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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10083H4

有価証券報告書抜粋 株式会社新日本科学 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2016年3月期)


研究開発活動メニュー株式の総数等

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2016年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 2013年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
医薬品業界におきましては、製薬企業が開発品目の選択と集中をより一層進めることによるパイプラインの絞込み、また外部リソースを有効活用する動きが明確になってきております。このような顧客動向を受け、当社は顧客から選ばれるパートナーとなるべく、顧客ニーズに応えられるサービスの深化と継続的な質の向上を目指しております。
米国前臨床事業は、積極的な営業展開を実施する一方で徹底した内部体制の見直しと組織改革を行った結果、新規顧客からの受注増加と共に、リピーター顧客の数も増加して受託契約は順調に回復してきております。
国内前臨床事業は、顧客満足度を高めることに注力するとともに、再生医療や薬効薬理試験の受託等、新しい分野における受託も強化しております。
国内臨床事業は、PPD社との合弁事業を立ち上げ、国内においても急成長しつつあるグローバル試験の巨大マーケットにいち早く対応すべく体制構築の強化に努めております。
米国臨床事業は、University of Maryland, Baltimore校との提携をさらに深く進め、また、下期以降はPPD社とのコラボレーションも始まり、活発に事業拡大しております。
トランスレーショナル リサーチ事業は、その中核の一つとして取り組んでまいりましたWaVe Life Sciences Ltd. が2015年11月に米国NASDAQ市場への上場を果たし、当社のトランスレーショナル リサーチ事業に大きな進展が得られました。また、当社が独自に開発した経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)につきましても、事業化に向けて、引き続き鋭意研究開発や交渉を進めております。これまでの研究実績から、当社の経鼻投与基盤技術が種々の薬剤に対して幅広く応用できることが実証されたことにより、大手を含む国内外の複数の製薬企業が保有する化合物に当社の技術を応用する技術評価試験の実施が活発化しております。
こうした状況の中、当連結会計年度における売上高は、14,750百万円と前連結会計年度に比べて3,084百万円(17.3%)の減少となりました。営業損失は3,863百万円(前連結会計年度:営業損失636百万円)、経常損失は5,260百万円(前連結会計年度:経常利益155百万円)となりました。
一方、PPD社との合弁事業に伴う会社分割による特別利益4,427百万円、及び当社が創業しトランスレーショナル リサーチ事業の中核の一つとして取り組んでまいりましたWaVe Life Sciences Ltd. の株式に係る持分変動利益4,479百万円(うちNASDAQ上場に伴う利益3,960百万円)を計上いたしましたので、親会社株主に帰属する当期純利益は2,646百万円(前連結会計年度:親会社株主に帰属する当期純損失1,385百万円)となり、その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は34.0%(前連結会計年度末23.7%)となりました。

② 前臨床事業
国内前臨床事業では、顧客満足度を高めることに注力するとともに、再生医療等新しい分野における受託も強化しており、受注額は順調に積みあがってきております。しかしながら、前期と比較いたしますと、来期以降計上予定の採算性の高い大型試験は増加しつつあるものの、今期に完了する試験数が少ないため、売上高、営業利益ともに端境期となっております。
米国前臨床事業のSNBL USAは、新規顧客からの受託及び既存顧客からのリピート案件の問い合わせの増加に対応し、ブランドを再構築すべく費用先行で試験実施体制の強化に努めております。こうした中、米国保健社会福祉省傘下の公的機関であるBARDAから、ARS試験に関する委託先指定を受け、関連する薬剤開発企業との交渉も活発化しております。現状では、売上高については前年対比で増加しているものの、クライアント都合により複数の大型試験の開始が遅れていることもあり、試験稼働率の平準化と効率化に暫く時間を要する見込みですが、業績改善に向けての積極的受注活動と内部体制の強化は着実に進んでおります。
当社グループは、霊長類を用いた研究受託に関しては、その技術力の高さと背景データの豊富さに定評があること、加えて、現在、受託業界では唯一、自家繁殖場をカンボジアと中国に有することにより、高品質動物を安定的に供給できる体制を確立していること、また、動物愛護の視点からAAALAC International(国際実験動物ケア評価認証協会)による認証を獲得していること等、明確な差別化戦略が効を奏しており、世界の主要大手クライアントからの高い評価が定着するなど、継続した受注獲得に寄与しております。
そうした中で、売上高は11,854百万円と前連結会計年度に比べて22百万円(0.2%)の減少となりました。営業損失は3,313百万円(前連結会計年度:営業損失783百万円)となりました。

