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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AS8C

有価証券報告書抜粋 株式会社新日本科学 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2017年3月期)


研究開発活動メニュー株式の総数等

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2017年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
医薬品業界におきましては、引続きバイオベンチャー企業が活発な事業展開を進めております。特に米国においては、機関投資家からの積極的な資金提供が原動力となり、外部リソースとしてCROを有効活用する動きが鮮明になってきております。このような顧客動向を受け、当社は顧客から選ばれるパートナーとなるべく、顧客ニーズに応えられるサービスの深化と継続的な質の向上を目指しております。
米国前臨床事業は、積極的な営業活動を展開する一方で徹底した内部体制の見直しによる経費削減を行い、早期に黒字化すべく全力で取り組んでおります。国内前臨床事業は、顧客満足度を高めることに注力するとともに、再生医療や薬効薬理試験の受託、画像解析技術の向上など、新しい分野における受託を強化しております。
国内臨床事業は、2015年4月に設立した株式会社新日本科学PPD(Pharmaceutical Product Development LLC(以下「PPD社」)との合弁事業)を通して、急拡大しつつあるグローバル試験の巨大マーケットにいち早く対応すべく体制構築の強化を順調に進めております。一方で、米国臨床事業は、SNBL Clinical Pharmacology Center, Inc. (以下「SNBL CPC」)の株式の一部を譲渡することとともに、同社が第三者割当増資を実施することにより当連結会計年度末日をもって当社の連結子会社から外れ、持分法適用関連会社になります。
トランスレーショナル リサーチ事業は、米国に設立した経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)を応用した経鼻偏頭痛薬の開発会社 Satsuma Pharmaceuticals, Inc. (以下「Satsuma社」)が、昨年12月に米国の有力機関投資家からの資金調達に成功し、順調に開発を進めております。また、NDSを応用したインフルエンザ経鼻ワクチン(開発コード:TR-Flu)は、ワクチン会社から提供されたインフルエンザ抗原を用いて、TR-Fluによる抗体産生を評価するための非臨床試験を実施し、有力な試験データやノウハウが得られ、優位性を更に高めるための基盤技術最適化段階へと研究開発が進展しました。加えて、国内外の複数の大手製薬企業から新規化合物の経鼻応用性について、NDSを用いたフィージビリティ試験を実施中です。
こうした状況の中、当連結会計年度における売上高は、17,244百万円と前連結会計年度に比べて2,494百万円(16.9%)の増加となりました。営業損失は1,792百万円(前連結会計年度:営業損失3,863百万円)、経常損失は2,105百万円(前連結会計年度:経常損失5,260百万円)となりました。
一方、SNBL CPCの株式譲渡及び第三者割当増資に伴う特別利益1,250百万円を計上いたしましたので、親会社株主に帰属する当期純損失は915百万円(前連結会計年度:親会社株主に帰属する当期純利益2,646百万円)となりました。

② 前臨床事業
国内前臨床事業では、顧客満足度を高めることに注力するとともに、再生医療等新しい分野における受託を強化しており、受注額は昨年実績を超えて順調に積みあがってきております。
米国前臨床事業のSNBL U.S.A., Ltd.(以下「SNBL USA」) は、新規顧客からの問い合わせ増加に加えて、大手顧客からのリピート案件も回復傾向に転じ、ブランドの再構築が整いつつあります。また、米国保健社会福祉省傘下の公的機関であるBiomedical Advanced Research and Development Authority(米国生物医学先端研究開発局、以下「BARDA」)による急性放射線症候群(以下「ARS」)試験に関する委託先指定を受けた結果、BARDAからの直接受注に加えて、関連する新薬開発企業と複数案件の交渉が活発化しており、業績改善に向けての積極的な受注活動と経費削減の徹底を着実に進めております。
当社グループは、霊長類を用いた前臨床研究受託に関して、その技術力の高さと背景データの豊富さに定評があること、自家繁殖場を有することで高品質動物を安定的に供給できる体制を確立していること、加えて、動物愛護の視点からAAALAC International(国際実験動物ケア評価認証協会)による認証をSNBLグループ全拠点で獲得していること等、明確な差別化戦略が効を奏し、大手クライアントからも高い評価が定着してきており、継続した受注獲得に寄与しています。
そうした中で、売上高は12,943百万円と前連結会計年度に比べて1,088百万円(9.2%)の増加となりました。営業損失は1,714百万円(前連結会計年度:営業損失3,313百万円)となりました。

