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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10053QX

有価証券報告書抜粋 株式会社医学生物学研究所 研究開発活動 (2015年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは新規の臨床検査薬、基礎研究用試薬の開発に加え、治療薬分野の研究開発活動を行っております。当連結会計年度における研究開発費は前期比2.9%減の12億34百万円で、主な進展は以下のとおりです。
1 臨床検査薬
がん関連遺伝子検査試薬
大腸がん治療に用いる抗EGFR抗体薬の投薬前検査に有用なRAS(KRAS及びNRAS)遺伝子の変異を検出する試薬MEBGENTM RASKETキットを開発いたしました。
本試薬は、欧州での体外診断用医薬品に必要な要求事項を満たし、2014年6月に欧州指定代理人を通じてCEマーク登録の通知が完了しました。日本国内においても2015年2月に体外診断用医薬品の製造販売承認を取得し、2015年4月1日付で保険収載されました。
大腸がんの治療には、がん細胞の増殖に関係する特定の分子を標的とした治療薬(分子標的薬)として抗EGFR抗体薬が使われる一方で、シグナルを伝達する分子の一つであるKRAS遺伝子のエキソン2に変異が生じると、治療効果を示さなくなることが知られており、投薬前に当該変異の検査が広く行われています。さらに最新の研究成果では、抗EGFR抗体薬が効果を示さない患者の一部に、KRAS遺伝子のエキソン2の変異はないが、KRAS遺伝子エキソン3、4、及びNRAS遺伝子エキソン2、3、4のいずれかの特定部位に変異があり、これら遺伝子の変異を調べることが抗EGFR抗体薬による治療方針決定に有用であることが報告されました。しかし検査の必要性が認識されながら、簡便に検査する体外診断用医薬品はありませんでした。
このため当社は、RAS遺伝子の変異を1チューブで簡便に検出することが可能な本試薬を開発しました。大腸がんの治療方針決定に必要なRAS遺伝子変異の情報をより早期に報告できることが期待されます。

2 基礎研究用試薬
①がんなどの免疫細胞治療で重要な役割を果たす、抗原特異的T細胞を検出する試薬「MHCテトラマー」の開発・販売に注力しており、国内に加えて米国子会社(BION Enterprises Ltd.)でも高品質な試薬生産を行い、全世界に販売をしています。
当連結会計年度は93品目の新製品を発売し、クラスIIテトラマーの生産方法の根本的な改良により安定生産を実現して、初のヒトクラスII製品も発売しております。また原料製造の困難性から中断していたクラスIIテトラマーのカスタム受託サービスを再開いたしました。
さらに新規サービスとして、候補ペプチドのテトラマー合成可否を予測するフォールディングサービスを開始しました。フォールディング反応でモノマーがほとんど形成されない場合に作業終了となることがありますが、本サービスは、あらかじめ複数のペプチド/MHCの組み合わせについて、モノマー形成の可否を調べる事ができます。
②エピジェネティクス(塩基配列の違いによらない遺伝子発現の多様性のことであり、DNAやヒストンのメチル化修飾による制御がよく知られています。)は、生殖だけでなく、がんやさまざまな疾患に関連していることが明らかになり、近年研究が盛んに行われている分野です。この研究分野に関連した修飾された核酸やヒストンに対する抗体を多数作製しています。
当連結会計年度は、幹細胞の自己複製への関与や、神経疾患(アルツハイマー病)、がんなどといった疾患との関係が指摘されている、修飾された核酸などに対する抗体を発売いたしました。今後、これら疾患との関連性など臨床的な応用が期待されます。

3 抗体医薬
デングウイルスに対して中和活性を有する完全ヒト型抗デングウイルス抗体の開発に成功しました。このプロジェクト成果の早期活用を目指して導出活動を進め、治療薬開発への取組みを開始しています。
デングウイルスは、4つの異なる型(DENV-1~4)があり、ある型に感染すると、通常その型に対して自己防御機能(免疫能)を獲得しますが、異なる型に対する免疫能は獲得することができず、再度感染するおそれがあります。異なる型に続けて感染すると、重症化する頻度が高まることが報告されています。
デングウイルスに2回目の感染を受けた患者の急性期の血液中の末梢血単核球(デングウイルスに対する抗体を産生)とパートナー細胞SPYMEGを材料に、細胞融合法を用いて数十種類の完全ヒト型抗デングウイルス抗体の開発に成功しました。これらの抗体は、デングウイルス4つの型すべてに対して顕著に中和活性を有しており、初期感染の治療はもちろん、再感染時においても効果を発揮することが期待されます。本抗体医薬シーズは、国内外問わず、製薬会社への導出及び提携を進めることで、早期の製剤化を計画しています。本抗体医薬シーズは、熱帯・亜熱帯地域諸国のみならず、今後の温暖化による影響を受ける可能性のある、わが国をはじめとする各国への波及効果も大きいと考えております。さらに、SPYMEGの活用により、エボラ出血熱や他のさまざまな難治療性感染症への応用も期待されます。

4 東京大学 医科学研究所との社会連携研究部門『システム免疫学』設置
国立大学法人 東京大学 医科学研究所と、これまで難解とされ立ち遅れている免疫疾患の全DNA解析による病態解明に向けた共同研究契約を締結し、同研究所 国際粘膜ワクチン開発研究センターに、社会連携研究部門『システム免疫学』を設置いたしました。粘膜免疫の基礎研究をベースに、大学の臨床各科と連携して各種免疫疾患の全ゲノム解析・DNAビッグデータを解読し、病因との関係を探索しつつ、“メディカルインフォマティクス”に精通した研究者の早急な育成を目指します。
当社は、これまで自己免疫疾患を中心とした免疫疾患関連の検査薬を数多く発売してきましたが、開設した『システム免疫学』との共同研究を通じて、自己免疫疾患のみならず自然免疫、粘膜免疫、がん免疫、免疫寛容等の免疫系全般に関して得られる情報から、革新的な臨床検査薬、医薬品、研究用試薬等の開発を目指します。
次世代DNAシークエンサーにより急速に明らかにされ、新たに拓かれる免疫系の研究成果と、当社グループに蓄積された糖鎖・レクチン技術を活用した口腔内細菌叢、腸内細菌叢の分野における研究開発に注力し、新たな製品開発を進めてまいります。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00978] S10053QX)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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