③ 臨床事業
国内においては、2015年4月1日に当社の臨床事業部門を会社分割し、PPD社との合弁会社となるPPD-SNBLを設立し、日本でのグローバル臨床試験の実施体制構築と強化に傾注しております。なお、PPD-SNBLは持分法適用会社となるため、今期からは当社の臨床事業部門としての売上としては計上されておりません。
国内でSMO事業を行う株式会社新日本科学臨床薬理研究所につきましては、新卒採用を増加させ事業基盤の拡充を図るとともに、今期より関東での事業展開を開始いたしました。関東での事業展開は、SNBLグループのネットワークを生かして順調な立ち上がりを見せており、今後より一層事業基盤を拡充させる方向であります。
米国における臨床事業を担当するSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc. は、PPD社及びPPD-SNBLとの連携強化に積極的に取り組むと共に、University of Maryland, Baltimore校のキャンパス内にある優位性を活かしたサービスを提供することにより、受託試験の獲得に向けた戦略的な営業基盤の構築を図っております。
そうした中で、売上高は2,126百万円と前連結会計年度に比べて3,401百万円(61.5%)の減少となりました。営業損失は224百万円(前連結会計年度:営業利益655百万円)となりました。

④ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
当社が創業し、トランスレーショナル リサーチ事業の中核の一つとして取り組んでまいりましたWaVe Life Sciences Ltd. が2015年11月に米国NASDAQ市場への上場を果たし、当社のトランスレーショナル リサーチ事業に大きな進展が得られました。これにより、持分変動利益3,960百万円を計上し、その他有価証券評価差額金を計上することとなり、純資産が増加いたしました。
当社が独自に開発した経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)につきましても、事業化に向けて、引き続き鋭意研究開発や交渉を進めております。当社の経鼻投与基盤技術を応用したインフルエンザワクチンは、注射液剤を固化して粉体で安定的に鼻腔に投与する新技術の研究開発に成功しております。インフルエンザ経鼻ワクチン(開発コード:TR-Flu)は、注射器や針が不要であるだけでなく、室温保管が可能であります。さらに、経鼻ワクチンは、重症化を阻止する血中特異的IgG抗体を誘導するだけでなく、分泌型IgA産生を高め、感染予防に重要である粘膜免疫を強化することから、注射ワクチンよりも高い感染予防効果が期待され、加えて、ウィルスがある程度変異しても有効性が維持できると推測されております。すなわち、経鼻ワクチンは、利便性が高いだけでなく、インフルエンザウイルス各種に対する幅広い交叉性が示され、より強力な免疫が誘導される効果が期待できます。今後、当社では、TR-Fluを含めた経鼻ワクチンの研究をさらに注力してまいります。
さらに、米国でPhaseⅡ臨床試験を完了したグラニセトロン経鼻剤(開発コード:TRG,制吐薬)、米国でPhaseⅠ臨床試験を完了したゾルミトリプタン経鼻剤(開発コード:TRZ,偏頭痛薬)における臨床試験実績をはじめとして、これまでの研究実績から、当社の経鼻投与基盤技術が種々の薬剤に対して幅広く応用できることが実証されたことにより、大手を含む国内外の複数の製薬企業が保有する化合物に当社の技術を応用する技術評価試験の実施が活発化しております。また、これまで経粘膜吸収が難しいとされてきた難溶性の化合物薬剤について、その溶解性を高める製剤化技術を新たに開発し応用して、粉末経鼻剤としての適応できる化合物の範囲を拡げることが可能になりました。技術評価試験における良好な成績をもとに、現在、技術供与のライセンス契約や共同研究の契約締結に向けた交渉を積極的に進めております。
当社は、従来よりこれらの契約では、契約時締結一時金の他、開発段階等に応じたマイルストーンを収受することと、当該経鼻製剤の販売後のロイヤリティ支払いを受けることになっております。また、本技術を開発品目ごとに外部会社にライセンス付与し、当該会社が独立して資金を調達し迅速な開発を進めるような、積極的なビジネスモデルを始動いたしました。この場合、当該会社の売却益やキャピタルゲインを得る等、多彩な出口戦略を想定しております。
そうした中で、売上高は9百万円と前連結会計年度に比べて43百万円(82.0%)の減少となり、営業損失は426百万円(前連結会計年度:営業損失357百万円)となりました。