③ 臨床事業
国内においては、2015年4月1日に当社の臨床事業部門を会社分割し、PPD社との合弁会社となる株式会社新日本科学PPD(持分法適用関連会社)を設立し、グローバル臨床試験(国際共同治験)の実施体制を強化しました。
SMO事業を行う子会社である株式会社新日本科学臨床薬理研究所は、前期より事業展開した関東地域を拡充させており、その一環として、昨年10月に東京に拠点を置くアルメック株式会社の発行済株式の全株式を譲り受けて子会社とし、今年4月1日には事業遂行力の強化と効率化を進めるべく事業統合を行いました。
米国において臨床事業を行うSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc. (以下、「SNBL CPC」)は、University of Maryland, Baltimore校のキャンパス内にある優位性を活かし、他CROとも協働してユニークなサービスを提供することにより、受注に向けた戦略的営業基盤の構築を図っておりました。
そうした中で、売上高は3,649百万円と前連結会計年度に比べて1,522百万円(71.6%)の増加となりました。営業利益は276百万円(前連結会計年度:営業損失224百万円)となりました。

④ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
当社が独自開発した経鼻投与基盤技術(NDS)の研究開発を鋭意進めながら、早期の商品化と事業機会の最大化を目指している一方、製薬企業へライセンスアウトする従来の事業化スキームに加えて、外部資金を活用した新たなスキームも構築しました。この新たな事業化スキームは、特定の化合物を経鼻剤に適用する開発子会社を設立し、機関投資家等から資金を調達して、臨床試験へと開発段階を上げてProof-of-Concept(概念実証)の確認を行い、付加価値を高めた上で、開発会社の株式上場や製薬企業への開発品のライセンスアウト、もしくは会社売却等を目指した戦略をたてています。その一環として、外部資金を活用したこの事業化スキームを基盤に、昨年12月、米国の有力機関投資家であるRA Capital Management, LLC 及びTPG Biotechnology Partners V, L.Pからの資金調達に成功し、米国カリフォルニア州に経鼻偏頭痛薬(ジヒドロエルゴタミン経鼻剤)開発会社となるSatsuma社を立ち上げました。
他方、NDSを応用したTR-Flu開発は、ワクチン会社から提供されたインフルエンザ抗原を用いて、TR-Fluによる抗体産生を評価するための非臨床試験を実施し、有力な試験データやノウハウが得られ、優位性を更に高めるための基盤技術最適化段階へと研究開発が進展しました。
そうした中で、売上高は24百万円と前連結会計年度に比べて15百万円(161.8%)の増加となり、営業損失は250百万円(前連結会計年度:営業損失426百万円)となりました。

⑤ メディポリス事業
環境にも配慮する社会的事業として、当社は鹿児島県指宿市において地熱発電事業を行っております。併せて自然と健康をテーマにしたベイテラス指宿 HOTEL&SPAの運営等行っております。これらの事業をメディポリス事業と位置付けております。
本発電事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づいて運営しており、地球温暖化防止、純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、1,500kw級のバイナリー型地熱発電所を稼働させ、全量を売電していますが、今期は、昨年9月当地に上陸した大型台風の影響で発電プラント機器に不具合が発生し、修復作業中の約6カ月間発電が断続的に停止したため、売上が大幅に減少しました。なお、3月以降は安定した稼働が続いております。
そうした中で、売上高は678百万円と前連結会計年度に比べて148百万円(18.0%)の減少となり、営業損失は158百万円(前連結会計年度:営業利益58百万円)となりました。

