ラインアップを充実させ、存在意義を確立し、販売促進に努めてまいります。
二 Muse細胞に関する開発
株式会社生命科学インスティテュート(旧株式会社Clio、以下「LSII」という)とMuse細胞を用いた再生医療事業に関して共同研究を実施しています。Muse細胞は多能性幹細胞であり、損傷部位に集積・生着し、組織特異的な細胞に分化することで、損傷を受けた組織の構造や機能を修復します。当社は、Muse細胞の分離・精製等に関わる研究を進めております。

(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00986] S100AP20)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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