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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1009WUR

有価証券報告書抜粋 株式会社竹中工務店 研究開発活動 (2016年12月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループは、持続的成長と新たなグループブランドの確立に向けて、お客様満足と収益力の向上に貢献する技術開発はもとより、未来のサステナブル社会の実現を先導する新たなソリューションの創出を目指して研究開発に取り組んでいる。
重点的に取り組むべき領域として、設計・生産の高度化・効率化、安全・安心で活力・魅力あるスマートコミュニティの実現、まちや建物の環境負荷の低減、成長産業を支える建築の高機能化を設定し、全社的に技術開発活動を遂行している。
当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は70億円余であり、このうち当社が取り組んだ主な技術開発事例は次のとおりである。
(建設事業)

(1) 設計・生産の高度化・効率化

作業所で稼働中の高所作業車・フォークリフト等の建設機械や作業所員の位置を無線通信で簡単に把握できる管理システムを開発し、大規模商業施設の建設工事に適用した。建設工事では、高所作業車など数多くの建設機械を使用し、使用状況の管理に多くの労力がかかっていた。本システムでは、IoTの技術を活用して、作業所の管理業務の負担軽減を可能とした。
山留めソイルセメント柱列壁の出来形を日々確認できる「山留め壁出来形計測システム」を開発し、オフィスビルの建設工事に適用した。従来、山留め壁の出来形を確認するためには特殊な専用機による施工が必要であり、コストや工期に大きく制約を受けていた。本システムでは、ジャイロ計測器等を汎用機にとりつけ、3次元の出来形情報をシステム上に見える化することで、コストや手間をかけずに山留め壁の品質確保に必要な性能確認を可能とした。
液状化対策に向けた格子状地盤改良技術「コンパクト・ジオラティス工法®-矩形」をケミカルグラウト㈱と共同で開発した。従来の格子状地盤改良体は円形を柱列状に配置させていたが、矩形を連続的に配置させることで改良体の本数を削減し、従来より約20%のコスト低減が図れる見込みである。今後は埋立地に建つ既存の生産施設・工場内インフラや災害時の防災拠点となる庁舎、病院などの液状化対策技術として積極的に提案していく。
建設現場や工場等の作業員の負担軽減策として、運搬用ロボット台車「かもーん」を㈱レンタルのニッケンと共同で開発した。「かもーん」は最初に認識した人やモノに自動追従する機構を有しており、一人で複数の台車を運搬することが可能である。今後は全国の建設現場に積極的に適用し、建設工事の省人化につなげていく。
鉄筋工事、型枠工事を不要とする基礎工法「竹中コンパクトパイルキャップ」を開発し、オフィスビルの建設工事に適用した。従来の基礎工事は、杭、フーチング、梁が取り合い、配筋や型枠建て込みなどの工程が煩雑であった。「竹中コンパクトパイルキャップ」は取り合い部を鋼管コンクリート造とすることで、これらの工程を不要とし、大幅な工期短縮を実現した。

(2) 安全・安心で活力・魅力あるスマートコミュニティの実現

地震対策と暴風対策を両立させた「Tウィンド免震」を開発し、超高層免震建物に適用した。「Tウィンド免震」は、免震機能に加え2段階の風対策を併用することで、シャープな外観デザインをそのままに、超高層建物の耐震性、居住性、眺望の確保を実現している。今後は、板状の超高層建物を対象に適用を進めていく。
農と食を融合した空間コンセプト「シェフズガーデン®」を構成する技術の試験・実証として、米国ハワイ州カウアイ島に所有・経営するリゾートホテルで、レタスなど葉物野菜の栽培施設を設置し、1年間にわたりホテルレストランのニーズに合った栽培・運営管理の検証を行った。求められる品質に応じて栽培期間や方法を最適化する知識を蓄積し、日本国内のホテル、商業施設、医療福祉施設などに新鮮で安心できる野菜を安定供給し、活き活きと育つ野菜を間近に見ながら食事ができる癒しの空間の提供につなげていく。
新たなワークスタイルを促す空間デザイン技術「ソトコミ®」を開発し、省エネルギーや知的生産性などの効果を実オフィスにおいて実証した。「ソトコミ®」は、省エネルギーで運用される分散型コミュニティスペース、ワーカーの移動を促す誘導システム、パーソナル環境制御システムの3つの技術で構成されている。今回の実証実験により、利用者自身の環境選択行動が、利用者の満足度、省エネ効果、知的生産性それぞれの向上につながることが明らかとなった。