(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化してゆく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化してゆく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応してゆくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 戦略的現状と見通し
これらの状況を踏まえて当社グループは、強固な地位を占める国内事業に加えて、より需要の大きな米国市場において事業拡大を図る方針であります。
国内の前臨床事業は中長期的な視点で顧客からの要望に対して確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。特に、薬効薬理センターを強化し、薬効評価モデルにおいては再生医療分野からも引き合いがあり、また霊長類を用いた薬効試験においては、他のCROでは実施困難で臨床への外挿性の高い複数の大型案件の受託に成功しております。さらにiPS細胞等の機能解析にも応用可能な設備を強化しております。
米国の前臨床事業においては、活況な米国市場において積極的に営業強化を行うとともに、生産性向上に向けてプロセス改善にも引き続き取り組んでおります。
臨床事業においては、近年日本国内に限定した臨床試験の実施から、多国間で同時に臨床試験を行う国際共同治験(グローバル試験)に主体が移りつつあり、世界トップクラスの臨床CROであるPPDのグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化すべくPPDと日本での事業を統合しております。
アジアにおいては、日米の前臨床事業への品質の高い実験動物供給拠点として、さらなる強化を図ってまいります。
(4) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8,012百万円(16.6%)増加して、56,253百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,840百万円(11.3%)増加して、18,145百万円となりました。固定資産は、投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ6,172百万円(19.3%)増加して38,107百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,013百万円(6.3%)増加し、33,779百万円となりました。流動負債は、未払法人税等が減少したものの短期借入金及び前受金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ179百万円(0.9%)増加して19,675百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ1,833百万円(15.0%)増加して14,103百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、その他有価証券評価差額金が増加したため、前連結会計年度末に比べ5,998百万円(36.4%)増加し、22,473百万円となりました。

(5)資本の財源及び資金流動性に関する分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて2,498百万円(50.7%)増加して、7,423百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、849百万円と前連結会計年度に比べて2,490百万円(74.6%)の使用減少となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純損失764百万円、減価償却費1,545百万円、売上債権の減少額193百万円、前受金の増加額498百万円、利息の支払額408百万円及び法人税等の支払額1,384百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、314百万円(前連結会計年度:1,285百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出789百万円、有形固定資産の売却による収入106百万円、無形固定資産の取得による支出226百万円、投資有価証券の売却による収入508百万円及び連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入122百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、3,815百万円(前連結会計年度:282百万円の使用)となりました。
主な内訳は、短期借入金の増加額1,557百万円、長期借入による収入5,821百万円、長期借入金の返済による支出6,657百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,227百万円及び非支配株主からの払込みによる収入2,102百万円であります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
前臨床事業におきましては、より付加価値が高く、かつ顧客満足度の高いサービスを、効率的かつ迅速に提供していく方針です。この前提条件として、より品質の高い実験動物を顧客ニーズに従い安定供給していく重要性が一層高まってきているために、国内、米国をはじめ中国、アジア地域の当社施設からの安定的な供給体制の確立に取り組んでおります。市場規模が日本の数倍あると予想される米国でのビジネスチャンスを逃さぬよう、当社グループの総力を挙げて米国子会社SNBL U.S.A., Ltd.の再生に取り組んでおります。
臨床事業におきましては、世界トップクラスの臨床CROであるPPDと日本における臨床事業を統合し、国内における臨床試験の実施体制を強化するとともに、PPDの有するグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化し、事業の拡大を進めております。
トランスレーショナル リサーチ事業におきましては、創薬型の医薬品開発支援事業へのパラダイムシフトを進めるべく、外部資金を活用した開発を積極的に推進し、早期の事業化を目指していくよう取り組んでおります。
(7) 重要事象等
当社は複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、本契約には純資産及び経常利益に関する財務制限条項が付されております。当事業年度末において、これらの制限条項中で経常利益に関する財務制限条項に抵触しております。また、子会社の株式会社メディポリス・エナジーは複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、本契約には純資産及びDSCR(元利金支払前キャッシュフロー/貸付にかかる元利金支払額)に関する財務制限条項が付されており、当事業年度末において、これらの財務制限条項に抵触しております。しかしながら、当社グループは、従前から取引金融機関に対して当社グループ状況を詳細に説明して現状を認識頂き、継続的な取引関係を構築しており、いずれの契約に関しても当該条項にかかる期限の利益喪失につき権利を行使しないことについての合意を得ておりますので、当該状況はすべて解消しております。
従いまして、当社グループとしては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

研究開発活動株式の総数等


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