⑤ メディポリス事業
当社は、環境やヘルスケアに配慮する社会的事業として、鹿児島県指宿市において発電事業及び自然と健康をテーマにした指宿ベイテラス HOTEL&SPAの運営等を行っており、メディポリス事業と位置付けております。
当地での発電事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行等地球温暖化防止、純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策を受けて、保有するメディポリス指宿の敷地内において、1,500kw級のバイナリー型地熱発電所を建設し、2015年2月から売電事業を開始いたしました。その結果、当事業セグメントは前年同期と比較して営業利益が改善し、黒字転換いたしました。
そうした中で、売上高827百万円と前連結会計年度に比べて409百万円(97.9%)の増加となり、営業利益は58百万円(前連結会計年度:営業損失179百万円)となりました。

(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化してゆく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化してゆく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応してゆくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 戦略的現状と見通し
これらの状況を踏まえて当社グループは、強固な地位を占める国内事業に加えて、より需要の大きな米国市場において事業拡大を図る方針であります。
国内の前臨床事業は中長期的な視点で顧客からの要望に対して確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。特に、薬効薬理センターを強化し、薬効評価モデルにおいては再生医療分野からも引き合いがあり、また霊長類を用いた薬効試験においては、他のCROでは実施困難で臨床への外挿性の高い複数の大型案件の受託に成功しております。さらにiPS細胞等の機能解析にも応用可能な設備を強化しております。
米国の前臨床事業においては、活況な米国市場において積極的に営業強化を行うとともに、生産性向上に向けてプロセス改善にも引き続き取り組んでおります。
臨床事業においては、近年日本国内に限定した臨床試験の実施から、多国間で同時に臨床試験を行う国際共同治験(グローバル試験)に主体が移りつつあり、世界トップクラスの臨床CROであるPPDのグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化すべくPPDと日本での事業を統合しております。
アジアにおいては、日米の前臨床事業への品質の高い実験動物供給拠点として、さらなる強化を図ってまいります。
(4) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ7,688百万円(19.0%)増加して、48,240百万円となりました。流動資産は、現金及び預金及びたな卸資産が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2,704百万円(14.2%)減少して、16,305百万円となりました。固定資産は、投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ10,393百万円(48.2%)増加して31,934百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ857百万円(2.8%)増加し、31,765百万円となりました。流動負債は、短期借入金が減少したものの未払法人税等及び前受金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ170百万円(0.9%)増加して19,496百万円となりました。固定負債は、長期借入金、リース負債及び繰延税金負債が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ686百万円(5.9%)増加して12,269百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、その他有価証券評価差額金が増加したため、前連結会計年度末に比べ6,830百万円(70.8%)増加し、16,474百万円となりました。

(5)資本の財源及び資金流動性に関する分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて2,326百万円(32.1%)減少して、4,925百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、3,339百万円と、前連結会計年度に比べて1,183百万円(54.9%)の使用増加となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益3,550百万円、減価償却費1,592百万円、持分変動利益6,957百万円、事業分離による移転利益1,949百万円、持分法投資損失1,011百万円、前受金の増加額1,025百万円、たな卸資産の増加額500百万円及び法人税の支払額1,205百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、1,285百万円となりました(前連結会計年度:1,092百万円の使用)。
主な内訳は、事業譲渡による収入4,023百万円、有形固定資産の取得による支出1,780百万円、貸付による支出1,006百万円、投資有価証券の売却による収入521百万円および関係会社株式の取得による支出493百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、282百万円となりました(前連結会計年度:506百万円の獲得)。
主な内訳は、短期借入金の減少額184百万円、長期借入れによる収入6,738百万円および長期借入金の返済による支出6,650百万円であります。

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
前臨床事業におきましては、より付加価値が高く、かつ顧客満足度の高いサービスを、効率的かつ迅速に提供していく方針です。この前提条件として、より品質の高い実験動物を顧客ニーズに従い安定供給していく重要性が一層高まってきているために、国内、米国をはじめ中国、アジア地域の当社施設からの安定的な供給体制の確立に取り組んでおります。市場規模が日本の数倍あると予想される米国でのビジネスチャンスを逃さぬよう、当社グループの総力を挙げて米国子会社SNBL U.S.A., Ltd.の再生に取り組んでおります。
臨床事業におきましては、世界トップクラスの臨床CROであるPPDと日本における臨床事業を統合し、国内における臨床試験の実施体制を強化するとともに、PPDの有するグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化し、事業の拡大を進めております。
トランスレーショナル リサーチ事業におきましては、創薬型の医薬品開発支援事業へのパラダイムシフトを進めるべく、外部資金を活用した開発を積極的に推進し、早期の事業化を目指していくよう取り組んでおります。

研究開発活動株式の総数等


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