健康経営・健康社会の実現を空間・まちづくりの面から追及することを目的に、千葉大学と共同で、千葉大学予防医学センターに寄附研究部門を設立して共同研究を開始した。人と建築が寄り添うことで、健康的な環境を実現する「健築®」というコンセプトの展開を主軸に、空間・まちづくりからの行動変容・健康増進にかかる研究・教育を推進していく。

(3) まちや建物の環境負荷の低減

車や人に踏まれても枯れにくく歩行者や車いす利用者が移動しやすい緑化システム「ハニカムグリーン」を㈱クレアテラと共同開発し、実証試験を終了した。近年、都市のヒートアイランド現象や郊外へのアーバンスプロールが問題視され、都市部の緑化が求められる中で、様々な施設の屋上部・遊歩道・駐車場等への適用を進めていく。
建築物の年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロまたはマイナスとする「ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング(ネット・ZEB)」の技術を開発し、当社東関東支店として使用している2003年竣工の一般オフィスビルの改修工事に適用した。執務を続けながらZEB化改修工事を実現するとともに、災害時に備えたBCPの作成や快適性の向上など更なる付加価値を追求している。今後は建物の運用を通じて、年間エネルギー収支の検証と、省エネ並びに快適なオフィス環境を両立した「ウェルネスオフィス」の実現に向けた検証を行っていく。
国産木材を活用した大規模木造建築技術「燃エンウッド®」の適用拡大を目的とした開発を進め、これまでで最大規模となる江東区立(仮称)第二有明小・中学校新築工事への適用が決定した。耐火と構造を融合した「燃エンウッド®」を活用することで、地場産業を活かしたシンボル性の高い「木の学校」の実現を図るとともに、更なる適用拡大に向けて、引き続き技術開発を行っていく。
脱炭素社会の実現に向け、東京本店が立地する江東区新砂エリアにある当社関連建物を中心に、街づくりモデル「竹中脱炭素モデルタウン」を2020年にかけて順次構築し実証を重ねていく。「竹中脱炭素モデルタウン」では、省エネルギー・蓄エネルギー・創エネルギーシステムを最適に組み合わせ、複数棟・異種エネルギーデバイスを1棟の建物のように統合制御して建物の消費エネルギーを最小限とし、さらに最新緑化システムや雨水活用技術等の環境にやさしい技術も活用して、最大級の脱炭素を目指す。取り組みの第一弾として、新砂エリアに建つ3棟の当社関連建物を対象としたバーチャルパワープラント(VPP)を構築し実証を開始した。今後、さらに水素エネルギー活用技術の実証などを順次開始していく。

(4) 成長産業を支える建築の高機能化

政府が成長戦略の柱と位置付ける再生医療・創薬産業に対応すべく、当社技術研究所内に新設した「バイオクリーン・バイオセーフティ実験施設」を本格稼働した。当施設では、先端医療・医薬品関連施設の計画・運用に係る知見の蓄積と建築主が抱える課題解決を目的に、オープンイノベーションで研究開発を推進する。再生医療、バイオ創薬、感染症対策施設の安全性確保の検証などを実施していく。
当社と、キリン㈱、神戸天然物化学㈱、大阪大学、大阪府立大学、神戸大学、北海道医療大学の研究チームは、2016年から5年間の計画で、骨粗しょう症等の治療薬の有効成分である活性型ビタミンD3中間体の高効率な生産技術の開発に着手した。本開発では、ナス科植物のゲノム編集遺伝子操作により、活性型ビタミンD3の代謝機能を飛躍的に高めるとともに、改良した植物の生育環境の最適化制御技術と培養技術、および抽出・精製技術を駆使し、ビタミンD3の含有量を野生種の400倍に増加させることを目指す。
石膏を主成分に天然素材を添加した新素材から成る放射線遮蔽ブロック壁「RadBlock-X」を吉野石膏㈱と共同で開発し、福島第一原子力発電所新事務本館新築工事に採用された。「RadBlock-X」は、主にガンマ線、X線に対して優れた遮蔽性能を発揮し、施工性に優れ、短工期かつ工事騒音や粉塵の大幅な抑制が可能である。また、環境に優しい素材から構成され、施設内のレイアウト変更時にも再利用が可能である。今後は、原子力関連施設はもとより、放射線遮蔽が要求される様々な施設の新築・リニューアル工事への適用を進めていく。

また、子会社における研究開発の主なものは次のとおりである。
㈱竹中土木(1) 安全安心技術既存宅地の液状化対策「スマートコラム工法®」の開発
(2) 品質管理技術トンネルの「セントル養生管理システム」の開発


(開発事業及びその他)

研究開発活動は特段行われていない。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00169] S1009WUR)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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