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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AFXZ

有価証券報告書抜粋 株式会社医学生物学研究所 研究開発活動 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社は、先端の体外診断用医薬品に選択・集中する方針の下で、2016年度から始まる5年間の中期計画を策定しました。中期計画の実現を確実なものとするために、初年度となる当期は、研究開発組織の再編ならびに開発テーマを再構築して、より効率的な試薬開発が可能な環境を整えました。
当連結会計年度における研究開発費は前期比4.2%増の12億89百万円で、主な進展は以下のとおりです。
(1) 臨床検査薬
① 自己免疫疾患検査試薬
自己免疫疾患検査試薬は当社のコア事業であり、引き続き新規項目の開発に注力しています。当期は、体外診断薬「MESACUP™ anti-MDA5テスト」、「MESACUP™ anti-Mi-2テスト」、「MESACUP™ anti-TIF-1γテスト」が、皮膚筋炎の診断補助として新規保険適用となりました。皮膚筋炎は、症状や検出される自己抗体の種類により複数の病型に分類され、病型により治療方針が異なります。自己抗体の種類を特定する検査は有用な臨床情報を提供します。特に抗MDA5抗体陽性患者は高率で致死性の急速進行性間質性肺炎を併発するため、自己抗体検出は治療方針決定に非常に重要です。
② GDF15測定試薬の開発
久留米大学医学部小児科学講座の共同研究グループと協力し、GDF15測定試薬の開発を行っております。GDF15は、久留米大学らの研究グループにより見出されたミトコンドリア病のバイオマーカーです。ミトコンドリア病は、ミトコンドリア機能の障害によって、様々な臓器の症状(精神・運動発達遅滞や知的退行、心不全や腎不全、難聴や糖尿病等)を引き起こす病気です。現在、複数の診断検査が行われていますが、決定的な検査方法がなく、診断に長い時間を要することから、GDF15試薬の検査を現在の診療の中に加えることで、ミトコンドリア病診断の改善に貢献することが期待されます。
③ 遺伝子検査試薬
従来、大腸がんの治療方針の決定にあたっては、RAS(KRAS及びNRAS)遺伝子変異検査が実施されており、当社は「MEBGEN™ RASKETキット」を販売しております。近年、一次治療開始前に、RASに加えてBRAF V600E遺伝子変異を検査する意義が明確になり、2016年に発刊された日本臨床腫瘍学会「大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス」及び大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン」では、一次治療開始前にBRAF V600E遺伝子変異の有無を検査することが推奨されています。当社は、これらのガイダンスに対応する体外診断用医薬品の開発を行っております。
また、新たな研究用試薬として、人獣共通感染症のE型肝炎ウイルス(HEV)検出試薬を発売しました。今後、体外診断用医薬品として上市されることが期待されます。

(2) 基礎研究用試薬
① MHCテトラマー試薬
がんなどの免疫細胞治療で重要な役割を果たす、抗原特異的T細胞(細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞)の検出試薬「MHCテトラマー」の開発・販売に継続して注力しています。当期は約150品目を開発し、国内に加えて米国の持分法適用関連会社であるBION Enterprises Ltd.でも高品質な試薬を生産し、全世界に販売しております。また、細胞傷害性T細胞の細胞膜表面に発現しているT細胞受容体(TCR)を利用して、抗原提示細胞やがん細胞を特異的に検出可能な「TCRマルチマー」の開発にも注力しています。更に、MHCテトラマー/TCRマルチマーの技術を活用して、がんをはじめとした免疫モニタリングへのアプローチも進めております。
札幌医科大学との共同研究で同定したがん幹細胞抗原BORIS特異的ペプチドを用いたワクチン療法は、2017年度中に自主臨床試験を開始する計画です。
② 蛍光タンパク質
当社は、蛍光タンパク質と関連する抗体など多数の製品を開発してまいりました。2013年より販売している「Fluoppi™」は、タンパク質相互作用(Protein-protein interaction, PPI)を生きた細胞でリアルタイムに観察(イメージング)できるツールです。従来法より簡便にPPIをイメージングでき、PPI阻害剤の創薬研究分野で高い評価を頂いております。
東京工業大学 大隅良典教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されたオートファジー研究で、当社は本研究の黎明期より長きに渡り抗体や解析ツールなどの研究用試薬を開発し、多数の関連製品を発売してまいりました。理化学研究所と共同開発した蛍光タンパク質「Keima-Red」は、オートファジーを可視化でき、神経変性疾患やがん研究の分野で注目されているミトコンドリアのオートファジー(マイトファジー)検出ツールの世界標準として、海外大手製薬企業の創薬研究で採用されています。
本検出ツールの技術導出(ライセンスアウト)も強化しており、海外の製薬企業や創薬ベンチャーへとグローバルに事業を拡大しています。

(3) 抗体作製技術
当社ではかねてより、特異性が高く、高アフィニティーかつヒト型の抗体を得る種々の技術開発に取り組んでまいりました。当期は、① 子会社の抗体研究所からファージディスプレイ技術の取り込み、及び② 富山大学が発明した迅速抗体取得技術『懸垂液滴アレイ式磁気ビーズ反応法*)』及びそれに関連する技術導入によって、抗体作製に関わる技術の幅が大きく広がりました。更に、③ CHO細胞でのリコンビナント抗体の大量生産系を導入し、モノクローナル抗体の大量受注に対応できるようになりました。
*従来の細胞融合法よりも目的の抗体を短時間かつ高効率に取得できる方法
来期は全ての抗体開発機能を当社伊那研究所に集約して更なる効率化を進め、上記の抗体開発技術とともに、臨床検査薬事業へ展開すべく、更なる技術力向上を目指して開発を進めてまいります。

(4) リキッド・バイオプシー関連製品の上市
近年、血液や尿および唾液などの体液サンプルに分泌される細胞外小胞(Extracellular Vesicle:EV)を検出するLiquid Biopsy(LB)の医療応用が注目されています。当社はJSRライフサイエンス株式会社と共同で、エクソソームに対する高品質抗体の各種ラベル品、および「ExoCap™ Streptavidin Kit」を新たに製品化いたしました。また、汎用手法である超遠心でのエクソソームの保存安定性を高める試薬「ExoCap™ Ultracentrifugation/Storage Booster」も上市しました。これらの製品群により、エクソソーム研究の幅が広がることが期待されます。
当社は、臨床検査薬への応用も目指し、様々な疾患分野の第一人者との間で、次世代LB測定システムの開発・構築を進めています。

(5) JSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター
当社の親会社であるJSR株式会社は、学校法人慶應義塾大学と共同でJSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター(JKiC、2017年運用開始予定)の設立を発表しております。当センターでは、医学と化学の融合という全く新しい概念を突き詰めることでイノベーションを生み出し、健康長寿その他の目的を実現するために、世界に貢献する実用技術の確立を目指しています。当社もJSRグループのライフサイエンス事業の中核企業として、共同研究計画策定の参画やJKiCへの人員派遣によって、研究と事業の創造に貢献してまいります。

(6) システム免疫学での成果
国立大学法人 東京大学 医科学研究所に設置した社会連携研究部門「システム免疫学(システム・イムノロジー)」との共同研究を通じて、腸内細菌叢に関して情報を取得し、その解析によって革新的な臨床検査薬、医薬品、研究用試薬等の開発を目指しております。
当期は、腸管内微生物のメタゲノム解析手法を確立し、健常人における微生物間の相関情報を取得することに成功いたしました。今後、確立された手法を用いて疾患に関連した研究開発テーマを設定していく予定です。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00978] S100AFXZ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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